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租税特別措置法第67条の15《投資法人に係る課税の特例》の適用における投資法人が行う投資口の払戻しに伴うみなし配当の取扱いについて

【照会要旨】

 投資法人には、ある一定の場合を除き、投資口の払戻請求に応じない旨の規約の定めがあるクローズド・エンド型の投資法人(投資法人規則3丸10)と投資主からの一部払戻請求に基づき投資口の一部払戻しをする旨の規約の定めがあるオープン・エンド型の投資法人(投資法人規則3丸8)があります。
 このオープン・エンド型の投資法人が投資口の払戻請求に応じた場合には、法人税法第24条第1項第5号《配当等の額とみなす金額》に規定する「出資の払戻し」に該当し、その払い戻した金銭の額が、資本金等の額のうち払戻しの対象となった投資法人の投資口に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額が剰余金の配当とみなされることとなります(このみなされる金額を以下において「みなし配当」といいます。)。
 このみなし配当は、租税特別措置法第67条の15第1項《投資法人に係る課税の特例》に規定する「配当等の額」に含まれることとなりますが、このみなし配当はあくまで税務上配当とみなしているものにすぎませんので、期末配当のように各事業年度ごとに作成される金銭の分配に係る計算書に記載されるものではなく、投資口の払戻しを行った事業年度の損益計算書に反映されるものですから、当該各事業年度との対応関係が明らかではありません。
 つきましては、投資法人に係る課税の特例制度の適用に当たり、投資法人が行う投資口の払戻しに伴うみなし配当については、その払戻しの効力が生ずる日(払戻金額の支払の日)を含む事業年度に係るものとし、当該事業年度を適用事業年度(同項に規定する適用事業年度をいいます。以下同じです。)と取り扱ってよろしいでしょうか。

(注)投資法人に係る課税の特例制度(措法67の15)や特定同族会社の特別税率制度(法法67)などについては、事業年度後の株主総会等で決定される決算配当(期末配当)を当該事業年度の所得・税額計算に影響させるものとなります。

【回答要旨】

 照会の事実関係を前提とする限り、貴見のとおり取り扱って差し支えありません。

(理由)

 投資口の払戻しに伴うみなし配当については、次に掲げる事項からすれば、その払戻しの効力が生ずる日(払戻金額の支払の日)を含む事業年度に係るものとし、当該事業年度を適用事業年度と解して投資法人に係る課税の特例制度を適用することが相当です。

  • 丸1 照会要旨にもあるとおり、期末配当は、当該各事業年度における金銭の分配に係る計算書に記載されており、その金銭の分配に係る計算書は、旧商法における利益処分計算書に類するようなものであって当該各事業年度における利益処分の内容を記載するものであるため、当該各事業年度との対応関係が明らかである。一方、投資口の払戻しに伴うみなし配当は、その金銭の分配に係る計算書に記載されず、投資口の払戻しを行った事業年度の損益計算書に反映されていることから当該各事業年度と対応させる根拠がないこと。
  • 丸2 投資口の払戻しに伴うみなし配当は、時価評価により含み損益の精算をすることに加え、特定の事業年度の利益のみならず過去からの繰越利益をも精算するものであり、この点からも直近に終了した事業年度と対応させる根拠がない。
  • 丸3 投資口(資本)の払戻し等に伴い生じるみなし配当は、平成18年度税制改正前から特定の事業年度と対応させる税務処理は行われておらず、その効力発生日(払戻金額の支払の日)において税務処理が行われることとされており、投資法人の課税の特例制度においても、その効力発生日の属する事業年度に係るみなし配当と取り扱うこととなること。
  • 丸4 平成18年度税制改正後においても、みなし配当に係る考え方に変更はないことから、投資法人の課税の特例制度の適用における投資法人が行う投資口の払戻しに伴うみなし配当についても、平成18年度改正前と同様の取扱いとなること。

(参考)

1 投資法人に係る課税の特例制度
 投資法人が支払う金銭の分配(出資総額等の減少に伴う金銭の分配として法人税法施行規則第8条の4に定めるものを除きます。)の金額(法人税法第24条の規定により配当とみなされる金額を含みます。)で、一定の要件を満たす事業年度(適用事業年度)に係るものは、当該適用事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されます(措法67の15丸1)。

2 配当と事業年度の対応関係
 会社法の制定により配当と事業年度との対応関係がなくなったことに伴い、平成18年度の税制改正において、それまでは事業年度終了後の株主総会等で決定される期末配当を当該事業年度末において利益積立金額から減算することとしていたものを、その決算配当の効力の生ずる日に減算することとされました(法令9丸1八、法規別表四など)。
 ただし、投資法人に係る課税の特例制度(措法67の15)や特定同族会社の特別税率制度(法法67)など、従前の期末配当の額が直接所得・税額計算に影響する制度については、従前の期末配当と同様に事業年度後の株主総会等で決定される決算配当を、従前どおり当該事業年度の所得・税額計算に影響させることとされています。

特例制度による利益の配当等の損金算入

3 投資法人が行う投資口の払戻し
 投資法人は、従来、運用の安定性確保を目的に、払戻しを行わないものの上場していることから換価が容易なクローズド・エンド型上場投資法人のみが設立されていたため、投資口の払戻しが行なわれることがありませんでした。
 しかしながら、昨今の金融市場の混乱等を踏まえ、不動産投資主の多様な投資性向に幅広く対応することを目的とし、投資口の払戻しに応ずることで換価性を担保しつつ上場しないオープン・エンド型非上場投資法人が設立されています。

4 投資口の払戻しに係る手続等
 投資主の請求により投資口の払戻しをする旨の規約の定めがある投資法人(オープン・エンド型投資法人)は、解散をした場合など一定の場合を除き、その請求に応じて投資口の払戻しを行わねばなりません(投信法86丸1、124丸1)。
 また、投資口の払戻しは、投資法人の保有する資産の内容に照らして公正な金額によらなければならず、払戻金額の支払の時にその効力を生ずることとされています(投信法125丸1丸2)。
 なお、上記の「投資法人の保有する資産の内容に照らして公正な金額」については、一般社団法人投資信託協会が作成した「不動産投資信託及び不動産投資法人に関する規則」において、オープン・エンド型投資法人につき原則的な定めと、適格機関投資家向けの特例的な定めが置かれています。
 なお、当該投資法人規則は、金融庁監督局との事前調整の上で制定されているものです。

  • (1) 原則的な定め
    • イ 投資主の請求に基づき投資口の払戻しを行う場合は、投資主からの請求があった日の基準価額を用いて行うものとされ(投資法人規則48)、この基準価額とは、総資産額に保有資産の評価損益を加減した額から負債を控除した額(時価純資産価額)を投資口数で除して計算することとされています(投資法人規則36、47丸2)。
      → 投資主から請求のあった日の時価純資産価額により払戻しが行われます。
    • ロ この基準価額の算定は、原則として、各計算期間の末日及び中間計算期間の末日並びに投資主が投資法人に対して払戻の請求を直接行うことが可能となっている日及び当該日の前5営業日に行うこととされています(投資法人規則39、47丸6)。

      → 結果として、投資主は、基準価額の算定日(基準日)においてのみ、投資口の払戻しを請求できることとなります(実務的には、基準日前の一定期間を払戻請求の受付期間と定め、その期間内に受け付けたものを基準日に請求されたものとして取り扱われています。)。

  • (2) 適格機関投資家向けの特例
    • イ 適格機関投資家のみを相手方として取得勧誘を行い、かつ適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれの少ないものに該当する一定のオープン・エンド型の投資法人の投資口は、計算期間の末日に計上する減価償却費に相当する金額を限度として、投資元本の払戻しとして分配できるものとされています(投資法人規則47の2)。
      → 元本部分の一部払戻が可能とされています。
    • ロ この基準価額の算定は、計算期間の末日のみとすることができ(投資法人規則47の3)、これによった場合には、投資主から請求のあった日の直前の計算期間末日の基準価額を用いて払戻しを行うことができます(投資法人規則48丸2)。

      → この場合、投資主は、基準日以外の日であっても請求を行うことができますが、直近の基準日(過去の基準日)による基準価額によることとなります。

【関係法令通達】

租税特別措置法第67条の15
法人税法第24条第1項第3号、第5号、第67条
法人税法施行令第9条第1項第8号
投資信託及び投資法人に関する法律第86条第1項、第124条第1項、第125条第1項、第2項
不動産投資信託及び不動産投資法人に関する規則第3条第8項、第10項、第36条、第39条、第47条、第47条の2、第47条の3、第48条

注記
 平成28年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。