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経済産業省

平成15・04・09経局第2号
平成15年4月9日

国税庁課税部長 村上 喜堂 殿

経済産業省大臣官房審議官(経済産業政策担当) 中嶋 誠

産業活力再生特別措置法において債権放棄を含む計画が認定された場合の資産評価損の計上に係る税務上の取扱いについて(照会)

  平成14年10月30日に策定された政府の「改革加速のための総合対応策」は、産業再編・事業の早期再生として、金融機関の不良債権処理の加速化に併せ、産業・金融一体となった対応を進めるため、企業・産業の再生を強力に推進することとしております。これを受けて、平成15年4月に改正された産業活力再生特別措置法(以下「改正産業再生法」という。)においては、我が国が直面している不良債権問題を重視し、産業界が抱えている過剰債務構造の是正を我が国の産業再生を図る上での重要課題の一つとして捉えております。改正産業再生法の事業再構築計画、共同事業再編計画及び経営資源再活用計画(以下「計画」という。)においては、計画が認定要件に適合しないものとなったと認めるとき等に、主務大臣が計画変更の指示・認定の取消しを行えることとなっておりますが、債権放棄を伴う資金に関する計画を含む計画(以下「債権放棄を含む計画」という。)に関しましては、かかる判断をより適時、適切に行えるよう、申請時及び実施状況報告時の提出書類を追加して運用実務を強化したところであります。

  企業が債権放棄を受ける場合には、債権放棄を含む計画において抜本的な事業の絞り込みが行われ、今後事業の用に供さない資産を処分して債務弁済の原資に充て、それでもなお、過剰債務を解消できずに債権放棄を受けるのが通常であると考えられます。その際に、処分を予定している資産のうち含み損を抱えるものにあっては、会計上その評価損の計上が債権者保護の観点から必要とされることとなる場合があります。このような資産の評価損に係る税務上の取扱いについて、下記のとおりで特に問題がないか、ご照会申し上げます。

  法人税法では、資産の評価換えによる損失について原則として損金の額に算入することを認めていません(法人税法第33条第1項)が、内国法人の有する資産(預金、貯金、貸付金、売掛金その他の債権を除く。)につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下ることとなつた場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その損失を損金の額に算入するとしています(同法第33条第2項)。
  法人税法施行令第68条は、この政令で定める事実のうち企業再建に係るものとして、会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の決定又は商法の規定による整理開始の命令があったことにより資産の評価換えをする必要が生じた場合を例示するとともに、これに準ずる特別の事実が生じた場合にも適用がある旨を規定しております。
  法人税基本通達9−1−5(2)及び9−1−16(2)は、この特別の事実に該当するものとして「民事再生法の規定による再生手続開始の決定」を例示し、棚卸資産及び固定資産について評価損の計上ができるとしています。
  法人税基本通達9−1−5及び9−1−16において、民事再生法が会社更生法等と同様に取り扱われたのは、裁判所という公的機関の関与を含めた一連の手続によって、債務者の財産の状況を明らかにした上で再生計画に基づく経理処理が行われるため、評価損計上の任意性が排除されるという理由によるものと理解しております。

 改正産業再生法において債権放棄を含む計画が認定された場合は、以下の1から3までの省令上に定める一連の手続により、通達において認められている民事再生法と同様に、評価損計上の任意性が排除されているものと考えております。

1認定の申請に当たって、事業者の事業の継続及び再建を内容とする計画に係る専門家(債権放棄を受ける事業者の事業の継続及び再建を内容とする計画に係る法律、税務、金融、企業の財務、資産の評価等に関する専門的な知識経験を有する者をいう。)による調査報告書の添付を求めている(施行規則第3条第3項第6号、第8条第3項第6号、第13条第3項第6号)。

2債権放棄について債権者との間で合意した日(「債権放棄合意日」という。)以後1月以内の一定の日における財産目録、貸借対照表及び当該一定の日を含む事業年度開始の日から当該一定の日までの損益計算書(再建計画の決定に伴い、一般に公正妥当な会計処理に従って必要とされる評価損の計上その他適切な会計処理を反映したものに限る。)を、当該債権放棄合意日以後4月以内に主務大臣に提出することを求めている(施行規則第39条第3項)。

3債権放棄を含む計画の報告にあっては、半期毎に公認会計士又は監査法人の監査を受けた貸借対照表及び損益計算書の添付を求めている(施行規則第39条第5項)。

  1は債権放棄を含む計画が円滑かつ確実に実施されることを確認するとともに、計画記載事項の適切性を判断するために徴収するものでありますが、この書類において事業者の財産の状況が明らかにされていることを前提としております。なお、当該書類は、計画期間中において計画と乖離した場合に適切な計画変更の指示・認定の取消しを実施するための参考資料としての位置づけも有しております。また、計画変更の指示等を適時に行えるように、改正産業再生法では四半期ごとに計画の実施状況について、売上及び有利子負債残高の推移について報告を求めるものとしております(施行規則第42条)。
  2は債権放棄の合意が行われた日以後1月以内の一定の日(月次決算日等)において、一般に公正妥当な会計処理に従って仮決算を行うことを求めるものです。改正産業再生法は、申請日の直近決算日における財務指標を基礎に計画終了時における当該指標の改善目標を認定基準としております。しかしながら、債権放棄を含む計画の場合は、事業継続の危機に瀕している状況にあるため、再建計画において今後事業の用に供さない資産の処分等の計画が織り込まれ、計画策定の直前事業年度と財務諸表作成のための前提が大きく乖離することが通常であると想定されます。仮決算は、財務諸表作成の前提変化の影響を排除した財務指標の推移により、事業者の指標向上のための取り組みの実質的な達成状況を判断するために求めるものであります。
  3は公認会計士又は監査法人の監査を義務づけることにより、債権放棄を含む計画について計画期間中における報告の財務数値の信頼性を担保したものです。

  改正産業再生法においては、1によって財産の状況が明らかになり、2によって債権放棄の合意が行われた時点において再建計画に基づき一般に公正妥当な会計処理に従って評価損が計上される資産が限定され、2の結果が3に反映されるという、主務大臣の関与を含めた一連の手続により、債務者の財産の状況が明らかになった上で再建計画に基づく経理処理が行われるため、制度上、評価損計上の任意性を排除することとなっております。
  さらに、この手続は、主務大臣がその実行を担保すべく適切に執行するものであり、仮に、当該貸借対照表等の提出のない者、虚偽の事項を記載した貸借対照表等の提出をした者に対しては、罰則規定(改正産業再生法第38条)が適用されるとともに、その程度のいかんによっては認定を取り消すことにもなります。
  従って、上記を前提とすれば、改正産業再生法において債権放棄を含む計画が認定されたことにより棚卸資産及び固定資産について評価換えをする必要が生じた場合は、民事再生法の規定による再生手続開始の決定の場合と同様に、法人税法第33条第2項の適用があるものと考えられます。

○ 取引等の税務上の取扱い等に関する事前照会