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ホーム税について調べる法令解釈通達国税徴収基本通達主要項目別目次>第15条関係 法定納期限等以前に設定された質権の優先

第3節 国税と被担保債権との調整

第15条関係 法定納期限等以前に設定された質権の優先

法定納期限等

(第1号の法定納期限等)

1 法第15条第1項第1号に規定する法定納期限等については、次のことに留意する。

(1) 法定納期限以前に発せられる更正通知書若しくは決定通知書又は法定納期限以前に提出された期限後申告書若しくは修正申告書(例えば、法定申告期限が5月31日でその法定納期限が6月30日である石油ガス税について、6月1日に発した決定通知書又は6月15日に提出された修正申告書。石油ガス税法第16条第1項、第18条第1項参照)は、法第15条第1項第1号の更正通知書等には該当しない。

(2) 法第15条第1項第1号の「納税告知書を発した日」とは、通則法第36条第2項«納税告知書の送達等»の規定による納税告知書を発した日をいい、賦課決定通知書により確定した国税についても、その通知書を発した日ではなく、その国税に係る納税告知書を発した日が法第15条第1項第1号の法定納期限等に該当する。

(注) 法第15条第1項の「発した日」とは、更正通知書若しくは決定通知書又は納税告知書を交付送達又は郵便若しくは信書便(民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第2項«定義»の信書便をいう。以下同じ。)による送達のため税務署から持って出た日(私設郵便差出箱に差し入れたときは、その差し入れた日)をいう。
また、公示送達による場合の「発した日」とは、通則法第14条第2項«公示送達の掲示»の規定による掲示を始めた日をいう。

(3) 賦課決定通知書と納税告知書とを発することとされている場合において、賦課決定通知書による国税の確定がその法定納期限以前であるときは、納税告知書を発した日が法定納期限後であっても、その告知に係る国税は、法第15条第1項第1号の国税には該当しない。

(注)

1 法定納期限以前に賦課決定通知書により確定する国税には、揮発油税法第12条第2項«みなし移出等に係る揮発油についての揮発油税の徴収»等の規定によるものがある。

2 国税に関する法律の規定により、一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている国税のうち、賦課課税方式による国税(例えば、酒類、酒母、もろみの密造者、密造酒類を不法に所持し、譲渡し又は譲り受けた者、保存酒類又は検定前の酒類を処分し又は製造場から移出した者その他酒税法に違反した者に課される酒税(酒税法第54条第5項、第56条第3項))の確定は、すべて法定納期限後である。

(4) 再評価税が法定納期限後に更正又は決定により確定した場合には、更正又は決定の通知書を発した日ではなく、納税告知書を発した日が、その法定納期限等となる(資産再評価法第71条第4項)。

(5) 法第15条第1項第1号の「申告があった日」については、通則法第22条«郵送等に係る納税申告書等の提出時期»の規定により期限後申告書又は修正申告書が郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日等に提出されたものとみなされる場合でも、換価代金の配当等に当たっては、これらの申告書が税務署に現に提出された日を法定納期限等として取り扱うものとする。
なお、期限後に提出された納税申告書が、通則法第22条の規定により、期限内に提出されたものとみなされた場合には、法定納期限後に納付すべき額が確定したものではないが、当該申告に係る国税の法定納期限等については、上記に準じて取り扱う。

(第2号の法定納期限等)

2 法定納期限前に通則法第38条第1項«繰上請求»の規定により繰上請求がされた国税の法定納期限等は、繰上請求書(又は納税告知書)により指定された納期限である。

(注) 法第15条第1項第3号の第二期分の所得税について繰上請求をした場合における第二期分の所得税の法定納期限等は、その繰上げに係る納期限と第一期分の所得税の納期限との、いずれか早い方の納期限である。

(第3号の法定納期限等)

3 通則法第11条«災害等による期限の延長»の規定により、第一期分の所得税の納期限の延長が認められた場合には、その延長された期限が、法第15条第1項第3号の納期限となる。

(第4号の2の法定納期限等)

4 地価税の法定納期限等は、次に掲げるところによる。

(1) 期限内申告による税額のうち翌年3月31日法定納期限分に係る法定納期限等は、法定申告期限である10月31日である。

(2) 翌年3月31日以前の期限後申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定による税額のうち翌年3月31日法定納期限分に係る法定納期限等は、申告の日又は更正通知書若しくは決定通知書を発した日である。

(3) 期限内申告による税額のうち10月31日法定納期限分は、法第15条第1項第4号の2の適用はなく、その法定納期限である10月31日が法定納期限等となる。

(4) 翌年3月31日以前の期限後申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定による税額のうち10月31日法定納期限分及び翌年4月1日以後の期限後申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定による税額に係る法定納期限等は、法第15条第1項第1号が適用され、同項第4号の2の適用はない。

(第5号の2の法定納期限等)

5 法第15条第1項第5号の2の「その納付があった日」を法定納期限等とする国税は、同号の国税に係る附帯税及び滞納処分費に限られる。

(第6号の法定納期限等)

6 譲渡担保権者に対する告知又は法第159条第1項«保全差押え»若しくは通則法第38条第4項«保全差押えの規定の準用»の規定による差押えを受ける者に対する保全差押金額若しくは繰上保全差押金額(以下6において「保全差押金額等」という。)の通知に係る国税の法定納期限等は、次に掲げるところによる。

(1) 法第24条第2項«譲渡担保権者に対する告知等»の規定により告知した金額の国税に係る法定納期限等は、法第24条第2項前段又は第4項後段«譲渡担保権者に対する告知等»の規定による告知書を発した日である。

(2) 法第159条第3項«保全差押金額の通知»又は通則法第38条第4項«保全差押えの規定の準用»の規定により通知した金額の国税に係る法定納期限等は、これらの規定による通知書を発した日である。

(3) 保全差押金額等が決定された国税につき納付すべき額が確定していない場合でも、その保全差押金額等の国税があるものとして、法第15条第1項第6号の規定を適用するものとする。

(4) 国税の額が保全差押金額等を超えて確定した場合におけるその超える額に相当する国税の法定納期限等については、法第15条第1項第6号の規定の適用がない。

(第7号の法定納期限等)

7 法第15条第1項第7号に規定する法定納期限等については、次のことに留意する。

(1) 相続人(包括受遺者及び包括の名義による死因贈与を受けた者を含む。以下同じ。)には、相続(包括遺贈及び包括の名義による死因贈与を含む。以下同じ。)の放棄をした者は含まれない(民法第939条)。

(注) 上記の「包括受遺者」とは、相続人以外の者で遺言によって遺産の全部又はその何分の一という割合によってその一部を与えられた者をいい(民法第964条)、「死因贈与」とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与をいい、その法律上の取扱いは、遺贈に関する規定を準用する(同法第554条)。

(2) 法第15条第1項第7号の「その相続があつた日」とは、被相続人(包括遺贈者及び包括の名義による死因贈与をした者を含む。以下同じ。)が死亡した日(民法第882条)又は失そう宣告により死亡したとみなされた日(同法第31条)をいい、包括遺贈の場合は、遺贈が無条件であれば遺言者が死亡した日、停止条件付であればその条件成就の日をいう。

(注) 上記の「死亡した日」に関しては、民法第32条の2«同時死亡の推定»の規定がある。

(3) 破産手続開始の決定があった場合において、破産法第231条第2項«相続財産破産における相続債権者の優先»、第240条第2項又は第3項«相続債権者、受遺者及び相続人の債権者の地位»の規定により、国税が私債権に劣後することとなるときは、法第15条第1項第7号の規定の適用はない。

(第8号の法定納期限等)

8 法第15条第1項第8号に規定する法定納期限等については、次のことに留意する。

(1) 「合併により消滅した法人」とは、吸収合併により消滅した法人及び新設合併により解散した法人をいう。

(2) 「合併後存続する法人」とは、吸収合併により他を吸収して存続する法人をいい、合併により設立した法人は含まれない。

(3) 「その合併のあった日」とは、合併後存続する法人又は合併により設立した法人が、株式会社又は合名会社、合資会社若しくは合同会社(合名会社以下を総称して「持分会社」という。以下同じ。)であるときは、その法人が本店所在地において変更の登記又は設立の登記をした日をいう(会社法第921条、第922条、第750条第1項、第752条第1項、第754条第1項、第756条第1項参照)。

(4) 「合併のあった日前にその納付すべき税額が確定したもの」は、通則法第15条第3項第2号、第3号及び第5号«納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税»に掲げる国税については、合併のあった日前に納税告知書を発したものに限られる(法第15条第1項第7号参照)。

(第9号の法定納期限等)

8-2 法第15条第1項第9号に規定する法定納期限等については、次のことに留意する。

(1) 分割を無効とする判決の確定により、分割法人に「属することとなつた財産」とは、次に掲げるものをいう。

イ 分割により事業を承継した法人が分割法人から承継した財産であって、判決の確定により分割法人に復帰した財産

ロ 分割後に分割により事業を承継した法人が取得した財産であって、判決の確定により分割法人の共有又は単独の所有に属することとなったもの(会社法第843条第2項)

(2) 「分割法人の固有の国税」は、分割を無効とする判決が確定した日前にその納付すべき国税が確定したものに限る。

(3) 「判決が確定した日前にその納付すべき税額が確定したもの」は、通則法第15条第3項第2号、第3号及び第5号《納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税》に掲げる国税については、判決が確定した日前に納税告知書を発したものに限る(法第15条第1項第7号参照)。

(4) 通則法第9条の2の規定による連帯納付義務に係る国税について、判決の確定により分割法人に属することとなった財産から徴収する場合の法定納期限等は、その国税の本来の法定納期限等と同じである。

(第10号の法定納期限等)

9 法第15条第1項第10号に規定する法定納期限等については、次のことに留意する。

(1) 「分割により事業を承継した法人」(以下「分割承継法人」という。)とは、吸収分割(会社法第757条)により事業を承継した法人又は新設分割(会社法第762条)により設立した法人をいう。
 なお、ここでいう分割は、法人税法第2条第12号の9«分割型分割の定義»及び同条第12号の10«分社型分割の定義»に規定する分割型分割及び分社型分割のいずれの場合も該当する。

(2) 「その分割のあった日」とは、分割承継法人が、本店所在地において変更の登記又は設立の登記をした日をいう(会社法第923条、第924条、第759条第1項、第761条第1項、第764条第1項、第766条第1項参照)。

(3) 「分割のあった日前にその納付すべき税額が確定したもの」は、通則法第15条第3項第2号、第3号及び第5号«納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税»に掲げる国税については、分割のあった日前に納税告知書を発したものに限る(法第15条第1項第7号参照)。

(4) 通則法第9条の3の規定による連帯納付責任に係る分割をした法人の国税について、当該分割をした法人から承継した財産から徴収する場合の法定納期限等は、その国税の本来の法定納期限等と同じである。

(附帯税及び滞納処分費の法定納期限等)

10 附帯税及び滞納処分費の法定納期限等は、その附帯税及び滞納処分費の徴収の基因となった国税の法定納期限等である(法第2条第10号ニ、第15条第1項本文)。

(連帯納付義務に係る相続税等の法定納期限等)

11 相続税法第34条«連帯納付の義務»に規定する連帯納付義務に係る相続税又は贈与税の法定納期限等は、本来の納税者の相続税又は贈与税に係る法定納期限等と同じである(昭和55.7.1最高判参照)。

(連結子法人の連帯納付責任に係る法人税の法定納期限等)

12 法人税法第81条の28第1項«連結子法人の連帯納付の責任»に規定する連結子法人の連帯納付責任に係る法人税の法定納期限等は、連結親法人の各連結事業年度の連結所得に対する法人税に係る法定納期限等と同じである。

(通則法第5条第3項の納付責任に係る国税の法定納期限等)

13 通則法第5条第3項«相続による国税の納付義務の承継»に規定する納付責任に係る国税を相続財産から徴収する場合における当該国税の法定納期限等は、相続により承継した本来の国税の法定納期限等と同じである。

(物納の撤回に係る相続税の法定納期限等)

14 物納の撤回に係る相続税の法定納期限等は、相続税法第46条第6項第1号«物納の撤回の承認»の物納の撤回を承認する旨の書面を発した日である(相続税法施行令第25条の4第3項)。
また、条件を付した物納の許可の取消しに係る相続税の法定納期限等は、相続税法第48条第3項«物納の許可の取消し»の物納の許可を取り消した旨の書面を発した日である(相続税法施行令第25条の6第2項)。

質権の優先

(質権)

15 法第15条の「質権」とは、民法第342条«質権の内容»に規定する質権(根質権を含む。)をいい、動産質、不動産質及び権利質がある。
なお、上記の「質権」には、仮登記(仮登録を含む。以下同じ。)がされた質権が含まれ、また、仮登記には、民事保全法(以下「保全法」という。)第53条第2項«不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行»(同法第54条«不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行»において準用する場合を含む。)の規定による仮処分による仮登記(以下「保全仮登記」という。)が含まれる(法第133条第3項、令第50条第4項参照)。

(質権を設定している場合)

16  法第15条第1項の「質権を設定している場合」には、納税者に対する債権について納税者の財産の上に質権を設定している場合のほか、納税者以外の者に対する債権について納税者の財産の上に質権を設定している場合(納税者が物上保証人となっている場合)も含まれる。

(法定納期限等以前の設定)

17 法第15条第1項の「法定納期限等以前」には、その法定納期限等に当たる日を含む。したがって、その日に設定された質権も、法定納期限等以前に設定された質権となる。

(物上代位との関係)

18 質権は、その目的物が滅失等した場合の物上代位の目的物についても、優先権を行使することができる(民法第350条、第304条、昭和31.11.26神戸地判参照)。ただし、このためには、物上代位の目的物が納税者に払渡し又は引渡しされる前に差し押さえることが必要である(民法第304条第1項ただし書、第350条。法第53条第2項参照)。

(物上代位の目的物に対する差押えが競合する場合の優先関係)

19 質権の物上代位の目的物に対する差押えと当該目的物に対する滞納処分による差押えとが競合した場合における優先関係は、質権の設定と差押国税の法定納期限等との先後により判定する(昭和56.3.30東京高判参照)。

債権の範囲

(換価代金)

20 法第15条の「換価代金」には、質権の設定された財産のほか、従物、付加物、利息債権等質権の効力の及んでいるものの換価代金も含まれる。

(質権によって担保される債権額)

21 質権により担保される債権額の範囲は、民法第346条«被担保債権の範囲»の規定により、設定行為に別段の定めのない限り、元本のほか、利息、違約金、質権実行の費用、質物保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償金の一切に及ぶ。なお、不動産質権により担保される債権額の範囲については、第16条関係6及び7と同様である(民法361条)。

登記、登録等をすることができる質権

(登記をすることができる質権)

22 法第15条第2項の「登記をすることができる質権」とは、土地、建物等を目的とする質権、地上権等を目的とする質権その他登記が第三者に対する対抗要件となっている質権をいう。

(登録をすることができる質権)

23 法第15条第2項の「登録をすることができる質権」とは、無体財産権質、電話加入権質、記名国債質、記名社債質、振替国債質、振替社債質その他登録が第三者に対する対抗要件又は効力発生要件となっている質権をいう

(電子記録をすることができる質権)

23-2 法第15条第2項の「電子記録債権法第2条第1項(定義)に規定する電子記録をすることができる質権」とは、電子記録債権(第62条の2関係1参照)を目的とする質権で、質権設定記録が効力発生要件となっているものをいう。

証明

(証明を必要としない質権)

24 登記(登録及び電子記録を含む。以下同じ。)をすることができる質権(22、23及び23-2参照)については、質権者はその設定の事実を証明する必要がなく、徴収職員は登記によりその設定の事実を確認しなければならない。

(転質がある場合の証明)

25 民法第348条«転質»の規定に基づく転質権者が、原質権につき法第15条第2項の証明をしたときは、法第15条第2項の質権者がその設定の事実を証明した場合に当たるものとする。

(証明の期限)

26 質権の証明は、次に掲げる日までにしなければならない(令第4条第3項)。
 なお、証明の期限については、通則法第10条第2項«期限の特例»の規定の適用がない(通則令第2条第7号)。

(1) 債権を目的とする質権の証明 その債権の第三債務者から給付を受けた金銭に係る配当計算書の作成の日の前日

(2) 有価証券に係る金銭債権を取り立てる場合のその有価証券を目的とする質権の証明 給付を受けた金銭に係る配当計算書の作成の日の前日

(3) その他の質権の証明 売却決定の日の前日

(証明の方法)

27 滞納処分の場合における質権の証明は、次に掲げる方法によってしなければならない。

(1) 登記をすることができる質権以外の質権(有価証券を目的とする質権を除く。)の設定の事実の証明 税務署長に対し、29から32までに定める書類のいずれかを提出すること又はそれらの書類を呈示するとともにその写しを提出すること(令第4条第2項)。

(2) 有価証券を目的とする質権(登録をすることができる質権を除く。)の設定の事実の証明 税務署長に対し、質権設定の事実を証する書面又はその事実を証するに足りる事項を記載した書面を提出すること(令第4条第1項)。

(有価証券)

28 法第15条第2項の「有価証券」は、第56条関係13と同様である。

(公正証書)

29 法第15条第2項第1号の「公正証書」とは、公務員がその権限に基づき適法に作成した証書をいい、判決書、公証人の作成した公正証書及びこれらの謄本等がある。

(私署証書)

30 法第15条第2項第2号の「私署証書」とは、私文書をいい、登記所又は公証人が認証し、その認証の年月日等の記載がされた契約書等がある。公正証書以外の文書はすべて私署証書であって、当事者の作成したものであるか、第三者の作成したものであるか、作成者の署名押印があるかどうかを問わない。

(注) 登記所は、当事者の請求に基づき私文書である「担保差入書」等に確定日付のある印章を押し(民法施行法第5条第1項第2号)、確定日付簿にその旨を記入することとされている(確定日附簿及び日附印章調製規則参照)。

(内容証明を受けた証書)

31 法第15条第2項第3号の「内容証明を受けた証書」とは、郵便法第48条第1項«内容証明»の規定により、内容証明を受けた文書をいう。

(公証人法第62条ノ7第4項の規定により交付を受けた書面)

32 法第15条第2項第4号の「交付を受けた書面」とは、指定公証人が電磁的記録に記録された情報と同一の内容であることを証明した書面をいう。

(確認)

33 質権の設定の時期が国税の法定納期限等以前であるかどうかについては、徴収職員が調査の上確認しなければならない。

質権設定の時期

(登記をすることができる質権)

34 登記をすることができる質権の設定の時期は、その質権の設定登記の日による。

(仮登記のある場合)

35 質権設定の仮登記又は質権設定請求権保全の仮登記がされた後において、その仮登記に基づく本登記(仮登録に基づく本登録を含む。以下同じ。)がされたときのその質権の設定の時期は、その仮登記がされた日によるものとする(不動産登記法第106条等)。

(登記をすることができる質権以外の質権)

36 登記をすることができる質権以外の質権(有価証券を目的とする質権を除く。)の設定の時期はそれぞれ次に掲げる日による(法第15条第3項)。ただし、質権について対抗要件を備えた日が次に掲げる日より遅いときは、その対抗要件を備えた日を法第15条の質権の設定の時期とする。

(1) 公正証書については、その日付の日

(2) 登記所又は公証人役場において日付のある印章が押されている私署証書については、その印章の日付の日

(3) 内容証明を受けた証書については、郵便認証司が、その内容証明の取扱いに係る認証をした日(郵便法第48条、第58条第1号参照)

(4) 民法施行法第7条第1項«公証人法の規定の準用»において準用する公証人法第62条ノ7第4項«書面の交付による情報の提供»の規定により交付を受けた書面については、その書面で証明された日付情報の日

(有価証券を目的とする質権)

37 登録をすることができる質権以外の質権のうち、有価証券を目的とする質権の設定の時期は、質権者がその有価証券を占有した日による。

優先権行使の否認

(第4項の趣旨)

38 法第15条第4項は、国税に優先する質権者(登記をすることができる質権以外の質権を有する者に限る。)が2人以上ある場合において、先順位質権者が法第15条第2項の質権設定の証明をしなかったためその質権が国税に劣後することとなるときは、私法上の質権の優先順位にかかわらず、その劣後することとなる金額の範囲内において、国税に優先する後順位質権者に対して優先権を行使することができないことを定めたものである。

〔例1〕

第1順位 質権の被担保債権・・・・・・・・・・・・・30万円

第2順位 質権の被担保債権・・・・・・・・・・・・・40万円

第3順位 国税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25万円

換価代金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80万円

 上記の場合に、第1順位の質権者が質権により担保される債権30万円につき証明せず、第2順位の質権者が40万円につき証明したとすれば、まず第2順位の質権の被担保債権に40万円を充て、次に第3順位の国税に25万円を充てる。そして残余金15万円は、第1順位の質権の被担保債権に充てる。したがって、第1順位の質権の被担保債権に15万円、第2順位の質権の被担保債権に40万円、第3順位の国税に25万円を配当することとなる(40、41参照)。

〔例2〕 (法第15条第4項と法第18条第1項本文との関係)

例2 法15条4項と法18条1項本文との関係の図

 上記の場合に、第1順位の質権者が証明せず、第2順位の根質権者が証明したとすれば、まず根質権の被担保債権に5万円、国税に40万円を順次充て、次に、私法上の原則に従って第1順位の質権の被担保債権に50万円を充て、残余金5万円を根質権の被担保債権に充てる。したがって、第1順位の質権の被担保債権に50万円、第2順位の根質権の被担保債権に10万円、第3順位の国税に40万円を配当することとなる(40、41参照)

(証明をしなかった場合)

39 法第15条第4項の「証明をしなかつた」場合には、証明の期限に後れて証明した場合が含まれる。

(国税に後れる金額の範囲内)

40 法第15条第4項の「国税におくれる金額の範囲内」とは、先順位質権者が、その質権が国税に優先することを証明しなかったため、国税に後れることとなった結果、換価代金から配当を受けられなくなった金額をいう。

(優先権を行うことができない)

41 法第15条第4項の「優先権を行うことができない」とは、先順位の質権は、後順位の質権に優先する私法上の原則にかかわらず、先順位の質権者が後順位の質権者に劣後することをいう。