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5 酒類における有機の表示基準の取扱い等

 酒類における有機の表示基準(平成12年12月26日付国税庁告示第7号。以下この5において「表示基準」という。)の取扱い等は、次による。

(1) 表示基準の意義

 近年、消費者の食品に対する認識は、安全、健康といった観点から有機農産物、有機畜産物、有機加工食品への関心が高まっており、酒類製造者においても有機米純米酒、有機ワイン等といった名称の酒類が生産されているところであるが、これらの酒類における有機等の表示の基準を明確化するとともに、表示の適正化を図るものである。

(2) 有機農畜産物加工酒類における有機等の表示

イ 有機又はオーガニック(以下この5において「有機等」という。)の表示は、有機農畜産物加工酒類の製造方法等の基準を満たしている酒類について表示ができるものであり、その表示を義務付けるものではないのであるから留意する。

ロ 有機等の表示には、「オルガニック」のように、有機等の表示に類似する表示を含むものとする。

ハ 表示基準の対象となる表示は、日本文字による表示であり、外国において現地の表示制度に従って表示されている日本文字以外の表示は、表示基準の対象とならないのであるから留意する。

(3) 有機農畜産物加工酒類の製造方法等の基準

イ 表示基準2の(1)「原材料」について

(イ) 「加工助剤」とは、食品の加工の際に添加される物であって、当該食品の完成前に除去されるもの、当該食品の原材料に起因してその食品中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの又は当該食品中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該食品に及ぼさないものをいう。

(ロ) 表示基準2の(1)のロに規定する「当該酒類の製造場に移入し、又は引き取った酒類で第1号から第3号の規定に該当することについての証明があるもの」とは、当該酒類の送り状等に当該酒類が表示基準2の(1)から(3)の規定を満たしていることを確認することができる書面及び資料(以下「書面等」という。)が添付されているものをいう。
なお、当該酒類が農林物資の規格化等に関する法律(昭和25年法律第175号。以下この5において「JAS法」という。)に規定する格付制度と同等の制度を有する国から輸入されたものであるときは、表示基準4に規定する証明書の添付によることができる。

(ハ) 表示基準2の(1)のハからヘ及びチから除くこととしている放射線照射が行われたもの及び組換えDNA技術を用いて生産等されたものかどうかは、当該原材料の容器等の表示の有無に関わらず、実態により判断するものとする。

(ニ) 有機農畜産物加工酒類に同一の品目の有機農畜産物加工酒類以外の酒類を混和した場合の表示基準の適用は、次による。

A  混和した有機農畜産物加工酒類以外の酒類が有機農畜産物加工酒類と同一の酒類製造場において製造されたものであり、かつ、表示基準2の(1)及び(3)に定める基準を満たす場合には、それぞれの酒類の製造に使用した原材料の合計重量により混和後の酒類の原材料の使用割合を計算し、表示基準を適用する。

B  混和した有機農畜産物加工酒類以外の酒類がA以外の場合には、混和後の酒類は有機農畜産物加工酒類に該当しないこととなる。
 なお、この場合においても、表示基準5に規定する有機農畜産物等の使用表示は行うことができるのであるから留意する。

ロ 表示基準2の(2)「原材料の使用割合」について

(イ) 原材料の重量から除くこととされている水の重量は、酒類の原材料として使用した水の重量をいい、酒類の原材料として使用した有機農畜産物等に含まれている水分は、当該有機農畜産物等の重量に含まれるものとする。

(ロ) 使用割合の計算は、実際に酒類の原材料として使用したものの重量により行うものであるが、酒類製造場に搬入後加水した原材料の重量については、加水前の重量により行うものとする。例えば、 原料用アルコールを酒類の原材料として使用した場合における使用割合の計算については、酒類製造場に移入後加水した場合は加水前の重量により、加水後に酒類製造場に移入した場合は移入時の重量により計算することとなる。

(ハ) 使用割合の計算における食品添加物の重量には、製造した酒類に残留するかどうかに関わらず、使用した食品添加物の重量をすべて含むのであるから留意する。

ハ 表示基準2の(3)「製造その他の工程に係る管理」について

(イ) 製造の方法における「物理的方法」とは、機械的方法を含み、粉砕、混合、加熱・冷却、加圧・減圧、乾燥、分離(ろ過、圧搾、蒸留)等の加工方法をいい、「生物の機能を利用した方法」とは、カビ、酵母、細菌等を利用した糖化、発酵等の方法をいう。

(ロ) 食品添加物を使用する場合の「必要最小限度」とは、酒類の製造の健全を期するため等の食品添加物の使用目的を達成するために必要な最小限の量をいう。
 なお、食品添加物の使用量が、その使用目的を達成するために必要な最小限の量を超えている酒類は、有機農畜産物等の使用割合が95%以上であっても、有機農畜産物加工酒類には該当しないのであるから留意する。

(ハ) 「製造その他の工程に係る管理」は、酒類業者の業態に応じて以下に掲げる管理方法によることとする。
 ただし、JAS法第16条《登録認定機関の登録》の規定に基づき有機加工食品に係る登録認定機関の登録を受けた者(以下「登録認定機関」という。)に酒類の原材料及び製造工程等の検査を依頼し、当該登録認定機関から表示基準を満たしている旨の証明(当該登録認定機関が行う酒類に関する有機の認証を含む。)を受けた酒類については、表示基準2の(1)から(3)の定める基準を満たすものとして取り扱う。

A 酒類製造における管理方法

(A) 酒類の製造における品質管理を担当する責任者(品質管理責任者)として、酒類の製造、加工又は試験研究に3年以上従事した経験を有する者を1人以上置き、次に掲げる職務を行わせていること。

a 品質管理(外注管理(製造又は設備管理の一部を外部の者に委託して行わせている場合における外注先の選定基準、外注内容、外注手続等当該外注に関する管理をいう。)を含む。以下このAにおいて同じ。)に関する計画の立案及び推進

b 工程に生じた異常、苦情等に関する処置及びその対策に関する指導及び助言

(B) 次に掲げる事項について、その管理の実施方法に関する内部規程を具体的かつ体系的に整備していること。

a 原材料の受入れ及び保管に関する事項

b 原材料の配合割合に関する事項

c 製造及び加工の方法に関する事項

d 製造及び加工に使用する機械及び器具に関する事項

e 生産工程の検査に関する事項

f 出荷又は処分に関する事項

g 記録の作成及び保存に関する事項

h 品質管理の実施状況についての組合法第91条《質問検査権》に基づく当該職員による質問、検査の適切な実施に関し必要な事項

(C) 内部規程に基づいて品質管理を適切に行い、その管理記録及び当該管理記録の根拠となる書類を当該有機農畜産物加工酒類ごとに作成し、当該帳票等の閉鎖の日から3年以上保持すること。

(D) 内部規程は、適切な見直しを定期的に行い、かつ、従業員に十分周知すること。

B 酒類の詰め替えにおける管理方法

(A) 酒類の詰め替えにおける責任者(詰め替え責任者)として、酒類の販売に3年以上従事した経験を有する者を1人以上置き、次に掲げる職務を行わせていること。

a 詰め替えに関する計画の立案及び推進

b 詰め替えの工程に生じた異常、苦情等に関する処置及びその対策に関する指導及び助言

(B) 次に掲げる事項について、その管理の実施方法に関する内部規程を具体的かつ体系的に整備していること。

a 有機農畜産物加工酒類の受入れ及び保管に関する事項

b 詰め替え前の有機農畜産物加工酒類の表示の確認に関する事項

c 詰め替えの方法に関する事項

d 詰め替えに使用する機械及び器具に関する事項

e 出荷又は処分に関する事項

f 記録の作成及び保存に関する事項

g 詰め替えの実施状況についての組合法第91条《質問検査権》に基づく当該職員による質問、検査の適切な実施に関し必要な事項

(C) 内部規程に基づいて詰め替えを適切に行い、その管理記録及び当該管理記録の根拠となる書類を当該有機農畜産物加工酒類ごとに作成し、当該帳票等の閉鎖の日から3年以上保持すること。

C 酒類の輸入における管理方法

(A) 輸入酒類の受入れ及び保管の責任者(受入保管責任者)として、酒類の販売に3年以上従事した経験を有する者を1人以上置き、次に掲げる職務を行わせていること。

a 輸入酒類の受入れ及び保管に関する計画の立案及び推進

b 工程に生じた異常、苦情等に関する処置及びその対策に関する指導及び助言

(B) 次に掲げる事項について、その管理の実施方法に関する内部規程を具体的かつ体系的に整備していること。

a 有機農畜産物加工酒類の受入れ及び保管に関する事項

b 外国の政府機関等が発行する証明書の確認に関する事項

c 出荷又は処分に関する事項

d 記録の作成及び保存に関する事項

e 輸入酒類の受入れ及び保管の実施状況についての組合法第91条《質問検査権》に基づく当該職員による質問、検査の適切な実施に関し必要な事項

(C) 内部規程に基づいて輸入酒類の受入れ及び保管を適切に行い、その管理記録及び当該管理記録の根拠となる書類を当該有機農畜産物加工酒類ごとに作成し、当該帳票等の閉鎖の日から3年以上保持すること。

ニ 表示基準2の(4)「品目の表示」について

(イ) 「品目の前若しくは後又は近接する場所」とは、消費者が「(有機農畜産物加工酒類)」又は「(有機農産物加工酒類)」の表示を見たときに当該表示の文字と品目の文字とが一体に表示されていると判断できる場所をいう。
 なお、「(有機農畜産物加工酒類)」又は「(有機農産物加工酒類)」の表示は、消費者が品目の文字と一体に表示されていると判断できるものであれば、2段書き等により表示することとしても差し支えない。

(ロ) 「品目の表示に用いている文字」とは、第86条の5《酒類の品目等の表示義務》の1《酒類の表示の取扱い等》の(6)及び2《酒類の容器に対する品目等の表示の取扱い》のイ又は5《酒類の包装に対する品目等の表示の取扱い》の(2)に定める文字の大きさをいう。

(4) 表示基準3「有機農畜産物加工酒類の名称等の表示」について

イ 表示基準3の(1)に規定する「有機農畜産物加工酒類であることを表す事項」には、例えば、有機果実酒(ワイン)、有機ビールなどのように有機等の文字と酒類の一般的な名称(酒類の品目を含む。)又は商品名の文字を一体的に表示する場合を含むものとする。

ロ 表示基準3の(1)及び(2)に規定する「農畜産物等の一般的な名称」とは、例えば、米、麦、米こうじ、麦芽、卵などのように農畜産物等の内容を的確に表現し、一般的に理解される名称をいう。

ハ 「転換期間中」の意義
 表示基準3の(2)に規定する「有機農産物又はこれを原材料として製造若しくは加工したもののうち、その名称に「転換期間中」と表示されているもの」とは、転換期間中のほ場(有機農産物の日本農林規格(平成17年農林水産省告示第1605号)第4条《生産の方法についての基準》の「ほ場」の基準2に該当するほ場をいう。)において生産された有機農産物及び当該有機農産物を原材料に使用した有機加工食品をいう。

(注) 「ほ場」とは、田、畑、果樹園など、農作物を栽培するために人為的に手が加えられ整備された所をいう。

(5) 表示基準4「輸入酒類に係る取扱い」について

イ 「農林物資の規格化等に関する法律に規定する格付制度と同等の制度を有する国」とは、JAS法第15条の2《輸入業者による格付の表示》第2項の規定に基づき農林水産省令で定められた国をいう。

ロ 「当該国の政府機関等」とは、当該国の政府機関、公的な認証機関及び当該国の制度の下で認証等を行うことができる機関等をいう。

ハ 「証明書」とは、当該国の制度の下での認証等に係る酒類の名称、認証等に係るほ場・製造場等の名称及び住所、認証等の番号及び年月日、製造者の住所及び氏名又は名称、原産国、証明を行った政府機関等の住所及び氏名又は名称等の記載があることにより、当該酒類が当該国の制度の下で認証等を受けたものであることが確認できる書面等をいう。

ニ イに規定する国以外の国から輸入される酒類については、当該酒類の送り状等に当該酒類が表示基準2の(1)から(3)の規定を満たしていることを確認することができる書面等が添付されており、かつ、当該書面等を当該酒類を保税地域から引き取る者が保存している場合に限り、表示基準2の(1)から(3)の規定を満たすものとする。
 なお、この場合において、原材料として使用する有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品は、日本農林規格の格付けがなされているものを使用する必要があるのであるから留意する。

(6) 表示基準5「有機農畜産物等を原材料に使用した酒類における有機農畜産物等の使用表示」について

イ 有機農畜産物等の使用表示は、表示基準5の各号に定める要件をすべて満たしている酒類について表示ができるものであり、その表示を義務付けるものではないのであるから留意する。
 なお、有機農畜産物等の使用表示をする場合は、有機農畜産物等の使用割合を表示する必要があることから、例えば、酒類を混和し、混和後の酒類における有機農畜産物等の使用割合が計算できないときは有機農畜産物等の使用表示はできないのであるから留意する。

ロ 「当該酒類の品質が有機農畜産物加工酒類と同等又は優れている印象を与える方法」とは、「有機○○100%使用」、「100%有機○○使用」、「有機○○のお酒」、「有機だけのお酒」、「有機○○からつくったお酒」などのように有機農畜産物等が原材料の一部であるにもかかわらず、原材料の全部が有機農畜産物等であるかのような誤認を与える表示をいう。

(注) 「○○」は、「米」、「ぶどう」、「麦」、「卵」等、農畜産物等の一般的な名称である。

ハ 「品目の前若しくは後又は近接する場所」及び「品目の表示に用いている文字」の取扱いは、(3)のニに定めるところによる。

ニ 「酒類の一般的な名称又は商品名と一体的に表示」とは、「有機米使用清酒」、「有機ぶどう使用ワイン」などのような表示をいう。

ホ 輸入酒類に有機農畜産物等の使用表示をする場合における有機農畜産物等の使用割合の確認の取扱いは、(5)に準じて行うものとする。

ヘ 有機農畜産物等の使用表示を行う場合における原材料として使用した有機農畜産物等及び原材料の配合割合等の製造工程に関する記録の取扱いは、(3)のハの(ハ)に準じて行うものとする。

(7) 表示基準の附則2の取扱い

 「当該農産物等が有機農産物の日本農林規格又は有機農産物加工食品の日本農林規格に適合するものであることが確認できる場合」とは、登録認定機関又は生産工程管理者(JAS法第14条《製造者等の行う格付》第2項の規定に基づき農林水産大臣又は登録認定機関による認定を受けた者)から当該農産物等が有機農産物及び有機農産物加工食品の日本農林規格に適合するものであることを証明する書面の交付を受け、当該書面を酒類製造者において保存している場合をいう。

第86条の7 酒類の表示に関する命令


酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達目次

(前) 第86条の6 酒類の表示の基準 3,4

(次) 第86条の8 国税審議会への諮問