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ホーム税について調べるパンフレット・手引き平成19年6月 源泉徴収のあらまし>第4 公的年金等の源泉徴収事務

第4 公的年金等の源泉徴収事務

 公的年金等の所得区分は雑所得とされていますが、この公的年金等については、通常、経済的稼得力が減退する局面にある人の生計手段とするために給付されるものであること等を考慮して、通常の雑所得とは異なった所得金額の計算方法が採用されています。
 このため、源泉徴収の方法についても、公的年金等の性質に即した仕組みとなっています。
 また、公的年金等の受給者については、給与所得のような年末調整も行わないこととされており、生命保険料控除、損害保険料控除などは源泉徴収の段階で控除できないこととされているため、源泉徴収された税額とその年に納付すべき税額との差額については、確定申告で精算することになります。

1 公的年金等の雑所得の金額

 公的年金等に係る雑所得の金額は、その年中の公的年金等の収入金額から受給者の年齢や公的年金等の収入金額に応じた公的年金等控除額を控除した残額とされています(所法 352一)。
 公的年金等控除額は、次のとおりです(所法354、措法41の15の2)。

受給者の区分 その年中の公的年金等の収入金額(A) 控除額
年齢65歳
以上の人
330万円以下  
120万円
330万円超 410万円以下
(A)×25%+ 37万5,000円
410万円超 770万円以下
(A)×15%+ 78万5,000円
770万円超  
(A)×5%+155万5,000円
年齢65歳
未満の人
130万円以下  
70万円
130万円超 410万円以下
(A)×25%+ 37万5,000円
410万円超 770万円以下
(A)×15%+ 78万5,000円
770万円超  
(A)×5%+155万5,000円

(注) 受給者の年齢が65歳未満であるかどうかの判定は、その年の12月31日における年齢により判定することとされています(措法41の15の24)。

2 公的年金等の範囲

 公的年金等とは、次に掲げるものをいいます(所法353、所令82の2)。

イ 国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、独立行政法人農業者年金基金法及び旧船員保険法の規定に基づく年金、指定共済組合が支給する年金、旧令共済退職年金、廃止前の農林漁業団体職員共済組合法の規定に基づく年金、石炭鉱業者年金

ロ 恩給(一時恩給を除きます。)及び過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金(廃止前の国会議員互助年金法に規定する普通退職年金及び地方公務員の退職年金に関する条例の規定による退職を給付事由とする年金を含みます。)

ハ 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給される年金、特定退職金共済団体の支給する年金、外国年金、中小企業退職金共済法に規定する分割払の方法により支給される分割退職金、小規模企業共済法に規定する共済契約に基づく分割共済金、適格退職年金及び確定拠出年金法に基づいて企業型年金規約又は個人型年金規約により老齢給付金として支給される年金

(注)

1 転籍者に対して転籍前の法人から転籍後の法人との給与条件の較差を補てんするために支給される較差補てん金は、公的年金等ではなく給与所得とされます(所基通35−7)。

2 死亡後に支給期(次のIIIの公的年金等の収入すべき時期をいいます。)の到来する公的年金等のうち相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、所得税は課されません(所基通9−17)。

3 公的年金等の収入すべき時期

 公的年金等についてその収入することが確定する時期は、次に掲げる公的年金等の区分に応じ、それぞれ次に掲げる日によることとされています(所基通36−14(1))。

1 一般の公的年金等……その公的年金等の支給の基礎となる法令、契約、規程又は規約(以下「法令等」といいます。)により定められた支給日

(注) 裁定の遅延や誤びゅう等の理由に基づいて、過年度分のそ及裁定、再裁定、増額改定、更正などが行われたことにより、既往にさかのぼって支払われる公的年金等についても同様です。

2 法令等の改正、改訂により既往にさかのぼって支払われる新旧公的年金等の差額……それぞれ次に掲げる日

(1) 支給日が定められているものについては、その支給日

(2) 支給日が定められていないものについては、その改正又は改訂の効力が生じた日

4 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

1 提出する人
 国内において公的年金等の支払を受ける居住者は、原則として、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」(以下「扶養親族等申告書」といいます。)を提出しなければなりません(所法203の51、所令319の9)。
 ただし、次に掲げるいわゆる3階建部分の年金の受給者については、この申告書を提出することはできません。

(1) 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給される年金、特定退職金共済団体の支給する年金、外国年金、中小企業退職金共済法に規定する分割払の方法により支給される分割退職金、小規模企業共済法に規定する共済契約に基づく分割共済金、適格退職年金、確定拠出年金法に基づいて企業型年金規約又は個人型年金規約により老齢給付金として支給される年金

(2) 石炭鉱業者年金

(3) 過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金(廃止前の国会議員互助年金法に規定する普通退職年金及び地方公務員の退職年金に関する条例の規定による退職を給付事由とする年金を除きます。)

(注)

1 この申告書を提出しないと源泉徴収の段階で受けることのできる人的控除等が受けられないこととなり、源泉徴収の際には支給金額の7.5パーセント相当額の税額(この申告書を提出した場合の税額よりも高額となっています。)が徴収されることになります(所法203の3三)。

2 公的年金等(上記(1)から(3)までに掲げる年金及び廃止前の農林漁業団体職員共済組合法の規定に基づく特例年金給付を除きます。)のその年中に支払を受けるべき金額が65歳未満の人の場合には108万円、65歳以上の人の場合には158万円(次に掲げるいわゆる2階建部分の年金については80万円)未満であれば、この申告書を提出する必要はありません(所法203の6、所令319の12、措令26の271)。

(1) 厚生年金保険法の規定により厚生年金基金又は企業年金連合会が支給する老齢年金

(2) 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法又は私立学校教職員共済法に掲げる退職共済年金(一定のものを除きます。)

(3) 独立行政法人農業者年金基金法(平成13年改正前の農業者年金基金法を含みます。)に掲げる農業者老齢年金

(4) 国民年金法の規定により国民年金基金又は国民年金基金連合会が支給する年金
 なお、公的年金等の支払者が、一の受給者に対し、2以上の公的年金等を支給する場合には、原則として、これらの年金を合計した金額で108万円未満か又は158万円(上記のいわゆる2階建部分の年金については80万円)未満かを判定することとし、その2以上の公的年金等が所得税法第203条の3第1号に掲げる公的年金等と同条第2号に掲げる公的年金等である場合には、これらの年金の合計額を同条第1号に掲げる公的年金等の金額として判定します(所基通203の6−1)。

3 平成16年度の税制改正により、廃止前の農林漁業団体職員共済組合法の規定に基づく特例年金給付については、平成16年6月1日以後に支払を受けるべきものから、扶養親族等申告書を提出しなければならないこととされています(平16改正法附則81、所法319の9、平16改正所令附則6)。

2 提出先
 
この申告書は、公的年金等の支払者を経由してその支払者の源泉所得税の納税地の所轄税務署長に提出することになっていますが、税務署長から特に提出を求められた場合以外は、その提出を受けた公的年金等の支払者が保管しておくことになっています(所基通203の5−1)。

3 提出期限
 この申告書は、毎年最初に公的年金等の支払を受ける日の前日までに提出することになっています(所法203の51)。

4 申告書の記載事項
 公的年金等の支払を受ける人が、障害者や控除対象配偶者などを対象とする人的控除等を受けようとする場合には、次のような事項をこの申告書に記載して提出します(所法203の51、所規77の31)。

(1) 公的年金等の支払を受ける人が一般の障害者又は特別障害者に該当する場合には、これらに該当することの事実

(2) 控除対象配偶者や扶養親族の氏名、また、これらの扶養親族等のうちに老人控除対象配偶者、老人扶養親族又は特定扶養親族に該当する人がいる場合には、老人控除対象配偶者、老人扶養親族又は特定扶養親族に該当することの事実

(3) 公的年金等の支払を受ける人の控除対象配偶者や扶養親族のうちに一般の障害者又は特別障害者に該当する人がいる場合には、その人の氏名及びこれらに該当することの事実

(注) 公的年金等の支払者が国税庁長官の承認を受けている場合には、簡略化した申告書により申告することができます(所法203の52)。

5 申告書の電磁的方法による提供

   平成19年度の税制改正により、公的年金等の支払をする者が、受給者から公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載すべき事項に関し電磁的提供を受けるための必要な措置を講じる等の一定の要件を満たしていることについて所轄税務署長の承認を受けている場合(注1)には、その受給者は、書面による申告書の提出に代えて、電磁的方法により申告書に記載すべき事項の提供を行うことができることとされました(注2)(所法198、203の5、所令319の2、319の11、所規76の2、77の3)。

(注)

1 承認を受けるための申請書の提出をした日の属する月の翌月末日までにその承認又は不承認の決定がなかったときは、その提出日の翌月末日において承認があったものとみなされます。

2 申告書に記載すべき事項の電磁的提供に当たっては、1公的年金等の支払をする者が発行した個々の受給者の識別ができるID及びパスワード、又は2受給者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書をもって、これらの申告書にすべき本人の署名・押印に代えることができます。

3 この改正は、公的年金等の支払をする者が所轄税務署長に対し承認を受けるための申請書を平成19年7月1日以後に提出し、受給者がその税務署長の承認を受けている公的年金等の支払をする者に対し上記の申告書を同日以後に提出する場合について適用されます。

5 公的年金等に対する源泉徴収

 居住者に対し国内において公的年金等の支払をする者は、その支払の際、次により所得税を源泉徴収しなければなりません(所法203の2)。

(注)  公的年金等が、4の1の(注)2に掲げる年金に該当する場合には、源泉徴収の必要はありません(所法203の6、所令319の12)。
 なお、公的年金等の支払者が、一の受給者に対し、2以上の公的年金等を支給する場合についても、当該(注)2と同様に判定します(所基通203の6−1)。

1 扶養親族等申告書の提出のある人の場合(所法203の3一、措法41の15の22

(1) 源泉徴収税額の計算(平成19年分)
 源泉徴収税額は、次の算式より求めた金額となります。

 源泉徴収税額=(公的年金等の支給金額ー控除額)×5% (1円未満の端数切捨て)

(2) 控除額の計算  

控除額=(基礎的控除額+人的控除額)×月数(その支給金額の計算の基礎となった期間の月数)

(注)

1 4の1の(注)2のいわゆる2階建部分の年金及び同(注)3の特例年金給付については、上記の「控除額の計算」の算式で求めた金額から次の一定金額を減額した金額が控除額とされます(所法203の3二、所令319の6)。

イ 前記41の(注)2(1)に掲げる年金 72,500円×月数

ロ 前記41の(注)2(2)〜(4)に掲げる年金 47,500円×月数

ハ 前記41の(注)3に掲げる特例年金給付

 (イ) 老齢基礎年金の受給者である場合
 次のイロのいずれか少ない金額×月数

イ 2階建部分の年金の支給金額の月割額×75%+47,500円

ロ 上記1(2)の控除額−特例年金給付の金額の月割額×25%
 なお、「2階建部分の年金」とは、1厚生年金保険法の規定により支給される老齢厚生年金2廃止前の農林漁業団体職員共済組合法の規定により支給される一定の退職共済年金などをいいます。

 (ロ) 老齢基礎年金の受給者でない場合
 次のイロのいずれか少ない金額×月数

イ (1階建部分+2階建部分の年金の支給金額)の月割額×75%

ロ 上記1(2)の控除額−特例年金給付の金額の月割額×25%
 なお、「1階建部分+2階建部分の年金」とは、1厚生年金保険法附則第8条の規定により支給される老齢厚生年金、2国民年金法等の一部を改正する法律(昭60法律第34号)附則第63条第1項の規定により支給される老齢年金、などをいいます。

2 公的年金等の支払の際に控除される社会保険料がある場合には、その公的年金等の金額に相当する金額からこの社会保険料の金額を控除した残額に相当する金額の公的年金等の支払があったものとみなして源泉徴収税額の計算を行います(所法203の4一)。

1 基礎的控除額(所法203の3、措法41の15の21

受給者の区分 控除額
年齢65歳
以上の人
公的年金等の支払金額の月割額×25%+6万5,000円
(計算した金額が13万5,000円未満の場合には、13万5,000円)
年齢65歳
未満の人
公的年金等の支給金額の月割額×25%+6万5,000円
(計算した金額が9万円未満の場合には、9万円)

(注) 公的年金等の支給金額の月割額は、公的年金等の金額をその公的年金等の支給の計算の基礎となった月数で除して計算し、その金額が4円の整数倍でないときは、その金額を超える4円の整数倍である金額のうち最も少ない金額とします(所令319の5、319の71)。

2 人的控除額(所法203の3−)
  「イ」欄から「ニ」欄により求めた金額の合計額です。

区分 内容 控除額
本人に関するもの イ 障害者に当たる場合 一般の障害者 22,500円
特別障害者 35,000
控除対象配偶者及び扶養親族に関するもの ロ 控除対象配偶者がいる場合 一般の控除対象配偶者 32,500
老人控除対象配偶者 40,000
ハ 扶養親族がいる場合 一般の扶養親族1人につき 32,500
老人扶養親族1人につき 40,000
特定扶養親族1人につき 52,500
ニ ロ及びハの人が障害者に当たる場合 一般の障害者1人につき 22,500
特別障害者1人につき 35,000

2 扶養親族等申告書の提出がない人の場合(所法203の3三)

(1) 源泉徴収税額の計算
 源泉徴収税額=(公的年金等の支給金額−控除額)×10%

(2) 控除額の計算
 控除額=公的年金等の支給金額×25%

3 公的年金等を併給する場合の源泉徴収税額の計算
 一の公的年金等の支払者が、一の受給者に対し種類の異なる2以上の公的年金等を支給する場合には、支給する年金の金額を合計し、その合計金額から控除額を控除して源泉徴収を行います。ただし、2以上の公的年金等を支給する場合でも、その2以上の公的年金等がそれぞれ異なる法律に基づくもので、かつ、その2以上の公的年金等が相互に関連又は補完関係を有しないことなどを理由として、支払に関する事務や支払が別々に行われているような場合には、別々に計算して差し支えありません(所基通203の3−1(1))。

(注) 2以上の公的年金等を合計して源泉徴収を行う場合において、その2以上の公的年金等が所得税法第203条の3第1号に掲げる公的年金等と同条第2号に掲げる公的年金等とであるときは、その合計金額を同条第1号に掲げる公的年金等の金額として控除額を計算することになります(所基通203の3−1(2))。

4 新旧公的年金等の差額等に対する源泉徴収税額の計算

(1) 法令等の改正、改訂が既往の期間にさかのぼって行われた場合
 既往の期間にさかのぼって支給される年金の収入すべき日(3の2に掲げる日)の属する月が法令等に定められている支払期月(法令等により定められた支払月をいいます。)と同じである場合には、その支払期月に支払われる通常の年金に加算したところにより控除額と税額の計算を行います。また、収入すべき日の属する月と支払期月とが異なる場合には、収入すべき日の属する年内の、その収入すべき日の属する月の直前又は直後の支払期月に支払われる通常の年金に加算したところにより控除額と税額の計算を行います(所基通203の3−2(1))。
 なお、この場合、既往の期間にさかのぼって支給する年金を、その収入すべき日の属する月中に実際に支払っていないとき(収入すべき日の属する年内に支払われるときに限ります。)は、実際に支払った日の属する月を収入すべき日の属する月として取り扱うこととする簡便法が認められています(所基通203の3−2(1)の注書)。

(2) 裁定の遅延、誤びゅう等、(1)以外の理由により既往にさかのぼって支払が行われた場合
 過年度分のそ及裁定、再裁定、請求遅延による改定、更正等により支払われることとなった公的年金等については、その公的年金等の計算の対象となった期間内のそれぞれの支払期月ごとに区分して控除額の計算と税額の計算を行います。ただし、その支払が新規裁定によるものでない場合には、これに代えて公的年金等の月割額の同じグループ単位でその月割額を基として計算する簡便法が認められています。
 なお、控除額を計算する際には、公的年金等の収入すべき日(3の1に掲げる日)において提出されている扶養親族等申告書(裁定が新たに行われた場合には、支給する日の前日までに提出されているもの)を基に行います(所基通203の3−2(2))。

6 公的年金等の支払明細書の交付

 国内において公的年金等の支払をする者は、支払の際に、公的年金等の金額、源泉徴収税額など必要な事項を記載した支払明細書をその支払を受ける人に交付する必要があります(所法231、所規100)。

(注) 平成19年度の税制改正により、公的年金等の支払をする者は、公的年金等の支払を受ける人の承諾を得て、書面による公的年金等の支払明細書の交付に代えて、公的年金等の支払明細書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができることとされました。この提供により、公的年金等の支払をする者は、公的年金等の支払明細書を交付したものとみなされます。ただし、公的年金等の支払を受ける人の請求があるときは、公的年金等の支払をする者は書面により公的年金等の支払明細書を交付する必要があります。
  この改正は、平成20年1月1日以後に交付する公的年金等の支払明細書について適用されます。

7 源泉徴収をした所得税の納付

 居住者に公的年金等を支払う際に源泉徴収をした所得税は、「報酬・料金等の所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて、その公的年金等を支払った月の翌月10日までに最寄りの金融機関(銀行、郵便局等)、所轄の税務署の窓口又はe-Taxで納付します(所法203の2、220、所規80、国税通則法341)。
なお、納付する税額がない場合であっても、この所得税徴収高計算書(納付書)は、所轄の税務署にe-Tax又は郵便若しくは信書便により送付又は提出してください。

平成19年6月 源泉徴収のあらまし