ここから本文です。

ホーム税について調べる法令解釈通達国税徴収基本通達主要項目別目次>第24条関係 譲渡担保権者の物的納税責任

第24条関係 譲渡担保権者の物的納税責任

譲渡担保財産からの徴収

(譲渡担保財産)

1 法第24条の「譲渡担保財産」とは、納税者がその所有する財産を債権者又は第三者に譲渡し、その譲渡により、自己又は第三者の債務の担保の目的となっている財産をいう(昭和5.10.8大判参照)。
 なお、動産、有価証券、債権、不動産、無体財産権等のほか、法律上まだ権利と認められていないものであっても、譲渡できるもの(手形を除く。法附則第5条第4項)は、すべて譲渡担保の目的物とすることができる(平成14.2.19福岡地判参照)。

(注)

1 譲渡担保設定契約には、次のようなものがある(昭和8.4.26大判、平成13.11.22最高判参照)。

(1) 債権の担保の目的をもって担保の目的物を債権者に譲渡し、その担保に係る債務を履行した場合には債務者がその目的物の返還を受け、不履行の場合には債権者がその財産を換価して優先弁済を受けるか又はその財産を確定的に取得することができる旨の譲渡担保設定契約

(2) 担保のための権利の移転につき売買の形式をとるもので、売主が将来対価を支払って目的物を売主に買い戻す権利を留保した売買(買戻特約付売買)の形式をとる譲渡担保設定契約又は売却した目的物につき売主が将来予約完結権を行使することによって再度売買契約が成立し、その効果としてその目的物が再び売主に戻る旨の予約(再売買の予約)の形式をとる譲渡担保設定契約

(3) 金銭債務の担保として、発生原因となる取引の種類、発生期間等で特定される金銭債権(将来生ずべき債権を含む。)を一括して譲渡することとし、譲渡担保権者が第三債務者に対し担保権実行としての取立ての通知をするまでは、譲渡債権の取立てを債務者に許諾し、債務者が取り立てた金銭について譲渡担保権者への引渡しを要しないこととする債権譲渡担保設定契約(いわゆる集合債権譲渡担保設定契約)

2 債務不履行の場合には、譲渡担保財産を確定的に取得することができる旨の特約があっても、債務者が債務の履行をしないときは、債権者は譲渡担保財産を換価又はこれを評価した価額から債権額を控除し、残額を債務者に支払わなければならない(昭和46.3.25最高判参照)。

3 債務者は、弁済期を経過しても、帰属清算型(債権者が自らその目的物の帰属主体となり、その価額を適正に評価して差額を債務者に支払うもの)の譲渡担保の場合は、債権者がその実行をしない間は、元利金を弁済して譲渡担保財産を受け戻すことができる(昭和47.11.24最高判参照)。また、処分清算型(債権者が目的物を第三者に処分して、その換価代金から元利金を差し引いた残額を債務者に支払うもの)の譲渡担保の場合においても、債権者が譲渡担保財産を換価するまでは(対抗要件として登記を必要とするものについては、第三者への移転登記をするまでの間をいう(昭和50.11.28最高判参照)。)、同様である(昭和43.3.7最高判参照)。
 なお、集合債権譲渡担保設定契約においては、譲渡担保権者が第三債務者に対し担保権実行としての取立ての通知をしたとしても、譲渡債権を取り立てて被担保債権の弁済に充当するまでは、譲渡債権は譲渡担保財産として存続する(平成16.9.9大阪高判参照)。

(国税に不足すると認められるとき)

2 法第24条第1項の「国税に不足すると認められるとき」とは、第22条関係4と同様である。ただし、不足するかどうかの判定は、法第24条第2項の告知書を発する時の現況によるものとする。

(注) 譲渡担保財産上に滞納者が有する法第25条第1項《譲渡担保財産の換価の特例》の買戻権の登記等に係る権利がある場合には、その権利の価額と滞納者の有する滞納処分ができる他の財産との価額の合計により、上記の不足するかどうかの判定をする。

(譲渡担保権者に対する告知)

3 税務署長が、法第24条第2項前段の規定により譲渡担保権者に対してする告知は、令第8条第1項各号《告知書の記載事項》に掲げる事項を記載した規則第3条《書式》に規定する別紙第1号書式の告知書により行う。

(徴収することができる金額)

4 譲渡担保財産から徴収することができる金額は、法第24条第1項及び第8項の規定の要件に該当することにより徴収することができる滞納国税(令第8条第1項第2号参照)の全額であって、納税者の財産が徴収すべき滞納国税に不足すると認められる場合のその不足額に限られない。

(税務署長等に対する通知)

5 法第24条第2項後段の規定により、譲渡担保権者の住所又は居所(事務所及び事業所を含む。以下同じ。)の所在地を所轄する税務署長及び納税者に対してする通知は、令第8条第2項各号《通知書に記載すべき事項》に掲げる事項を記載した書面により行う。この書面の様式は、別に定めるところによる。

譲渡担保財産に対する滞納処分

(告知書を発した日から10日を経過した日)

6 法第24条第3項の「告知書を発した日から10日を経過した日まで」とは、告知書を発した日の翌日から10日目の翌日までをいい、告知書を発した日を第1日とすると、12日目の日までとなる(通則法第10条第1項第1号参照)。

(注) 法第24条第3項の「発した日」については、第15条関係1の(2)の(注)と同様である。

(完納されていないとき)

7 法第24条第3項の「完納されていないとき」とは、納税者又は第三者(譲渡担保権者を含む。)の納付又は充当による完納がされていない場合のほか、免除、賦課の取消し等により徴収しようとする金額に係る納税者の国税の全額が消滅していないときをいう。

(みなし第二次納税義務者)

8 法第24条第3項の「第二次納税義務者とみなして」とは、譲渡担保財産に対する滞納処分の執行に限り、第二次納税義務者とみなすだけではなく、法の他の規定の適用についても第二次納税義務者とみなされることをいう。ただし、法第10章《罰則》の規定の適用については、納税者とみなされる(法第24条第9項参照)。

(譲渡担保財産からの徴収)

9 譲渡担保権者は、納税者の国税についての納付義務を負うものではないから、次の規定は、譲渡担保財産からの徴収については適用されない。

(1) 法第32条(第3項から第5項までを除く。)から第39条まで及び第41条第2項《第二次納税義務の通則等》

(2) 法第151条から第159条まで《滞納処分に関する猶予及び停止等》

(3) 通則法第4章第1節《納税の猶予》及び第55条《納付委託》

(督促の不要)

10 法第24条第2項の告知書を発した日から10日を経過した日までに告知書により告知した徴収しようとする金額が完納されていないときは、督促(納付催告書による督促を含む。)を要せず、直ちに滞納処分をすることができる。

(差押えの繰上げ)

11 法第24条第3項の規定により通則法第38条第1項《繰上請求》の規定を準用するに当たっては、次のとおり読み替える。

(1) 「納付すべき税額の確定した国税」は「法第24条第2項の告知をした徴収しようとする金額」

(2) 「納期限」は「法第24条第2項の告知書を発した日から10日を経過した日」

(納税者等が占有する譲渡担保財産に対する差押え等)

12 譲渡担保財産につき滞納処分を執行する場合において、当該譲渡担保財産を納税者又はその者の特殊関係者(令第13条第1項各号参照)が占有しているときは、法第58条《第三者が占有する動産等の差押手続》及び第59条《引渡命令を受けた第三者等の権利の保護》の規定(法第71条第4項等において準用する場合を含む。)は、適用されず、法第58条第1項に規定する第三者が占有している財産でないものとみなされる(令第24条第4項、第6項)。

(保険に付されている譲渡担保財産に対する差押えの効力等)

13 譲渡担保財産を差し押さえた場合に、その財産が、譲渡担保権者を受取人とする法第53条第1項《保険に付されている財産に対する差押えの効力》の損害保険に付され又は共済の目的となっているときは、同項の規定が適用されるから、その財産を差し押さえた旨を保険者又は共済事業者に通知する。この通知については、第53条関係9に準じて行うものとする。
 なお、 譲渡担保財産を差し押さえる前にその財産が火災その他により滅失等をし、これに基因して譲渡担保権者が保険金、共済金又は補償金を受領できる場合においては、それらに係る請求権等を譲渡担保財産として、法第24条の規定を適用することができる。

(譲渡担保財産の範囲)

14 法第24条第3項の規定により滞納処分ができる譲渡担保財産の範囲は、おおむね次に掲げるとおりとする。

(1) 譲渡担保財産並びにその付加物及び従物
 ただし、次に掲げる場合には、付加物及び従物が譲渡担保財産の範囲から除外される。

イ 設定行為に別段の定めがあったとき(民法第370条ただし書参照)。

ロ 民法第424条《詐害行為取消権》の規定により、債権者が、債務者の行為を取り消すことができるとき(同法第370条ただし書参照)。

ハ 納税者及び譲渡担保権者以外の第三者が、権原によりその財産につき付加行為をしたとき(民法第242条ただし書、大正6.4.12大判参照)。

(2) 企業用動産等を一括して譲渡担保とした場合においては、集合物としての同一性のある限り、その譲渡担保権の設定後その集合物に加えられたもの(昭和62.11.10最高判参照)

(譲渡担保財産の譲渡の場合)

15 譲渡担保財産が譲渡担保権者から更に譲渡された場合において、その譲渡が法第24条第3項又は第4項の規定による差押え後にされたものであるときは、差押債権者である国に対抗することができない。

(第1項の要件に該当する場合)

16 法第24条第4項の「同項の要件に該当する場合」とは、次の要件を満たしている場合の納税者の財産としてした差押えをいう。

(1) 差し押さえた当該財産が、納税者が譲渡した財産で、その譲渡により担保の目的となっている財産であること。

(2) 納税者の財産につき滞納処分を執行しても、なお徴収すべき国税に不足すると認められること。

(3) 譲渡担保権者が差押えに係る国税の法定納期限等以前にその財産が譲渡担保財産となっている事実を、その売却決定の前日までに、証明をしなかったこと(法第24条第8項参照)。

(交付要求等をした場合の効力)

17 譲渡担保財産を法第24条第1項の納税者の財産としてした参加差押え又は交付要求については、次に掲げるところによる。
 なお、参加差押え又は交付要求が有効である場合は、法第24条第4項後段に規定する告知及び通知をしなければならない。

(1) 参加差押え又は交付要求をした相手先の差押えが、法第24条第4項の規定に基づき、同条第3項の規定による差押えとして滞納処分を続行することができる場合には、同条の規定により譲渡担保財産から徴収することができる国税に係る参加差押え又は交付要求である場合に限り有効である。

(2) 参加差押え又は交付要求をした相手先の差押えが、法第24条第1項の要件を満たさないことにより同条第4項の規定の適用を受けないものであるときは、その差押えは取り消されるので、交付要求は効力を失うことになるが、参加差押えは法第24条第4項の規定の適用を受けるときは有効な差押えとなる。

(3) 法第24条第1項の要件を満たさないことにより同条の規定が適用されない国税に係る参加差押え又は交付要求は、同条第4項の規定が適用されず、取り消されるべきものである。

(第三債務者等に対する通知)

18 税務署長は、法第24条第4項の規定により滞納処分を続行する場合において、譲渡担保財産が次に掲げる財産であるときは、次に掲げる者に対し、納税者の財産としてした差押えを同条第3項の規定による差押えとして滞納処分を続行する旨を通知しなければならない(同条第5項)。この書面の様式は、別に定めるところによる。

(1) 第三者が占有する動産(法第70条又は第71条《船舶、航空機等の差押え》の規定の適用を受ける船舶、航空機、自動車、建設機械及び小型船舶並びに無記名債権を除く。)又は有価証券 その第三者

(2) 債権(電話加入権、賃借権その他取り立てることができないもの、電子記録債権及び権利の移転につき登記を要するものを除く。) 第三債務者

(3) 法第73条《電話加入権等の差押えの手続及び効力発生時期》の規定の適用を受ける財産(権利の移転につき登記を要するものを除く。) 第三債務者又はこれに準ずる者(以下「第三債務者等」という。)

(質権者等に対する通知)

19 税務署長は、法第24条第4項の規定により滞納処分を続行する場合において、法第55条第1号又は第3号《質権者等に対する差押えの通知》に掲げる者のうち知れている者があるときは、これらの者に対し、納税者の財産としてした差押えを法第24条第3項の規定による差押えとして滞納処分を続行する旨を通知しなければならない(同条第6項)。この書面の様式は、別に定めるところによる。

抵当権等との関係

(譲渡前に譲渡担保財産上に抵当権等がある場合)

20 質権、抵当権、先取特権等(以下20から22において「抵当権等」という。)がある財産が担保の目的で譲渡され、その譲渡担保財産が、強制換価手続により換価された場合の法第24条第1項の規定によりその譲渡担保財産から徴収できる納税者の国税と、譲渡担保権者の国税又は地方税(以下20から22において「国税等」という。)及びその抵当権等の被担保債権との優先関係については、次による。

(1) 納税者の国税と抵当権等の被担保債権との関係

イ 法第24条第1項の規定により譲渡担保財産から徴収できる納税者の国税の法定納期限等は、法第15条第1項第6号《告知に係る法定納期限等》の規定により、法第24条第2項の告知書を発した日となるので、抵当権等の被担保債権は、原則としてその納税者の国税に優先する(法第15条、第16条、第19条、第20条、第23条)。

ロ 法第22条《担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収》の規定により、その登記された質権又は抵当権の被担保債権につき配当を受けるべき金額から納税者の国税を徴収できるときは、同条に規定する手続によりその国税を徴収することができる。

(2) 譲渡担保権者の国税と抵当権等の被担保債権との関係
 抵当権等の被担保債権は、原則として譲渡担保権者の国税に優先する(法第17条、第20条)。

(3) 納税者の国税と譲渡担保権者の国税等との関係

イ 法第24条第1項の規定により譲渡担保財産から徴収できる納税者の国税は、その財産が譲渡担保権者の国税等につき差し押さえられているときは、納税者の国税で差し押さえられ、譲渡担保権者の国税等で交付要求があったものとみなされることから、譲渡担保権者の国税等に優先する(令第9条第1項)。

ロ 法第24条第1項の規定により譲渡担保財産から徴収できる納税者の国税と譲渡担保権者の国税等の両方で交付要求がされているときは、納税者の国税による交付要求が先にされたものとみなされることから、譲渡担保権者の国税等に優先する(令第9条第2項)。

ハ 譲渡担保権者の国税等が、法第14条《担保を徴した国税の優先》の規定に該当する場合には、法第24条第1項の規定により譲渡担保財産から徴収できる納税者の国税は譲渡担保権者の国税に劣後する。

(4) 納税者の国税と譲渡担保権者の国税等と抵当権等の被担保債権との関係
 原則として、まず第1に抵当権等の被担保債権に、第2に法第24条第1項の規定により譲渡担保財産から徴収できる納税者の国税に、第3に譲渡担保権者の固有の国税等に、それぞれ充てる。この場合において、第2の国税が満足を受けず、かつ、法第22条《担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収》の規定に該当するときは、上記(1)のロにより、その満足を受けない部分につき、第1の抵当権等の被担保債権が受ける金額からその国税を徴収する。

(譲渡後に譲渡担保財産に設定した抵当権等がある場合)

21 納税者の財産が担保の目的で譲渡され、その譲渡担保財産に抵当権等の設定等があった後、その財産が強制換価手続により換価された場合の法第24条第1項の規定によりその譲渡担保財産から徴収できる納税者の国税と譲渡担保権者の国税等と抵当権等の被担保債権との優先関係については、次による。

(1) 納税者の国税と抵当権等の被担保債権との関係
 法第24条第1項の規定により譲渡担保財産から徴収できる納税者の国税の法定納期限等は、法第15条第1項第6号《告知に係る法定納期限等》の規定により、法第24条第2項の告知書を発した日となるので、その日と抵当権の設定等の日とを比較し、法第15条、第16条、第18条から第20条まで又は第23条《法定納期限等以前に設定された質権、抵当権等の優先》の規定によりその優劣が定められる。

(2) 譲渡担保権者の国税と抵当権等の被担保債権との関係
 譲渡担保権者の国税の法定納期限等と抵当権の設定等の日とを比較し、法第15条、第16条、第18条から第20条まで又は第23条《法定納期限等以前に設定された質権、抵当権等の優先》の規定によりその優劣が定められる。

(3) 納税者の国税と譲渡担保権者の国税等との関係
 納税者の国税と譲渡担保権者の国税等との関係については、20の(3)と同様である。

(4) 納税者の国税と譲渡担保権者の国税と抵当権等の被担保債権との関係
 (1)から(3)までによって優先関係を定めるが、なお定まらない場合には、法第26条《国税及び地方税等と私債権との競合の調整》の規定によって優先関係を定める。

(譲渡担保財産上に譲渡前後に抵当権等がある場合の抵当権等と納税者の国税と譲渡担保権者の国税等との関係)

22 抵当権等がある納税者の財産が担保の目的で譲渡され、その譲渡担保財産に抵当権等の設定等があった後、その財産が強制換価手続により換価された場合の法第24条第1項の規定によりその譲渡担保財産から徴収できる納税者の国税と譲渡担保権者の国税等と各抵当権等の被担保債権との優先関係については、20及び21に定めるところによる。

〔例〕

納税者の国税(法定納期限等 平成17.3.15)
       (法第24条第2項による告知日 平成18.4.21)・・・・・・700万円

抵当権甲の被担保債権(設定登記 平成17.4.15)・・・・・・・・・・・800万円

譲渡年月日 平成17.12.15
   譲渡担保権者の国税(法定納期限等 平成18.3.15)・・・・・・・・・400万円

抵当権乙の被担保債権(設定登記 平成18.4.11)・・・・・・・・・・・300万円

換価代金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,300万円

上記の場合、配当額は、次のようになる。

(1) まず、法第17条《譲受前に設定された質権又は抵当権の優先》の規定により抵当権甲の被担保債権に800万円、法第16条《法定納期限等以前に設定された抵当権の優先》の規定により譲渡担保権者の国税に400万円、抵当権乙の被担保債権に100万円(1300万円−800万円−400万円)を充てる。

(注) 納税者の国税は、抵当権乙の設定がその国税の法定納期限等(法第15条第1項第6号)以前であることから、抵当権乙には劣後する。したがって、換価代金が1,300万円であることから、納税者の国税には配当はない。

(2) 次に、令第9条《譲渡担保財産から徴収する国税及び地方税の調整の特例》の規定により、滞納者の国税は譲渡担保権者の国税に先立って徴収するから、(1)により譲渡担保権者の国税に充てられることとされた400万円を納税者の国税に充てる。

(3) さらに、(2)によっても徴収できない納税者の国税300万円(納税者の国税700万円−(2)により充てられた400万円)につき、法第22条《担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収》の規定により、(1)により抵当権甲の被担保債権に充てることとされた800万円のうち200万円(配当金額800万円−仮定配当金額600万円(換価代金1300万円−納税者の国税700万円))を徴収できるので、その200万円を納税者の国税に充てる。

(4) 上記の結果、配当額は次のとおりになる。

納税者の国税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・600万円

譲渡担保権者の国税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0円

抵当権甲の被担保債権・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・600万円

抵当権乙の被担保債権・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100万円

(第4項の規定の適用を受ける差押え)

23 法第24条第7項の「第4項の規定の適用を受ける差押え」とは、譲渡担保財産を納税者の財産としてした差押えであって、かつ、法第24条第1項及び第8項の要件に該当する差押えをいう(平成13.11.27最高判参照)。この場合においては、法第24条第4項後段の規定に基づく第2項の告知及び通知をしている必要はない。

(その他弁済以外の理由)

24 法第24条第7項の「その他弁済以外の理由」とは、譲渡担保財産が納税者に復帰しないこととなる理由をいう。
 したがって、相殺(民法第505条)、免除(同法第519条)、混同(同法第520条)、消滅時効の完成(同法第166条以下)等は、これに該当しない。

(期限の経過)

25 法第24条第7項の「期限の経過」とは、それによって納税者が譲渡担保財産を自己に復帰させることを請求できないこととなる期限の経過をいう。
 なお、次のことに留意する。

(1) 買戻特約付売買の場合
 買戻特約付売買契約において定められている買戻しができる期間は、民法第579条《買戻し特約》に規定する買戻権については次のとおりである。

イ 買戻しの期間は、10年を超えることができず、これより長い期間を定めたときは10年に短縮される(民法第580条第1項)。

ロ 買戻期間を定めたときは、その後この期間を伸長することができない(民法第580条第2項)。

ハ 買戻期間を定めないときは、5年内に限り買戻権の実行ができる(民法第580条第3項)。

(2) 再売買の予約の場合
 再売買の予約による予約期間は、その契約の定めるところによるが、その期間の定めがない場合には、予約完結権はそれを行使できるときから20年間で時効により消滅する(民法第167条第2項)。

(契約の履行以外の理由)

26 法第24条第7項の「その他その契約の履行以外の理由」とは、納税者が譲渡担保財産を自己に復帰させることを請求できる権利が消滅することとなる理由のうち、買戻権又は再売買の予約完結権の消滅時効の完成等をいう。

(第7項の適用がない場合)

27 法第24条第7項の規定により、譲渡担保財産として存続するものとみなして法第24条第3項の規定を適用できる場合であっても、法第24条第3項の差押え前に、譲渡担保財産が譲渡担保権者から更に譲渡された場合には、法第24条第7項の規定によって譲渡担保財産として存続するものとみなすことはできない(15参照)。

(譲渡担保財産が納税者に復帰した場合)

28 譲渡担保財産につき法第24条第3項の差押えをした後、その譲渡担保財産が被担保債権の弁済により納税者に復帰した場合であっても、差押えの処分禁止の効力により譲渡担保財産としてした差押えについて滞納処分を続行することができる。

証明

(譲渡に係る権利の移転の登記がある場合)

29 担保の目的でされた譲渡に係る権利の移転の登記が国税の法定納期限等以前にあることについては、徴収職員が登記により調査の上確認しなければならない。

(譲渡に係る権利の移転の登記がない場合)

30 譲渡担保財産が権利移転の登記の制度がないものであるときは、譲渡担保権者が国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている事実を、その財産の売却決定の日の前日(譲渡担保財産が金銭による取立ての方法により換価するものであるときは、その取立ての日の前日)までに証明しなければ、法第24条第1項の規定が適用される(法第24条第8項、令第8条第3項後段)。この場合の証明手続については、第15条関係27に準ずる(令第8条第3項前段、第4条第1項、第2項)。

(注) 上記の場合の証明の期限については、通則法第10条第2項(期限の特例)の規定の適用がない(通則令第2条第7号)。

(法定納期限等以前)

31 法第24条第8項の「法定納期限等以前」には、その法定納期限等に当たる日を含む。したがって、その日に設定された譲渡担保権も、法定納期限等以前に設定された譲渡担保権となる。

(譲渡担保財産が集合物である場合)

32 集合物が譲渡担保財産である場合において、その担保権が設定された後その集合物に加えられた財産について、法第24条第8項の規定を適用するに当たっては、その加えられた財産が集合物として同一性がある限り、当初の譲渡担保権が設定された譲渡の時期をもって、その財産の譲渡担保財産となった時として取り扱う。

(注)

1 構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法により目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保権の目的となり得る(昭和54.2.15最高判参照)。
 この集合物としての譲渡担保権としては、特定の倉庫に存する商品の全部(昭和30.12.6大阪地判参照)、自社の出版物の全部(昭和32.3.19東京地判参照)、特定の店舗に存する一切の什器、備品、商品(昭和47.3.29東京高判参照)等がある。

2 譲渡担保権が設定された後その集合物に新たに財産が加えられたため、その譲渡担保財産の価額が、当初の譲渡担保財産の価額を超える場合には、その超えている部分に相当する財産については、譲渡担保権を新たに設定したものとして取り扱う。

(譲渡担保財産が有価証券である場合)

33 有価証券が譲渡担保財産である場合において、その担保権が設定された後、その有価証券の差換えをしたときにおける法第24条第8項の規定の適用に当たっては、その差し換えた有価証券が譲渡担保財産として同一性がある限り、当初の譲渡担保設定のための譲渡の時期をもって、その有価証券の譲渡担保財産となった時として取り扱う。

(譲渡担保財産が将来発生すべき債権である場合)

34 将来発生すべき債権を目的として、債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され、その債権譲渡につき対抗要件が具備されていた場合には、当該債権は当該対抗要件が具備された時に譲渡担保財産となる(平成19.2.15最高判参照)。

譲渡担保権者について破産手続開始の決定があった場合

35 法第24条第3項又は第4項の規定による差押えをした後、譲渡担保権者について破産手続開始の決定があったとしても、滞納処分の続行ができる(第47条関係40、41参照)。
 なお、譲渡担保権者について破産手続開始の決定があった場合において、法第24条第3項又は第4項の規定による差押えをしていないときは、納税者(譲渡担保設定者)が被担保債権を弁済することにより譲渡担保財産は納税者に復帰するため、その場合には復帰した財産に対して滞納処分を執行することができる。
 また、譲渡担保権者の破産管財人が譲渡担保権を実行することにより清算金が生じる場合には、その清算金の支払請求権を差し押さえることができる。

滞納者について破産手続開始の決定があった場合

36 滞納者について破産手続開始の決定があったとしても、譲渡担保財産に係る譲渡担保権者の管理処分権が破産管財人によって喪失されている場合(破産法第184条第2項、第185条第1項、第2項)を除き、破産法第43条第1項《国税滞納処分等の取扱い》の規定にかかわらず、譲渡担保財産に対する滞納処分を執行することができる。