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直審4-19(例規)
平成2年5月30日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

法人が契約する個人年金保険に係る法人税の取扱いについて

 標題のことについては、当面下記により取り扱うこととしたから、今後処理するものからこれによられたい。

(趣旨)
個人年金保険は、年金支払開始日に被保険者が生存しているときには、同日以後の一定期間にわたって年金が支払われ、また、同日前に被保険者が死亡したときには、所定の死亡給付金が支払われる生命保険であるが、いわゆる満期保険金はなく、死亡給付金の額が保険料払込期間の経過期間に応じて逓増するなど、同じく被保険者の死亡又は生存を保険事故とする生命保険である養老保険とはその仕組みが異なっている。このため、法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人を被保険者とする個人年金保険に加入してその保険料を支払った場合における支払保険料の損金算入等の取扱いについては、法人税基本通達9-3-4及び9-3-8の定めをそのまま準用することは適当でない。また、年金の収受に伴う保険差損益の計上時期等についても明らかにする必要がある。そこで、その支払保険料の損金算入等の取扱いを明らかにすることとしたものである。 

1 個人年金保険の内容

 この通達に定める取扱いの対象とする個人年金保険は、法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者として加入した生命保険で、当該保険契約に係る年金支払開始日に被保険者が生存しているときに所定の期間中、年金が当該保険契約に係る年金受取人に支払われるものとする。

(注) 法人税法施行令第135条((適格退職年金契約等の掛金等の損金算入))の規定の適用のあるもの及び法人税基本通達9-3-4の定めの適用のあるものは、この通達に定める取扱いの対象とならないことに留意する。

2 個人年金保険に係る保険料の取扱い

 法人が個人年金保険に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。

(注) 傷害特約等の特約に係る保険料の取扱いについては、法人税基本通達9-3-6の2の定めを準用する。

(1) 死亡給付金(年金支払開始日前に被保険者が死亡した場合に支払われる死亡給付金又は死亡保険金をいう。以下同じ。)及び年金(年金支払開始日に被保険者が生存している場合に支払われる年金をいう。以下同じ。)の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額は、下記の5((資産計上した保険料等の取崩し))の定めにより取り崩すまでは資産に計上するものとする。

(2) 死亡給付金及び年金の受取人が当該被保険者又はその遺族である場合 その支払った保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。

(3) 死亡給付金の受取人が当該被保険者の遺族で、年金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額のうち、その90%に相当する金額は(1)により資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の遺族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該残額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。

3 年金支払開始日前に支払を受ける契約者配当の取扱い

 法人が個人年金保険の保険契約に基づいて年金支払開始日前に支払を受ける契約者配当の額については、その通知を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、当該保険契約の年金の受取人が被保険者であり、かつ、当該法人と当該被保険者との契約により、当該法人が契約者配当の支払請求をしないでその全額を年金支払開始日まで積み立てておくこと(当該積み立てた契約者配当の額が、生命保険会社において年金支払開始日に当該保険契約の責任準備金に充当され、年金の額が増加する(これにより増加する年金を「増加年金」という。以下同じ。)こと)が明らかである場合には、当該契約者配当の額を益金の額に算入しないことができる。

(注) 契約者配当の額に付される利子の額については、本文ただし書の定めにより当該契約者配当の額を益金の額に算入しない場合を除き、その通知を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。

4 年金支払開始日以後に支払を受ける契約者配当の取扱い

 法人が個人年金保険の年金の受取人である場合に当該保険契約に基づいて年金支払開始日以後に支払を受ける契約者配当の額については、その通知を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、年金支払開始日に分配される契約者配当で、生命保険会社から年金として支払われるもの(年金受取人の支払方法の選択によるものを除く。)については、当該契約者配当の額をその通知を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入しないことができる。
 なお、益金の額に算入した契約者配当の額を一時払保険料に充当した場合には、下記の5((資産計上した保険料等の取崩し))に定めるところにより取り崩すまでは資産に計上するものとする(以下この通達において、契約者配当を充当した一時払保険料を「買増年金積立保険料」という。)。

(注) 契約者配当の額に付される利子の額については、その通知を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。

5 資産計上した保険料等の取崩し

 資産に計上した保険料等の取崩しについては、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。

(1) 年金支払開始日前に死亡給付金支払の保険事故が生じた場合 当該保険事故が生じた日(死亡給付金の受取人が当該法人である場合には、死亡給付金の支払通知を受けた日)の属する事業年度において、当該保険契約に基づいて資産に計上した支払保険料の額及び資産に計上した契約者配当等(配当を積み立てたことにより付される利子を含む。以下同じ。)の額の全額を取り崩して損金の額に算入する。

(注) この場合、死亡給付金の受取人が法人であるときには、支払を受ける死亡給付金の額及び契約者配当等の額を法人の益金の額に算入するのであるから留意する。

(2) 年金の受取人が役員又は使用人である保険契約に係る年金支払開始日が到来した場合 当該年金支払開始日の属する事業年度において、当該保険契約に基づいて資産に計上した契約者配当等の額の全額を取り崩して損金の額に算入する。

(3) 年金の受取人が当該法人である保険契約に基づいて契約年金(年金支払開始日前の支払保険料に係る年金をいう。以下同じ。)及び増加年金の支払を受ける場合(年金の一時支払を受ける場合を除く。) 当該年金の支払通知を受けた日の属する事業年度において、当該保険契約に基づいて年金支払開始日までに資産に計上した支払保険料の額及び年金支払開始日に責任準備金に充当された契約者配当等の額の合計額(以下この通達において、「年金積立保険料の額」という。)に、当該支払を受ける契約年金の額及び増加年金の額の合計額が年金支払総額(次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額をいう。以下同じ。)に占める割合を乗じた金額に相当する額の年金積立保険料の額を取り崩して損金の額に算入する。

イ 当該保険契約が確定年金(あらかじめ定められた期間(以下この通達において、その期間を「保証期間」という。)中は被保険者の生死にかかわらず年金が支払われることとされているものをいう。以下同じ。)である場合 当該保険契約に基づいて当該保証期間中に支払われる契約年金の額及び増加年金の額の合計額

ロ 当該保険契約が保証期間付終身年金(保証期間中は被保険者の生死にかかわらず年金が支払われ、あるいは保証期間中に被保険者が死亡したときには保証期間に対応する年金の支払残額が支払われ、保証期間経過後は年金支払開始日の応当日に被保険者が生存しているときに年金が支払われるものをいう。以下同じ。)である場合 当該保険契約に基づいて当該保証期間と被保険者の余命年数(年金支払開始日における所得税法施行令の別表「余命年数表」に掲げる余命年数をいう。以下同じ。)の期間とのいずれか長い期間中に支払われる契約年金の額及び増加年金の額の合計額。ただし、保証期間中に被保険者が死亡したとき以後にあっては、当該保険契約に基づいて当該保証期間中に支払われる契約年金の額及び増加年金の額の合計額

ハ 当該保険契約が有期年金(保証期間中において被保険者が生存しているときに年金が支払われ、保証期間中に被保険者が死亡した場合で年金基金残額があるときには死亡一時金が支払われるものをいう。以下同じ。)である場合 被保険者の生存を前提に、当該保険契約に基づき当該保証期間中に支払われる契約年金の額及び増加年金の額の合計額

 なお、保証期間付終身年金で、かつ、被保険者の余命年数の期間中の年金支払総額に基づき年金積立保険料の額の取崩額を算定している保険契約に係る被保険者が死亡した場合には、その死亡の日の属する事業年度において、その日が当該保険契約に係る保証期間経過後であるときは、当該保険契約に係る年金積立保険料の額の取崩残額の全額を、また、その日が保証期間中であるときは、当該保険契約に係る年金積立保険料の額に、既に支払を受けた契約年金の額及び増加年金の額の合計額が保証期間中の年金総額に占める割合から同合計額が余命年数の期間中の年金支払総額に占める割合を控除した割合を乗じた額に相当する額の年金積立保険料の額を、それぞれ取り崩して損金の額に算入することができる。

(4) 年金受取人が当該法人である保険契約に基づいて買増年金(年金支払開始日後の契約者配当により買い増した年金をいう。以下同じ。)の支払を受ける場合(年金の一時支払を受ける場合を除く。) 当該買増年金の支払を受ける日の属する事業年度において、当該保険契約に基づいて支払を受ける1年分の買増年金ごとに次の算式により求められる額に相当する額(当該支払を受ける買増年金が分割払の場合にあっては、当該金額を分割回数によりあん分した額)の買増年金積立保険料の額を取り崩して損金の額に算入する。
 なお、当該保険契約が保証期間付終身年金で、保証期間及び被保険者の余命年数の期間のいずれをも経過した後においては、当該保険契約に係る買増年金積立保険料の額の全額を取り崩して損金の額に算入する。

(算式)

買増年金積立保険料の額の算式

(注)

1 算式の「新たに一時払保険料に充当した後の年金の支払回数」については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる年金の支払回数(年1回払の場合の支払回数をいう。)による。

(1) 当該保険契約が確定年金である場合及び当該保険契約が保証期間付終身年金であり、かつ、被保険者が既に死亡している場合 当該保険契約に係る保証期間中の年金の支払回数から新たに買増年金の買増しをする時までに経過した年金の支払回数を控除した回数

(2) 当該保険契約が保証期間付終身年金であり、かつ、被保険者が生存している場合 当該保険契約に係る保証期間と当該被保険者の余命年数の期間とのいずれか長い期間中の年金の支払回数から新たに買増年金の買増しをする時までに経過した年金の支払回数を控除した回数

2 保険契約が保証期間付終身年金に係る買増年金積立保険料の取崩しにつき、被保険者の余命年数の期間の年金支払回数に基づき算定される額を取り崩すべきであるものに係る被保険者が死亡した場合の取崩額の調整については、上記(3)のなお書を準用する。

(5) 年金受取人が当該法人である保険契約に基づいて年金の一時支払を受ける場合 当該保険契約が年金の一時支払のときに消滅するものか否かに応じ、それぞれ次に掲げるところによる。

イ 当該保険契約が年金の一時支払のときに消滅するもの 年金の一時支払を受ける日の属する事業年度において、当該保険契約に係る年金積立保険料の額の取崩残額及び買増年金積立保険料の額(既に取り崩した額を除く。)の全額を取り崩して損金の額に算入する。

ロ 当該保険契約が年金の一時支払のときには消滅しないもの 年金の一時支払を受ける日の属する事業年度において、当該保険契約に係る年金積立保険料の額及び買増年金積立保険料の額につき保証期間の残余期間を通じて年金の支払を受けることとした場合に取り崩すこととなる額に相当する額を取り崩して損金の額に算入し、その余の残額については、保証期間経過後の年金の支払を受ける日の属する事業年度において、上記(3)及び(4)に基づき算定される額に相当する額の年金積立保険料の額及び買増年金積立保険料の額を取り崩して損金の額に算入する。
 なお、年金の一時支払を受けた後に被保険者が死亡した場合には、その死亡の日の属する事業年度において、当該保険契約に係る年金積立保険料の額の取崩残額及び買増年金積立保険料の額(既に取り崩した額を除く。)の全額を取り崩して損金の額に算入する。

(6) 保険契約を解約した場合及び保険契約者の地位を変更した場合 当該事実が生じた日の属する事業年度において、当該保険契約に基づいて資産に計上した支払保険料の額及び資産に計上した契約者配当等の額の全額を取り崩して損金の額に算入する。

(注) 保険契約を解約したときには、解約返戻金の額及び契約者配当等の額を法人の益金の額に算入するのであるから留意する。

6 保険契約者の地位を変更した場合の役員又は使用人の課税関係

 保険契約者である法人が、年金支払開始日前において、被保険者である役員又は使用人が退職したこと等に伴い個人年金保険の保険契約者及び年金受取人の地位(保険契約の権利)を当該役員又は使用人に変更した場合には、所得税基本通達36-37に準じ、当該契約を解約した場合の解約返戻金の額に相当する額(契約者配当等の額がある場合には、当該金額を加算した額)の退職給与又は賞与の支払があったものとして取り扱う。