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金銭債権を譲渡担保に提供した場合の取扱いについて

【照会要旨】

 A社は、○○の販売・修理を主たる事業としていますが、×年3月31日に、B銀行との間で、貸越元本限度額を10億円、取引期限を翌年3月31日、貸出利率を基準金利+1%とする当座貸越契約を締結しました。
 当該当座貸越契約と併せて、同契約に係る債務の弁済を担保するため、A社の顧客に対する割賦販売代金債権(以下「本件割賦債権」といいます。)をB銀行に譲渡する旨の「債権譲渡に係る基本協定書」(以下「本件基本協定書」といいます。)を×年3月31日付で、A社とB銀行との間で締結するとともに、同日、債権譲渡登記を行いました(以下、本件基本協定書に基づき行われる債権譲渡を「本件債権譲渡」といいます。)。
 A社が、本件割賦債権を当座貸越に係る債務の弁済のための担保に供した場合、税務上、本件割賦債権の譲渡はなかったものとして取り扱ってよろしいでしょうか。
 なお、A社は本件割賦債権について、会計上、金融資産の消滅を認識するものではないとして自己の資産として経理しています。

1 本件債権譲渡のイメージ

本件債権譲渡のイメージ

2 本件債権譲渡に係る本件基本協定書の要旨

  • (1) 担保の設定

     A社は、譲渡日(×年3月31日)において、B銀行がA社に有する当座貸越契約に係る債権(以下「本被担保債権」といいます。)を担保するため、B銀行に対し、本件割賦債権を譲渡する。

  • (2) A社の受領権限

     A社は、上記(1)の担保の設定にかかわらず、本被担保債権の全部又は一部について期限の利益喪失事由に該当することとなったことにより、受領権限を撤回されるまでの間は、顧客から本件割賦債権の弁済金を受領する権限を有する。

  • (3) 当座貸越契約に係る利息の支払い

     本件割賦債権の譲渡後においても、A社とB銀行との間で締結した当座貸越契約に基づき、A社は、当該当座貸越契約に係る債務について定められた利息を支払う。

  • (4) 担保設定対象債権の処分等

     B銀行は、本被担保債権の全部又は一部について期限の利益喪失事由が生じた場合には、直接取立てなどの方法により、本件基本協定書に基づき設定した担保権を実行することができる。
     ただし、B銀行が担保権の実行をした後になお残金がある場合には、遅滞なく当該残金をA社に返還するものとする。

【回答要旨】

 本件割賦債権の譲渡は、譲渡担保として認められ、A社が本件割賦債権をその担保として提供した時点では譲渡がなかったものとして経理しているときは、その処理が認められます。

(理由)

 法人税基本通達2−1−18《固定資産を譲渡担保に供した場合》においては、法人が債務の弁済の担保としてその有する固定資産を譲渡した場合において、その契約書に丸1当該担保に係る資産を当該法人が従来どおり使用収益すること、丸2通常支払うと認められる当該債務に係る利子又はこれに相当する使用料の支払に関する定めがあることを明らかにし、自己の固定資産として経理しているときは、その譲渡はなかったものとして取り扱うこととしています。本通達の取扱いは、固定資産について適用があるとされていることから、金銭債権を債務の弁済の担保として譲渡した場合には、本通達による取扱いはできず、金銭債権の譲渡があったものとして取り扱われるのではないかとも考えられます。
 この点、質疑応答事例《棚卸資産たる土地を譲渡担保に提供した場合の取扱い》において、棚卸資産が譲渡担保の目的物であったとしても、明らかに借入れのための担保の提供と認められる場合で、契約書に上記丸1及び丸2の事項を明らかにし、その担保として提供した時点において譲渡がなかったものとして経理していることを前提に、本通達の取扱いに準じてその棚卸資産の譲渡はなかったものとして取り扱われることとされています。
 これらのことを踏まえると、金銭債権が譲渡担保の目的物であっても、その譲渡が明らかに借入れのための担保の提供として認められる場合で、契約書に上記丸1及び丸2の事項を明らかにし、その担保として提供した時点において譲渡がなかったものとして経理している場合には、本通達の取扱いに準じてその譲渡はなかったものとして取り扱うものと考えられます。
 したがって、ご照会のように、当座貸越契約に係る債務の担保として金銭債権の譲渡がなされていることが明らかであり、契約書において、債権譲渡後に期限の利益喪失事由が生じるまでは、金銭債権の弁済金の受領権限を有するとされており、かつ、通常支払うと認められる当該債務に係る利息の支払に関する定めがある場合で、その担保として提供した時点において譲渡がなかったものとして経理しているときは、その処理が認められます。

【関係法令通達】

 法人税法第22条第2項、第4項

 法人税基本通達2−1−18

注記
 平成28年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。