ここから本文です。

ホーム税について調べる法令解釈通達国税徴収基本通達主要項目別目次>第26条関係 国税及び地方税等と私債権との競合の調整

第5節 国税及び地方税等と私債権との競合の調整

第26条関係 国税及び地方税等と私債権との競合の調整

趣旨及び法第26条の準用

1  法第26条は、強制換価手続において国税が他の国税、地方税又は公課(以下第26条関係において「地方税等」という。)及びその他の債権(以下第26条関係において「私債権」という。)と競合する場合において、国税と私債権の間の優先順位、地方税等とその私債権の間の優先順位及びその国税と地方税等の間の優先順位が交錯することによって、これら三者の優先順位を定めることができないとき(この場合の競合を「特殊な競合」という。以下第26条関係において同じ。)の具体的な配当の方法を定めたものである。
 なお、上記以外の場合で、国税、地方税等及び私債権が競合し、これらの債権間の優先順位が交錯してその順位を定めることができないときは(第17条関係7、第18条関係6、法第19条、第20条等参照)、法第26条の規定に準ずるものとする。

〔例〕

抵当権の被担保債権(設定登記平成18.6.30)・・・・・・・・1,000万円

差押国税(法定納期限等平成18.8.31)・・・・・・・・・・・・・・500万円

交付要求地方税(法定納期限等平成18.5.2)・・・・・・・・・300万円

滞納処分費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100万円

換価代金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,700万円

  上記のとおり、抵当権の設定された滞納者の財産につき、滞納となっている国税に係る差押えがされた後、滞納となっている地方税に係る交付要求がされた。この場合において、差押先着手(法第12条)により国税が地方税に優先し、抵当権の被担保債権は、その設定登記の日が地方税の法定納期限等より後であるため、地方税に劣後するが、国税の法定納期限等より前であるため、国税に優先する。このような場合、三者が三つ巴となって優先関係が定まらないので、法第26条の規定により、以下のとおり配当額を計算する。

(1) まず、法第26条第1号の規定により、滞納処分費の100万円に充てる。

(2)  次に、法第26条第2号の規定により、抵当権設定の登記及び国税、地方税の法定納期限等の古い順に従って、国税及び地方税並びに私債権に充てるべき金額の総額を定めると、順次1地方税に300万円、2抵当権の被担保債権に1,000万円を充て、残額につき、3国税に300万円を充てることとなり、私債権に充てるべき金額の総額は1,000万円、国税及び地方税に充てるべき金額の総額は600万円となる。

(3)  法第26条第3号の規定により、国税及び地方税に充てるべき金額の総額600万円は、法第12条《差押先着手による国税の優先》の規定により、国税に500万円を充て、その残額につき、地方税に100万円を充てる。

(4) 法第26条第4号の規定により、抵当権の被担保債権に1,000万円を充てる。

(5) 上記の結果、配当額は次のとおりになる。

滞納処分費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100万円

抵当権の被担保債権・・・・・・・・・・・・・・・・1,000万円

国税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・500万円

地方税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100万円

特殊な競合の原因となる規定

2 法第26条本文の「この章又は地方税法その他の法律の規定」とは、特殊な競合の直接の原因となる国税と地方税等との優先順位を定める規定(例えば、法第8条、第12条、第13条、第14条、令第9条、これらに相当する地方税法第14条、第14条の6から第14条の8までの規定、船員保険法第13条の規定等公課の優先順位に関する規定等)並びに国税と私債権との優先順位を定める規定及び地方税等と私債権の優先順位を定める規定(例えば、法第8条、第15条、第16条、第20条、地方税法第14条、第14条の9、第14条の10、第14条の14、船員保険法第14条の規定等)をいい、私債権間の優先順位を定める規定及び法第26条第1号に規定する規定は、含まれない。

道府県たばこ税等の優先

3 法第26条第1号の「これに相当する優先権を有する地方税」とは、地方税法第13条の3《強制換価の場合の道府県たばこ税等の徴収》の規定により徴収する道府県たばこ税、市町村たばこ税、軽油引取税及び総務大臣の指定する法定外普通税(同法第4条第1項、第3項、第5条第1項、第3項参照)をいう。

(注) 地方税法第14条の5《地方団体の徴収金のうちの優先順位》の規定は、同条の延滞金等と地方税間の内部的な徴収の順位を定めたものである。

公課の法定納期限等に相当する納期限等

3-2 租税条約等実施特例法第11条第4項において準用する法の規定により徴収する共助対象外国租税の納期限等は、法第26条第2号の法定納期限等に相当する公課の納期限等に該当せず、国税及び地方税等に充てるべき金額の総額の決定において、共助対象外国租税は考慮しない。

質権等の設定等の時期

4 法第26条第2号の「設定、登記、譲渡若しくは成立の時期」については、次のとおりである。

(1) 「設定」の時期とは、登記することができない質権で有価証券以外のものを目的としているものについては、法第15条第3項《みなし質権設定日》又は地方税法第14条の9第4項《みなし質権設定日》の規定によりその質権が設定されたものとみなされた日をいい(第15条関係36参照)、登記することができない質権で有価証券を目的とするものについては、法第15条第2項前段《証明》又は地方税法第14条の9第3項《証明》の証明をした場合の占有した日をいう(第15条関係37参照)。

(2) 「登記」の時期とは、登記をすることができる質権、抵当権及び法第20条第1項第2号から第4号まで《不動産売買の先取特権等》に掲げる先取特権及び担保のための仮登記について、これらに係る設定又は保存の登記の日をいう(第15条関係34、35、第16条関係9、第18条関係15参照)。

(3) 「成立」の時期とは、法第20条第1項第1号《不動産賃貸等の先取特権》に掲げる先取特権について、同条第2項《証明》において準用する法第19条第2項《証明》の証明をした場合の成立の日をいう。

第2号のこの章又は地方税法その他の法律の規定

5 法第26条第2号の「この章又は地方税法その他の法律の規定」とは、法第26条第1号の費用等を除いたものにつき、その国税と私債権の優先順位又はその地方税等と私債権との優先順位を定める規定をいい、国税、地方税及び公課間の優先順位を定める規定並びに私債権間の優先順位を定める規定をいうものではない。

地方税法その他の法律のこれらに相当する規定

6 法第26条第3号の「地方税法その他の法律のこれらに相当する規定」とは、地方税法第14条《地方税の公課に対する優先》、第14条の6《差押先着手による地方税の優先》、第14条の7《交付要求先着手による地方税の優先》及び第14条の8《担保を徴した地方税の優先》等の規定をいう。
 また、公課相互間でも、例えば、「国税徴収の例により徴収する」等の規定により、差押先着手、交付要求先着手等の適用がある。

民法その他の法律の規定

7 法第26条第4号の「民法その他の法律の規定」とは、私債権の優先順位を定めるに当たって適用すべき法律の規定(例えば、民法第373条《抵当権の順位》、借地借家法第12条第3項《借地権設定者の先取特権の順位》、仮登記担保法第13条《優先弁済請求権》等)をいう。この場合においては、法第15条第4項《証明できなかった質権と他の質権との関係》又は地方税法第14条の9第5項《証明できなかった質権と他の質権との関係》の規定が適用される場合がある。

国税及び地方税等の優先権の反復的行使

8 先行する強制換価手続において法第26条の規定による競合の調整が行われた場合において、私債権に優先するものとして国税及び地方税等に充てるべき金額の総額を決定するために用いられながら、配当を受けることができなかった国税及び地方税等は、後行の強制換価手続においても私債権に優先するものとして取り扱う(平成11.4.22最高判参照)。