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ホーム税について調べる法令解釈通達徴収関係個別通達目次民事執行法の施行に伴う滞納処分の取扱いについて

微徴4-12(例規)
昭和55年11月27日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

民事執行法の施行に伴う滞納処分の取扱いについて

 標題のことについて、別紙のとおり定めたから、下記に留意の上、これにより取り扱われたい。

(理由) 民事執行法(昭和54年法律第4号。以下「執行法」という。)が昭和55年10月1日から施行されたことに伴う滞納処分の取扱いを定めたものである。

1 この通達は、2に定めるものを除き、昭和55年10月1日以降に民事執行の申立てがされた事案について適用する。

2 滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲の規定(別紙の第1の4の(2)並びにこの部分を準用する第2の3、第3の3及び第4の3)は、今後、公売公告をする事案から適用する。

【別紙】

民事執行法の施行に伴う滞納処分の取扱い

第1 動産執行関係

1 執行法上の動産と徴収法上の動産の範囲

(1) 登記することができない土地の定着物(例えば、大規模な基礎工事によって土地に固着させられた機械、ガソリンスタンドの給油設備等)は、執行法では不動産の範囲から除外し(執行法43条1項)、動産の範囲に入れている(執行法122条1項)のに対し、国税徴収法(昭和34年法律第147号。以下「徴収法」という。)では不動産の範囲に含めている(徴収法68条)。

(2) 土地から分離する前の天然果実は、執行法では1月以内に収穫することが確実であるものを動産の範囲に入れている(執行法122条1項)のに対し、徴収法では収穫するまでの期間のいかんにかかわらず動産として取り扱っている(昭和41年8月22日付微徴4-13ほか5課共同「国税徴収法基本通達の全文改正について」通達の別冊(以下「徴収法基本通達」という。)56条関係3)。

(3) 裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券は、執行法では動産の範囲に入れている(執行法122条1項)のに対し、徴収法では裏書禁止の有無を問わず、すべての有価証券を動産と同様に取扱っている(徴収法56条1項)。

(4) 総トン数20トン以上の船舶(端舟その他ろかい又は主としてろかいをもつて運転する舟を除く。)は、執行法では外国船舶(船舶法(明治32年法律第46号)1条に規定する日本船舶以外の船舶をいう。以下同じ。)であつても船舶の範囲に入れている(執行法112条)のに対し、徴収法では外国船舶は動産として取扱っている(徴収法基本通達56条関係4の(4))。

(注)

1 このように執行法上の財産の範囲と徴収法上の財産の範囲を明らかにしたのは、執行法及び民事執行規則(昭和54年最高裁判所規則第5号。以下「執行規則」という。)上の財産区分に応じて交付要求の終期が異なるので、その判断の便宜を図るなどのためである。

2 執行法と徴収法とで財産の範囲を異にしているものについて、既に強制執行又は担保権の実行としての競売(以下「競売」という。)が開始されている場合には、交付要求をするものとする。

2 強制執行手続等に対する交付要求

(1) 強制執行手続等に対する交付要求

イ 動産執行事件の併合があった場合の交付要求の効力
 執行法第125条第2項前後の規定により2個の動産執行事件が併合された後、先の差押債権者が動産執行の申立てを取下げたとき、又はその申立てに係る手続が停止され、若しくは取消されたときにおいても、その申立ての取下げ等に係る先の動産執行事件に対して既にされている交付要求については、その効力に影響はなく、改めて、後の動産執行事件に対して交付要求をする必要はない。

ロ 交付要求の終期
 動産執行事件に対する交付要求は、次に掲げる区分に応じ、それぞれに掲げる時までにしなければならない(執行法140条参照)。この場合において、徴収職員は、原則として、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律(昭和32年法律94号。以下「調整法」という。)第21条の規定による差押えもするものとする。

(イ) 差押物の売却による売得金  執行官がその売得金の交付を受ける時

(ロ) 執行停止中の売却(執行法137条)により供託された売得金  その執行停止に係る動産執行が続行されることとなる時

(ハ) 手形等(執行法136条参照)の支払金  執行官がその支払を受ける時

ハ 計算書の提出の催告があった場合の処理
 徴収職員は、交付要求をした場合において、裁判所書記官から執行規則132条において準用する同規則第60条の規定により計算書の提出の催告を受けたときは、当該規定にかかわらず、執行官が強制執行手続において売得金等を受領した日までの延滞税を計算の上、債権の計算書を執行裁判所に提出するものとする(国税通則法施行令(昭和37年政令第135号)26条の2第1号参照)。
 なお、この債権の計算書は、その提出の催告を受けてから1週間以内に提出しなければならないことに留意する。

(2) 競売手続に対する交付要求
 執行法第190条に規定する動産を目的とする競売に対する国税(附帯税及び滞納処分費を含む。以下同じ。)の交付要求については、(1)《強制執行手続に対する交付要求》に準じて処理する。

3 動産の強制執行手続又は競売手続に対して配当要求をする質権者と交付要求国税との関係
 動産(有価証券を除く。以下3において同じ。)に対する強制執行手続又は動産を目的とする競売手続に対する質権者の配当要求と国税の交付要求とが競合する場合には、その質権者は、徴収法第15条第2項各号に掲げる書類によつて、その質権の設定の事実を証明しなければ、その質権が交付要求国税に優先することを主張することはできない(執行法133条、192条、徴収法15条2項)。

4 滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲

(1) 配当を受けるべき債権が国税、地方税又は公課の場合
 債権現在額申立書(徴収法130条1項)に記載すべき債権現在額は、配当を受けるべき債権が国税、地方税又は公課の場合には、換価代金等の受領の時現在における債権現在額とする(徴収法基本通達130条関係3)。

(2) 配当を受けるべき債権が国税、地方税及び公課以外の債権の場合
 債権現在額申立書に記載すべき債権現在額は、配当を受けるべき債権が国税、地方税又は公課以外の債権の場合には、換価代金等の交付期日現在における債権現在額とする。

第2 不動産執行関係

1 執行法上の不動産と徴収法上の不動産の範囲

(1) 登記することができない土地の定着物については、第1の1《執行法上の動産と徴収法上の動産の範囲》の(1)参照。

(2) 登記されていない地上権及び永小作権並びにこれらの権利の共有部分は、執行法では不動産とみなされず(執行法43条2項)、その他の財産権(執行法167条)とされているのに対し、徴収法では登記の有無にかかわらず不動産に含まれる(徴収法68条)。

(3) 鉄道公団(鉄道抵当法(明治38年法律第53号)2条)、軌道財団(軌道ノ抵当ニ関スル法律(明治42年法律第28号)1条)及び運河財団(運河法(大正2年法律第16号)13条)に対する執行は、執行法によらず鉄道抵当法の規定又はその準用規定によつて行われ、不動産に対する強制執行の規定の準用の余地はないのに対し、徴収法では不動産に含まれる(徴収法68条)。

2 強制執行手続等に対する交付要求

(1) 強制競売手続に対する交付要求

イ 税務署に対する債権届出の催告との関係

(イ) 不動産に対する強制競売の開始決定がされ、配当要求の終期が定められたときは、裁判所書記官は、開始決定がされた旨及び配当要求の終期を公告するとともに、税務署に対し、滞納国税の存否及び額を配当要求の終期までに執行裁判所に届出る旨を催告しなければならないこととされている(執行法49条1項、2項)。

(ロ) この債権届出の催告は、当該不動産の所有者の住所又は居所を所轄する税務署に対してなされることになつているので、強制競売の債務者に係る滞納国税につき、国税局長(沖縄国税事務所長を含む。以下同じ。)に徴収の引継をしている場合には、当該国税局長に債権届出の催告書を、速やかに、送付する。

(ハ) 徴収職員は、債権届出の催告書の送付を受けたときは、速やかに、その強制競売に係る債務者につき滞納国税の有無を調査の上、滞納国税があるときは、必要に応じ配当要求の終期までに執行裁判所に交付要求をする。この場合においては、原則として、調整法第29条の規定による差押えもするものとする。

(ニ) 徴収職員は、交付要求をした場合において、裁判所書記官から執行規則第60条の規定により計算書の提出の催告を受けたときは、第1の2の(1)《強制執行手続に対する交付要求》のハと同様の処理をする。

ロ 配当要求の終期が延期された場合又は配当要求の終期が変更されたものとみなされた場合の処理

(イ) 執行裁判所は、特に必要があると認めるときは、配当要求の終期を延期することができ(執行法49条3項)、また、配当要求の終期から3月以内に売却許可決定がされないとき、又は3月以内にされた売却許可決定が取消され、若しくは効力を失つたときは、原則として、配当要求の終期は、その終期から3月を経過した日に変更されたものとみなされる(執行法52条)。

(注) 執行法第49条第3項の規定により配当要求の終期が延期された場合には、その延期後の配当要求の終期は公告されることに留意する(執行法49条4項)。

(ロ) (イ)の場合には、税務署に対する催告はされないので、当初の配当要求の終期後において、新たにその強制競売に係る債務者の滞納国税につき徴収の必要が生じた場合には、裁判所書記官に、その強制競売事件の進行状況等を問い合わせた上、執行裁判所に対し交付要求をする。

ハ 二重開始決定があつた場合の交付要求の効力
 執行法第47条第1項の規定により二重開始決定があつた場合において、同条第2項又は第4項の規定により、執行裁判所が後の強制競売の開始決定に基づいて手続を続行したときにおいても、取下げられ若しくは取消され又は停止された強制競売手続に対して既にされている交付要求については、その効力に影響がなく、改めて、後の強制競売手続に対して交付要求をする必要はない。

ニ 交付要求と供託

(イ) 強制競売手続に対して交付要求をしている場合において、執行法第91条第1項第6号に掲げる事由により、その交付要求をしている国税に対する配当額が定まらないときは、その定まらない配当等の額に相当する金銭は供託される。

(ロ) (イ)による供託がされた場合において、その供託の事由が消滅したときは、執行裁判所は、供託金について配当等を実施することとしている(執行法92条)。この場合において、供託金の払渡しは、執行裁判所の配当等の実施としての支払委託に基づいて行われる(昭和55年9月6日付民四第5333号「民事執行法等の施行に伴う供託事務の取扱いについて」法務省民事局長通達の記の第二の一の1の(一)の(2))。

(2) 競売手続に対する交付要求
 執行法第181条に規定する不動産を目的とする競売に対する国税の交付要求については、(1)《強制競売手続に対する交付要求》に準じて処理する。

(3) 強制管理手続に対する交付要求

イ 不動産について強制管理の開始決定がされた場合には、裁判所書記官は、税務署に対しその旨を通知しなければならないこととされている(執行規則64条。第2の2の(1)のイ《税務署に対する債権届出の催告との関係》の(ロ)参照。)

ロ 徴収職員は、上記の通知を受けたときは、速やかに、その強制管理に係る債務者につき滞納国税の有無を調査の上、滞納国税があるときは、必要に応じ執行裁判所に交付要求をする。

(注)

1 強制管理においては、強制競売と異なり、配当要求の終期はないから、強制管理手続が継続している限り、執行裁判所に対して交付要求をすることができる。しかし、執行裁判所が定める期間ごとに配当等が実施される(執行法107条1項)ので、当該期間の満了までに交付要求をしていなければ、既に収取されている収益の配当を受けることはできない。

2 同一不動産について強制競売手続と強制管理手続の双方が行われている場合において、滞納国税の徴収のため必要があると認められるときは、この双方の手続に対して交付要求をするものとする。

3 税務署長等が抵当権を設定している場合の届出
 税務署長又は国税局長(以下「税務署長等」という。)が納税の猶予等の担保として抵当権の設定をしている不動産につき強制競売の開始決定又は競売の開始決定があつた場合において、裁判所書記官から債権届出の催告を受けたときは、配当要求の終期までに、その催告に係る事項について届出をしなければならず、また、その届出に係る国税の額に変更があつたときは、その旨の届出をしなければならない(執行法49条2項、50条1項、2項)。

(注) 税務署長等が、故意又は過失により上記の届出をしなかつたとき、又は不実の届出をしたときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならないことに留意する(執行法50条3項)。

4 滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲
 滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲については、第1の4《滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲》と同様である。

第3 船舶、航空機、自動車又は建設機械執行関係

1 執行法上の船舶と徴収法上の船舶の範囲
 外国船舶については、第1の1《執行法上の動産と徴収法上の動産の範囲》の(4)参照。

(注) 航空機、自動車及び建設機械については、執行法上と徴収法上の範囲は同一であることに留意する。

2 強制執行手続等に対する交付要求
 強制執行手続等に対する交付要求については、第2の2の(1)《強制競売手続に対する交付要求》及び第2の2の(2)《競売手続に対する交付要求》と同様である。

3 税務署長等が抵当権を設定している場合の届出
 税務署長等が抵当権を設定している場合の届出については、第2の3《税務署長等が抵当権を設定している場合の届出》と同様である。

4 滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲
 滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲については、第1の4《滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲》と同様である。

5 徴収職員が船舶国籍証書等を取上げた場合等の取扱い

(1) 徴収職員は、船舶で登記されるものにつき、徴収法第70条第3項に規定する「監守及び保存のため必要な処分」として船舶の国籍を証する文書その他の船舶の航行のために必要な文書(以下「船舶国籍証書等」という。)を取上げたときは、当該船舶の船籍港を管轄する管海官庁の長に対し、次の事項を通知するものとする(執行規則75条参照)。

イ 滞納者の住所、氏名又は名称及び徴収法第70条第3項の規定により船舶国籍証書等を取上げた旨

ロ 取上げた船舶国籍証書等の種類

ハ 船名、船舶番号、船籍港、証書番号、交付年月日、検認期日及び交付管海官庁名

(注) 船籍港を管轄する管海官庁とは、当該船舶の船籍港を管轄する海運局又は海運局支局である(運輸省設置法(昭和24年法律第157号)40条1項9号、41条、43条、運輸省組織規程(昭和27年運輸省令第73号)35条、海運局支局等組織規程(昭和26年運輸省令第50号)1条2項2号、別表第2)。
 なお、沖縄県においては、沖縄総合事務局(一部地区においては、宮古海運事務所及び八重山海運事務所)である(沖縄開発庁設置法(昭和47年法律第29号)9条1項2号ホ、沖縄総合事務局組織規程(昭和47年総理府令第36号)53条)。

(2) 徴収職員が船舶国籍証書を取上げ、保管している場合において、船舶法第5条ノ2に規定する検認期日が到来するものについては、船舶所有者に船舶法施行細則(明治32年逓信省令第245号)第30条ノ3の規定による検認の申請ををさせるものとする。ただし船舶所有者に検認の申請をさせることが著しく困難である場合には、徴収職員は、同施行細則第30条ノ5の規定による船舶国籍証書の提出期日の延期申請の手続をするものとする(昭和32年7月24日付舶登第738号運輸省船舶局長通達、船舶法5条ノ2第4項参照)。この場合における船舶国籍証書の検認の申請は、滞納処分による換価により買受人となった者が、その権利移転の登記及び登録の手続を完了した後に行うことになつている。

(3) 船舶で登記されるものを滞納処分により換価した結果、日本船舶の要件(船舶法1条参照)を満たさなくなつた場合には、徴収職員は、取上げた船舶国籍証書等を添付して、その旨を当該管海官庁に通知するものとする(船舶法14条参照)。

(4) 徴収職員は、取上げた船舶国籍証書等を執行裁判所に引渡したとき(滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する政令(昭和32年政令第248号。以下「調整令」という。)11条3項、24条2項等)は、その旨を当該管海官庁の長に通知するものとする。

(5) 徴収職員は、執行裁判所から船舶国籍証書等の引渡しを受けたとき(滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する規則(昭和32年最高裁判所規則第12号。以下「調整規則」という。)38条2項等)は、その旨を当該管海官庁の長に通知するものとする。

6 徴収職員が航空機登録証明書等を取上げた場合等の取扱い

(1) 徴収職員は、徴収法第70条第3項に規定する「監守及び保存のため必要な処分」として航空機登録証明書その他の航空機の運航のために必要な文書(以下「航空機登録証明書等」という。)を取上げたときは、運輸大臣(送付先は、運輸省航空局。以下同じ。)に対し、次の事項を通知するものとする(執行規則84条において準用する同規則75条参照)。

イ 滞納者の住所、氏名又は名称及び徴収法第70条第3項の規定により航空機登録証明書等を取上げた旨

ロ 取上げた航空機登録証明書等の種類

ハ 航空機の種類、型式、製造者、製造番号、定置場、登録年月日及び登録番号

(2) 航空機を滞納処分により換価した結果、航空法(昭和27年法律第231号)第4条第1号各号に規定する者(例えば、日本国籍を有しない人)の所有となつた場合には、徴収職員は、取上げた航空機登録証明書等を添付して、その旨を運輸大臣に通知するものとする。

(3) 徴収職員は、取上げた航空機登録証明書等を執行裁判所に引渡したとき(調整令12条の2において準用する調整法11条3項、調整令26条において準用する調整法24条2項等)は、その旨を運輸大臣に通知するものとする。

(4) 徴収職員は、執行裁判所から航空機登録証明書等の引渡しを受けたとき(調整規則40条において準用する調整法38条2項等)は、その旨を運輸大臣に通知するものとする。

第4 債権執行関係

1 執行法上の債権と徴収法上の債権の範囲
 裏書の禁止されている有価証券については、第1の1《執行法上の動産と徴収法上の動産の範囲》の(3)参照。

2 強制執行手続に対する交付要求

(1) 強制執行手続に対する交付要求

イ 交付要求の終期
 債権に対する強制執行手続に対する交付要求は、次に掲げる時までにしなければならない(執行法165条)

(イ) 第三債務者が執行法第156条第1項又は第2項の規定による供託をした時

(ロ) 取立訴訟の訴状が第三債務者に送達された時

(ハ) 執行法第161条に規定する売却命令により執行官が売得金の交付を受けた時

(ニ) 動産引渡請求権の差押えの場合にあつては、執行官がその動産の引渡しを受けた時

(注)

1  動産引渡請求権の差押えにあっては、執行官は、動産の引渡しを受けたときは、動産執行の売却の手続により、これを売却し、その売得金を執行裁判所に提出しなければならないこととされている(執行法163条2項)が、執行官が動産の引渡しを受けた時の後は、交付要求をすることができない。

2  徴収法では、滞納者の親族及びその特殊関係者以外の第三者が引渡しを拒むときにおいても、徴収法第58条の手続により動産としてその差押えをすることができる。ただし、動産引渡請求権について強制執行による差押えがされている場合には、徴収上支障のない限り当該動産に対する滞納処分による差押えは行わないものとする。

3  強制執行による動産引渡請求権の差押えと、徴収法第58条の手続による動産としての滞納処分による差押えが競合したときは、先にその動産の引渡しを受けた執行機関がその後の手続を続行することができる。

ロ 金銭債権に対するみなし交付要求

(イ) 調整法第36条の6第1項の規定又は同法第36条の7において準用する執行法第157条第5項の規定により供託された金銭について執行裁判所が配当等を実施する場合においては、配当期日若しくは弁済金の交付の日までにされた調整法第36条の3第2項本文の規定による通知又は同法第36条の6第2項の規定による事情の届出に係る差押え国税については、滞納処分による差押えの時に交付要求があつたものとみなされる(調整法36条の10)ので、改めて、強制執行手続に対して、交付要求をする必要はない。

(ロ) (イ)の場合において、調整法第36条の6第3項の規定による通知を受けたときは、同法第36条の3第2項本文の規定による通知をしたときを除き、速やかに、滞納処分による差押えに係る国税の年度、税目、納付の期限及び金額を記載した書面を執行裁判所に送付しなければならない(調整令29条2項)。

(2) 担保権の実行手続に対する交付要求
 執行法第193条に規定する債権を目的とする担保権の実行手続に対する国税の交付要求については、(1)《強制執行手続に対する交付要求》に準じて処理する。

3 滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲
 滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲については、第1の4《滞納処分の場合における債権現在額申立書に記載する債権の範囲》と同様である。

第5 その他の財産債権執行関係

1 強制執行手続等に対する交付要求の終期
 執行法第167条に規定するその他の財産権(その範囲については、徴収法基本通達72条関係1、73条関係1参照)に対する強制執行手続又はその他の財産権を目的とする担保権の実行手続に対する交付要求の終期は、その他の財産権の権利の種類、内容及び換価方法の別に応じ、第4の2の(1)のイ《交付要求の終期》に準ずる(執行法167条1項、193条2項参照。)
 例えば、電話加入権の強制執行手続等に対する交付要求の終期は、執行法第167条第1項及び第193条第2項において準用する同法第161条に規定する売却命令により執行官が売得金の交付を受けた時である。
 なお、徴収職員がその他の財産権の強制執行手続等に対して交付要求をするとき、及び執行裁判所から計算書提出の催告を受けたときは、第1の2の(1)《強制執行手続に対する交付要求》のロの後段及びハと同様の処理をする。

2 強制執行等による差押えがされている電話加入権に対する滞納処分
 強制執行又は担保権の実行による差押えがされている電話加入権については、調整法第36条の14の規定により滞納処分による差押えをすることができるが、この場合においては、併せて交付要求をしなければならない。