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第159条関係 保全差押え

保全差押え

(要件)

1 保全差押金額を限度として直ちに差し押さえることができる場合は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合である(法第159条第1項)。

(1) 納税義務があると認められる者が、不正に国税を免れ、又は国税の還付を受けたことの嫌疑に基づき、国税犯則取締法の規定による差押え若しくは領置又は刑事訴訟法の規定による押収、領置若しくは逮捕を受けたこと。

(2) (1)の差押え、領置等の処分に係る国税の納付すべき額の確定後においては、その国税の全額の徴収を確保することができないと認められること。

(納税義務者)

2 法第159条第1項の「納税義務があると認められる者」とは、所得税法その他の税法に規定する納税義務があると認められる者のうち、1(1)の差押え、領置等の処分を受けた者(以下第159条関係において「納税義務者」という。)をいう。

(差押え)

3 法第159条第1項の「差押」とは、国税犯則取締法第2条第1項若しくは第2項《臨検、捜索、差押え》又は第3条《要急事件》の規定による差押えをいう。

(領置)

4 法第159条第1項の「領置」とは、国税犯則取締法第1条《質問・物件の検査・領置》又は刑事訴訟法第101条《領置》の規定による領置をいう。

(押収)

5 法第159条第1項の「押収」とは、刑事訴訟法第99条《差押え、提出命令》の規定による差押え及び提出命令並びに同法第100条《郵便物の押収》、第103条《公務上の秘密と押収》及び第105条《業務上の秘密と押収》の規定による押収をいうものとする。

(逮捕)

6 法第159条第1項の「逮捕」とは、捜査機関等が、被疑者の身体の移動の自由を拘束する行為及び引き続き一定期間拘留することをいう(刑事訴訟法第199条参照)。

(確定)

7 法第159条第1項前段の「確定」とは、申告、更正又は決定による確定をいい、通則法第2条第2号《定義》に規定する源泉徴収による国税についての納税の告知が含まれる。
 なお、次のことに留意する。

(1) 上記の「確定」には、納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する場合の確定(例えば、延滞税の確定)は含まれない(通則法第15条第3項参照)。

(2) 法第159条第1項前段の「決定」には、通則法第32条《賦課決定》の規定による賦課決定が含まれる。

(注) 上記の賦課決定には、通則法第6章第2節《加算税》についての賦課決定も含まれる。

(直ちに)

8 法第159条第1項の「直ちに差し押えることができる」とは、法第47条《差押の要件》に規定する差押えの要件を満たすことを要せず、差押えができることをいう。
 なお、保全差押金額の決定後保全差押えをするまでの間に納付すべき国税が確定したときは、その確定した国税の額に相当する保全差押金額については、保全差押えをすることができない。

(国税局長の承認)

9 国税局長が保全差押金額を決定するときは(通則法第43条第3項参照)、法第159条第2項《保全差押金額の決定についての国税局長の承認》の規定は適用されない(法第184条参照)。

(通知)

10 法第159条第3項の規定により、納税義務者に対してする通知は、令第56条各号《保全差押えに係る書面の記載事項》に掲げる事項を記載した書面により行う。この書面の様式は、別に定めるところによる。

担保の提供と差押え

(相当する担保)

11 法第159条第4項の「相当する担保」とは、保全差押金額に相当する価値が十分にある担保をいう。
 なお、保全差押金額に不足する担保の提供があった場合には、その不足額に相当する保全差押金額についてだけ差し押さえるものとする。

(提供)

12 法第159条第4項の「提供して」とは、納税義務者が担保の提供に必要な手続(通則令第16条)を了した場合をいう。

(担保提供の範囲)

13 保全差押金額に係る差押財産がある場合において、法第159条第4項の規定の適用を受けるために担保として提供すべき額は、保全差押金額から、その差押財産の処分予定価額を控除した残額に相当する額以上のものとする(通則法第46条第6項参照)。

(担保の提供手続等)

14 法第159条第4項等の規定に基づき徴する担保の提供手続及び担保の変更については、通則令第16条《担保の提供手続》並びに通則法第51条第1項及び第2項《担保の変更等》の定めるところによる。

(予納との関係)

15 通則法第59条第1項第2号《国税の予納額の還付の特例》の規定に基づき保全差押金額に相当する額について予納をした場合には、法第159条第4項の規定による担保の提供があった場合と同様に、差押えをしないものとする。

差押え又は担保の解除

(担保の提供)

16 差押えを受けた者が、法第159条第4項に規定する担保を提供してその差押えの解除を請求した場合には、担保を徴収した後において差押えを解除する(法第159条第5項第1号)。この場合においては、提供された担保の価額と差押財産の価額(予納がある場合には、その額を含む。)との合計見込額が保全差押金額を超える部分に相当する金額の範囲において、その差押えを解除するものとする。

(6月を経過した日)

17 法第159条第5項第2号及び第3号の「通知をした日から6月を経過した日」が休日等に当たっても、その期限は延長されない。

(担保を提供した者)

18 法第159条第6項の「担保を提供した者」とは、国税に関する法律の規定により担保を提供した者をいい、納税義務者のために担保の提供を承諾した第三者(物上保証人)は該当しない。

(差押え又は担保の解除ができる場合)

19 法第159条第6項の「その他の事情の変化」とは、例えば、差押財産又は担保の価額の騰貴があったとき、納税義務者が予納したとき等差押え又は担保徴取の継続につき、その全部又は一部を不必要とする事情が生じたことをいう。
 なお、担保を解除しなければならない場合としては、法第159条第5項のほか、通則令第17条第1項《担保を解除しなければならない場合》の規定がある。

(担保の解除手続)

20 法第159条第4項の規定により徴した担保の解除手続は、通則令第17条第2項及び第3項《担保の解除手続》の定めるところによる。

国税確定後の効力

(効力)

21 法第159条第1項の規定による差押え又は第4項等の規定による担保の提供がある場合において、その差押え又は担保の提供に係る国税につき納付すべき額の確定があったときは、その差押え又は担保の提供は、その国税を徴収するためにされたものとして、滞納処分又は担保の処分ができる(法第159条第7項)。この場合において、その差押え又は担保の提供に係る財産に対しては、確定に係る国税の納期限の経過により、直ちに差押え後の滞納処分又は担保の処分(通則法第52条、第51条第3項、通則令第18条)をすることができる。
 なお、次のことに留意する。

(1) 法第159条第7項の「確定」した国税は、法第159条第3項の通知をした日から6月を経過した日までに確定(納付すべき額が2回以上にわたって確定した場合を含む。)した国税(保全差押金額を超えて確定した部分の国税を含む。)をいう。

(2) 法第159条第7項の「徴収するためにされたもの」とみなされる国税には、保全差押えに係る滞納処分費はもちろん、その確定した国税に係る延滞税も含まれる。

(3)金銭担保を提供した者(納税義務者以外の者を含む。)は、その金銭担保に係る国税の額が確定したときは、その金銭をもって金銭担保に係る国税の納付に充てることができるが、この場合において、その国税に充てようとする者は、その旨を記載した書面を税務署長に提出しなければならない(通則令第18条第1項)。この書面の様式は、別に定めるところによる。また、その書面の提出があったときは、その担保として提出された金銭の額(その額が納付すべき国税の額を超えるときは、その国税の額)に相当する国税の納付があったものとみなされる(同令第18条第2項)。 

(参加差押え又は交付要求)

22 法第159条第9項の規定による交付要求(参加差押えを含む。)をした場合において、その交付要求に係る国税につき納付すべき額の確定があったときは、その交付要求は、その国税を徴収するためにされたものとする(法第159条第7項、24のなお書参照)。

(差押先着手等)

23 法第159条第1項の規定による保全差押金額に係る確定した国税の同項の規定による差押え又は法第159条第9項の規定による交付要求(参加差押えを含む。)については、法第12条《差押先着手による国税の優先》又は第13条《交付要求先着手による国税の優先》の規定の適用があるほか、法第159条第4項等の担保に係る国税についても、法第14条《担保を徴した国税の優先》の規定の適用がある。この場合において、保全差押金額を超えて国税が確定したときのその超える部分の金額に相当する国税(以下23において「超過国税」という。)と法第12条等の規定との関係については、次のことに留意する。

(1) 保全差押えに係る超過国税は、交付要求に係る国税等との関係においては、法第12条《差押先着手による国税の優先》の規定を適用せず、その超過国税が確定した時に交付要求がされたものとして法第13条《交付要求先着手による国税の優先》の規定を適用するものとする。

(2) 保全差押えに代わる交付要求に係る超過国税は、他の交付要求に係る国税等との関係においては、執行機関に対する超過国税が確定した旨の通知(24のなお書参照)がその執行機関に到達した時に新たな交付要求があったものとして、法第13条《交付要求先着手による国税の優先》の規定を適用するものとする。

(3) 保全差押金額に係る担保(保証人を含む。)から徴収できる保全差押金額に係る確定した国税は、その確定した国税(超過国税を含む。)の金額のうち、その担保により、保全される金額の範囲に限られるものとする。したがって、法第14条《担保を徴した国税の優先》の規定も、その被保全金額の範囲において適用されるものとする。

交付要求

(交付要求の手続等)

24 法第159条第9項の規定による交付要求は、法第82条《交付要求の手続》又は第86条《参加差押の手続》の手続に準じ、交付要求書又は参加差押書に、法第159条第9項の規定による交付要求である旨を明記して行わなければならない(法第159条第9項後段)。この場合において、交付要求に係る財産が強制換価手続により換価されたときは、その交付要求に係る保全差押金額の納付すべき国税が確定するまでは配当金額が確定しないから、配当すべき金銭は供託され、その配当金額の交付を受けることができない(第134条関係1参照)。
 なお、交付要求に係る国税の額が確定した場合には、交付要求をしている執行機関に対し、その国税の額を通知するものとする。この場合において、確定した額が保全差押金額の一部であるときには、その旨を併せて通知するものとする。この通知書は、交付要求書又は参加差押書を補正して使用する。

(交付要求の解除)

25 保全差押えに係る交付要求の解除については、法第159条第5項及び第6項の規定に準じて行う。

第三債務者等からの給付

26 法第159条第10項の「給付」には、第三債務者等に対してする支払督促の申立て、強制執行等の強制的な取立てによる給付が含まれる。

無過失賠償

27 法第159条第1項に規定する国税の納付すべき額として確定した金額が保全差押金額に満たない場合において、その差押えを受けた者がその差押えにより損害を受けたときは、国は、無過失であっても、その損害額(差押えにより通常生ずべき損失の額)の賠償をしなければならない(法第159条第11項)。
 なお、上記の場合における「納付すべき額の確定」は、法第159条第3項の通知をした日から6月を経過した日までの国税の確定に限られるが、その日後に、当該国税の額が減少した場合には、減少後の金額が納付すべき額として確定した金額となる。