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ホーム税について調べるパンフレット・手引き平成19年6月 源泉徴収のあらまし>第8 配当所得の源泉徴収事務

第8 配当所得の源泉徴収事務

1 源泉徴収の対象となる配当所得の範囲

 源泉徴収の対象となる配当所得は、次の表に掲げるとおりです(所法24、25、181、212、措法6の3四、8の3、9の2)。

1 配当等の範囲

種類 内容
剰余金の配当

 法人(公益法人等及び人格のない社団等を除きます。)が支払う剰余金の配当(株式(投資口を含みます。)又は出資(法人課税信託の受益権、公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益権及び社債的受益権を含みます。)に係るものに限り、資本剰余金の額の減少に伴うもの及び分割型分割(法人課税信託に係る信託の分割を含みます。)によるものを除きます。)
(注) 剰余金の配当には農業協同組合等がその出資に応じて支払う配当で次に掲げるものが含まれます(所令621

1 企業組合がその組合員にその企業組合の事業に従事した程度に応じて支払う分配金

2 協業組合がその組合員に定款の別段の定めに基づき出資口数に応じないで支払う分配金

3 農事組合法人、漁業生産組合又は生産森林組合のうち、組合員に給与を支給している組合が、その組合員にその組合などの事業に従事した程度に応じて支払う分配金

4 農住組合がその組合員に組合事業の利用分量に応じて支払う分配金

(※) 協同組合等が支払う分配金であっても、その協同組合等の事業を利用した分量(取り扱った物の数量や金額)などに応じて支払うもので、その協同組合等の所得の計算上損金に算入されるいわゆる事業分量配当は、配当所得ではなく事業所得などになります(所令624)。

利益の配当  合名会社、合資会社、合同会社、特定目的会社がその持分や口数に応じて支払う利益の配当
剰余金の分配  船主相互保険組合法上の船主相互保険組合から支払われる配当など
基金利息  相互保険会社が保険業法第55条第1項の規定により基金の拠出者に対して支払う基金利息
投資信託(公社債投資信託及び 公募公社債等運用投資信託を除 きます。)及び特定受益証券発行 信託の収益の分配

 投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除 きます。)及び特定受益証券発行信託の収益の分配
 この収益の分配には、毎決算期ごとに支払われる分配金と信託契約の終了又は一部解約により支払われる分配金とがありますが、いわゆるオープン型の証券投資信託の分配金のうち、元本の払戻しに相当する部分として分配される特別分配金(収益調整金の分配金)は、非課税とされており、ここにいう収益の分配には含まれません(所法91十一、所令27)。

2 みなし配当

(1) みなし配当の範囲

種類 内容
みなし配当  法人(公益法人等及び人格のない社団等を除きます。)の株主等が、次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額とその他の資産の価額の合計額が、その法人の資本金等の額又は連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となった株式(投資口を含みます。)又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配とみなされて課税の対象とされます(所法251、所法611)。

(1) その法人の合併(法人課税信託に係る信託の併合を含み、適格合併を除きます。)

(2) その法人の分割型分割(適格分割型分割を除きます。)

(3) その法人の資本の払戻し資本剰余金の額の減少を伴う(株式に係る剰余金の配当のうち、分割型分割によるもの以外のものをいいます。)又はその法人の解散による残余財産の分配

(4) その法人の自己の株式又は出資の取得(次のイからヌの事由による取得及びルの取得を除きます。)

イ 証券取引所(金融商品取引所)の開設する市場における購入

ロ 店頭売買登録銘柄として登録された株式のその店頭売買による購入

ハ 電子情報処理組織を使用して、同時に多数の者を一方の当事者又は各当事者として一定の売買価格の決定方法により有価証券の売買の媒介、取次ぎ又は代理をする場合のその売買

ニ 事業の全部の譲受け

ホ 合併又は分割若しくは現物出資による被合併法人又は分割法人若しくは現物出資法人からの移転

ヘ 適格分社型分割による分割承継法人からの交付

ト 株式交換による株式交換完全親法人からの交付

チ 合併に反対するその合併に係る被合併法人の株主等の買取請求に基づく買取り

リ 会社法第192条第1項(単元未満株式の買取り請求)又は同法第234条第4項(一に満たない端数の処理)の規定による買取り

ヌ 所得税法施行令第167条の7第6項(株式交換等による取得株式等の取得価額の計算等)に規定する一株に満たない端数に相当する部分の対価としての金銭の交付

ル 取得請求権付株式の係る請求権の行使によりその取得の対価としてその取得をする法人の株式のみが交付される場合の取得請求権付株式の取得、取得条項付株式 に係る取得事由の発生によりその取得の対価としてその取得をされる株主等にその取得をする法人の株式のみが交付される場合(その取得の対象となった種類の 株式のすべてが取得をされる場合には、その取得の対価としてその取得をされる株主等にその取得をする法人の株式及び新株予約権のみが交付される場合を含み ます。)の取得条項付株式の取得又は全部取得条項付種類株式にかかわる取得決議によりその取得の対価としてその取得をされる株主等にその取得をする法人の 株式のみが交付される場合若しくはその取得をする法人の株式及び新株予約券のみが交付される場合の全部取得条項付種類株式の取得

(5) その法人の出資の消却、出資の払戻し、その法人からの社員その他の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又はその法人の株式若しくは出資をその法人が取得することなく消滅させること

(6) その法人の組織変更(その組織変更に際してその組織変更をしたその法人の株式又は出資以外の資産を交付したものに限ります。)

(注)

1  資本金等の額とは、株主等から出資を受けた一定の金額をいいます(法法2十六、法令8)。

2  被合併法人又は分割法人の株主等に株式に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配として交付される金銭その他の資産及び合併に反対するその株主等に対する買取請求に基づく対価として交付がされる金銭その他の資産は、所得税法第25条第1項の金銭その他の資産には含まれず、それぞれ配当所得に係る収入金額及び株式等の譲渡所得等に係る収入金額とされます(所令613)。

 (2) 配当等とみなす金額
配当等とみなす金額

○ 資本等のうち株式に対応する部分の金額

 1 自己株式の取得等をした法人が一の種類の株式のみを発行していた場合

自己株式の取得等をした法人が一の種類の株式のみを発行していた場合の算式

 2 自己株式の取得等をした法人が二以上の種類の株式を発行していた場合

自己株式の取得等をした法人が二以上の種類の株式を発行していた場合の算式

(注) 1の算式の「資本金等の額」又は2の算式の「その種類の株式に係る種類資本金額」が零以下である場合は、零とします。

2 配当所得に対する源泉徴収

1 居住者に支払う配当所得

 1居住者に対し国内において配当等を支払う者、2居住者に支払われる国外投資信託等の配当等(配当等に該当する投資信託又は特定目的信託の収益の分配のうち、国外で発行され国外で支払われるものをいいます。)の国内における支払の取扱者、又は3居住者に支払われる国外株式の配当等(国外で発行された株式の利益の配当で国外で支払われるものをいいます。)の国内における支払の取扱者は、その支払の際、次の表に掲げるところにより、所得税の源泉徴収を行うことになっています(所法1811、 182二、措法8の2、8の3、9の2、9の3)。

課税方式 対象となる配当所得 源泉徴収税率 確定申告不要制度の適用
総合課税 軽減税率適用分

1 上場株式等の配当等(234を除きます。)
(注1、2)

7%
(注3)
 金額の多寡にかかわらず確定申告をすることを要しません(措法8の51二〜五)。
 ただし、確定申告をして源泉徴収税額の還付を受けることもできます。

2 公募証券投資信託の収益の分配(公社債投資信託及び特定株式投資信託を除きます。)

3 特定株式投資信託

4 特定投資法人の投資口の配当等

普通税率適用分

5 14以外の配当等

20%  1回に支払う金額が10万円に配当計算期間(その配当等の直前にその法人が支払った配当等の支払に係る基準日の翌日からその法人が支払う配当等の支払に係る基準日までの期間を言います。)の月数(最高12か月)を乗じてこれを12で除して計算した金額以下であるものについては、確定申告をすることを要しません(措法8の51一、9の25)。
 ただし、確定申告をして源泉徴収税額の還付を受けることもできます。
(注5、6)
源泉分離課税

6 私募公社債等運用投資信託の収益の分配

15%
(注7)
 確定申告をすることはできません(源泉徴収だけで納税が完結します。)(措法8の21))。

7 特定目的信託(社債的受益証券に限ります。)の収益の分配

(注)

1 「上場株式等」とは、証券取引所(金融商品取引所)に上場されている株式など、措法第37条の11第1項に規定するもの(第9 特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等の源泉徴収事務 I 3参照)をいいます。

2 発行済株式の総数又は出資金額の5%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する個人(以下「大口株主」といいます。)が受ける配当等を除きます。
 この場合、軽減税率の適用が受けられない大口株主が受ける上場株式等の配当等については、5の配当等に含まれ、20%の税率により源泉徴収をすることとなります。

3 このほかに地方税3%の特別徴収が必要です。なお、平成21年4月1日以後に支払うべきものについては、15%(他に地方税5%)の税率が適用されます(措法9の3)。

4 特定株式投資信託については、いわゆる確定申告不要制度の対象となります(措法8の51四)。

5 1回に支払を受ける金額が適用金額を上回る配当等については、確定申告を要します(所法22、182)。ただし、給与所得者で給与所得以外の配当所得などの所得が20万円以下の人は、原則として申告を要しません(所法1211)。

6 国外投資信託の配当等及び国外株式の配当等が確定申告を要しない配当所得に該当するかどうかについては、5の配当等としてその適用の有無を判断します(措法8の36、9の25)。

7 このほかに地方税5%の特別徴収が必要です。

(参考)
 
投資信託等の課税関係は、次のようになります。


投資信託及び特定目的信託の課税関係

(注)

1.かっこ書きは、運用資産等を表します。

2.は、利子所得を表します。

3.□は、配当所得を表します。なお、*印は利子所得課税に準じた課税方法を表します。

2 内国法人に支払う配当所得
 
内国法人(非課税法人を除きます。)に配当等を支払う者や、内国法人に支払われる国外投資信託等の配当等及び国外株式の配当等の国内における支払の取扱者は、その支払の際、前記1の表と同様の税率により源泉徴収を行うことになっています(所法2123、2132、措法8の24、8の33、9の22、9の3)。

(注) 前記1の(注)3における地方税は徴収されません。

3 公募株式等証券投資信託の受益権を買い取った証券業者等(金融商品取引業者等)が支払を受ける収益の分配についての源泉徴収の不適用の特例
 証券業者等(金融商品取引業者等)(証券会社、登録金融機関及び投資信託委託会社をいいます。)が、募集等の取扱いを行った公募株式等証券投資信託(特定株式投資信託を除きます。)の受益権を顧客からの買取請求に応じて買い取った場合において、その受益権が信託の設定(追加設定を含みます。)から買取りまでの期間を通じて振替口座簿への振替記載等の方法により管理されていたものであるときは、その証券業者等(金融商品取引業者等)が当該買取りの日又は同日の翌営業日(当該買取りが、その公募株式等証券投資信託の一部の解約ができない期間(いわゆるクローズド期間)中に行われたものである場合には、クローズド期間の終了する日の翌営業日又は翌々営業日)にその公募株式等証券投資信託の終了又は一部の解約により支払を受ける収益の分配のうちその顧客がその受益権を引き続き所有していた期間に対応する部分の金額については、所得税の源泉徴収を行わないこととされています(措法9の5、措令4の8145)。

4 上場会社等の自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当課税の不適用の特例
 上場会社等(株式が証券取引所(金融商品取引所)に上場されている株式会社及び株式が店頭売買登録銘柄として登録されている株式会社をいいます。)が、平成7年11月17日から平成21年3月31日までの間に公開買付けにより自己の株式を取得した場合において、その上場会社の株主である個人がその公開買付に応じて行うその上場会社等の株式の譲渡の対価として交付を受ける金銭の額がその上場会社等の資本金等の額のうち、その交付の基因となった株式に対応する部分の金額を超える部分の金額については、みなし配当課税を行わずに、譲渡対価の全額を株式の譲渡による収入金額として譲渡所得の金額の計算をすることとされています。(措法9の6、措令5)。

5 相続財産である非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の不適用の特例
 相続又は遺贈により財産の取得をした個人でその相続又は遺贈について納付すべき相続税額がある者が、その相続の開始があった日の翌日からその相続に係る相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、その相続税額の課税価格の計算の基礎に算入された非上場株式をその発行会社に譲渡した場合において、その譲渡対価の額がその譲渡した株式に係る資本金等の額を超えるときは、その超える部分の金額については、みなし配当課税を行わずに、譲渡対価の全額を株式の譲渡による収入金額として譲渡所得の金額の計算をすることとされています(措法9の7)。

 (注) 納付すべき相続税額がない場合には、この特例の適用を受けることができません。

 なお、この特例の適用を受けようとする人は、非上場株式をその発行会社に譲渡する時までに、1この特例を受けようとする旨、2自己の氏名・住所及び被相続人の氏名・死亡時の住所・死亡年月日、3納付すべき相続税額又はその見積額並びに4相続税額の課税価格に算入された株式の数及びそのうちその株式の発行会社に譲渡しようとするものの数などを記載した届出書、その発行会社に提出しなければならないこととされています(措令5の21)。
  また、その届出書の提出を受けた非上場会社は、その非上場株式を譲り受けた場合には、1譲り受けた株式の数、21株当たりの譲受けの対価の額及び3譲り受けた年月日を記載した届出書を、上記の特例適用者から提出された届出書とあわせて、譲り受けた日の属する年の翌年1月31日までに所轄税務署長に提出するとともに、これらの届出書の写しを作成し、届出書を提出した日の属する年の翌年から5年間保存しなければならないこととされています(措令5の223、措規5の5)。

3 源泉徴収をした所得税の納付

 居住者及び内国法人に配当等(投資信託及び特定受益証券発行信託の収益の分配を除きます。)を支払う際に源泉徴収をした所得税は「配当等の所得税徴収高計算書(納付書)」を、また、投資信託又は特定受益証券発行信託の収益の分配を支払う際に源泉徴収をした所得税は、それぞれ支払った月の翌月10日までに「利子等の所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて、最寄りの金融機関(銀行、郵便局等)、所轄の税務署の窓口又はe-Taxで納付します(所法1812、220、所規80、国税通則法341)。ただし、配当等(投資信託及び特定受益証券発行信託の収益の分配を除きます。)については、その支払の確定した日から1年を経過した日までにその支払がない場合には、その1年を経過した日に支払があったものとみなして、その未払配当についての所得税の源泉徴収をし、その日の属する月の翌月10日までに納付しなければならないことになっています(所法1812、2124)。

平成19年6月 源泉徴収のあらまし