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ホーム税について調べる法令解釈通達国税徴収基本通達主要項目別目次>第72条関係 特許権等の差押えの手続及び効力発生時期

第5款 無体財産権等の差押え

第72条関係 特許権等の差押えの手続及び効力発生時期

第三債務者等がない無体財産権等

1 法第72条第1項の規定により差し押さえる財産は、法第5章第1節第2款《動産又は有価証券の差押》、第3款《債権の差押》及び第4款《不動産等の差押》の規定の適用を受けない財産(以下「無体財産権等」という。)のうち、第三債務者等がない財産であり、おおむね次の財産がこれに該当する。

(1) 特許権

(2) 実用新案権

(3) 意匠権

(4) 商標権

(5) 育成者権

(6) 回路配置利用権

(7) 著作権

(8) 著作隣接権

(9) 源泉権

特許権

2 1の(1)に掲げる「特許権」とは、物(プログラム等を含む。)の特許発明にあっては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下2において同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下2において同じ。)をする独占的排他的な権利を、方法の特許発明にあっては、その方法の使用をする独占的排他的な権利を、物を生産する方法の特許発明にあっては、その方法の使用のほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする独占的排他的な権利を、それぞれいい(特許法第2条、第68条参照)、特許庁長官の管掌する特許原簿に設定の登録をすることによって発生する(同法第66条第1項)。

(注) 特許権の存続期間は、原則として、特許出願の日から20年をもって終了する(特許法第67条第1項)。

実用新案権

3 1の(2)に掲げる「実用新案権」とは、実用新案登録を受けている考案(自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。)に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をする独占的排他的な権利をいい(実用新案法第2条、第16条参照)、特許庁長官の管掌する実用新案原簿に設定の登録をすることによって発生する(同法第14条第1項)。

(注) 実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から10年をもって終了する(実用新案法第15条)。

意匠権

4 1の(3)に掲げる「意匠権」とは、意匠登録を受けている意匠(物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。)に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をする独占的排他的な権利をいい(意匠法第2条、第23条参照)、特許庁長官の管掌する意匠原簿に設定の登録をすることによって発生する(同法第20条第1項)。

(注) 意匠権の存続期間は、設定の登録の日から15年をもって終了する(意匠法第21条第1項)。ただし、関連意匠(自己の意匠登録出願に係る意匠のうちから選択した一つの意匠(以下4において「本意匠」という。)に類似する意匠をいう。)の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定の登録の日から15年をもって終了する(同条第2項)。

商標権

5 1の(4)に掲げる「商標権」とは、商標登録を受けている商標(文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下5において「標章」という。)であって、業として商品を生産し、証明し、若しくは譲渡する者がその商品について使用をするもの、又は業として役務を提供し、若しくは証明する者がその役務について使用するものをいう。)を使用(商品又は商品の包装に標章を付する行為、商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。)に標章を付する行為、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為等をいう。)する独占的排他的な権利をいい(商標法第2条、第25条参照)、特許庁長官の管掌する商標原簿に設定の登録をすることによって発生する(同法第18条第1項)。

(注) 商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年をもって終了する(商標法第19条第1項)が、商標権者の申請により更新することができる(同条第2項)。

育成者権

6 1の(5)に掲げる「育成者権」とは、品種登録を受けている品種(以下6において「登録品種」という。)及び当該登録品種と特性により明確に区分されない品種を業として利用する独占的排他的な権利をいい(種苗法第20条参照)、農林水産省の管掌する品種登録簿に登録することにより発生する(同法第19条第1項)。

(注) 育成者権の存続期間は、品種登録の日から25年(果樹等の永年性植物は30年)をもって終了する(同法第19条第2項)。

回路配置利用権

7 1の(6)に掲げる「回路配置利用権」とは、半導体集積回路における回路素子及びこれらを接続する導線の配置に関する独占的排他的な権利をいい、その回路配置を用いて半導体集積回路を製造する権利とその製造した半導体集積回路を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、又は輸入する権利とからなる(半導体集積回路配置法第2条、第11条参照)。回路配置利用権は、経済産業大臣の管掌する回路配置原簿に登録することにより発生する(同法第10条第1項)。

(注) 回路配置利用権の存続期間は、設定登録の日から10年とされている(同法第10条第2項)。

著作権

(意義)

8 1の(7)に掲げる「著作権」とは、著作者がその著作物(思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。)についての複製権、上演権、演奏権、公衆送信権、口述権、展示権、上映権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権、翻案権及び第二次的著作物の利用に関する原著作者の権利を専有する独占的排他的な権利をいい(著作権法第2条、第17条第1項、第21条から第28条まで参照)、著作者の著作により当然に発生し、登録を要しない。著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。以下8において同じ。)又は処分の制限及び著作権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は著作権若しくは担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限は、文化庁長官が管掌する著作権登録原簿に登録しなければ、第三者に対抗することができない(同法第77条、第78条第1項)。

(注) 著作権の存続期間は、おおむね次のとおりである。

1 著作権は、著作者が著作物を創作した時に始まり、2から4までに掲げる場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者の死後。2において同じ。)50年を経過するまでの間、存続する(同法第51条)。

2 無名又は変名の著作物の著作権は、原則として、その著作物の公表後50年(著作者の死後50年を経過していると認められるときは、死後50年)を経過するまでの間、存続する(同法第52条)。

3 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、原則として、その著作物の公表後50年(創作後50年以内に公表されなかったときは、創作後50年)を経過するまでの間、存続する(同法第53条)。

4 映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは、創作後70年)を経過するまでの間、存続する(同法第54条第1項)。

5 2から4までにおける公表の時は、冊、号又は回を追って公表する著作物については、毎冊、毎号又は毎回の公表の時によるものとされ、一部分ずつを逐次公表して完成する著作物については、原則として、最終部分の公表の時によるものとされる(同法第56条第1項)。

6 1から4までにおいて、著作者の死後50年、著作物の公表後50年若しくは創作後50年又は著作物の公表後70年若しくは創作後70年の期間の終期を計算するときは、著作者が死亡した日又は著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の翌年から起算される(同法第57条)。

(未発表の著作権)

9 まだ発行、興行等公にしていない著作物の原本及びその著作権は、差し押さえることができない(法第75条第1項第11号)。

著作隣接権

10 1の(8)に掲げる「著作隣接権」とは、実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者に与えられた著作権に準ずる権利をいう(著作権法第89条から第100条の5まで)。実演家人格権(氏名表示権(同法第90条の2第1項)及び同一性保持権(同法第90条の3第1項)をいう。)以外の著作隣接権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。以下10において同じ。)又は処分の制限及び著作隣接権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は著作隣接権若しくは担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限は、文化庁長官が管掌する著作隣接権登録原簿に登録しなければ、第三者に対抗することができない(同法第104条、第77条、第78条第1項、第101条の2)。

(注) 著作隣接権は、実演、放送及び有線放送についてはその行われた日の属する年の翌年から起算して50年、レコードについてはその発行が行われた日の属する年の翌年から起算して50年(その音が最初に固定された日の属する年の翌年から起算して50年を経過する時までの間に発行されなかったときは、その音が最初に固定された日の属する年の翌年から起算して50年)を経過するまでの間、存続する(同法第101条)。

共有特許権等

11 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、育成者権、回路配置利用権、著作権及び著作隣接権の共有持分を換価する場合において、買受人に権利の移転を行うためには、その譲渡につき他の共有者の同意を必要とする(特許法第73条第1項、実用新案法第26条、意匠法第36条、商標法第35条、種苗法第23条第1項、半導体集積回路配置法第14条第1項、著作権法第65条第1項、第103条)。

源泉権

12 1の(9)に掲げる「源泉権」(温泉所有権、温泉専用権、湯口権、温泉権又は鉱泉権ともいう。)とは、地中からゆう出する温泉を利用、管理、処分する権利で、源泉地所有権とは別個独立の権利として自由に処分できるものをいう(昭和15.9.18大判、昭和33.7.1最高判参照)。
 源泉権者は、源泉権の効力として、温泉所在地及びその周辺土地のうち温泉の採取、利用、管理のために必要とする範囲において、その使用権限を有する(昭和45.12.19東京地判参照)。

差押手続

(差押書)

13 法第72条第1項の「差押書」は、令第30条第1項各号《不動産の差押書等の記載事項》に掲げる事項を記載した規則第3条《書式》に規定する別紙第5号書式によるものをいい、これを滞納者に送達することによって差押えの効力を生ずる(法第72条第2項)。

(差押調書)

14 法第72条第1項の財産を差し押さえた場合には、差押調書を作成しなければならないが、その謄本を滞納者に交付する必要はない(法第54条参照)。

(差押えの登録の嘱託)

15 法第72条第3項の「関係機関」については、別に定めるところによる。
 なお、源泉権にあっては、その地方の慣行に従った公示方法(例えば、温泉組合等に対する登録の依頼、立札その他の標識の掲示)を講ずるものとする(昭和15.9.18大判、昭和45.12.19東京地判参照)。

(登録免許税の非課税)

16 税務署長が差押えの登録を嘱託する場合には、登録免許税法第5条第11号《滞納処分に関する登記等の非課税》の規定により、登録免許税は課されない。

差押えの効力

17 法第72条第1項の規定による差押えの効力は、差押書が滞納者に送達された時に生ずるが(法第72条第2項)、その前に差押えの登録がされた場合には、その差押えの登録がされた時に差押えの効力が生ずる(法第72条第4項)。ただし、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、育成者権及び回路配置利用権については、差押えの登録がされた時に差押えの効力が生ずる(法第72条第5項、特許法第98条第1項第1号、実用新案法第26条、意匠法第36条、商標法第35条、種苗法第32条第1項第1号、半導体集積回路配置法第21条第1項第1号参照)。
 なお、差押えの登録がされても差押書が送達されていない場合には、差押えの効力が生じないことに留意する(昭和33.5.24最高判参照)。