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徴徴2−31(例規)
昭和35年9月27日

国税局長 殿

国税庁長官 原 純夫

保険者に対する財産の差押えの通知等に関する取扱いについて

 国税徴収法(以下「徴収法」という。)第53条第1項ただし書の規定による保険者に対する財産の差押通知等の取扱いについては、下記によられたい。
 なお、自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)第16条第1項および第17条第1項の規定による自動車損害賠償責任保険の保険金請求権は、自動車事故による被害者の損害をてん補するため、被害者が保険者に対して有する請求権であるから、自動車の差押えをした場合に、保険者に差押えの通知をしないように留意されたい。

(注) これらの請求権は、同法第18条の規定により、差押えが禁止されていることに留意する。

 おって、徴収法第53条第1項の規定の運用に関して、日本損害保険協会から財務省主税局長および国税庁長官あてに別紙二のとおり要望があったので、これに対して別紙三のとおり回答をしたから了承されたい。

一 差押財産が保険に付されているかどうかの調査

1 調査の対象
 差押財産(徴収法第87条第1項の規定により差押えの効力を生じた参加差押財産を含む。以下同じ。)が損害保険に付されているかどうかの調査は、各局署で定める大口滞納者及び重点処理対象者に対する差押財産について行うものとし、これらの者以外の者に対する差押財産については、これを省略して差し支えない。

(注) このように調査する財産を限定したのは、徴収職員が差押えをする財産は非常に多いため、差押財産のすべてのものについて保険に付されているかどうかを調査することは、保険事故の発生する確率から考えて、非能率であると考えられるためである。

2 調査の時期
 差押財産が保険に付されているかどうかの調査は、一の1の財産の差押えをした時(参加差押が差押えの効力を生じた時を含む。)、三の1により保険者から保険関係がなくなった旨の通知を受けた時及び三の2により差押通知書に附記した保険証券番号の保険契約が終了しておおむね1か月を経過した時に行う。
 なお、大口滞納者および重点処理対象者に対して差押財産が保険に付されているかどうかを調査した結果、保険に付されていないことが判明したときは、その後その滞納者に対して、少なくとも年1回以上各局署において定める時期に、前回調査した時以後に保険に付されたかどうかを調査すること。

3 調査の方法
 差押財産が保険に付されているかどうかの調査は、徴収法第141条の規定による質問及び検査による。
 なお、大口滞納者および重点処理対象者のうち、差押財産が滅失すると滞納国税が徴収不能に陥ると認められる者の調査は、特に入念に行うこと。

4 調査の範囲
 差押財産が保険に付されているときは、保険種目、保険金額、保険期間、保険証券作成店及び保険証券番号(以下「保険契約の内容」という。)を調査すること。
 なお、保険金支払請求権が譲渡されるおそれがある等のため、ただちに保険者に差押えの通知をしなければならない場合において、納税者等について調査しても保険契約の内容が判明せず、やむを得ず保険契約の内容を附記しないで、保険者に対する差押通知書を送達したときは、その保険者に保険契約の内容を照会すること。

(注) 保険証券作成店は、保険証券の「保険証券作成地」に記載してあるから留意すること。

二 保険者に対する差押えの通知

1 差押通知書に附記する事項
 保険者が差押えの通知を受けた場合における事務整理の便に資するため、「保険等に付されている財産の差押通知書」(以下「差押通知書」という。)の欄外に、保険種目、保険証券作成店および保険証券番号(以下「保険証券番号等」という。)を記載すること。
 ただし、一の4のなお書により、附記すべき事項が判明していないときは、記載しなくとも差し支えない。

(注) 上記のように保険証券番号等を差押通知書の欄外に記載することとしたのは、これを「差押財産」欄に記載すると保険契約を特定したものと解されるおそれがあるためである。
 なお、これにともない差押通知書(昭和34年11月10日徴徴2−35徴管2−154「新国税徴収法の施行に伴う滞納整理関係書類の様式及びその調理要領について」通達第七号様式)の様式を別途通達(昭和35年9月28日徴徴2−32)のとおり改正したから留意すること。

2 差押通知書の送達先
 差押通知書の送達先は、保険証券作成店が判明している場合はその保険証券作成店、保険証券作成店が判明していない場合は、別紙一の差押財産の所在地を管轄する本店または支店とすること。
 なお、差押通知書のあて名は、その送達先がどこであるかにかかわらず本店の名称とすること。

(注) 保険者に差押通知書を送達した場合は、差押財産調査表にその旨を記載しなければならないことに留意する。

三 保険関係の継続等の調査

1 保険者から保険関係がなくなった旨の通知があった場合
 差押通知書に附記した保険証券番号等の保険契約(差押通知書に保険証券番号等を附記しなかった場合において、保険者が差押通知書を受領した時に存在した保険契約を含む。以下同じ。)について、保険期間中に解約があったとき、または保険期間が満了した後、滞納者が引き続きその保険者と保険契約をしなかったとき等、差押通知書を送達した保険者と滞納者の間に保険関係がないこととなったときは、((三)参照)保険者からその旨の通知があるから、この通知を受けたときは次により措置すること。

(一) 滞納者が、その差押財産につき差押通知書を送達した保険者以外の保険者と保険契約をしているときは、その保険者に対して差押通知書を送達すること。

(二) 滞納者が差押通知書を送達した保険者と保険契約をしているが、附記した保険証券番号等の保険契約に基づく保険期間が終了した日とその後の契約に基づく保険期間の開始する日との間に保険関係がない期間があるときは、改めて差押通知書を送達すること。

(三) 差押通知書に附記した保険証券番号等の保険契約は終了しているが、その差押財産につき滞納者と保険者との間に他の保険契約があるため、保険関係が継続しているときは、その旨を保険者に通知すること。
 なお、上記以外の場合において、保険者が滞納者との間に保険関係が継続しているのにかかわらず、誤って保険関係がなくなった旨の通知をしてきたときも、保険関係が継続している旨を保険者に通知すること。

2 保険者から保険関係がなくなった旨の通知がない場合
 保険者に差押通知書を送達した後、保険者から保険契約がなくなった旨の通知がない場合においては、原則として差押通知書に附記した保険証券番号等の保険契約の保険期間が終了した後おおむね1か月を経過したときに、滞納者等について保険に付されているかどうかを調査し、差押財産が保険に付されているときは次により措置すること。

(一) 滞納者が差押通知書を送達した保険者と保険契約をしており、その保険期間の開始する日と附記した保険証券番号等の保険契約の保険期間が終了した日とが連続しているときは、改めて差押通知書を送達する必要はないこと。

(二) 滞納者が差押通知書を送達した保険者と保険契約をしているが、附記した保険証券番号等の保険契約に基づく保険期間が終了した日とその後の契約に基づく保険期間の開始する日との間に保険関係がない期間があるときは、改めて差押通知書を送達すること。

(三) 滞納者が、差押通知書を送達した保険者以外の保険者と保険契約をしているときは、その保険者に対して差押通知書を送達すること。

四 差押解除通知書等の送達

1 差押通知書に記載した財産の差押えを解除したときは、「差押解除通知書」(その2)を保険者に送達すること。
 なお、上記の「差押解除通知書」(その2)の「備考」欄には、差押通知書の日付、差押通知書に附記した保険証券番号等その他必要と認められる事項を記載すること。

2 差押通知書に記載した財産の換価手続(買受代金の納付手続)が終了した場合には、その旨を保険者に通知すること。
 なお、この場合の通知書は、上記の「差押解除通知書」(その2)を適宜補正したものを使用すること。

五 保険者から保険金の支払を受けたときの処理

 保険者から保険金の支払を受けたときは、第三債務者から差押債権の支払を受けた場合と同様に処理すること。
 なお、保険者は滞納者に支払うべき保険金の全額を税務署長に支払わなければならないのであるが、その一部について支払があり、残額を取り立てる必要がないと認めるときは、その残額については取立てをしないこととする(国税徴収法基本通達第六十七条関係二参照)。
 おって、差押財産が自動車である場合において、保険者が支払う保険金額が3万円以下であるときは、保険金が滞納者に支払われた場合であっても、保険者に対してその保険金の取立てをしないものとする。

(注) 自動車の損害保険金の支払について上記おって書のように取り扱うこととしたのは、自動車の損害保険については、3万円未満の保険金を支払う事例が非常に多く、かつ、その保険金は自動車の修繕費に充てられることがほとんどである事情を考慮し、その取立てをしないこととしても徴収上支障がないと思われるためである。

別紙一

損害保険会社
本支店所在地
一覧表

(省略)

別紙二

大蔵省主税局長
村山達雄 殿
国税庁長官
原純夫 殿
写 大蔵省銀行局保険課 御中

日本損害保険協会
会長 山根 春衛



国税徴収法第53条第1項の規定の運用に関する要望書

 本年1月1日から施行された新国税徴収法のうち第53条(保険に付されている財産に対する差押の効力)第1項において、滞納処分のため保険の目的が差し押さえられた場合は保険金請求権にも差押えの効力が及ぶことが定められており、各保険会社はすでにこの規定に基づく差押通知書を受領しております。しかるにこの差押通知書には差押財産が表示されているのみで差押えに係る保険契約の表示(証券番号等の記載)がないため、保険会社の事務組織をもってしては差押えに係る保険契約を確知できない場合が多く、この結果保険会社は次のような危険にさらされております。

1 保険金を被保険者(または保険金請求権の上に質権を有する者等)に支払った後、差押債権者(国または地方自治体)にも重ねて支払わなければならなくなる危険

2 保険契約者の請求によって保険契約を解除したのちも、差押債権者に対しては保険金を支払わなければならなくなる危険

 各保険会社は上記の危険を避けるため事務手順について種々の方策を検討いたしておりますが、損害保険の本質上保険の目的の表示のみによって該当保険契約を漏れなく捜し出すことは不可能に近いため、この対策については少なからず苦慮しております。つきましては、この規定の適用に関して下記諸点をご要望申し上げたく、なにとぞ保険会社側の事情をご理解のうえなにぶんのご配慮を賜わりますようお願い申し上げます。

1 差押通知書には差押えに係る保険契約の表示として次の事項を記載くださること。
 保険種目、保険証券作成店及び証券番号
 もしこれらの事項が記載不能な場合は、次の事項を記載くださること。
 当該契約を取り扱った代理店名または保険料領収証番号

2 差押通知書は、次の店舗に送達くださること。

(1) 保険証券作成店が判明する場合は、保険証券作成店

(2) 保険証券作成店が判明しない場合は、差押財産の所在地を管轄する本店または支店

3 差押通知書に上記1第1項に掲げた事項の記載がなかったため、または差押通知書受領店舗と保険金支払、保険契約解除等の事務担当店舗とが相違し連絡に時間を要したため、保険会社の担当社員または代理店が当該保険契約に差押えの効力が及んでいることを知らないで保険金支払その他保険金請求権の処分(またはその承認)を行ったときはその間の事情をじゅうぶん斟酌して保険会社の責任が加重されないようご配慮くださること。差押通知書送達後に締結された保険契約についても同様にご配慮くださること。

4 自動車保険の場合は、修理費に充当されるべき保険金に対しては取立てを行わないようご配慮くださること。

5 差押えが解除された場合(保険の目的に対する滞納処分が終了した結果保険金請求権に対する差押えの効力が消滅した場合を含む。)にはその旨通知くださること。

説明書

1 損害保険契約のほとんどは保険期間を1年以下としており、また契約内容も契約更新のつど変更されることが多いため、保険会社内の事務組織には次のような事情が存しております。

(1) 保険会社には、保険契約者または保険の目的に関する恒久的な書類はない。

(2) 同一の保険の目的について2以上の保険契約が締結されたときも、これらはそれぞれ別個に処理され相互の関連は必ずしも調査されない。

(3) 更新契約を締結したときも、旧契約との関連は必ずしも調査されない。

 したがって、差押通知書に差押財産が表示されているのみで該当保険契約が表示されていないときは、保険会社が該当保険契約を漏れなく発見することは非常に困難であります。特に、差押通知書送達後に締結された保険契約が差押えに係るものであることを発見するためにはすべての契約(1会社当たり年間数十万件)の締結のつどその保険の目的に対する差押えの有無を調査しなければなりません。よって、前記第1点及び第3点を要望申し上げる次第であります。
 なお自動車保険においては、保険の目的の表示のみによって該当保険契約を発見することはほとんど不可能とされているうえ、保険金支払の大部分は2,3万円以下の小損害に対しての修理費に充当するために行われるもので、これを被保険者が取得することによってかえって差押財産の価値を保全することができるのであります。よって自動車保険については特に慎重なご配慮を要望申し上げたく存じます。

2 現在差押通知書は必ずしも当該保険契約の引受店に送達されておらず、特に本店に送達されることが多いのでありますが、これらの店舗では当該保険契約の引受店を確知することが必ずしも可能でなく、また店舗間の連絡中に保険金請求権の処分が行われてしまうおそれもありますので、差押通知書はできるかぎり保険証券作成店(保険証券作成店が不明の場合は差押財産所在地管轄店)に送達くださるようお願いいたします。

3 民事法上の差押えの場合は差押通知書に保険契約が表示されておりますので、保険会社は差押えに伴う処置を直ちに行うことができます。また従来民事法上の差押えは保険の目的が被災した後に行われておりますので、保険会社内では損害査定担当課にだけ差押えのあった旨を連絡すればよく、またこのため相当の通信費(長距離電話料等)を支出することも容易であります。しかるに国税徴収法第53条第1項に基づく差押えの場合は、該当保険契約の捜索に時間を要するうえ、差押えのあった旨の連絡は損害査定担当課のみならず営業各課、代理店等に対しても行わねばならず、また保険事故がまだ発生しない多数の契約についてそのつど多額の通信費を支出することは困難であります。したがって本件の場合は差押えのあった旨の社内連絡に多少の時間を要することが多いためこの点のご配慮をお願いいたします。

4 保険会社が保険金支払先等の判定に支障を生じないためには、差押えが解除された場合にそのことを知る必要があります。また保険会社が受領した差押通知書のうち必要なものだけを保存するためには、滞納処分が終了した場合にそのことを知る必要があります。よって前記第5点のように、差押解除通知書等の送達をお願い申し上げる次第であります。

別紙三

徴徴2−30
昭和35年9月27日

日本損害保険協会
会長 山根 春衛 殿

国税庁長官 原 純夫

国税徴収法第53条第1項の規定の運用について(回答)

 昭和35年7月6日付で御要望のあった標題について、下記のとおり回答いたします。
 なお、別紙のとおり関係通達を添付いたしますから、各保険会社に通達の要旨を御連絡下さるよう御願いいたします。

一 1については、差押通知書の欄外に保険種目、保険証券作成店および保険証券番号を附記することとします。ただし、保険金請求権が譲渡されるおそれがある等のため、直ちに差押えの通知を要する場合で、かつ、納税者等について調査をしても、上記の事項が判明しない場合においては、やむを得ず附記できないことがありますから御了承下さい。

二 2,5については、御要望のとおりの取扱いとします。

三 3については、御要望に添う取扱いをいたしかねます。

四 4については、自動車保険の保険金の支払額が3万円以下の場合は、税務署に支払われなくても差し支えありません。