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第2節 資産の譲渡の範囲

(資産の譲渡の意義)

5−2−1 法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「資産の譲渡」とは、資産につきその同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいう。 

(注) 資産の交換は、資産の譲渡に該当する。 

(保証債務等を履行するために行う資産の譲渡)

5−2−2 法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する事業として対価を得て行われる資産の譲渡は、その原因を問わないのであるから、例えば、他の者の債務の保証を履行するために行う資産の譲渡又は強制換価手続により換価された場合の資産の譲渡は、同号に規定する事業として対価を得て行われる資産の譲渡に該当することに留意する。

(会報、機関紙(誌)の発行)

5−2−3 同業者団体、組合等が対価を得て行う会報又は機関紙(誌)(以下5−2−3において「会報等」という。)の発行(会報等の発行の対価が会費又は組合費等の名目で徴収されていると認められる場合の当該会報等の発行を含む。)は、資産の譲渡等に該当するのであるが、会報等が同業者団体、組合等の通常の業務運営の一環として発行され、その構成員に配布される場合には、当該会報等の発行費用がその構成員からの会費、組合費等によって賄われているときであっても、その構成員に対する当該会報等の配布は、資産の譲渡等に該当しない。  

(注) 同業者団体、組合等が、その構成員から会費、組合費等を受け、その構成員に会報等を配布した場合に、当該会報等が書店等において販売されているときであっても、当該会報等が当該同業者団体、組合等の業務運営の一環として発行されるものであるときは、その構成員に対する配布は、資産の譲渡等に該当しないものとして取り扱う。 

(保険金、共済金等)

5−2−4 保険金又は共済金(これらに準ずるものを含む。)は、保険事故の発生に伴い受けるものであるから、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。

(損害賠償金)

5−2−5 損害賠償金のうち、心身又は資産につき加えられた損害の発生に伴い受けるものは、資産の譲渡等の対価に該当しないが、例えば、次に掲げる損害賠償金のように、その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。 

(1) 損害を受けた棚卸資産等が加害者(加害者に代わって損害賠償金を支払う者を含む。以下5−2−5において同じ。)に引き渡される場合で、当該棚卸資産等がそのまま又は軽微な修理を加えることにより使用できるときに当該加害者から当該棚卸資産等を所有する者が収受する損害賠償金

(2) 無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金

(3) 不動産等の明渡しの遅滞により加害者から賃貸人が収受する損害賠償金

(容器保証金等の取扱い)

5−2−6 びん・缶又は収納ケース等(以下5−2−6において「容器等」という。)込みで資産を譲渡する場合に、容器等込みで資産を引き渡す際に収受し、当該資産を消費等した後に空の容器等を返却したときは返還することとされている保証金等は、資産の譲渡等の対価に該当しない。
 なお、当該容器等が返却されないことにより返還しないこととなった保証金等の取扱いについては、次による。 

(1) 当事者間において当該容器等の譲渡の対価として処理することとしている場合 資産の譲渡等の対価に該当する。

(2) 当事者間において損害賠償金として処理することとしている場合 当該損害賠償金は資産の譲渡等の対価に該当しない。

(注) (1)又は(2)のいずれによるかは、当事者間で授受する請求書、領収書その他の書類で明らかにするものとする。

(建物賃貸借契約の解除等に伴う立退料の取扱い)

5−2−7 建物等の賃借人が賃貸借の目的とされている建物等の契約の解除に伴い賃貸人から収受する立退料(不動産業者等の仲介を行う者を経由して収受する場合を含む。)は、賃貸借の権利が消滅することに対する補償、営業上の損失又は移転等に要する実費補償などに伴い授受されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当しない。 

(注) 建物等の賃借人たる地位を賃貸人以外の第三者に譲渡し、その対価として立退料等として収受したとしても、これらは建物等の賃借権の譲渡に係る対価として受領されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当することになるのであるから留意する。 

(剰余金の配当等)

5−2−8 剰余金の配当若しくは利益の配当又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。以下5−2−8において同じ。)は、株主又は出資者たる地位 に基づき、出資に対する配当又は分配として受けるものであるから、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。(平18課消1−16により改正) 

(注) 事業者が、法法第60条の2第1項第1号《協同組合等の事業分量配当等の損金算入》に掲げる事業分量配当(当該事業者が協同組合等から行った課税仕入れに係るものに限る。)を受けた場合には、法第32条《仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例》の規定が適用されることになる。 

(自己株式の取扱い)

5−2−9 法人が自己株式を取得する場合(証券市場での買入れによる取得を除く。)における株主から当該法人への株式の引渡し及び法人が自己株式を処分する場合における他の者への株式の引渡しは、いずれも資産の譲渡等に該当しない。(平18課消1−16により改正)

(対価補償金等)

5−2−10 令第2条第2項《資産の譲渡等の範囲》に規定する「補償金」とは、同項の規定により譲渡があったものとみなされる収用の目的となった所有権その他の権利の対価たる補償金(以下5−2−10において「対価補償金」という。)をいうのであり、当該補償金の収受により権利者の権利が消滅し、かつ、当該権利を取得する者から支払われるものに限られるから、次に掲げる補償金は、対価補償金に該当しないことに留意する。(平23課消1-35により改正) 

(1) 事業について減少することとなる収益又は生ずることとなる損失の補てんに充てるものとして交付を受ける補償金

(2) 休廃業等により生ずる事業上の費用の補てん又は収用等による譲渡の目的となった資産以外の資産について実現した損失の補てんに充てるものとして交付を受ける補償金

(3) 資産の移転に要する費用の補てんに充てるものとして交付を受ける補償金

(4) その他対価補償金たる実質を有しない補償金

(注) 公有水面埋立法の規定に基づく公有水面の埋立てによる漁業権又は入漁権の消滅若しくはこれらの価値の減少に伴う補償金は、補償金を支払う者はこれらの権利を取得せず、資産の移転がないことから、資産の譲渡等の対価に該当しない。

(譲渡担保等)

5−2−11 事業者が債務の弁済の担保としてその有する資産を譲渡した場合において、その譲渡につき所基通33−2《譲渡担保に係る資産の移転》又は法基通2−1−18《固定資産を譲渡担保に供した場合》の取扱いの適用を受けているときは、その取扱いの例によるものとする。

(自社使用等)

5−2−12 事業者が自己の広告宣伝又は試験研究等のために商品、原材料等の資産を消費し、又は使用した場合の当該消費又は使用は、資産の譲渡に該当しないことに留意する。

(資産の廃棄、盗難、滅失)

5−2−13 棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していた若しくは供すべき資産について廃棄をし、又は盗難若しくは滅失があった場合のこれらの廃棄、盗難又は滅失は、資産の譲渡等に該当しないことに留意する。

(寄附金、祝金、見舞金等)

5−2−14 寄附金、祝金、見舞金等は原則として資産の譲渡等に係る対価に該当しないのであるが、例えば、資産の譲渡等を行った事業者がその譲渡等に係る対価を受領するとともに別 途寄附金等の名目で金銭を受領している場合において、当該寄附金等として受領した金銭が実質的に当該資産の譲渡等の対価を構成すべきものと認められるときは、その受領した金銭はその資産の譲渡等の対価に該当する。

(補助金、奨励金、助成金等)

5−2−15 事業者が国又は地方公共団体等から受ける奨励金若しくは助成金等又は補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第2条第1項《定義》に掲げる補助金等のように、特定の政策目的の実現を図るための給付金は、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。(平23課消1-35により改正)

(注) 雇用保険法の規定による雇用調整助成金、雇用対策法の規定による職業転換給付金又は障害者の雇用の促進等に関する法律の規定による身体障害者等能力開発助成金のように、その給付原因となる休業手当、賃金、職業訓練費等の経費の支出に当たり、あらかじめこれらの雇用調整助成金等による補てんを前提として所定の手続をとり、その手続のもとにこれらの経費の支出がされることになるものであっても、これらの雇用調整助成金等は、資産の譲渡等の対価に該当しない。 

(下請先に対する原材料等の支給)

5−2−16 事業者が外注先等に対して外注加工に係る原材料等を支給する場合において、その支給に係る対価を収受することとしているとき(以下5−2−16において「有償支給」という。)は、その原材料等の支給は、対価を得て行う資産の譲渡に該当するのであるが、有償支給の場合であっても事業者がその支給に係る原材料等を自己の資産として管理しているときは、その原材料等の支給は、資産の譲渡に該当しないことに留意する。 

(注) 有償支給に係る原材料等についてその支給をした事業者が自己の資産として管理しているときには支給を受ける外注先等では当該原材料等の有償支給は課税仕入れに該当せず、また、当該支給をした事業者から収受すべき金銭等のうち原材料等の有償支給に係る金額を除いた金額が資産の譲渡等の対価に該当する。