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第19条関係 不動産保存の先取特権等の優先

不動産保存の先取特権等の優先

1 法第19条第1項各号に掲げる先取特権(仮登記(保全仮登記を含む。)がされたものを含む。法第133条第3項、令第50条第4項参照)は、特定の行為により財産の価値を保存した等の場合に成立するものであり、その行為によって国税も利益を受けること及びこれらの先取特権は質権又は抵当権に優先する効力を有することから、法第20条第1項に規定する先取特権とは異なり、その成立の時期が国税の法定納期限等後である場合又は差押え後である場合にも、国税に優先する。

不動産保存の先取特権

(意義)

2 法第19条第1項第1号の「不動産保存の先取特権」は、不動産の保存のために要した費用又は不動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用について、その不動産の上に存する先取特権である(民法第326条)。

(注) 不動産の保存のために要した費用等には、例えば次のような費用がある。

1 不動産の保存のために要した費用には、不動産の滅失又はき損を防ぐために行った修理の費用等がある。

2 権利の保存のために要した費用には、例えば、納税者の所有不動産を第三者が占有しており、取得時効が完成しようとしている場合において、納税者の債権者がその時効を中断したときに要した費用等がある。

3 権利の承認のために要した費用には、2の例で占有者に対して納税者の所有権を承認させたときに要した費用等がある。

4 権利の実行のために要した費用には、2の例で占有者が納税者へ不動産を返還させたときの費用等がある。

(効力の保存)

3 不動産保存の先取特権は、保存行為の完了後直ちに、その債権額を登記することによってその効力を保存するものであるから(民法第337条。不動産登記法第83条参照)、登記をしていない場合はもちろん、遅滞して登記をしている場合は、先取特権としての優先権を行使できない。

(優先順位)

4 不動産保存の先取特権が、共益費用を除く一般の先取特権、他の特別の先取特権、抵当権又は不動産質権と競合した場合には、その登記の時期の前後にかかわらず、不動産保存の先取特権が優先する(民法第329条第2項、第331条第1項、第339条、第361条)。

不動産工事の先取特権

(意義)

5 法第19条第1項第2号の「不動産工事の先取特権」は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用について、その工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ、その不動産の上に存する先取特権である(民法第327条)。

(注) 不動産の工事は、不動産の保存と対比すべきものであって、例えば、倒れかかっている家屋を修理するのは保存であり、一定の計画に従って改造するのは工事である。また、一連の工事のうち、上棟までの費用を工事費とし、その後の費用を保存費とすることは許されない(明治43.10.18大判参照)。

(増価額の評価)

6 不動産工事の先取特権の目的となっている不動産を換価する場合には、税務署長は、その工事によって生じた不動産の増価額を評価しなければならない。この場合において、税務署長は、必要があると認めるときは、鑑定人に評価を委託し、その評価額を参考として増価額を定めるものとする(令第5条)。

(注) 民法第338条第2項《不動産工事による増価額の評価》では、不動産の増価額は配当加入のときに裁判所において選任した鑑定人をして評価させることを要する旨規定しているが、この規定は、滞納処分による換価の場合には適用されない。

(効力の保存)

7 不動産工事の先取特権は、工事を始める前に、費用の予算額を登記することによってその効力を保存するものであるから(民法第338条第1項前段。不動産登記法第85条参照)、登記をしていない場合はもちろん、工事を始めてから登記をしている場合には、先取特権としての優先権を行使できない。
  なお、登記した予算額よりも実際の費用が超過した場合には、先取特権は登記した予算額を限度として存在し(民法第338条第1項後段)、実際の費用が予算額よりも少ない場合には、実際の費用の額を限度として先取特権が存在する。

(優先順位)

8 不動産工事の先取特権は、不動産保存の先取特権に次ぐ順位の優先権を有するから(民法第331条第1項)、共益費用の先取特権を除く一般の先取特権、不動産保存の先取特権を除く他の特別の先取特権、抵当権及び不動産質権に優先する(同法第329条第2項、第331条第1項、第339条、第361条)。

みなし不動産工事の先取特権

(都市再開発法第107条の施行者の先取特権)

9 都市再開発法第107条《先取特権》の先取特権は、施行者が施設建築物の一部を取得した者から徴収すべき清算金について、その施設建築物の一部の上に有する先取特権であり(同条第1項)、その効力の保存及び優先順位については、以下のとおりである。

(1) 効力の保存
都市再開発法第107条《先取特権》の先取特権は、同法第101条第1項《施設建築物に関する登記》の規定による登記(施設建築物及び施設建築物に関する権利についての必要な登記)の際に、清算金の予算額を登記することによってその効力を保存するものであるが、清算金の額がその予算額を超過するときは、その超過額については、先取特権が存在しない(同法第107条第2項)。

(2) 優先順位
都市再開発法第107条《先取特権》の先取特権は、不動産工事の先取特権(民法第327条)とみなされ、また、(1)によってした登記は、民法第338条第1項本文《不動産工事の先取特権の保存》の規定に従ってした登記とみなされるから(都市再開発法第107条第3項)、優先順位については、8と同様である。

(都市再開発法第118条の事業代行者の先取特権)

10 都市再開発法第118条《先取特権》の先取特権は、事業代行者である都道府県知事又は市町村長(同法第114条参照)が統轄する地方公共団体が、市街地再開発組合の債務について保証契約をした場合(同法第116条参照)において、その保証に係る債務を弁済したときに、その求償権に関し、市街地再開発組合の取得すべき施設建築物の一部の上に有する先取特権であり(同法第118条第1項)、その効力の保存及び優先順位については、9と同様である(同条第2項、第3項)。

(マンションの建替えの円滑化等に関する法律第88条の施行者の先取特権)

11 マンションの建替えの円滑化等に関する法律第88条《先取特権》の先取特権は、施行者が施行再建マンションの区分所有権を取得した者から徴収すべき清算金について、その施行再建マンションの区分所有権の上に有する先取特権であり(同条第1項)、その効力の保存及び優先順位については、9と同様である(同条第2項、第3項)。

立木の先取特権

(意義)

12 法第19条第1項第3号の「立木の先取特権に関する法律第1項(立木の先取特権)の先取特権」とは、他人の土地の上に立木を有する者が、土地の所有者に対して、樹木伐採の時期にその樹木の価格に対する一定割合の地代を支払うべき契約をした場合において、その土地の所有者が地代についてその立木の上に有する先取特権をいう(立木ノ先取特権ニ関スル法律第1項)。

(優先順位)

13 立木の先取特権は、他の権利に対して優先の効力を有するが、民法第329条第2項ただし書《共益費用の優先》の規定の適用は妨げられない(立木ノ先取特権ニ関スル法律第2項)。

商法第810条の救助者の先取特権

(意義)

14 法第19条第1項第4号の「商法第810条(救助者の先取特権)の先取特権」は、船舶又は積荷の全部若しくは一部が海難にあった場合において、義務なくしてこれを救助したときに、救助者が、その救助料債権について救助した積荷の上に有する先取特権である(商法第800条参照)。

(救助料債権)

15 救助料債権については、次のことに留意する。

(1) 救助者の故意又は過失によって海難を引き起こした場合等にあっては、救助料の請求ができない(商法第809条)。

(2) 救助料の額は、特約のない限り、救助した物の価額を超えることができず、また先順位の先取特権(17の(1)から(4)まで参照)があるときは、救助料の額はその先取特権者の債権額を控除した残額を超えることができない(商法第803条)。

(3) 救助料の請求権は、救助した時から1年を経過したときは、時効によって消滅する(商法第814条)。

(優先順位等)

16 商法第810条《救助者の先取特権》の先取特権については、船舶債権者の先取特権(同法第842条)に関する規定が準用されているので(同法第810条第2項)、優先順位及び除斥期間については、19及び20の(1)とそれぞれ同様である。
 また、商法第810条の救助者の先取特権は、その目的物である積荷が第三取得者に引き渡されたときは消滅する(同法第813条)。

商法第842条の船舶債権者の先取特権

(先取特権を有する債権)

17 法第19条第1項第4号の「商法第842条(船舶債権者の先取特権)の先取特権」は、次の(1)から(8)までに掲げる債権について成立する先取特権である。

(1) 船舶及びその属具の競売に関する費用並びに競売手続開始後の保存費

(2) 最後の港における船舶及びその属具の保存費

(注) 「最後の港」とは、競売をする時において船舶の存在するところをいい、航海を終わって帰来した港等をいうものではない。

(3) 航海に関して船舶に課した諸税

(4) 水先案内料及びひき(挽)船料

(5) 救助料及び船舶の負担に属する共同海損(商法第788条以下参照)

(注) 上記の救助料は、義務なくして海難を救助した場合の救助料(商法第800条)だけでなく、契約による救助料を含む(明治45.2.17大判参照)。

(6) 航海継続の必要によって生じた債権(商法第715条、第719条参照)

(注) 船籍港内で発生した修繕費等の債権は、上記の「航海継続の必要によって生じた債権」に含まれない(昭和55.5.26福岡地判参照)。

(7) 雇用契約によって生じた船長その他の船員の債権

(注) 船員法第46条《雇止手当》の雇止手当及び船舶所有者が労働組合との協定に基づき船員を解雇した場合に支給すべき退職慰労金は、上記の「雇用契約によって生じた船長その他の船員の債権」に含まれない(昭和58.9.28福岡高判参照)。

(8) 船舶がその売買又は製造の後まだ航海をしない場合において、その売買又は製造及びぎ(艤)装によって生じた債権並びに最後の航海のためにする船舶のぎ(艤)装、食料及び燃料に関する債権(大正11.9.21長崎控判参照)

(先取特権の目的となる財産)

18 商法第842条《船舶債権の先取特権》の先取特権の目的となる財産は、17に掲げる債権の発生に係る船舶(同法第684条参照)及びその属具並びに先取特権が生じた航海における運送賃でまだ受け取っていないものである(同法第843条)。

(優先順位)

19 商法第842条《船舶債権者の先取特権》の先取特権は、他の先取特権、船舶抵当権及び船舶質権(登記した船舶は質権の目的とすることができない。同法第850条)に優先する(同法第845条、第849条、民法第334条)。また、商法第842条の船舶債権者の先取特権が競合した場合には、次により優先順位が定まる。

(1) 数回の航海で発生したものの間における優先順位は、後の航海で発生したものが前の航海で発生したものに優先する(商法第844条第3項)。

(2) 同一航海で発生したものの間における優先順位は、17の(1)から(8)までに掲げる順序に従うが、17の(4)から(6)までの債権相互間では、後に発生したものが前に発生したものに優先する(商法第844条第1項)。

(3) 同一順位のものの間では、債権額の割合に応じて弁済を受けるが、17の(4)から(6)までの債権相互間では、後に発生したものが前に発生したものに優先する(商法第844条第2項)。

(消滅原因)

20 商法第842条《船舶債権者の先取特権》の先取特権は、次に掲げる場合には消滅する。

(1) 先取特権の発生後1年を経過したとき(商法第847条第1項)。

(注)  この期間は除斥期間である。

(2) 17の(8)に掲げる債権の先取特権については、船舶が発航したとき(商法第847条第2項。大正12.5.14大判参照)。

(3) 登記できる船舶の譲渡が行われた場合において、譲渡人が船舶譲渡の登記をした後、先取特権者に対して一定期間内(1月を下ることができない。)に債権の申出をすべき旨を公告したにかかわらず、先取特権者がその期間内にその申出をしないとき(商法第846条)。

(4) 登記できない船舶(商法第686条第2項)又は船舶の属具が第三取得者に引き渡されたとき(民法第333条)及び運送賃債権が譲渡されたとき。

国際海上物品運送法第19条の船舶先取特権

(意義)

21 法第19条第1項第4号の「国際海上物品運送法第19条(船舶先取特権)の先取特権」とは、船舶の全部又は一部を運送契約の目的とした場合(よう(傭)船契約した場合)で、よう(傭)船者が更に第三者と運送契約をしたとき(再運送契約をしたとき)において、運送品に関する損害で船長の職務に属する範囲内で生じたものについて、賠償を請求できる者が、その債権について船舶及びその属具の上に有する先取特権をいう。

(優先順位等)

22 国際海上物品運送法第19条《船舶先取特権》の先取特権については、商法第842条《船舶債権者の先取特権》の先取特権と競合する場合には同条第8号の先取特権に次ぐものとされており(国際海上物品運送法第19条第2項)、また、商法第845条《他の先取特権に対する優先》、第849条《船舶抵当権に対する優先》、第844条第3項《後の航海で発生したものの優先》、第844条第2項《同一順位の場合のあん分等》、第847条第1項《除斥期間》及び第846条《船舶の譲渡と先取特権の消滅》の規定が準用されているので(国際海上物品運送法第19条第3項)、優先順位及び先取特権の消滅については、19並びに20の(1)及び(3)と同様である。
 なお、登記できない船舶(商法第686条第2項)又は船舶の属具が第三取得者に引き渡されたときは、先取特権が消滅する(民法第333条)。

船舶の所有者等の責任の制限に関する法律第95条第1項の先取特権

(意義)

23 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(以下第19条関係において「船主責任制限法」という。)第95条第1項《船舶先取特権》の先取特権は、同法第3条第1項及び第2項《船舶の所有者等の責任が制限される債権》に掲げる船舶の運航又は救助活動に直接関連して生ずる損害等に基づく債権(制限債権)につき、その債権者が事故に係る船舶、その属具及び受領していない運送賃の上に有する先取特権である(同条第1項)。

(責任制限手続の開始の効果との関係)

24 責任制限手続(船主責任制限法に基づく責任制限手続をいう。以下25において同じ。)開始決定後においては、当該開始決定の取消し又は手続の廃止の決定が確定したときを除き(同法第95条第4項)、船主責任制限法第95条第1項《船舶先取特権》の先取特権を行使することはできない(同法第33条後段)。

(優先順位等)

25 船主責任制限法第95条第1項《船舶先取特権》の先取特権は、商法第842条第8号《船舶先取特権のある債権》の先取特権に次ぐものとされている(船主責任制限法第95条第2項)。この先取特権については、商法の船舶債権者の先取特権に関する規定の一部が準用されており(船主責任制限法第95条第3項)、優先順位及び先取特権の消滅については、19の(1)及び(3)の前段並びに20の(1)及び(3)とそれぞれ同様である。
 なお、上記の先取特権が発生後1年で消滅する前に、責任制限手続の開始決定があり、その後に当該開始決定の取消し又は手続の廃止の決定が確定したときは、当該取消し又は廃止の決定の確定後1年を経過した時に消滅する(船主責任制限法第95条第4項)。

船舶油濁損害賠償保障法第40条第1項の先取特権

(意義)

26 船舶油濁損害賠償保障法(以下第19条関係において「油濁保障法」という。)第40条第1項《船舶先取特権》の先取特権は、同法第2条第6号に掲げるタンカーから流出した油等による油濁損害に基づく債権につき、その債権者が事故に係る船舶、その属具及び受領していない運送賃の上に有する先取特権である(同法第40条第1項)。

(優先順位等)

27 責任制限手続(油濁保障法に基づく責任制限手続をいう。)の開始の効果と油濁保障法第40条第1項《船舶先取特権》の先取特権との関係については、24と同様であり(同法第38条)、同条の先取特権の優先順位及び消滅については、25と同様である(同法第40条)。

優先債権等のための動産保存の先取特権

(国税に優先する債権)

28 法第19条第1項第5号の「国税に優先する債権」とは、法第15条から第20条まで《法定納期限等以前に設定された質権の優先等》の規定によって国税に優先する質権、抵当権及び先取特権(いずれも、動産に関するものに限る。)の被担保債権をいい、留置権の被担保債権等(法第21条、第59条第3項参照)は含まれないものとする。

(優先債権のために動産を保存した者の先取特権)

29 法第19条第1項第5号の「国税に優先する債権のために動産を保存した者の先取特権」とは、28の担保権付債権が成立した後、その動産を保存した者がその動産上に有するその動産保存の先取特権(民法第320条)をいう。
 なお、農業動産信用法第4条第1項第1号《農業用動産等の保存資金貸付けの先取特権》の先取特権(32参照)は、上記の動産保存の先取特権と同様に取り扱う(同法第11条参照)。

(国税のために動産を保存した者の先取特権)

30 法第19条第1項第5号の「国税のために動産を保存した者の先取特権」とは、国税の滞納処分による差押えの効力が生じた時若しくは交付要求(参加差押えを含む。)の効力が生じた時又は国税に係る担保権の設定時の後において、その動産を保存した者がその動産上に有する動産保存の先取特権(民法第320条)をいう。
 なお、農業動産信用法第4条第1項第1号《農業用動産等の保存資金貸付けの先取特権》の先取特権(32参照)は、これと同様に取り扱う(同法第11条参照)。

(動産保存の先取特権)

31 法第19条第1項第5号の「動産を保存した者の先取特権」は、動産の保存のために要した費用又は動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用について、その動産の上に存する先取特権である(民法第320条)。

(注) 動産の保存のために要した費用等には、例えば次のような費用がある。

1 動産の保存のために要した費用には、動産の滅失又はき損を防ぐために行った修理の費用等がある。

2  権利の保存のために要した費用には、例えば、納税者の所有物を第三者が占有しており、取得時効が完成しようとしている場合において、納税者の債権者がその時効を中断させるために要した費用等がある。

3  権利の承認のために要した費用には、2の例で、占有者に対して納税者の所有権を承認させたときに要した費用等がある。

4  権利の実行のために要した費用には、2の例で、占有者から納税者へ動産を返還させたときの費用等がある。

(農業用動産等の保存資金貸付けの先取特権)

32 農業動産信用法第4条第1項第1号《農業用動産等の保存資金貸付けの先取特権》の先取特権は、農業用動産又は農業生産物について、その保存又はその物に関する権利の保存、追認若しくは実行のために必要な資金の貸付けをした場合において、農業協同組合等(同法第4条参照)の貸付債権につき、その農業用動産又は農業生産物の上に存する先取特権である(同法第5条)。
 なお、上記の先取特権は、優先権の順位について、動産保存の先取特権とみなされる(同法第11条)。

(優先順位)

33 動産保存の先取特権及び農業動産信用法第4条第1項第1号《農業用動産等の保存資金貸付けの先取特権》の先取特権の優先順位は、次のとおりである。

(1) 動産保存の先取特権(民法第320条)又は農業動産信用法第4条第1項第1号の先取特権が、他の特別の先取特権、質権又は抵当権と競合した場合には、第2順位の優先権を有する(民法第330条第1項。以下第19条及び第20条関係において、これら第2順位の先取特権を「第2順位担保権」という。)。したがって、第1順位の優先権を有する不動産賃貸の先取特権(同法第312条)、旅館宿泊の先取特権(同法第317条)、運輸の先取特権(同法第318条)、動産質権(同法第334条)、農業用動産抵当権(農業動産信用法第16条)、自動車抵当権(自動車抵当法第11条)、航空機抵当権(航空機抵当法第11条)及び建設機械抵当権(建設機械抵当法第15条。以下第19条及び第20条関係において、これらの担保権を「第1順位担保権」という。)には劣後し、第3順位の優先権を有する動産売買の先取特権(民法第321条)、種苗又は肥料の供給の先取特権(同法第322条)、農業労務の先取特権(同法第323条)、工業労務の先取特権(同法第324条)及び農業動産信用法第4条第1項第2号から第6号までの先取特権(同法第11条。以下第19条及び第20条関係において、これらの先取特権を「第3順位担保権」という。)には優先する。ただし、(2)及び(3)の場合においては、この限りでない。

(2) 第1順位担保権を有する者が、その債権取得の当時において、既に第2順位担保権者又は第3順位担保権者があることを知っていたときは、その第2順位担保権又は第3順位担保権が第1順位担保権に優先する(民法第330条第2項前段、第334条、農業動産信用法第16条、自動車抵当法第11条、航空機抵当法第11条、建設機械抵当法第15条)。

(3) 第1順位担保権が成立した後、その動産を保存したときの第2順位担保権は、その第1順位担保権に優先する(民法第330条第2項後段、第334条、農業動産信用法第16条、自動車抵当法第11条、航空機抵当法第11条、建設機械抵当法第15条)。

(4) 第2順位担保権が競合したときは、後に保存したものが、前に保存したものに優先する(民法第330条第1項本文後段)。

(先取特権の追及の制限)

34 動産に関する先取特権は、その動産が第三取得者に引き渡されたときは行使することはできない(民法第333条)。

証明の期限と方法

35 第19条第1項第3号(登記したものを除く。)から第5号までの先取特権が第1項の規定の適用を受けるための証明については、第15条関係26及び27の(2)と同様である(法第19条第2項、令第4条第1項、第3項、通則令第2条第7号)。

登記事項の調査確認

36 法第19条第1項第1号から第3号(登記したものに限る。)までの先取特権については、徴収職員がその登記されている先取特権がある事実を調査の上確認しなければならない。