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ホーム税について調べる質疑応答事例法人税目次一覧法人が解散した場合の設立当初からの欠損金額の損金算入制度(法法59まる3)における「残余財産がないと見込まれるとき」の判定について

法人が解散した場合の設立当初からの欠損金額の損金算入制度(法法59まる3)における「残余財産がないと見込まれるとき」の判定について

【照会要旨】

まる1 A社は、平成27年9月30日に解散したが、その時点における貸借対照表の純資産額は△100,000千円である。

まる2 A社は、平成27年10月31日に土地の譲渡を行い、その売却益150,000千円を計上したことにより、純資産の部が50,000千円となり、債務超過の状態を解消することとなった。

まる3 A社は、平成27年11月30日に残余財産が確定したことから、平成27年10月1日から平成27年11月30日までの事業年度(以下「平27/11期」という。)における法人の所得計算をしたところ、法人税等の額(相手科目:未払法人税等)が60,000千円発生するため、純資産の部が△10,000千円となる。

残余財産がないと見込まれるとき

 上記のような事実関係がある場合、法人が解散した場合の設立当初からの欠損金額の損金算入制度(法法59まる3)の適用に際し、平27/11期(適用年度)が残余財産がないと見込まれるとき(債務超過の状態にあるとき)に該当するかどうかは、上記まる3の状態で未払法人税等を負債に含めたところで判定して差し支えありませんか。

【回答要旨】

 貴見のとおり、取り扱われることとなります。

(理由)

  • (1) 法人が解散した場合の設立当初からの欠損金額の損金算入制度(法法59まる3
    • イ 法人が解散した場合において、残余財産がないと見込まれるときは、その清算中に終了する事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額を基礎として計算した金額に相当する金額は、青色欠損金等の控除後の所得の金額を限度として、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとされています。
    • ロ この場合の「残余財産がないと見込まれるとき」について、法人税基本通達12-3-8((残余財産がないと見込まれることの意義))では、解散した法人が当該事業年度終了の時において債務超過の状態にあるときは、これに該当することが明らかにされています。
    • ハ また、この債務超過の状態であるかどうかは、一般的には実態貸借対照表(法人の有する資産・負債の価額(時価ベース)で作成された貸借対照表)により確認できることが法人税基本通達12-3-9((残余財産がないと見込まれることを説明する書類))において明らかにされています。
  • (2) 本件へのあてはめ
     上記(1)のとおり、その法人が事業年度終了の時において債務超過の状態にあるときは、「残余財産がないと見込まれるとき」に該当することとなり、その状態は、法人の清算中に終了する各事業年度終了の時の実態貸借対照表によって判断することになります。
     御質問は、「残余財産がないと見込まれるとき(債務超過の状態にあるとき)」の判定に際し、法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入されない法人税等の額に係る債務(未払法人税等)は含めずに判定するのではないかとの疑問によるものと思われます。
     この点、一般的に、実態貸借対照表を作成するに当たっては、事業年度終了の時において有する資産に係る含み損益、退職が見込まれる従業員に将来支給する退職金など、その時において税務上損益の実現を認められないものであっても、法人の清算に当たって実現が見込まれる損益まで考慮して、その作成がされているところです。
     このようなことからすれば、本件照会における未払法人税等についても清算中の事業年度(適用年度)において税務上損益の実現は認められないものではありますが、実態貸借対照表の作成時(平26/11末)の状況で将来発生が見込まれるものであることから、その実態貸借対照表に計上しているものと考えられます。
     したがって、本件の場合、平27/11期(適用年度)の未払法人税等60,000千円を負債に含めた実態貸借対照表に基づき「残余財産がないと見込まれるとき」の判定を行うこととなります。

【関係法令通達】

 法人税法第59条第3項
 法人税基本通達12-3-8、12-3-9

注記
 平成28年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。