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第70条関係 船舶又は航空機の差押え

船舶又は航空機

(登記される船舶)

1 法第70条第1項の「登記される船舶」とは、船舶登記簿に登記することができる船舶をいい(商法第686条、船舶法第5条第1項参照)、その差押えについては、次のことに留意する。

(1) 船舶登記簿に登記することができる船舶は、総トン数20トン以上の日本船舶である(商法第686条、船舶法第5条第1項参照)。

(2) 第56条関係4の(1)から(3)までに掲げる船舶は、登記することができないから、法第70条の船舶に該当せず、動産として差し押さえる。

(3) 製造中の船舶で、船舶として航行の用に供することができる程度に完成していないものは、抵当権の登記がされている場合であっても、船舶としての差押え及びその登記をすることはできないから、動産として差し押さえる(商法第851条、第848条、船舶登記令第3条第2項参照)。

(4) 製造中の船舶を動産として差し押さえた後に、航行することができる程度に完成した場合には、改めて法第70条の規定による船舶としての差押手続をとる。

(登録を受けた航空機)

2 法第70条第1項の「登録を受けた飛行機若しくは回転翼航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機又は回転翼航空機であって、航空法第3条《登録》の規定により国土交通大臣の管掌する航空機登録原簿に登録を受けたもの(以下「航空機」という。)をいう。

差押手続

(差押書)

3 法第70条第1項において準用する法第68条第1項の「差押書」とは、令第30条第1項各号《不動産の差押書等の記載事項》に掲げる事項を記載した規則第3条《書式》に規定する別紙第5号書式によるものをいい、これを滞納者に送達することによって差押えの効力を生ずる(法第70条第1項、第68条第2項)。
 なお、発航の準備が終了した船舶は、商法第689条《船舶の差押え及び仮差押えの執行の制限》の規定にかかわらず、滞納処分による差押えはすることができる。

(差押調書)

4 法第70条第1項の船舶又は航空機を差し押さえた場合には、差押調書を作成しなければならないが、その謄本を滞納者に交付する必要はない(法第54条参照)。

(差押えの登記の嘱託)

5 税務署長は、船舶を差し押さえたときは船籍港を管轄する法務局、地方法務局又はその支局若しくは出張所に、航空機を差し押さえたときは国土交通省航空局に、それぞれ差押えの登記を嘱託しなければならない(法第70条第1項、第68条第3項、船舶登記令第4条、航空機登録規則第3条)。
 なお、航空機登録令第9条《登録の申請》の規定にかかわらず、差押登録嘱託書を郵便若しくは信書便による送達又は交付送達の方法によって、国土交通省航空局に提出することができる(法第70条第1項、第68条第3項、通則法第12条第1項)。

(監守保存処分との関係)

6 法第70条第3項の「監守及び保存のため必要な処分」(14から16まで参照)をしたことにより差押えの効力が生じた場合においては、遅滞なく3から5までに掲げる手続をとらなければならない。

(登録免許税の非課税)

7 税務署長が差押えの登記を嘱託する場合には、登録免許税法第5条第11号《滞納処分に関する登記等の非課税》の規定により、登録免許税は課されない。

差押えの効力

(効力発生の時期)

8 法第70条第1号の規定による差押えの効力は、差押書が滞納者に送達された時に生ずるが、差押書の送達前に差押えの登記がされた場合にはその差押えの登記がされた時に、差押書の送達前に監守及び保存のため必要な処分をした場合にはその処分をした時に、それぞれその効力が生ずる(法第70条第1項、第4項、第68条第2項、第4項)。
 なお、差押えの登記がされても差押書が送達されていない場合は、差押えの効力が生じないことに留意する(昭和33.5.24最高判参照)。

(船舶の属具)

9 船舶の属具目録に記載されたものは、船舶の従物と推定されるから(商法第685条)、原則として、船舶に対する差押えの効力が属具に及ぶ。

停泊

(意義)

10 法第70条第2項の「停泊」とは、船舶又は航空機が、その所在する場所に停止又は停留することをいう。

(滞納処分のため必要があるとき)

11 法第70条第2項の「滞納処分のため必要があるとき」とは、法第5章《滞納処分》の規定による滞納処分のため必要があるときをいい、航行による損壊、き減の防止、見積価額の評定等のため必要があるときも含まれる。

(発航の準備)

12 法第70条第2項の「発航の準備が終つた」かどうかの判定は、船舶航行の計画又は契約の成立によって行わず、専ら貨客の運送に必要であり、かつ、客観的には相当な整備がされたかどうか(例えば、船員及び船客の乗組み、貨物、燃料、食料及び飲料の積込み、出港及び渡航手続が完了したかどうか)等によって行うものとする。
なお、航空機の発航の準備が終わったかどうかの判定については、上記に準ずるものとする。

監守保存の処分

(滞納処分のため必要があるとき)

13 法第70条第3項の「滞納処分のため必要があるとき」とは、11と同様である。

(監守)

14 法第70条第3項の「監守」とは、主として、所在を変えることを防止するための処置をいう。

(保存)

15 法第70条第3項の「保存」とは、主として、目的物の効用を維持するための処置をいう。

(必要な処分)

16 法第70条第3項の「必要な処分」には、縄張をすること、係留すること、格納庫へ入庫させること、管理人を置くこと、船舶国籍証書又は航空機登録証明書その他船舶又は航空機の航行のために必要な文書(船舶法第5条、第6条、船員法第18条、航空法第59条等参照)を取り上げること等があり、これらの処分は、監守又は保存のいずれか一つのために必要なものであれば、することができる。
なお、船航国籍証書等の取上げについては、債権証書の取上げに準じて取り扱うものとする(第65条関係参照)。

航行の許可

(営業上の必要その他相当の理由があるとき)

17 法第70条第5項の「営業上の必要その他相当の理由があるとき」とは、航行を許可することにより営業上の利益が見込まれ、徴収上有利な結果をもたらすときをいい、例えば、現に行っている運送契約に債務不履行が生ずることを避け、航行による収益を滞納者に得させる必要があるとき等をいう。

(申立て)

18 法第70条第5項の規定による航行の許可の申立ては、滞納者並びに交付要求をした者及び抵当権その他の権利を有する者が、令第31条各号《船舶等の航行許可申立書の記載事項》に掲げる事項を記載して連署した書面でしなければならない。この場合の連署については、上記の一部の利害関係人の連署がとれないとき等には、その同意書又は承諾書を添付して行わせることとしても差し支えない。

(許可)

19 法第70条第5項の航行の許可の申立てがあった場合には、徴収上支障のない限り、航行を許可して差し支えない。この許可は、原則として別に定める書面により行うものとする。

共有持分の差押え

20 法第70条の規定の適用を受ける船舶又は航空機の共有持分を差し押さえたときは、その共有持分の差押えの登記を5の関係機関に嘱託しなければならない(法第70条第1項、第68条第3項)。

(注)船舶共有者間に組合関係がある場合には、船舶管理人の有する共有持分は、他の共有者の同意を得なければ譲渡することができない(商法698条ただし書)。