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第50条関係 第三者の権利の目的となっている財産の差押換え

差押換えの請求

(差押換えの意義)

1 法第50条第1項の「差押換」とは、第三者の権利(差押え前に取得したものに限る。)の目的となっている財産を差し押さえた場合において、次に掲げる要件を満たすときに、その第三者からの請求により国税の全額を徴収できる財産を差し押さえ、かつ、その第三者の権利の目的となっている財産の差押えを解除することをいう。

(1) 滞納者が他に換価の容易な財産で、請求者以外の第三者の権利(差押換えの請求以後に生じたものを含む。)の目的となっていないものを有していること。

(2) その財産により滞納者の国税の全額を徴収することができること。

(賃借権)

2 法第50条第1項の「賃借権」とは、当事者の一方(賃貸人)が他方(賃借人)に対してある物を使用及び収益させることを約し、賃借人がこれに対して賃料を支払うことを約する契約(民法第601条)により、賃借人が取得する権利をいう。

(その他第三者の権利)

3 法第50条第1項の「その他第三者の権利」とは、使用貸借権、地上権、永小作権、地役権、租鉱権、入漁権、買戻権、出版権、特許権についての専用実施権、実用新案権についての専用実施権、意匠権についての専用実施権、商標権についての専用使用権、育成者権についての専用利用権、回路配置利用権についての専用利用権その他滞納者の財産上に第三者が有する権利をいう。

(これらの先取特権)

4 法第50条第1項の「これらの先取特権」とは、法第19条第1項各号《不動産保存の先取特権等》又は第20条第1項各号《不動産賃貸の先取特権等》に掲げる先取特権をいう。

(換価の容易な財産)

5 法第50条第1項の「換価の容易な財産」とは、評価が容易であり、かつ、滞納処分との関係において市場性のある財産をいうが、その財産は、換価をするために直ちに差押えをすることができるものに限られる。
 なお、債権については、確実に取り立てることができると認められるものも、換価の容易な財産に含まれるものとする。

(滞納者の財産)

6 通則法第50条第6号の保証人の保証は、法第50条第1項の滞納者の財産には当たらない(昭和47.2.25広島高(松江支)判参照)。

(請求者以外の第三者の権利)

7 法第50条の「他の第三者の権利」とは、第49条関係3に掲げる権利(法第19条第1項各号及び第20条第1項各号に掲げる先取特権以外の先取特権を除く。)のうち、差押換えの請求をした者(以下第50条関係において「請求者」という。)以外の第三者の権利をいう。

(国税の全額)

8 法第50条第1項の「国税の全額」とは、法第50条第1項の権利を有する者が差押換えの請求をする時の滞納者の国税の全額をいう。したがって、差押えに係る国税だけでなく、差押え後に発生した国税で差押換えの請求のあった時に滞納になっているものも含まれる。
 なお、上記の国税には、延滞税も含まれることに留意する。

(請求の方法及び期限)

9 法第50条第1項の規定による差押換えの請求は、令第19条第1項各号《差押換えの請求書の記載事項》に掲げる事項を記載した書面により、その請求に係る請求者の権利の目的となっている財産の公売公告の日(随意契約による売却をする場合にはその売却決定の時、また、その財産が金銭による取立ての方法により換価するものである場合にはその取立てが終わる時)までにしなければならない。

(請求を相当と認めるとき)

10 法第50条第2項の差押換えの「請求を相当と認めるとき」とは、請求者が差し押さえるべきことを請求した財産により滞納国税の全額を徴収することができると認められるときをいうが、次に掲げるときは、その請求を相当と認めるものとする。

(1) 滞納国税について他に差し押さえた財産がある場合において、その財産と請求者が差し押さえるべきことを請求した財産とにより滞納国税の全額を徴収することができると認められるとき。

(2) 差押換えの請求に係る差押えのほか、交付要求をしている場合において、その交付要求に基づく配当が比較的近い時期において確実に得られ、滞納国税の全額を徴収することができると認められるとき。

(3) 徴収職員において、新たに換価が容易であり、かつ、第三者の権利の目的となっていないもので滞納国税の全額を徴収することができる財産を発見したとき。

(4) 請求者が2人以上いる場合において、各請求者が差し押さえるべきことを請求した財産を合計することにより、滞納国税の全額を徴収することができると認められるとき。

(請求を相当と認めないとき)

11 税務署長は、法第50条第1項の規定による差押換えの請求を相当と認めないときは、その旨を請求者に通知しなければならない(法第50条第2項)。この書面の様式は、別に定めるところによる。

換価の申立てと換価制限

(申立ての方法及び期限)

12 法第50条第3項の規定による換価の申立ては、同条第2項の通知(11参照)を受けた請求者が、令第19条第2項各号《換価の申立ての方法》に掲げる事項を記載した書面により、その通知を受けた日から起算して7日を経過した日までにしなければならない(法第50条第3項)。
 なお、その通知を受けた日から起算して「7日を経過した日」が休日等に当たるときは、これらの日の翌日をもってその期限とみなされる(通則法第10条第2項)。

(換価の著しく困難なもの)

13 法第50条第3項の「換価の著しく困難なもの」とは、その評価、換価手続、買受人への権利移転手続等が通常の換価の場合に比べて社会通念上著しく困難である財産をいい、換価をするための前提としての差押えが著しく困難なものも含まれる。

(換価に付した)

14 法第50条第3項の「換価に付した」とは、公売の日時(随意契約により売却する場合には、その売却をする日)に公売を実施したことをいう。この場合においては、入札書の提出及び買受申込みの有無を問わないことに留意する。

(法第48条との関係)

15 法第50条第1項の規定による差押換えの請求に基づく差押えのため一時的に超過差押えとなっても、法第48条第1項《超過差押えの禁止》の規定に反するものではない。

換価の申立てに応じない場合の措置

(前項の場合)

16 法第50条第4項の「前項の場合」とは、法第50条第2項の通知を受けた請求者が、法第50条第3項の期限までに差し押さえるべきことを請求した財産の換価をすべきことを申し立てた場合において、その財産が換価の著しく困難なものでなく、かつ、他の第三者の権利(換価の申立てがあった後に生じたものを含む。)の目的となっていないときをいう。

(換価に付さない)

17 法第50条第4項の「換価に付さない」とは、公売の日時(随意契約により売却する場合には、その売却をする日)に公売を実施しないことをいう。

(通則法第1O条第1項との関係)

18 法第50条第4項の「申立があつた日から2月」は、通則法第10条第1項《期間の計算》の期間に該当する。

(換価について制限があるもの)

19 法第50条第4項の「国税に関する法律の規定で換価をすることができないこととするもの」については、第89条関係6と同様である。
 なお、上記の「国税に関する法律」とは、法その他の法律で、差押財産の換価の制限を規定しているすべての法律をいう。

(ただし書の意義)

20 法第50条第3項の申立てがあった場合において、その申立てのあった日から2月の期間内に、申立てに係る財産の差押え及び換価が可能となったときは、法第50条第4項ただし書の規定は適用されない。

滞納処分の制限の解除

21 差押換えをしようとする場合の新たな差押え又は換価の申立てに係る財産の新たな差押えは、法その他国税に関する法律の規定により新たな差押えをすることができない場合(第47条関係16参照)であっても、することができる(法第50条第5項)。