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ホーム調達・その他の情報税理士試験情報平成26年度(第64回)税理士試験出題のポイント財務諸表論

財務諸表論

出題のポイント

〔第一問〕

本問は、無形資産の会計処理と利益計算との関係についての理解を問う問題である。

  1. 1 繰延資産の定義に関する基礎的理解を問う問題である(企業会計原則第三の一のD及び同注解(注15))。
  2. 2 研究開発費の会計処理に関する基礎的理解を問う問題である(研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書三の2)。費用処理と資産計上の選択適用は、研究開発に関する情報の企業間比較可能性を損なう。かといって、効果が将来に及ぶ研究開発費の資産計上を求めても、資産計上のための客観的な要件を規定することは実務上困難であるため抽象的な要件を定めざるを得ないが、それでもやはり比較可能性が損なわれるおそれのあることがポイントである。
  3. 3 企業結合における取得原価の配分と研究開発費の会計処理との関係に関する理解を問う問題である(研究開発費等に係る会計基準六の3、研究開発費等に係る会計基準の一部改正5項、企業結合に関する会計基準28項29項101項、企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針59項367項)。企業結合会計基準が、上記2で示した研究開発費会計基準の考え方よりも、企業結合により受け入れた資産の取扱いとの整合性を重視していることと、価値のある成果を受け入れたという実態を財務諸表に反映するための規定であることがポイントである。
  4. 4 原価−実現主義会計の枠組みの中での自己創設のれんの会計処理についての理解を問う問題である。有償取得のれんとは異なり支出を伴わない自己創設のれんを資産計上すると、それに相当する利益を認識することになる。自己創設のれんは、将来の期待超過利益の現在価値であるから、自己創設のれんの資産計上に伴って認識される利益は、実際にはまだ稼得されていない期待にすぎない未実現の利益、言い換えれば資本投下からの回収予定にすぎない未回収の余剰である。自己創設のれんの資産計上を禁止することによって、利益計算は投下資本の回収余剰計算としての性格を持つことになり、投資に対する期待ではなく、期待の実際の達成度を表す業績指標になるとともに処分可能な利益を計算することができるということがポイントである。
  5. 5 現在、会計基準のコンバージェンスで問題となっている企業結合によって取得したのれんの会計処理方法に関する議論についての理解を問うている(企業結合に関する会計基準105号106号)。

〔第二問〕

本問は、真実性(相対的に真実な利益)、認識・測定(会計記録)、および原価・実現主義を重視した「企業会計原則」と、有用性(有用な会計情報の提供)、開示、および時価主義(公正価値評価)を重視した各個別会計基準を対峙させながら、その背後にあるそれぞれの論理を理解しているか否かを問う問題である。

  1. 1 は、「企業会計原則」(一般原則)、「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品基準」という。)、および「ストック・オプション等に関する会計基準」(以下「ストック会計基準」という。)の一部抜粋した文章を提示し、その基本的な事項について問う問題である(「企業会計原則」(一般原則の一、二、七)、「金融商品基準」第16項、および「ストック会計基準」第8項)。
  2. 2 は、「企業会計原則」における損益計算書原則と貸借対照表原則の基本的な事項を問う問題である(「企業会計原則」第二損益計算書原則(損益計算書の本質)一A、第三貸借対照表原則(資産の貸借対照表価額)五A)。
  3. 3 は、「金融商品基準」における売買目的有価証券の時価評価が有用な情報と考えられ、かつその評価差額が損益計算書に計上される理由を問う問題である(「金融商品基準」第64項、第65項、第70項)。
  4. 4 は、「ストック会計基準」におけるストック・オプションを、費用認識する理由を問う問題である(「ストック会計基準」第34項、第35項)。
  5. 5 は、「ストック会計基準」におけるストック・オプション取引の貸方項目の性格を問う問題である(「ストック会計基準」第41項)。

〔第三問〕

第三問は、会社法及び会社計算規則の基本的な理解度を広範囲に問うものである。

  1. (1) 現預金について、その範囲及び基本的な組み替え事項についての理解を問う。
  2. (2) 金銭債権について、金融商品に関する会計基準における債権区分の考え方と貸倒引当金の設定の理解、ゴルフ会員権の評価損及び貸倒引当金の処理の理解を問う。
  3. (3) 投資有価証券について、金融商品に関する会計基準における有価証券の評価方法等の理解を問う。
  4. (4) 棚卸資産について、売価還元法についての会計処理の理解を問う。
  5. (5) 有形固定資産について、固定資産の減損に係る会計基準及び資産除去債務に関する会計基準、固定資産の圧縮記帳処理に対する理解を問う。
  6. (6) ソフトウェア仮勘定、共同施設負担金の貸借対照表表示についての理解を問う。
  7. (7) 従業員賞与について、支給金額が確定しているか否か、支給対象期間基準以外の支給基準について貸借対照表上での表示の相違に関する理解を問う。
  8. (8) 退職給付について、退職給付に係る会計基準における原則法による引当金の処理に対する理解を問う。
  9. (9) 商品券の会計処理に関する理解及び商品券引換引当金の計上に関する理解を問う。
  10. (10) 社債について、金融商品に関する会計基準における社債の評価方法等の理解を問う。
  11. (11) 増資について、会社法及び会社計算規則による会計処理の理解を問う。
  12. (12) 諸税金の処理について、納付税額の処理方法の理解を問う。
  13. (13) 税効果会計について、税効果会計に係る会計基準における繰延税金資産及び繰延税金負債等の処理方法及び注記の理解を問う。
  14. (14) 会社法及び会社計算規則に定める貸借対照表及び損益計算書の区分、項目及び名称に関する理解を問う。
  15. (15) 重要な会計方針に係る事項に関する注記についての理解を問う。