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第71条関係 自動車、建設機械又は小型船舶の差押え

自動車、建設機械又は小型船舶の差押え

(登録を受けた自動車)

1 法第71条第1項の「登録を受けた自動車」とは、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車以外の自動車で、道路運送車両法第2章《自動車の登録》の規定により、国土交通大臣が管理する自動車登録ファイルに登録を受けたもの(自動車抵当法第2条ただし書に規定する大型特殊自動車で、建設機械抵当法第2条に規定する建設機械であるものを除く(道路運送車両法第5条第2項)。以下「自動車」という。)をいう。

(登記を受けた建設機械)

2 法第71条第1項の「登記を受けた建設機械」とは、建設業法第2条第1項《建設工事の定義》に規定する建設工事の用に供される機械類で建設機械抵当法施行令第1条《建設機械の範囲》の規定による別表に掲げるもの(例えば、ブルドーザー、トラクター、コンクリートミキサー等)のうち、建設業者(建設業法第2条第3項)が国土交通大臣又は都道府県知事の行う記号の打刻又は既に打刻された記号の検認を受けた後、建設機械登記簿に所有権の保存登記をしたもの(以下「建設機械」という。)をいう(建設機械抵当法第2条、第4条第1項、第4項。建設機械登記令第10条、建設機械抵当法施行令第9条第1項参照)。

(登録を受けた小型船舶)

3 法第71条第1項の「登録を受けた小型船舶」とは、小型船舶登録法第2条《定義》に規定する総トン数20トン未満の船舶のうち日本船舶又は外国船舶(本邦の各港間又は湖、川若しくは港のみを航行する船舶に限る。)であって、漁船、ろかい又は主としてろかいをもって運転する舟、係留船等以外のもので、同法第2章《登録及び測度》の規定により、国土交通大臣(日本小型船舶検査機構)が管理する小型船舶登録原簿に登録を受けたもの(以下「小型船舶」という。)をいう。

差押手続

(差押書)

4 法第71条第1項において準用する法第68条第1項の「差押書」は、令第30条第1項各号《不動産の差押書等の記載事項》に掲げる事項を記載した規則第3条《書式》に規定する別紙第5号書式をいい、これを滞納者に送達することによって差押えの効力を生ずる(法第71条第1項、第68条第2項)。

(差押調書)

5 法第71条第1項の自動車、建設機械又は小型船舶を差し押さえた場合には、差押調書を作成しなければならないが、その謄本を滞納者に交付する必要はない(法第54条参照)。

(差押えの登記の嘱託)

6 税務署長は、自動車を差し押さえたときはその自動車の使用の本拠の所在地を管轄する運輸監理部、運輸支局又は自動車検査登録事務所(沖縄県にあっては、沖縄総合事務局陸運事務所又は同支所。以下6において同じ。)に、建設機械を差し押さえたときはその機械の打刻された記号によって表示された都道府県の区域内にある法務局又は地方法務局(北海道にあっては、札幌法務局)に、小型船舶を差し押さえたときはその小型船舶の船籍港を管轄する日本小型船舶検査機構の各支部に、それぞれ差押えの登記を嘱託しなければならない(法第71条第1項、第68条第3項。自動車登録令第10条、自動車登録規則第26条第1項、建設機械登記令第1条、小型船舶登録法第21条、小型船舶登録規則第35条参照)。
なお、自動車の差押登録の嘱託は、自動車登録令第10条《共同申請》の規定による出頭主義にかかわらず、郵便若しくは信書便による送達又は交付送達の方法により、差押登録嘱託書を運輸監理部、運輸支局又は自動車検査登録事務所に提出することによって、行うことができる(法第71条第1項、第68条第3項、自動車登録令第9条、通則法第12条第1項)。

(登録免許税の非課税)

7 税務署長が差押えの登記を嘱託する場合には、登録免許税法第5条第11号《滞納処分に関する登記等の非課税》の規定により、登録免許税は課されない。

差押えの効力

(効力発生の時期)

8 法第71条第1項の規定による差押えの効力は、差押書が滞納者に送達された時に生ずるが、差押書の送達前に差押えの登記がされた場合にはその差押えの登記がされた時に、差押書の送達前に監守及び保存のため必要な処分をした場合にはその処分をした時に、それぞれその効力が生ずる(法第71条第1項、第2項、第68条第2項、第4項、第70条第4項)。
なお、差押えの登記がされても差押書が送達されていない場合は、差押えの効力が生じないことに留意する(昭和33.5.24最高判参照)。

(差押えの効力が及ぶ範囲)

9 抵当権の目的となっている自動車又は建設機械の差押えの効力は、その自動車又は建設機械に付加して一体となっている物に及ぶが、これらの物のうち、抵当権設定行為で抵当権の効力が及ばない旨の特約の登記をしたもの及び自動車又は建設機械の所有者が抵当権者以外の一般債権者を害することを知り、抵当権者もその事情を知りながら付加したものには、差押えの効力は及ばない(自動車抵当法第6条、建設機械抵当法第10条)。

(注) 小型船舶については、質権の目的とすることができず(小型船舶登録法第26条)、また、抵当権の制度もないため、抵当権の目的とすることもできない。

(差押え後に保存登記がされた建設機械)

10 所有権保存登記のない建設機械を動産として差し押さえた後にその建設機械について所有権保存の登記があっても、その登記は差押債権者である国に対しては効力を生じないから、新たに差押えの登記を嘱託する必要がないことはもちろん、登記上その建設機械について権利を取得した第三者も、その権利をもって差押債権者である国に対抗することができない(建設機械抵当法第3条第2項)。

(差押え後に抵当権設定の登記がされない建設機械)

11 建設機械の所有権保存登記後30日以内に抵当権設定の登記がされない場合又は抵当権の登記が全部抹消された後30日以内に新たな抵当権設定の登記がされない場合には、その建設機械の登記用紙は閉鎖されるが、その期間内に差押えの登記をした場合には、その登記用紙は閉鎖されないから、法第71条の規定により建設機械としてした差押えの効力は妨げられない(建設機械抵当法第8条)。

自動車検査証の占有

12 自動車の換価による所有権の移転登録には、自動車検査証の呈示を必要とし(道路運送車両法第13条第3項、第12条第2項)、かつ、自動車検査証を備えなければ自動車を運行の用に供することができないから(同法第66条第1項)、自動車の差押えに当たっては、自動車検査証を債権証書の取上げに準じて占有するものとする。

監守保存の処分

13 自動車、建設機械及び小型船舶の監守保存のため必要な処分については、第70条関係13から16までに定めるところにより準じて行う。

徴収職員の占有

(引渡命令)

14 自動車、建設機械又は小型船舶を差し押さえた場合には、税務署長は、滞納者に対してその引渡しを命じ、徴収職員にそれを占有させることができる(法第71条第3項)。この場合において、徴収職員は、次に掲げるところにより占有するものとする。
なお、滞納者が引渡命令に応じないときは、法第142条《捜索の権限及び方法》の規定により、捜索その他の処分を行うことができる。

(1) 滞納者が占有している場合
差し押さえた自動車、建設機械又は小型船舶を滞納者が占有している場合には、税務署長は、滞納者に対して直ちに引き渡すべきことを命じ、徴収職員にその引渡しがされたとき及びその引渡しをしないときは、徴収職員は直ちにその占有ができる(法第7条第4項、第56条第1項)。

(2) 特殊関係者等が占有している場合
差し押さえた自動車、建設機械又は小型船舶を滞納者の親族その他の特殊関係者(第38条関係1から8まで参照)が占有している場合には、税務署長は、滞納者及び親族その他の特殊関係者に対して直ちに引き渡すべきことを命じ、徴収職員は(1)に準じて直ちにその占有ができる(法第71条第4項、第56条第1項)。

(3) 第三者が占有している場合
差し押さえた自動車、建設機械又は小型船舶を第三者((2)に掲げる者を除く。)が占有している場合には、税務署長は、滞納者に対して直ちに引き渡すべきことを命じ、徴収職員にその引渡しがされたときは直ちに占有するが、その引渡しをしないときで占有する第三者もその引渡しを拒むときは、その第三者に対し引渡しを命じ、その引渡しがされたとき及びその第三者が指定された期限までに徴収職員にその引渡しをしないときは、直ちにその占有ができる(法第71条第4項、第58条第2項、第3項)。この場合には、次のことに留意する。

イ  法第58条第2項《第三者が占有する動産等の差押手続》の規定のうち「滞納者が他に換価が容易であり、かつ、その滞納に係る国税の全額を徴収することができる財産を有しないと認められるときに限り」の事項は、占有のための引渡命令についての要件に当たらないものである。

ロ 法第59条第2項《引渡命令を受けた第三者等の権利の保護》に規定する「その期限がその動産を差し押さえた日から3月を経過した日より遅いときは、その日まで」は、「その期限がその自動車、建設機械又は小型船舶を占有した日から3月を経過した日より遅いときは、その日まで」として準用する。

ハ 法第59条第3項《引渡命令を受けた第三者等の権利の保護》に規定する「同条第3項の規定による差押の日後の期間に係るもの」は、「法第71条第4項において準用する第58条第3項の規定による占有の日後の期間に係るもの」として準用する。

(保管)

15 法第71条第5項前段の規定により、自動車、建設機械又は小型船舶を滞納者又は第三者に保管させる場合には、第60条関係8、9及び12に定めるところに準じて行う。

(封印その他の公示方法)

16 法第71条第5項後段の「封印その他の公示方法」は、第60条関係13から15までと同様であり(令第32条、第26条)、また、これらの公示方法は差押えの効力発生要件ではなく、徴収職員が差押財産を占有していることを明らかにする方法にすぎない。

(適当な措置)

17 法第71条第5項後段の「適当な措置」とは、運行、使用又は航行を禁ずるための措置、例えば、ハンドルの封印、立札、縄張等の方法による措置をいう。

(運行、使用又は航行の許可)

18 法第71条第6項の規定による自動車、建設機械又は小型船舶の運行、使用又は航行の許可については、第70条関係17から19までと同様である(令第32条、第31条)。

共有持分の差押え

19 法第71条の規定の適用を受ける自動車、建設機械又は小型船舶の共有持分を差し押さえたときは、その共有持分の差押えの登記を6の関係機関に嘱託する。
なお、上記の場合には、徴収職員は目的物を占有することができないものとする(民法第249条参照)。