ホーム> 税について調べる>パンフレット・手引き>平成19年6月 源泉徴収のあらまし>第2 給与所得の源泉徴収事務
所得税は、源泉分離課税とされる利子所得などを除き、その年中に各人に帰属するすべての所得を総合し、その所得の総額から基礎控除額や扶養控除額などの所得控除額を差し引き、その残額に税率を適用して課税する、いわゆる「総合課税」の建前をとっています。また、既に説明したように、納税については、所得者自身が所得とそれに対する税額を計算して確定申告をし、自発的に納税する、いわゆる「申告納税制度」を採用しています。
給料や賃金等によって生計を立てている給与所得者についても、総合課税や申告納税の建前に従って所得税の課税が行われることになりますが、給与所得者は、一般的には給料や賃金等の収入以外に所得のない場合が多いので、各人の確定申告を待つまでもなく、給与の支払者の下で比較的容易に総合課税の要請に応ずることができます。そこで、給与所得に対する所得税については、いわゆる源泉徴収制度を採用し、給料や賃金等の支払者が給与を支払う際に、支払額に応じた所得税をその給与から差し引いてこれを国に納付するとともに、年末において年末調整を行い、その年中の給与の総額に対する年税額と給与の支払の都度差し引いて納付した源泉所得税の合計額とを対比して、過不足額の精算をすることとし、給与所得者が申告納税をする手数を省くこととしています。
給与所得の課税標準 所得税は、原則としてその年中の収入金額から必要経費の額などを控除した、いわゆる純所得を課税標準として課税するものですが、給与所得については、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額(下記2の給与所得者の特定支出控除の特例の適用を受ける場合には、適用後の金額)を課税標準とすることになっています。
この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて、次の表のように定められています(所法28
)。
(注) 月々(日々)の源泉徴収税額を計算する際に使用する「給与所得の源泉徴収税額表」(月額表や日額表など)には、既に給与所得控除相当額が織り込まれていますので、月々(日々)の源泉徴収の都度、次の給与所得控除額の算式によって給与所得控除額を計算する必要はありません。また、年末調整の際には、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した後の金額から各種所得控除額を控除した後の課税給与所得金額について「年末調整のための所得税額の速算表」を使用して税額を求めることになりますが、この場合の給与所得控除後の給与等の金額は、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」によって求めます(所法28
、190)。
【給与所得控除額の算式】
| 給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 162万5,000円以下の場合 162万5,000円を超え180万円以下の場合 180万円を超え360万円以下の場合 360万円を超え660万円以下の場合 660万円を超え1,000万円以下の場合 1,000万円を超える場合 |
65万円 収入金額×40% 収入金額×30%+ 180,000円 収入金額×20%+ 540,000円 収入金額×10%+1,200,000円 収入金額× 5%+1,700,000円 |
給与所得者が、特定支出をした場合において、その年中の特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えるときは、その年分の給与所得の金額は、次の算式により求めた金額とすることができます(所法57の2
)。
給与所得控除後の給与等の金額 − 特定支出の額の合計額のうち給与所得控除額を超える部分の金額 = 給与所得の金額
この特定支出とは、
通勤のために必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のための支出、
転任に伴う転居のための支出、
職務の遂行に直接必要な技術又は知識を習得するために受講する研修のための支出、
職務の遂行に直接必要な資格の取得費及び
転任に伴い単身赴任をしている人の帰宅のための往復旅費で、一定の要件に当てはまるものをいいます。
ただし、特定支出につき、給与の支払者より補てんされる部分があり、かつ、その補てんされる部分につき所得税が課されない場合におけるその補てんされる部分は除かれます(所法57の2
)。
なお、この特定支出控除の特例の適用を受けるためには、確定申告書に次の書類の添付等が必要です(所法57の2![]()
)。
特定支出に関する明細書
給与の支払者の証明書
特定支出の金額等を証する書類
鉄道等の利用区間等を証する書類
(注) これらの様式は、国税庁ホームページからダウンロードできます。なお、税務署にも用意してあります。
給与所得の範囲 給与所得とは、俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有するものをいいます(所法28
)。
なお、給与所得の範囲について注意すべき主な事項は、次のとおりです。
通勤手当(通常の給与に加算して支給されるものに限ります。)や通勤用定期乗車券(これらに類する手当や乗車券を含みます。)は、次の区分に応じ、それぞれ1か月当たり次の金額までは課税されないことになっています(所法9
五、所令20の2)。
| 区分 | 課税されない金額 | |
|---|---|---|
| 1か月当たりの合理的な運賃等の額 (最高限度 100,000円) | ||
| 通勤距離が片道45キロメートル以上である場合 | 24,500円 ![]() | |
| 通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合 | 20,900円![]() |
|
| 通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合 | 16,100円![]() | |
| 通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合 | 11,300円![]() | |
| 通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合 | 6,500円 | |
| 通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合 | 4,100円 | |
| 通勤距離が片道2キロメートル未満である場合 | (全額課税) | |
| 1か月当たりの合理的な運賃等の額 (最高限度 100,000円) | ||
| 1か月当たりの合理的な運賃等の額と 最高限度 100,000円) | ||
(注)
1 「合理的な運賃等の額」とは、通勤のための運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃又は料金の額をいいます。この「合理的な運賃等の額」には、新幹線鉄道を利用した場合の特別急行料金は含まれますが、グリーン料金は含まれません(所基通9−6の3)。
2
の「運賃相当額」とは、交通用具を使用している人が交通機関を利用したとしたならば負担することとなる1か月当たりの合理的な運賃等の額に相当する金額をいいます(所令20の2)。
3 この運賃相当額は、現にその人が通勤のため交通機関を利用した場合に負担することとなる運賃等の額によることになりますが、通勤のために利用する交通機関がないことなどにより、その運賃等の額によることができない場合には、その人の交通用具を使用する通勤距離に相当する距離につきいわゆるJR各社の鉄道を利用した場合に負担することとなる地方交通線の通用期間1か月の通勤定期旅客運賃の額によって差し支えありません(所基通9−6の2)。
4 「運賃等の額」には、消費税及び地方消費税相当額が含まれます。したがって、消費税及び地方消費税込みの運賃等の額が、上記の「課税されない金額」以下であれば、課税される金額はないことになりますが、消費税及び地方消費税込みの運賃等の額が、上記の「課税されない金額」を超える場合には、その超える部分の金額が課税の対象となります(平元直法6−1、平9課法8−1改正)。
(2) 旅費
旅費については、次のように取り扱われます。
イ 次に掲げる旅行に必要な支出に充てるため支給される金品でその旅行について通常必要と認められるものについては、課税されません(所法9
四)。
(イ) 勤務する場所を離れて職務を遂行するために行う旅行
(ロ) 転任に伴う転居のために行う旅行
(ハ) 就職や退職した人の転居又は死亡により退職した人の遺族が転居のために行う旅行
上記の非課税とされる金品は、旅行をした人に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内のものに限られますが、その範囲内のものに該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとされています(所基通9−3)。
支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
ロ 職務を遂行するために行う旅行の費用に充てるものとして支給される金品であっても、年額又は月額により支給されるものは、給与所得として課税の対象とされます。ただし、その支給を受けた役員又は使用人の職務を遂行するために行う旅行の実情に照らし、明らかに上記イの旅費に相当すると認められるものについては、課税されません(所基通28−3)。
ハ 常には出勤することを要しない次に掲げるような人に対し、その勤務する場所に出勤するために行う旅行、宿泊などに要する費用に充てるものとして支給される金品で、その支給について社会通念上合理的な理由があると認められる場合に支給されるものについては、その支給する金品のうち、その出勤のために直接必要であると認められる部分に限り、課税されません(所基通9−5)。
(イ) 国・地方公共団体の議員、委員、顧問又は参与
(ロ) 会社その他の団体の役員、顧問、相談役又は参与
ニ 単身赴任者が職務遂行上必要な旅行に付随して帰宅のための旅行を行った場合に支給される旅費については、これらの旅行の目的、行路等からみてこれらの旅行が主として職務遂行上必要な旅行と認められ、かつ、その旅費の額が所得税基本通達9−3に定める非課税とされる旅費の範囲を著しく逸脱しない限り、課税されません(昭60直法6−7)。
ホ 通常の赴任旅費のほかに、例えば、家族の同伴が不可能である転勤者に対し、家族と同居するまでの間その日数などに応じて着後滞在費などの名目で支給されるものは、それが旅費規程に基づいて支給されるものであっても、給与所得とされます。
(3) 宿日直料
宿日直料は、1回の宿日直について支給される金額のうち、4,000円(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事がある場合には、4,000円からその食事の価額を控除した残額)までの部分については、課税されません。ただし、次に掲げる宿日直料については、その全額が課税の対象とされます(所基通28−1)。
イ 休日又は夜間の留守番だけを行うために雇用された人や、勤務する場所に居住し休日又は夜間の留守番をも含めた勤務を行うものとして雇用された人にその留守番に相当する勤務について支給される宿日直料
ロ 宿日直の勤務をその人の通常の勤務時間内の勤務として行った人やこれらの勤務をしたことにより代日休暇が与えられる人に支給される宿日直料
ハ 宿日直の勤務をする人の通常の給与の額に比例した金額又はその給与の額に比例した金額に近似するように給与の額の階級区分等に応じて定められた金額により支給される宿日直料(その宿日直料が、上記の給与の額に比例した金額とその他の金額との合計額によって支給される場合には、その比例した部分の金額)
(4) 夜間勤務者の食事代
正規の勤務時間の一部又は全部が深夜(午後10時から翌日午前5時)に及ぶいわゆる深夜勤務者に対し、夜食の提供ができないため、これに代えて通常の給与に加算して支給される夜食代で、その支給額が勤務1回につき300円以下のものについては、課税されません(昭59直法6−5)。
この場合の支給額が非課税限度額の300円を超えるかどうかは、支給額に105分の100 を乗じた金額により判定します(平元直法6−1、平9課法8−1改正)。
(5) 交際費等
交際費や接待費等として役員又は使用人に支給される金品は、給与所得とされますが、使用者の業務のために使用すべきものとして支給されるもので、そのために使用したことの事績が明らかなものについては、課税されません(所基通28−4)。
(6) 結婚祝金品等
雇用契約等に基づいて支給される結婚、出産等の祝金品は、その金額が支給を受ける役員又は使用人の地位などに照らして社会通念上相当と認められるものであれば、課税されません(所基通28−5)。
(7) 葬祭料、香典、見舞金等
葬祭料や香典、災害等の見舞金は、その金額が社会通念上相当と認められるものであれば、課税されません(所基通9−23)。
(8) 死亡した人の給与
死亡後に支給期(給与所得の収入すべき時期をいいます。)の到来する給与のうち相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、所得税は課されません(所基通9−17)。
(9) 労働基準法等の規定による各種補償金
次に掲げる補償金は、課税されません(所法9
三イ)。
イ 労働基準法第8章《災害補償》の規定により受ける療養の給付や費用、休業補償、障害補償、打切補償、分割補償(障害補償の部分に限ります。)、遺族補償及び葬祭料(所令20
二、所基通9−1)。
ロ 船員法第10章《災害補償》の規定により受ける療養の給付や費用、傷病手当、予後手当、障害手当(所令20
三)。
(注) 労働基準法第76条第1項に定める割合を超えて休業補償を行った場合であっても、その休業補償については課税されません(所基通9−24)。
(10) 学資金
イ 学資に充てるために給付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除きます。)は非課税とされていますが、使用者から就学中の子弟を有する役員又は使用人に対し、子弟の修学のための学資金として支給する金品は、家族手当と同様の性質を有するものですから、給与所得とされます(所法9
十四、所基通9−14)。また、使用者が役員又は使用人に対しこれらの人の学資に充てるため支給する金品も、次のロ又はハに該当するものを除き、給与所得とされます。
ロ 使用者がその業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人にその役員又は使用人としての職務に直接必要な技術や知識を習得させたり、免許や資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用や大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税されません(所基通9−15)。
ハ 使用者が、使用人に対してその使用人の学校教育法第1条《学校の範囲》に規定する学校(大学及び高等専門学校を除きます。)における修学のための費用に充てるものとして支給する金品で、その修学のための費用として適正なものについては、役員又は使用者である個人の親族のみをその対象とする場合を除き、課税されません(所基通9−16)。
(11) 在勤手当(いわゆる在外手当)
使用者が、海外で勤務する居住者である役員又は使用人に対し通常の給与に加算して支給する在勤手当で、勤務地の物価、生活水準、生活環境、為替相場等の状況からみて、その加算して支給を受けることにより国内で勤務した場合に比べて利益を受けると認められない部分の金額については、課税されません(所法9
七、所令22)。
(12) 発明報償金等の支給
業務上有益な発明、考案等をした役員又は使用人に対して支給する報償金、表彰金、賞金等については、次のように取り扱われます(所基通23〜35共−1)。
イ 業務上有益な発明、考案又は創作をした人に対して、その発明、考案又は創作に関する特許や実用新案登録、意匠登録を受ける権利又は特許権、実用新案権、意匠権を使用者が承継することにより支給するものについては、これらの権利の承継に際し一時に支給するものは譲渡所得、これらの権利を承継した後において支給するものは雑所得として、それぞれ課税されます。
ロ 役員又は使用人が取得した特許権、実用新案権や意匠権について通常実施権又は専用実施権を設定したことにより支給するものについては、雑所得とされます。
ハ 事務や作業の合理化、製品の品質の改善や経費の節約等に寄与する工夫、考案等(特許や実用新案登録、意匠登録を受けるに至らないものに限ります。)をした人に対して支給するものについては、その工夫、考案等がその人の通常の職務の範囲内の行為である場合には給与所得、その他の場合には一時所得(その工夫、考案等の実施後の成績などに応じ継続的に支給する場合には雑所得)とされます。
ニ 災害等の防止又は発生した災害等による損害の防止などに功績のあった人に対して一時に支給するものについては、その防止などがその人の通常の職務の範囲内の行為である場合には給与所得、その他の場合には一時所得とされます。
ホ 篤行者として社会的に顕彰され使用者に栄誉を与えた人に対して一時に支給するものについては、一時所得とされます。
(13) 確定給付企業年金規約等に基づく掛金等の取扱い
使用者が次に掲げる各制度に基づき使用人のために支出した掛金や保険料、事業主掛金、信託金等については、課税されません(所令64、82の4)。
なお、これらの各制度に基づき使用人が支払を受ける年金などについては、それぞれその内容に応じて公的年金等に係る雑所得、退職所得、一時所得又は給与所得として課税されることになります(所法31、35、措法29の3)。
イ 独立行政法人勤労者退職金共済機構又は特定退職金共済団体が行う退職金共済に関する制度に基づいてその被共済者のために支出した掛金
ロ 確定給付企業年金に係る規約に基づいてその加入者のために支出した掛金のうち当該加入者が負担した金額以外の部分
ハ 適格退職年金契約に基づいて法人税法施行令附則第16条第1項第2号に規定する受益者等のために支出した掛金又は保険料のうち、その受益者等が負担した金額以外の部分
ニ 確定拠出年金法第4条第3項に規定する企業型年金規約に基づいてその企業型年金加入者のために支出した同法第3条第3項第7号に規定する事業主掛金
ホ 勤労者財産形成促進法第6条の2第1項に規定する勤労者財産形成給付金契約に基づいて同項第2号に規定する信託の受益者等のために支出した信託金等
へ 勤労者財産形成促進法第6条の3第2項に規定する第1種勤労者財産形成基金契約に基づいて信託の受益者等のために支出した信託金等又は同条第3項に規定する第2種勤労者財産形成基金契約に基づいて同項第2号に規定する勤労者について支出した同項第1号に規定する預入金等
給与は、金銭で支給されるのが普通ですが、食事の現物支給や商品の値引販売などのように次に掲げるような物又は権利その他の経済的利益をもって支給されることがあります。
物品その他の資産を無償又は低い価額により譲渡したことによる経済的利益
土地、家屋、金銭その他の資産を無償又は低い対価により貸し付けたことによる経済的利益
福利厚生施設の利用など
以外の用役を無償又は低い対価により提供したことによる経済的利益
個人的債務を免除又は負担したことによる経済的利益
これらの経済的利益を一般に現物給与といい、原則として給与所得の収入金額とされますが、現物給与には、
職務の性質上欠くことのできないもので主として使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの、
換金性に欠けるもの、
その評価が困難なもの、
受給者側に物品などの選択の余地がないものなど、金銭給与と異なる性質があるため、特定の現物給与については、課税上金銭給与とは異なった取扱いが定められています。
(1) 現物給与の評価の原則
給与を金銭で支給することに代えて物又は権利その他の経済的利益によって支給する場合には、その経済的利益の額はおおむね次のように評価することになっています。
イ 使用者が通常他に販売する物品を支給する場合には、次に掲げる価額によります(所基通36−39(1))。
(イ) 製造業者が自家製品を支給する場合……製造業者販売価額
(ロ) 卸売業者が取扱商品を支給する場合……卸売価額
(ハ) 小売業者が取扱商品を支給する場合……小売価額
ロ 使用者が通常他に販売する物品でないものを支給する場合には、その物品の通常売買される価額によります。ただし、使用者が役員又は使用人に支給するために購入した物品で、購入時から支給時までの間にその価額にさして変動がないものは、その物品の購入価額によることができます(所基通36−39(2))。
ハ 有価証券(発行法人から与えられた新株等を取得する権利を除きます。)を支給する場合には、その支給時の価額によります(所基通36−36)。
ニ 生命保険契約等に関する権利を支給する場合には、その支給時に契約を解除したとしたならば保険会社等から支払われることとなる解約返戻金等の額によります(所基通36−37)。
ホ 役員又は使用人に使用者の事業の用に供する資産(例えば、社宅や自動車など)を専属的に利用させる場合には、その資産の利用について通常支払うべき使用料その他その利用の対価に相当する額によります(所令84の2)。
(注) 社宅や寮などの賃貸料相当額の評価については「(2)ネ 住宅等の貸与」を参照。
ヘ 金銭の貸付けを行った場合の利息の評価については、次に掲げる利率によります(所基通36−49)。
(イ) 使用者が他から借り入れて貸し付けた場合……その借入金の利率
(ロ) その他の場合……貸付けを行った日の属する年の前年の11月30日を経過する時における基準割引率(日本銀行法第15条第1項第1号の規定により定められる商業手形の基準割引率)に年4%の利率を加算した利率
・ 平成12年・13年中に貸付けを行ったもの・・・・・・年4.5%
・ 平成14年〜18年中に貸付けを行ったもの・・・・・・年4.1%
・ 平成19年中に貸付けを行ったもの・・・・・・年4.4%
(注) 使用人に住宅取得資金を貸し付けた場合に使用人が平成20年12月31日までの間に受ける経済的利益については、年1%以上の利率により利息を徴しているときは課税されないことになっています(「(2)ナ住宅取得資金の貸付け等による経済的利益等」参照)。
ト 使用者が支給する食事については、次に掲げる金額により評価します(所基通36−38)。
(イ) 使用者が調理して支給する食事……その食事の主食、副食、調味料等に要する直接費の額に相当する金額
(ロ) 使用者が飲食店等から購入して支給する食事……その食事の購入価額に相当する金額
(2) 個々の現物給与に対する課税上の取扱い
主な現物給与についての課税の範囲、評価の方法等の取扱いは、次のとおりです。
イ 有価証券の支給
有価証券を支給する場合には、その支給する有価証券の価額の多少にかかわらず、すべて給与所得とされます。
ロ 通勤用定期乗車券の支給
通勤用定期乗車券を支給する場合には、前に述べたとおり(「1(1)通勤手当等」参照)、原則として、1か月当たりの合理的な運賃等の額で最高100,000円までの部分については、課税されません(所令20の2三、四)。
ハ 食事の支給
使用者が支給する食事(宿日直又は残業をした場合に支給される食事を除きます。)については、その支給を受ける人がその食事の価額の半額以上を負担すれば、原則として課税されません。ただし、食事の価額からその人の負担した金額を控除した残額(使用者の負担額)が月額3,500円を超えるときは、使用者が負担した全額が給与所得とされます(所基通36−38の2)。
この場合の使用者の負担額が3,500円を超えるかどうかは、食事の価額からその人の負担した金額を差し引いた後の残額に105分の100を乗じた金額により判定します(平元直法6−1、平9課法8−1改正)。
このほか、食事を支給した場合の取扱いについては、次のようなものがあります。
(イ) 通常の勤務時間外に宿日直又は残業をした役員又は使用人に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税されません(所基通36− 24)。
(ロ) 乗船中の船員に対し船員法第80条《食料の支給》の規定により支給する食事については、課税されません(所法9
六、所令21一)。
なお、船員法第80条の規定の適用がない漁船の乗組員に対し、乗船中に支給する食事については、その乗組員の勤務がその漁船の操業区域において操業する他の同条の規定の適用がある漁船の乗組員の勤務に類すると認められる場合に支給するものに限り、課税されません(所基通9−7)。
ニ 制服等の支給
職務の性質上制服を着用しなければならない役員又は使用人に対して支給又は貸与する制服その他の身の回り品については、課税されません(所法9
六、所令21二、三)。また、専ら勤務場所のみで着用するために支給又は貸与する事務服、作業服等についても課税されません(所基通9−8)。ただし、これらの制服等の支給又は貸与に代えて金銭を支給する場合には、その金額の多少にかかわらず給与所得とされます。
ホ 永年勤続記念品等の支給
永年にわたり勤務した役員又は使用人の表彰に当たり、記念として旅行、観劇等に招待し、又は記念品を支給することによりその役員又は使用人が受ける経済的利益で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税されません(所基通36−21)。
(イ) 利益の額が、その役員又は使用人の勤続期間等に照らして、社会通念上相当と認められること。
(ロ) 表彰が、おおむね10年以上勤務した人を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける人については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。
ヘ 創業記念品等の支給
創業記念、増資記念、工事完成記念又は合併記念等に際し、役員又は使用人に対しその記念として支給する記念品で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、建築業者、造船業者等が請負工事又は造船の完成等に際して支給するものを除き、課税されません(所基通36−22)。
(イ) 支給する記念品が、社会通念上記念品としてふさわしいものであって、その価額(処分見込価額により評価した価額)が10,000円以下のものであること。
(ロ) 創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際して支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること。
この場合の経済的利益の額が非課税限度額の10,000円を超えるかどうかは、処分見込価額により評価した金額に105分の100を乗じた金額により判定します(平元直法6−1、平9課法8−1改正)。
ト 商品、製品等の値引販売
役員又は使用人に対し使用者の取り扱う商品、製品等(有価証券及び食事を除きます。)の値引販売をすることにより、その役員又は使用人が受ける経済的利益については、その値引販売が次のいずれにも該当する場合には、課税されません(所基通36−23)。
(イ) 値引販売の価額が、使用者の取得価額以上で、しかも、通常他に販売する価額のおおむね70%以上であること。
(ロ) 値引率が、役員や使用人の全部について一律に、又は役員や使用人の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差により定められていること。
(ハ) 値引販売をする商品等の数量が、一般の消費者が家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。
チ 寄宿舎の電気料等の使用者負担
使用者が、寄宿舎の電気、ガス、水道等の料金を負担することにより、その寄宿舎に居住する役員又は使用人が受ける経済的利益については、その料金の額が、その寄宿舎に居住するために通常必要であると認められる範囲内のものであって、各人ごとの使用部分に相当する金額が明らかでない場合には、課税されません(所基通36−26)。
リ 金銭の無利息貸付け等
使用者が、役員又は使用人に対し金銭を無利息又は「2 現物給与等の取扱い」の(1)のヘにより評価した利息相当額に満たない利息で貸し付けたことにより、その役員又は使用人が受ける経済的利益については、その経済的利益が次のいずれかに該当する場合には、課税されません(所基通36−28)。
(イ) 災害、疾病等により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人に対し、その資金に充てるために貸し付けた金額につき、返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける経済的利益
(ロ) 役員又は使用人に貸し付けた金額について、使用者における借入金の平均調達金利(例えば、当該使用者が貸付けを行った日の前年中又は前事業年度中における借入金の平均残高に占める当該前年中又は前事業年度中に支払うべき利息の額の割合など合理的に計算された利率をいいます。)など合理的と認められる貸付利率を定め、これにより利息を徴している場合に生じる経済的利益
(ハ) (イ)及び(ロ)に掲げる貸付金以外の貸付金について受ける経済的利益で、その年又はその事業年度における利益の合計額が5,000円
(その事業年度が1年に満たない場合には、
| 「5,000円× |
|
」)以下のもの |
ヌ 用役の提供等
使用者が、福利厚生施設の運営費等を負担することにより、その施設を利用した役員又は使用人が受ける経済的利益や、運送業、興行業などを営む使用者が、用役(運送や観劇などのサービス)を無償又は低い価額の対価で提供することにより、その役員又は使用人が受ける経済的利益については、その額が著しく多額であると認められる場合や役員だけを対象としてその経済的利益を供与する場合を除き、課税されません(所基通36−29)。
ル レクリエーションの費用の負担
使用者が、役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の簡易なレクリエーション行事の費用を負担することにより、その行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、自己の都合で行事に参加しなかった役員又は使用人に対し、参加に代えて金銭を支給する場合や、役員だけを対象としてその行事の費用を負担する場合を除き、課税されません(所基通36−30)。
なお、自己の都合により参加しなかった人に対し参加に代えて金銭を支給する場合には、参加者及び不参加者の全員にその不参加者に対して支給する金銭の額に相当する額の給与所得があったものとされます(所基通36−50)。
また、従業員レクリエーション旅行については、旅行期間が4泊5日(目的地が海外の場合は、目的地における滞在日数)以内であるなど一定の要件を満たしている場合には、その経済的利益の額が少額不追求の趣旨を逸脱しない限り、原則として課税しなくて差し支えないこととされています(昭63直法6−9、平5課法8−1改正)。
ヲ 生命保険料や損害保険料の負担
(イ) 使用者契約の生命保険契約等
使用者が自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの人の親族を含み、以下「使用人等」といいます。)を被保険者とする生命保険契約に加入して、その保険料を支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については、次に掲げる保険契約の区分に応じ、それぞれ次のように取り扱われます(所基通36−31〜36−31の3)。
養老保険
死亡保険金と生存保険金の受取人が使用者である場合には、課税されません。
死亡保険金と生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族である場合には、支払った保険料の額に相当する金額は、給与所得とされます。
死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が使用者である場合には、課税されません。ただし、特定の使用人等のみを被保険者としている場合には、支払った保険料の2分の1に相当する金額は、給与所得とされます。
定期保険
死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、かつ、特定の使用人等のみを被保険者としている場合に限り、支払った保険料の額に相当する金額は、給与所得とされ、それ以外の場合には、課税されません。
定期付養老保険
保険料の額が養老保険部分と定期保険部分とに区分されている場合には、それぞれ
又は
の取扱いによります。
以外の場合には、
の取扱いによります。
(注)
1 傷害特約等の特約を付した保険のその特約部分の保険料については、課税されません(所基通36−31の4)。ただし、特定の使用人等のみを傷害特約等の給付金の受取人としている場合には、その保険料の額に相当する金額は、給与所得とされます。
2 簡易生命保険契約又は生命共済契約についても同様に取り扱われます(所基通36−31の6)。
3 個人年金保険については、死亡給付金及び年金の受取人が被保険者又はその遺族である場合には、給与所得とされます(平2直審4−19)。
(ロ) 使用者契約の保険契約等
使用者が自己を契約者及び満期返戻金等の受取人とし、役員又は使用人のために、次の保険契約又は共済契約に係る保険料や掛金を支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については、課税されません。ただし、特定の使用人等のみを対象としている場合には、その支払った保険料や掛金に相当する金額(積立保険料に相当する部分の金額を除きます。)は、給与所得とされます(所基通36−31の7)。
使用人等の身体を保険の目的とする所得税法第76条第3項第4号に掲げる保険契約(いわゆる第3分野の保険契約)
使用人等の身体を保険や共済の目的とする損害保険契約等
役員や使用人の所得税法第77条第1項に規定する家屋又は資産(役員又は使用人から賃借している建物等でこれらの人に使用させているものを含みます。)を保険や共済の目的とする損害保険契約等
(ハ) 使用人契約の保険契約等
使用者が、役員又は使用人が支払うべき次に掲げるような保険料や掛金を負担する場合には、その負担する金額は給与所得とされます(所基通36−31の8)。
役員又は使用人が契約した生命保険契約等(個人年金保険契約等を含み、確定給付企業年金規約等を除きます。以下ワ(ロ)において同じです。)又は損害保険契約等に基づく保険料や掛金
社会保険料
小規模企業共済等掛金
ワ 少額な保険料の負担
使用者が、役員又は使用人のために次に掲げる保険料や掛金を負担することにより、その役員又は使用人が受ける経済的利益については、その役員又は使用人につきその月中に負担する金額の合計額が300円以下である場合に限り、課税されません。ただし、役員又は特定の使用人(これらの人の親族を含みます。)のみを対象としてその保険料や掛金を負担することとしている場合には、給与所得とされます(所基通36−32)。
(イ) 健康保険、雇用保険、厚生年金保険又は船員保険の保険料で、役員又は使用人が被保険者として負担すべき保険料
(ロ) 生命保険契約等又は損害保険契約等の保険料や掛金(ヲの取扱いにより課税されない保険料や掛金を除きます。)
カ 会社役員賠償責任保険の保険料の負担
使用者が、会社役員賠償責任保険の保険料を負担することにより、役員に対して供与する経済的利益については、次のように取り扱われます(平6課法8−2)。
(イ) 普通保険約款部分(第三者訴訟の役員勝訴及び役員敗訴並びに株主代表訴訟の役員勝訴を補償する部分)の保険料については、課税されません。
(ロ) 株主代表訴訟担保特約部分(株主代表訴訟の役員敗訴を補償する部分)の保険料については、給与所得とされます。
ヨ 役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金等の負担
使用者が、役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金や慰謝料、示談金等及びこれらに関連する弁護士の報酬等の費用を負担することにより、役員又は使用人が受ける経済的利益については、次のように取り扱われます(所基通36−33)。
(イ) その行為が使用者の業務の遂行に関連するものであって、その行為者に故意や重過失がない場合には、課税されません。
(ロ) その行為が(イ)以外のものである場合には、その負担する金額は給与所得とされます。ただし、その行為者の支払能力等からみてやむを得ず使用者が負担したと認められる部分の金額については、課税されません。
タ ゴルフクラブの入会金等の負担
使用者がゴルフクラブの入会金等を負担することにより、その使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次のように取り扱われます(所基通36−34、36−34の2)。
(イ) 入会金を負担する場合
法人会員として入会した場合
記名式の法人会員で名義人である特定の役員又は使用人が専ら法人の業務に関係なく利用するため、これらの者が自ら負担すべきものと認められるときは、入会金に相当する金額は、給与所得とされます。
個人会員として入会した場合
入会金に相当する金額は、給与所得とされます。ただし、無記名式の法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合において、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められ、かつ、その入会金を法人が資産に計上したときは、課税されません。
(ロ) 年会費その他の費用を負担する場合
使用者がゴルフクラブの年会費、年決めロッカー料その他の費用(その名義人を変更するために支出する名義書換料を含み、次のbの費用を除きます。)を負担する場合には、入会金が法人の資産として計上されているときは課税されませんが、入会金が(イ)により役員又は使用人の給与所得とされているときは、その負担する金額は給与所得とされます。
使用者が、プレーをする場合に直接要する費用を負担するときは、その負担する金額は給与所得とされます。ただし、その費用が使用者の業務の遂行上必要なものであると認められるときは、課税されません。
レ レジャークラブの入会金等の負担
使用者が、レジャークラブの入会金等を負担することにより、その使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次のように取り扱われます(所基通36−34の3)。
(イ) 使用者が入会金を負担する場合には、タの(イ)の取扱いによります。
(ロ) 使用者が年会費その他の費用(次の(ハ)の費用を除きます。)を負担する場合には、タの(ロ)の
の取扱いによります。
(ハ) 使用者がレジャークラブの利用に応じて支払われる費用を負担する場合で、その費用が特定の役員又は使用人が負担すべきものであると認められるときは、給与所得とされます。
ソ ロータリークラブ及びライオンズクラブの入会金等の負担
使用者がロータリークラブ又はライオンズクラブに入会した役員又は使用人の入会金、会費その他の費用を負担することにより、その使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、課税されません。ただし、経常会費以外の費用を負担する場合で、その費用が特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められるときは、その費用は給与所得とされます(所基通36−35の2)。
ツ 社交団体の入会金等の負担
使用者が、社交団体の入会金、会費その他の費用(タ、レ、ソの入会金等を除きます。)を負担することにより、その使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次のように取り扱われます(所基通36−35)。
(イ) 社交団体に個人会員として入会した役員又は使用人の入会金及び経常会費を使用者が負担する場合には、給与所得とされます。ただし、法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合で、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められるときは、課税されません。
(ロ) 経常会費以外の費用を負担する場合で、その費用が使用者の業務の遂行上必要であると認められるときは、課税されません。ただし、その費用が特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められるときは、給与所得とされます。
ネ 住宅等の貸与
(イ) 使用人に対する社宅や寮等の貸与
使用者が、使用人に対して無償又は低額の賃貸料で社宅や寮等を貸与することにより供与する経済的利益については、次の算式により計算した賃貸料相当額とその使用人から徴収している賃貸料の額との差額が給与所得とされます(所令84の2、所基通36−41、36−45)。
ただし、使用人から徴収している賃貸料が次の算式による賃貸料相当額の 50%以上である場合には、その差額については課税されません(所基通36−47)。
〔賃貸料相当額の計算式〕
(注)
1 他から借り受けた住宅等を社宅や寮として使用人に貸与する場合の賃貸料相当額も、この算式によって計算します。
2 固定資産税の課税標準額が改訂された場合であっても、その改訂後の課税標準額が現に賃貸料相当額の計算の基礎になっている課税標準額に比して20%以内の増減にとどまるときは、強いて賃貸料相当額の改訂を要しないこととされています(所基通36−46)。
3 業務に関する使用部分等がある社宅等の賃貸料相当額については、次の(ロ)の
の取扱いを参照。
(ロ) 役員に対する社宅等の貸与
使用者が、役員に対して無償又は低額の賃貸料で社宅等を貸与することにより供与する経済的利益については、原則として次のように取り扱われます(所令84の2、所基通36−40)。
使用者所有の社宅等を貸与している場合
次の算式により計算した賃貸料相当額とその役員から徴収している賃貸料の額との差額が給与所得とされます。
〔賃貸料相当額の計算式〕
(注)
1 この場合の「木造家屋以外の家屋」とは、その家屋の耐用年数が30年を超える住宅用の建物をいいます。
2 固定資産税の課税標準額が改訂された場合には、その改訂後の課税標準額に基づく固定資産税の第1期の納期限の翌月分の賃貸料から、その改訂後の課税標準額によって賃貸料相当額を計算することになります(所基通36−42(2))。
他から借り受けた住宅等を貸与している場合
使用者が他から借り受けた住宅等を社宅として役員に貸与している場合は、使用者が支払う賃借料の額の50%相当額とその社宅等につき
の算式により計算した賃貸料相当額のうち、いずれか多い金額がその社宅等の賃貸料相当額とされ、この金額とその役員から徴収している賃貸料の額との差額が給与所得とされます(所基通36−40)。
貸与している社宅等が小規模住宅である場合
役員に貸与している社宅等の床面積(2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分の床面積)が132平方メートル(木造家屋以外の家屋については、99平方メートル)以下である場合には、
及び
にかかわらず、使用人に対する社宅等の貸与の場合と同様の算式((イ)の算式)によって計算した賃貸料相当額と、その役員から徴収している賃貸料の額との差額が給与所得とされます(所基通36−41)。
(注) 敷地だけを貸与している場合には、(ロ)の算式により地代相当額を計算します。
業務に関する使用部分等がある社宅等の賃貸料相当額
、
又は
により賃貸料相当額を計算する場合において、その社宅等が次に掲げるものに該当するときは、賃貸料相当額はその使用状況を考慮して定めることになりますが、使用者がその社宅等につきそれぞれ次の金額を賃貸料として徴収しているときは、その徴収している金額をその社宅等の賃貸料相当額として差し支えないことになっています(所基通36−43)。
使用者の業務に関する使用部分がある住宅等
、
又は
により計算した賃貸料相当額の70%以上に相当する金額
単身赴任者のような人が一部を使用しているにすぎない住宅等
![]()
(注) 使用人の社宅について、使用者の業務に関する使用部分がある場合や単身赴任者に一部を使用するにすぎないものを貸与していることは極めて稀であると考えられますが、そのような場合には、その使用状況を考慮して、a又はbの取扱いを適用することになります。
貸与している住宅等がいわゆる豪華役員社宅である場合
役員に貸与している住宅等が社会通念上一般に貸与されている住宅等と認められないいわゆる豪華な役員社宅である場合の通常の賃貸料の額は、
、
又は
の賃貸料相当額の計算式によらず、その住宅等の利用につき通常支払うべき使用料その他その利用の対価に相当する額(その住宅等が一般の賃貸住宅である場合に授受されると認められる賃貸料の額)とされています。
その住宅等が、社会通念上一般に貸与されている住宅等に該当するかどうかについては、家屋の床面積(業務に関する使用部分等がある場合のその部分を除きます。)が240平方メートルを超えるもののうち、その住宅等の取得価額、支払賃貸料の額、内外装その他の設備の状況等を総合勘案して判定します(平7課法8−1)。
(注) 家屋の床面積が240平方メートル以下の住宅等であっても、
一般の住宅等に設置されていないプール等の設備等があるもの
役員個人の嗜好等を著しく反映した設備等を有するもの
などは、いわゆる豪華な役員社宅に該当します。
(ハ) 無償返還の届出がある場合の賃貸料相当額
使用者が役員等に対し、これらの者の居住の用に供する家屋の敷地を貸与した場合において、法人税基本通達13−1−7の規定により、その敷地を将来その役員等が無償で返還することとしているときは、 その土地についての賃貸料相当額は、(イ)又は(ロ)にかかわらず、法人税基本通達13−1−2に定める相当の地代の額となります(所基通36−45の2)。
なお、法人税基本通達13−1−2に定める相当の地代の額は、その土地の更地価額に対しておおむね年6%相当額とされています(平元直法2−2、平3課法2−4改正)。
(ニ) 社宅等の貸与による経済的利益の有無の判定上のプール計算
使用者が社宅等を貸与したすべての役員又は使用人から、その貸与した社宅等の状況に応じてバランスのとれた賃貸料を徴収している場合で、その徴収している賃貸料の額の合計額が、役員又は使用人の別に応じ、それぞれ貸与したすべての社宅等につき上記(イ)又は(ロ)により計算した賃貸料相当額の合計額(使用人に貸与した社宅等については、その賃貸料相当額の合計額の50%相当額)以上であるときは、これらの役員又は使用人が社宅等の貸与により受ける経済的利益はないものとして、課税されません(所基通36−44、36−48)。
この場合、使用人に貸与したすべての社宅等につき一括して賃貸料相当額の合計額を計算することが困難なときは、1か所又は数か所の事業所等ごとに計算して差し支えないことになっています(所基通36−48)。
なお、役員及び使用人に貸与した社宅を合わせてプール計算することはできませんし、役員社宅のなかに、いわゆる豪華役員社宅に該当するものがある場合には、その社宅を含めてプール計算をすることもできません。
(ホ) 職務上の必要に基づく社宅等の貸与
使用人に対して社宅や寮等を無償で提供している場合であっても、その社宅や寮等が、その職務の遂行上やむを得ない必要に基づき使用者がその人の居住する場所として指定したものであるときは、その使用人がその社宅や寮等の貸与を受けることによる経済的利益については、課税されないことになっています(所法9
六、所令21四)。具体的には、次のようなものがこれに該当します(所基通9−9)。
船舶乗組員に対し提供する船室
常時交替制により昼夜作業を継続する事業場において、その作業に従事するため、常時早朝又は深夜に出退勤をする人に対し、その作業に従事させる必要上提供する家屋又は部屋
通常の勤務時間外においても勤務することを常例とする看護師、守衛等その職務の遂行上勤務場所を離れて居住することが困難な人に対し、その職務に従事させる必要上提供する家屋又は部屋
次に掲げる家屋又は部屋
早朝又は深夜に勤務することを常例とするホテル、旅館、牛乳販売店等の住み込みの使用人に対し提供する部屋
季節的労働に従事する期間その勤務場所に住み込む使用人に対し提供する部屋
鉱山の掘採場(これに隣接して設置されている選鉱場、製錬場その他の附属設備を含みます。)に勤務する使用人に対し提供する家屋又は部屋
工場寄宿舎その他の寄宿舎で事業所等の構内又はこれに隣接する場所に設置されているものの部屋
使用人が受ける次の経済的利益等については、住宅対策の見地から原則として課税されないことになっています。
ただし、これらの経済的利益等が使用人に通常支給すべきであったと認められる給与や退職手当に代えて支払われたと認められる場合や、その経済的利益等を受ける人が法人の役員やその親族、使用者である個人の親族又はこれらの人の特殊関係者である場合には、この課税の特例は適用されません(措法29、措令19の2、措規11の2)。
(イ) 低い金利による住宅取得資金の融資
使用人が、自己の居住の用に供する住宅や宅地(以下これらを「住宅等」といいます。)の取得に要する資金に充てるために、使用者から使用人である地位に基づいて、無利息又は低い金利により資金を借り受けた場合の経済的利益で平成20年12月31日までに受けるもの
ただし、平成20年12月31日までに受ける上記の経済的利益のうち、無利息又は年1%未満の利率で借り受けたものについては、次の算式により計算した金額について所得税が課されます。
また、いわゆる住宅資金の借換えを行う場合において、その新たな借入れが従前の住宅資金の借入金を消滅させるためのものであることが明らかであり、かつ、この借換え後の借入金による資金を住宅等の取得に充てるとしたならば上記の住宅等の取得に要する資金に該当することとなるときは、この借換え後の借入金に係る経済的利益についても上記の課税の特例制度が適用されます(措通29−5の注書)。
(注) 借換えについては、以下、(ロ)及び(ハ)の場合においてもこれに準じた取扱いがされます。
(ロ) 住宅取得借入金の利子補給
使用人が、自己の居住の用に供する住宅等の取得資金を金融機関(住宅等の取得資金の長期貸付けの業務を行う法人として財務大臣が指定した法人を含みます。)や特定の福利厚生会社から借り受けている場合の利子で平成20年12月31日までに支払うべきものに充てるために、その利子の全部又は一部に相当する金額を、その期間内に使用者から使用人である地位に基づいて支払を受けた場合の利子補給金
ただし、平成20年12月31日までに受ける上記の利子補給金のうち、その利子補給を受けたことによりその使用人の実質的な利子負担額がその借入金につき年1%の利率により計算した金額に満たないこととなるものについては、次の算式により計算した金額について所得税が課されます。
(注)
1 上記の課税される金額は、次に掲げる算式によって求めて差し支えありません(措通29 −22)。
![]()
2 ここでいう「金融機関」とは、銀行、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、信用協同組合、農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、商工組合中央金庫、生命保険会社、損害保険会社、信託会社、農林中央金庫、火災共済協同組合、火災共済協同組合連合会、共済水産業協同組合連合会及び信用協同組合連合会をいいます(措通29−14)。
3 財務大臣が指定した住宅等の取得資金の長期貸付けの業務を行う法人とは、株式会社整理回収機構をいいます(平8大蔵省告示276号、最終改正平17財務省告示334号)。
なお、租税特別措置法第29条第2項に規定する資金を平成17年9月9日前に協同住宅ローン株式会社から借り受けた場合には、その借り受けた資金について支払うべき利子に充てるものとして使用者から同日以後に支払いを受ける金額については同条の適用があります。
4 「特定の福利厚生会社」とは、財形住宅金融株式会社をいいます(措規11の2
、昭59
労働省告示40号、最終改正平12労働省告示120号)。
(ハ) 勤労者財産形成促進法に基づく措置による経済的利益等
勤労者財産形成促進法第9条又は第10条の規定に基づき、使用者や事業主団体(勤労者財産形成促進法第9条に規定する事業主団体をいいます。)が講ずる負担軽減措置等により、使用人が平成20年12月31日までに受ける次のような経済的利益や補給金
事業主団体から低利で住宅等の取得資金の貸付けを受けた場合の経済的利益
金融機関等から住宅取得資金を借り入れた場合に、その借入金の利子に充てるため事業主団体から受ける利子補給金
事業主団体から住宅取得資金を借り入れた場合に、その借入金の利子に充てるため使用者から受ける利子補給金
独立行政法人住宅金融支援機構又は沖縄振興開発金融公庫から住宅取得資金を借り入れた場合に、その借入金の利子に充てるため使用者又は事業主団体から支払を受ける利子補給金
ただし、平成20年12月31日までに受ける上記の経済的利益等のうち、(イ)又は (ロ)のただし書に掲げる経済的利益等に相当するものごとに、それぞれ(イ)又は(ロ)に掲げる算式に準じて計算した金額について課税されます。
ラ ストック・オプションを行使することにより取締役等が受ける経済的利益
株式会社の取締役、執行役又は使用人が、その株式会社の付与決議に基づき与えられた新株予約権若しくは新株引受権又は株式譲渡請求権を行使することにより株式を取得した場合における経済的利益については、給与所得等として課税されることになります(所基通23〜35共−6)。
(注) 権利行使により取得する株式のその権利行使の日における価額からその権利行使に係る譲渡価額又は新株の発行価額などを控除した金額が経済的利益となります(所令84)。
また、退職後に権利の行使が行われた場合においても、原則として給与所得として課税されることになりますが、例えば、権利付与後短期間のうちに退職を予定している者に付与され、かつ、退職後長期間にわたって生じた株式の値上り益に相当するものが主として供与されているなど、主として職務の遂行に関連しない利益が供与されていると認められるときは、雑所得として課税されます。
ただし、その株式会社又はその株式会社がその発行済株式(議決権があるものに限ります。)若しくは出資の総数若しくは総額の100分の50を超える数若しくは金額の株式若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係にある法人の取締役、執行役又は使用人(一定の大口株主等を除きます。)が、次の要件等が定められた付与契約に従って権利行使した場合の経済的利益については、一定の要件の下で課税されません(措法29の2)。
権利行使は、付与決議の日後2年を経過した日からその付与決議の日後10年を経過する日までの間に行わなければならないこと
権利行使価額の年間の合計額が1,200万円を超えないこと
1株当たりの権利行使価額は、ストック・オプションの権利付与契約締結時におけるその株式の1株当たりの価額相当額以上とされていること
新株予約権については、譲渡をしてはならないこととされていること
権利行使により取得する株式は、一定の方法によって証券業者等(金融商品取引業者等)に保管の委託等がされること
(注) この場合の経済的利益は、取得した株式を譲渡するまでその課税が繰り延べられ、株式を譲渡したときに株式譲渡益課税(申告分離課税)の対象として一括して課税されることになります。
給与所得の収入すべき時期 所得税は、暦年ごとに、その年中に収入することが確定した所得について課されることになっています。
給与所得についてその収入することが確定する時期は、次に掲げる給与の区分に応じ、それぞれ次に掲げる日によることとされています(所法36
、所基通36−9)。
1 一般の給与……それぞれ次に掲げる日
(1) 契約又は慣習その他株主総会の決議等により支給日が定められているもの(次の2に掲げるものを除きます。)については、その支給日
(2) 支給日が定められていないものについては、その支給を受けた日
2 役員に対する賞与のうち、株主総会決議等によりその算定の基礎となる利益に関する指標の数値が確定し支給金額が定められるものその他利益を基礎として支給金額が定められるもの……その決議等があった日
ただし、その決議等が支給する金額の総額だけを定めるにとどまり、各人ごとの具体的な支給金額を定めていない場合には、各人ごとの支給金額が具体的に定められた日によります。
3 給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧給与の差額に相当する給与……それぞれ次に掲げる日
(1) 支給日が定められているものについては、その支給日
(2) 支給日が定められていないものについては、その改訂の効力が生じた日
4 いわゆる認定賞与とされる給与……それぞれ次に掲げる日
(1) 支給日があらかじめ定められているものについては、その支給日
(2) 支給日が定められていないものについては、現実にその支給を受けた日(その日が明らかでない場合には、その支給が行われたと認められる事業年度の終了の日)
給与所得の源泉徴収に際して控除される諸控除所得税は、納税者の担税力に応じた課税を行うなどのため、その課税に当たっては、各種の控除を行うこととしています。この控除には、各人の所得金額から控除する「所得控除」と、各人の所得税額から控除する「税額控除」とがあります。また、これらの控除には源泉徴収の段階で控除されるものと確定申告によってのみ控除されるものとがあります。これらの控除の種類及びこれらの控除を源泉徴収の際に受けるために必要な申告書は、次の表のとおりです。
(注)
1 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除については、初年度は確定申告によって控除を受けることになっています。
2 平成19年度の税制改正により、電子証明書を有する個人が、平成19年分又は平成20年分の所得税の確定申告書の提出を、その者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書を付して、その年の翌年の1月4日(平成20年分の場合は1月5日)から3月15日までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行う場合には、一定の要件の下、その者のその年分の所得税の額から5千円(その年分の所得税の額を限度とします。)を控除することとされました。
なお、平成19年分にこの控除の適用を受けた場合には、平成20年分において適用を受けることはできないこととされています。
(1) 配偶者控除
イ 所得者に控除対象配偶者に該当する人がいる場合には、次の金額が所得から控除されます(所法83、措法41の16)。
(イ) 一般の控除対象配偶者については、38万円
(ロ) 老人控除対象配偶者については、48万円
(ハ) 同居特別障害者である控除対象配偶者のうち、
一般の控除対象配偶者については、73万円
老人控除対象配偶者については、83万円
ロ 控除対象配偶者とは、所得者と生計を一にする配偶者(青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます。)で、合計所得金額が38万円以下の人をいいます(所法2
三十三)。
ハ 老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、年齢70歳以上の人(平成19年分の所得税については、昭和13年1月1日以前に生まれた人)をいいます(所法2
三十三の二)。
ニ 同居特別障害者である控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、特別障害者に該当する人で所得者又は所得者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている人をいいます(措法41の16
)。
(注)
1 ここにいう「配偶者」には、いわゆる内縁関係の人は含まれません(所基通2−46)。
2 年の中途で配偶者と死別し、その年中に再婚した所得者の控除対象配偶者は、死亡した配偶者か再婚した配偶者かのいずれか1人に限られます(所令220)。
3 ここにいう「合計所得金額」とは、次に掲げる金額の合計額をいいます(所法2
三十、措法31
一、32
、37の10
一、37の12の2
、37の13の2
、41の5
一、41の5の2
一、41の14
一、41の15
、所基通2−41)。
純損失又は雑損失の繰越控除、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除を適用しないで計算した総所得金額
土地・建物等の譲渡所得の金額(長期譲渡所得の金額(特別控除前)と短期譲渡所得の金額(特別控除前))
株式等の譲渡所得等の金額(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除又は特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の金額の繰越控除等の適用がある場合には、その適用前の金額)
先物取引に係る雑所得等の金額(先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用がある場合には、その適用前の金額)
退職所得金額
山林所得金額
なお、この「合計所得金額」には、源泉分離課税の利子所得のように源泉徴収によって納税が完結するものや、あるいは確定申告をしないことを選択した次のような所得は含まれません(措通3−1、8の2−2、8の3−1、41の10・41の12共−1、措通(譲)37の11の5−1)。
イ 利子所得のうち、源泉分離課税とされるもの
ロ 配当所得のうち、
(イ) 源泉分離課税とされる次に掲げる投資信託等の収益の分配等
私募公社債等運用投資信託の収益の分配
特定目的信託(社債的受益権に限ります。)の収益の分配
(ロ) 確定申告をしないことを選択した次の配当等
上場株式等の配当等
特定株式投資信託の収益の分配
公募証券投資信託(公社債投資信託及び特定株式投資信託を除きます。)の収益の分配
特定投資法人の投資口の配当等
上記
〜
以外の配当等で、1銘柄について1回の金額が10万円に配当計算期間の月数(最高12か月)を乗じてこれを12で除して計算した金額以下の配当等
ハ 源泉分離課税とされる定期積金の給付補てん金等、懸賞金付預貯金等の懸賞金等及び割引債の償還差益
ニ 源泉徴収選択口座を通じて行った上場株式等の譲渡による所得等で確定申告をしないことを選択したもの
4 配偶者の所得が給与所得だけの場合や、家内労働者等である配偶者の所得が内職等による事業所得等だけである場合には、その年中の収入金額が103万円以下であれば合計所得金額が38万円以下となり、また、配偶者の所得が公的年金等に係る雑所得だけである場合には、その年中の収入金額が年齢65歳以上の人については158万円以下、年齢65歳未満の人については108万円以下であれば、合計所得金額が38万円以下となります。
5 「生計を一にする」という用語がしばしば使われていますが、これは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうのではありませんから、例えば、親族のうちのだれかが、勤務や修学、療養などのために、ほかの親族と日常一緒に生活していない場合でも、勤務や学業の余暇には家に帰ってくるとか、常に生活費や学資金、療養費等が送金されているときは、生計を一にしていることになります。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとして取り扱われます(所基通2−47)。
(2) 配偶者特別控除
所得者(合計所得金額が1,000万円以下の人に限ります。)が、生計を一にする配偶者(合計所得金額が76万円未満の人に限ります。)で控除対象配偶者に該当しない人を有する場合には、配偶者の所得の金額に応じて、それぞれ次の表で求めた金額が配偶者特別控除額として、所得から控除されます(所法83の2
)。
| 配偶者の合計所得金額 | 控除額 |
|---|---|
| 380,000円 | |
| 380,000円-(合計所得金額-380,000円) | |
| 30,000円 |
(注)
1 「合計所得金額−380,000円」は、その金額が50,000円の整数倍の金額から30,000円を控除した金額でないときは、50,000円の整数倍の金額から30,000円を控除した金額のうち、「合計所得金額−380,000円」に満たない金額で最も大きい金額として計算します。
2 ここでいう「配偶者」には、他の所得者の扶養親族とされる人並びに青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者は除かれます。
3 夫婦の双方がお互いに配偶者特別控除の適用を受けることはできませんので、いずれか一方の配偶者は、この控除の対象とはなりません。
4 配偶者の所得が給与所得だけの場合は、その年中の給与の収入金額が103万円以下のとき又は 141万円以上であるとき、また、配偶者の所得が公的年金等に係る雑所得だけの場合は、その年中の公的年金等の収入金額が年齢65歳以上の人については158万円以下のとき又は196万円以上であるとき、年齢65歳未満の人については108万円以下のとき又は1,513,334円以上であるときは、この控除は受けられません。
5 配偶者特別控除における「控除対象配偶者の範囲」、「配偶者の意義」、「再婚した場合の控除」、「所得金額の判定上の注意」及び「生計を一にするの意味」の取扱いは、配偶者控除の場合((1)配偶者控除のロ、(注)1〜3及び5)と同様です。
[参考] 配偶者特別控除額の早見表
| 配偶者の合計所得金額 | 控除額 |
|---|---|
| 380,000円以下の場合は、配偶者特別控除の適用はありません。 | |
| 380,001円〜399,999円 | 380,000円 |
| 400,000円〜449,999円 | 360,000円 |
| 450,000円〜499,999円 | 310,000円 |
| 500,000円〜549,999円 | 260,000円 |
| 550,000円〜599,999円 | 210,000円 |
| 600,000円〜649,999円 | 160,000円 |
| 650,000円〜699,999円 | 110,000円 |
| 700,000円〜749,999円 | 60,000円 |
| 750,000円〜759,999円 | 30,000円 |
| 760,000円〜 | 0円 |
(注) 「配偶者控除」を受けている場合には、「配偶者特別控除」の適用を受けることが出来ませんので注意してください。
(3) 扶養控除
イ 所得者に扶養親族に該当する人がいる場合には、次の金額が所得から控除されます(所法84、措法41の16)。
(イ) 一般の扶養親族については、1人につき38万円
(ロ) 特定扶養親族については、1人につき63万円
(ハ) 老人扶養親族のうち同居老親等については、1人につき58万円、同居老親等以外の老人扶養親族については、1人につき48万円
(ニ) 同居特別障害者である扶養親族のうち、
一般の扶養親族については、1人につき73万円、
特定扶養親族については、1人につき98万円、
老人扶養親族のうち同居老親等については、1人につき93万円、
同居老親等以外の老人扶養親族については、1人につき83万円
ロ 扶養親族とは、所得者と生計を一にする次に掲げる人(青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます。)で、合計所得金額が38万円以下の人をいいます(所法2
三十四)。
(イ) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)
(ロ) 児童福祉法の規定により養育を委託されたいわゆる里子
なお、里子となるのは、原則として18歳未満の人に限られています(所基通2−49)。
(ハ) 老人福祉法の規定により養護を委託されたいわゆる養護老人
なお、養護老人となるのは、原則として年齢65歳以上の人に限られています(所基通2−49)。
ハ 特定扶養親族とは、扶養親族のうち、年齢16歳以上23歳未満の人(平成19年分の所得税については、昭和60年1月2日から平成4年1月1日までの間に生まれた人)をいいます(所法2
三十四の二)。
ニ 老人扶養親族とは、扶養親族のうち、年齢70歳以上の人(平成19年分の所得税については、昭和13年1月1日以前に生まれた人)をいい、老人扶養親族のうち、所得者又はその配偶者の直系尊属(父母、祖父母など)で所得者又はその配偶者との同居を常況としている人を同居老親等といいます(所法2
三十四の三、措法41の16
)。
ホ 同居特別障害者である扶養親族とは、扶養親族のうち、特別障害者に該当する人で所得者、所得者の配偶者又は所得者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている人をいいます(措法41の16
)。
(注) 扶養控除における「所得金額の判定上の注意」、「扶養親族となる人の給与所得等の収入金額」、「生計を一にするの意味」の取扱いは、配偶者控除の場合((1)配偶者控除の(注)3〜5)と同様です。
(4) 障害者控除
所得者本人が一般の障害者や特別障害者に該当する場合又は所得者の控除対象配偶者や扶養親族が一般の障害者や特別障害者に該当する場合には、次の金額が所得から控除されます(所法79)。
一般の障害者については、1人につき27万円
特別障害者については、1人につき40万円
ここにいう一般の障害者又は特別障害者とは、次に掲げる人をいいます(所法2
二十八、二十九、所令10)。
イ 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人…これに該当する人は、すべて特別障害者になります。
ロ 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター又は精神保健指定医から知的障害者と判定された人…このうち、重度の知的障害者と判定された人は、特別障害者になります。
ハ 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人…このうち、障害等級が1級である者と記載されている人は、特別障害者になります。
ニ 身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある者として記載されている人…このうち、障害の程度が1級又は2級であると記載されている人は、特別障害者になります。
ホ 戦傷病者特別援護法の規定による戦傷病者手帳の交付を受けている人…このうち、障害の程度が恩給法別表第1号表ノ2の特別項症から第三項症までの人は、特別障害者になります。
ヘ 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律第11条第1項の規定による厚生労働大臣の認定を受けている人…これに該当する人は、すべて特別障害者になります。
ト 常に就床を要し、複雑な介護を要する人…これに該当する人は、すべて特別障害者になります。
チ 精神又は身体に障害のある年齢65歳以上の人(平成19年分の所得税については、昭和18年1月1日以前に生まれた人)で、その障害の程度がイ、ロ又はニに該当する人に準ずるものとして町村長や福祉事務所長などの認定を受けている人…このうち、その障害の程度がイ、ロ又はニの特別障害者に準ずるものとして町村長や福祉事務所長などの認定を受けている人は、特別障害者になります。
(5) 寡婦(寡夫)控除
所得者本人が一般の寡婦又は寡夫に該当する場合には、27万円が、また、特別の寡婦に該当する場合には、35万円が所得から控除されます(所法81、措法41の17)。
イ ここにいう一般の寡婦とは、次に掲げる人をいいます(所法2
三十、所令11)。
(イ) 次のいずれかに該当する人で、扶養親族又は生計を一にする子のある人
A 夫と死別した後、婚姻していない人
B 夫と離婚した後、婚姻していない人
C 夫の生死が明らかでない人
(ロ) 上記(イ)に掲げる人のほか、次のいずれかに該当する人で、合計所得金額が500万円以下である人
A 夫と死別した後、婚姻していない人
B 夫の生死が明らかでない人
ロ ここにいう特別の寡婦とは、イの(イ)に掲げる寡婦のうち、扶養親族である子を有し、かつ、合計所得金額が500万円以下の人をいいます(措法41の17)。
ハ ここにいう寡夫とは、次のいずれかに該当する人で、生計を一にする子があり、かつ、合計所得金額が500万円以下の人をいいます(所法2
三十一、所令11の2)。
(イ) 妻と死別した後、婚姻していない人
(ロ) 妻と離婚した後、婚姻していない人
(ハ) 妻の生死が明らかでない人
(注)
1 ここでいう「生計を一にする子」には、他の所得者の控除対象配偶者や扶養親族となっている人又は所得金額の合計額が38万円を超える人は、含まれません。
2 その所得が給与所得だけの場合には、その年中の給与の収入金額が6,888,889円以下であれば、合計所得金額が500万円以下となります。
(6) 勤労学生控除
所得者本人が勤労学生に該当する場合には、27万円が所得から控除されます(所法82)。
ここにいう勤労学生とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます(所法2
三十二、所令11の3)。
イ 次に掲げる学校等の学生、生徒、児童又は訓練生であること。
(イ) 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、特別支援学校
(ロ) 国、地方公共団体、学校法人、医療事業を行う農業協同組合連合会、医療法人等、文部科学大臣が定める基準を満たす専修学校又は各種学校(以下「専修学校等」といいます。)を設置する者の設置した専修学校等で、職業に必要な技術の教授をするなど一定の要件に該当する課程を履修させるもの
(ハ) 認定職業訓練を行う職業訓練法人で、一定の要件に該当する課程を履修させるもの
ロ 自分の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得(以下これらを「給与所得等」といいます。)がある人で、合計所得金額が65万円以下であり、かつ、給与所得等以外の所得の金額が10万円以下であること。
なお、この場合の合計所得金額の計算については、(1)配偶者控除の項の(注)の3で説明したとおりです。
(注) その所得が給与所得だけの場合には、その年中の給与の収入金額が130万円以下であれば、合計所得金額が65万円以下となります。
所得者が所得者本人又は所得者本人と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合や社会保険料を給与から控除された場合には、その社会保険料の全額が所得から控除されます(所法74
)。
ここにいう社会保険料とは、次に掲げるものをいいます(所法74
、所令208、措法41の7
)。
イ 健康保険、雇用保険、国民年金、厚生年金保険、船員保険又は農業者年金の保険料で被保険者として負担するもの
ロ 健康保険法附則又は船員保険法附則の規定により被保険者が承認法人等に支払う負担金
ハ 国民健康保険の保険料又は国民健康保険税
ニ 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)の規定による保険料
ホ 介護保険法の規定による介護保険料
へ 国民年金基金の加入員として負担する掛金
ト 厚生年金基金の加入員として負担する掛金
チ 労働者災害補償保険の特別加入者として負担する保険料
リ 国家公務員共済組合法又は地方公務員等共済組合法の規定による掛金(地方公務員等共済組合にあっては特別掛金を含みます。)
ヌ 私立学校教職員共済法の規定により加入者として負担する掛金
ル 恩給法の規定による納金
ヲ 地方公共団体の職員が条例の規定により組織する互助会の行う職員の相互扶助に関する制度で一定の要件を備えているものとして所轄税務署長の承認を受けた制度に基づき、その職員が負担する掛金
ワ 公庫等の復帰希望職員の掛金
(注) イ及びロには、船員の雇用の促進に関する特別措置法の規定により船員保険法の被保険者とみなされた労務供給船員の支払う船員保険の保険料を含みます。
所得者が小規模企業共済等掛金を支払った場合や給与から控除された場合には、その年中に支払った掛金の全額が所得から控除されます(所法75
)。
ここにいう小規模企業共済等掛金とは、次に掲げる掛金をいいます(所法75
)。
イ 小規模企業共済契約に基づく掛金
この掛金は、所得者が、独立行政法人中小企業基盤整備機構と締結した共済契約(旧第2種共済契約を除きます。)に基づいて支払った掛金です。
ロ 確定拠出年金法に基づく個人型年金の加入者掛金
ハ 地方公共団体の行ういわゆる心身障害者扶養共済制度に基づく掛金
(注) この心身障害者扶養共済制度とは、地方公共団体の条例において心身に障害のある人を扶養する人が加入者となり、その加入者が地方公共団体に掛金を納付し、その地方公共団体が心身に障害のある人を扶養するための給付金を定期に支給することを定めている制度のうち一定の要件を備えているものをいいます(所令20
)。
(9) 生命保険料控除
イ 生命保険料控除額
所得者が、生命保険契約等に基づく保険料又は掛金を支払った場合には、一定の個人年金保険契約等に基づく保険料又は掛金(傷害特約や疾病特約等が付されている契約にあっては、その特約部分の保険料又は掛金を除きます。以下これらを「個人年金保険料」といいます。)とそれ以外の保険料(以下「一般の生命保険料」といいます。)の区分ごとにそれぞれ次の表により求めた金額の合計額が生命保険料控除として所得から控除されます(所法76![]()
)。
| 支払った一般の生命保険料 又は個人年金保険料の金額 |
各保険料の控除額 |
|---|---|
| 25,000円以下 | 支払った保険料の全額 |
| 25,001円から50,000円まで | |
| 50,001円から100,000円まで | |
| 100,001円以上 | 一律に50,000円 |
(注)
1
保険期間又は共済期間が5年に満たない生命保険契約又は生命共済契約のうち、被保険者が保険期間又は共済期間の満了の日に生存している場合や保険期間又は共済期間中に災害、特定の感染症その他これらに類する特別の事由で死亡した場合にだけ保険金又は共済金を支払うこととされている、いわゆる貯蓄保険(共済)の保険料や共済掛金、
外国生命保険会社等と国外で締結した生命保険契約等に基づく保険料、
傷害保険契約や信用保険契約に基づく保険料、
勤労者財産形成貯蓄保険契約等に基づく生命保険の保険料や生命共済の共済掛金は、生命保険料控除の対象になりません(所法76
、所令209、措法4の4
)。
2 剰余金の分配や割戻金の割戻しを受けたり、その剰余金や割戻金を保険料等の払込みに充てたりした場合には、その年中に支払った一般の生命保険料又は個人年金保険料の合計額から、その支払を受けたり払込みに充てたりした剰余金や割戻金の合計額を控除した残額が、上記の表の「支払った一般の生命保険料又は個人年金保険料の金額」になります(所法76![]()
)。
ロ 生命保険料控除の対象となる保険料等
(イ) 一般の生命保険料
生命保険料控除の対象となる一般の生命保険料は、保険金などの受取人のすべてが所得者本人又は所得者の配偶者や親族となっている次に掲げる生命保険契約等に基づいて支払った保険料又は掛金のうち、(ロ)の個人年金保険料に該当しないものをいいます(所法76![]()
、所令209、210、210の3、措法4の4
、昭62大蔵省告示159号)。
生命保険会社又は外国生命保険会社等と締結した生命保険契約のうち生存又は死亡に基因して一定額の保険金が支払われるもの(外国生命保険会社等については国内で締結したものに限ります。)
簡易生命保険契約
農業協同組合又は農業協同組合連合会と締結した生命共済契約
漁業協同組合、水産加工業協同組合又は共済水産業協同組合連合会と締結した生命共済契約
消費生活協同組合連合会と締結した生命共済契約
共済事業を行う特定共済組合又は特定共済組合連合会と締結した生命共済契約
教職員共済生活協同組合と締結した生命共済契約
警察職員生活協同組合と締結した生命共済契約
埼玉県民共済生活協同組合と締結した生命共済契約
全国交通運輸産業労働者共済生活協同組合と締結した生命共済契約
全逓信労働者共済生活協同組合と締結した生命共済契約
全日本自治体労働者共済生活協同組合と締結した生命共済契約
電気通信産業労働者共済生活協同組合と締結した生命共済契約
全国理容生活衛生同業組合連合会と締結した年金共済契約
独立行政法人中小企業基盤整備機構と締結した旧第2種共済契約
生命保険会社、外国生命保険会社等、損害保険会社又は外国損害保険会社等と締結した身体の傷害又は疾病により保険金が支払われる保険契約のうち、病院又は診療所に入院して医療費を支払ったことに基因して保険金が支払われるもの(外国生命保険会社等又は外国損害保険会社等については国内で締結したものに限ります。)
確定給付企業年金に係る規約
適格退職年金契約
(ロ) 個人年金保険料
生命保険料控除の対象となる個人年金保険料は、(イ)の
から
までに掲げる生命保険契約等のうち、年金を給付する定めのあるもの(退職年金を給付する定めのあるものは除かれます。)で、次の表に掲げる契約に基づいて支払った保険料又は掛金をいいます(所法76![]()
、所令211、212、措法4の4
)。
なお、次の表の契約の範囲には、その契約の内容に傷害特約や疾病特約等が付されている場合のその特約の内容は含まれません。
(注) 傷害特約等が付されている個人年金保険契約等の保険料又は掛金であっても、その特約部分以外の保険料又は掛金については、個人年金保険料として生命保険料控除の対象となります。また、特約部分の保険料又は掛金については、一般の生命保険料として生命保険料控除の対象となります。
| 区分 | 契約の範囲 | 契約の要件 |
|---|---|---|
(1) 生命保険契約(所令211 一) |
イ 年金以外の金銭の支払は、被保険者が死亡し又は重度の障害に該当することとなった場合に限り行うものであること。 ロ イの金銭の額は、その契約の締結日以後の期間又は支払保険料の総額に応じて逓増的に定められていること。 ハ 年金の支払は、その支払期間を通じて年1回以上定期に行うものであり、かつ、年金の一部を一括して支払う旨の定めがないこと。 ニ 剰余金の分配は、年金支払開始日前に行わないもの又はその年の払込保険料の範囲内の額とするものであること。 |
1 年金の受取人(所法76 2 保険料等の払込方法(所法76 3 年金の支払方法(所法76
|
(2) 簡易生命保険契約 (所令 211二) |
契約の内容が(1)のイからニまでの要件を満たすもの | |
(3) 農協・漁協等の生命共済契約 (所令211 三) |
契約の内容が(1)のイからニまでの要件に相当する要件その他の財務省令(所規40の6)で定める要件を満たすもの | |
(4) (3)以外の生命共済契約(所令211四) |
一定の要件を満たすものとして、財務大臣の指定するもの(昭62大蔵省告示155号) |
(10) 地震保険料控除
イ 地震保険料控除額
所得者が、所得者本人又は所得者と生計を一にする配偶者その他の親族の所有する家屋・家財(注1)のうち一定のものを保険や共済の目的とし、かつ、地震等損害(注2)によりこれらの資産について生じた損失の額をてん補する保険金又は共済金が支払われる損害保険契約等(注3)に係る地震保険料(注4)を支払った場合には、その年中に支払った地震保険料の金額の合計額(注5)(最高5万円)が所得から控除されます(所法77
)。
(注)
1. 家財を保険の目的とする契約であっても、宝石、貴金属、書画、骨とうなどで1個又は1組の価額が30万円を超えるものその他の生活に通常必要でない資産が保険の目的となっている家財のうちに含まれている場合には、この契約により支払う保険料のうち生活に通常必要な資産に対応する部分の保険料だけが地震保険料控除の対象になります(所法9
九、77
、所令25)。
2. 「地震等損害」とは、地震若しくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流出による損害をいいます(所法77
)。
3. 「損害保険契約等」とは、次のロに掲げる契約に附帯して締結されるもの又はその契約と一体となって効力を有する一の保険契約若しくは共済に係る契約をいいます(所法77
)。
4. 「地震保険料」とは、地震等損害により保険又は共済の目的とする資産について生じた損失の額をてん補する保険金又は共済金が支払われる損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料又は掛金(次のハに揚げる保険料等を除きます。)をいいます(所法77
)。
5. 剰余金の分配や割戻金の割戻しを受けたり、その剰余金や割戻金を保険料の払込みに充てたりした場合には、その年中に支払った保険料の合計額からその支払を受けたり払込みに充てたりした剰余金や割戻金の合計額を控除した残額が、「支払った地震保険料の金額」になります(所法77
)。
ロ 地震保険料控除の対象となる保険料等
地震保険料控除の対象となる保険料等は、次に掲げる損害保険契約等に基づいて支払った地震等損害部分の保険料又は掛金をいいます(所法77
、所令214、平成18年財務省告示第139号)。
(イ) 損害保険会社又は外国損害保険会社等と締結した損害保険契約のうち、一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補するもの(損害保険会社又は外国損害保険会社等の締結した身体の傷害又は疾病により保険金が支払われる一定の保険契約は除かれます。また、外国損害保険会社等については国内で締結したものに限ります。)
(ロ) 農業協同組合と締結した建物更生共済契約又は火災共済契約
(ハ) 農業協同組合連合会と締結した建物更生共済契約又は火災共済契約
(ニ) 農業共済組合又は農業共済組合連合会と締結した火災共済契約又は建物共済契約
(ホ) 漁業協同組合、水産加工業協同組合又は共済水産業協同組合連合会と締結した建物若しくは動産の共済期間中の耐存を共済事故とする共済契約又は火災共済契約
(ヘ) 火災共済協同組合と締結した火災共済契約
(ト) 消費生活協同組合連合会と締結した火災共済契約又は自然災害共済契約
(チ) 消費生活協同組合法第10条第1項第4号の事業を行う次に掲げる法人と締結した自然災害共済契約
全国交通運輸産業労働者共済生活協同組合
全逓信労働者共済生活協同組合
全日本自治体労働者共済生活協同組合
電気通信産業労働者共済生活協同組合
ハ 地震保険料控除の対象とならない保険料等
次に掲げる保険料又は掛金は地震保険料控除の対象となりません(所法77
、所令213)。
(イ) 地震等損害により臨時に生ずる費用又はその資産の取壊し若しくは除去に係る費用その他これらに類する費用に対して支払われる保険金又は共済金に係る保険料又は掛金
(ロ) 一の損害保険契約等の契約内容につき、次の算式により計算した割合が百分の二十未満であることとされている場合における地震等損害部分の保険料又は掛金(ハ(イ)に掲げるものを除きます。)

(注)
1. 「火災」は、地震若しくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とするものを除きます。
2. 損失の額をてん補する保険金又は共済金の額の定めがない場合には、その火災により支払われることとされている保険金又は共済金の限度額とします。
3. 損失の額をてん補する保険金又は共済金の額の定めがない場合には、その地震等損害により支払われることとされている保険金又は共済金の限度額とします。
4. 損害保険契約等において地震等損害により家屋等について生じた損失の額をてん補する保険金叉は共済金の額が地震保険に関する法律施行令第2条«保険金額の限度額»に規定する金額(原則として家屋については5,000万円、家財については1,000万円)以上とされている場合には、上記算式で計算した割合にかかわらず地震保険料控除の対象となります。
【経過措置】
○ 所得者が、平成19年分以後の各年において、平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等(注)に係る保険料又は掛金(以下「旧長期損害保険料」といいます。)を支払った場合には、上記(10)イにかかわらず、支払った地震保険料等(地震保険料控除の対象となる地震保険料及び旧長期損害保険料)の区分に応じて次により計算した金額とすることができます(平18改正法附則10
)。
| 支払った保険料等の区分 | 保険料等の金額 | 控除額 | ||
|---|---|---|---|---|
| 地震保険料等のすべてが地震保険料控除の対象となる損害保険契約等である場合 | − | − | その年中に支払った地震保険料の金額の合計額(最高5万円) | |
| 地震保険料等に係る契約のすべてが長期損害保険契約等(注)に該当するものである場合 | 旧長期損害保険料の金額の合計額 | 10,000円以下 | その合計額 | |
| 10,000円超 20,000円以下 |
![]() | |||
| 20,000円超 | 15,000円 | |||
| 50,000円以下 | その合計額 | |||
| 50,000円超 | 5万円 | |||
(※)上記
〜
により控除額を計算する場合において、一の損害保険契約等又は一の長期損害保険契約等が
又は
のいずれにも該当するときは、いずれか一の契約のみに該当するものとして同項の規定を適用します。
(注)「長期損害保険契約等」とは、次のすべてに該当する損害保険契約等をいいます(保険期間又は共済期間の始期が平成19年1月1日以後であるものを除きます。)。
保険期間又は共済期間の満了後に満期返戻金を支払う旨の特約のある契約その他一定の契約(※)であること
保険期間又は共済期間が10年以上であること
平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないものであること
(※)「その他一定の契約」は、建物又は動産の共済期間中の耐存を共済事故とする共済に係る契約をいいます(平18改正令附則14
)。
(11) 基礎控除
所得者については、一律に38万円がその所得から控除されます(所法86)。
(参考) 源泉徴収の際に控除される所得控除額の一覧
源泉徴収の際に控除される(1)から(11)までの所得控除の種類と控除額を一覧表で示すと、次のようになります。

(1) 控除対象配偶者や扶養親族、障害者などに該当するかどうかは、その年12月31日の現況により判定しますが、給与所得者やその親族が年の中途で死亡したり、給与所得者が年の中途で出国したりする場合には、その死亡又は出国の時の現況により判定します(所法85、措法41の16
、41の17
、所基通85−1)。
なお、「給与所得者の扶養控除等申告書」又は「給与所得者の配偶者特別控除申告書」を提出する際に、控除対象配偶者や扶養親族、障害者などに該当するかどうか等を判定する場合には、その申告書を提出する日の現況により判定します。この場合、判定の要素となる所得金額についてはその年中の所得金額の見積額により、また、年齢についてはその年12月31日の現況により判定します(所基通194・195−3、195の2-1)。
(2) いわゆる共働きの場合など同一世帯に2以上の所得者がある場合には、これらの所得者が扶養する親族をどの所得者の控除対象配偶者又は扶養親族としても差し支えありませんが、いずれの所得者の控除対象配偶者又は扶養親族とするかは、その所得者が提出した「給与所得者の扶養控除等申告書」等に記載されたところによります(所令218、219)。
給与所得者が源泉徴収の段階で控除を受けることができる税額控除は、次の(1)に記載の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除(注)に限られています(措法41、41の2の2、41の3の2、震災特例法16)。
なお、この控除は、年末調整の際に控除を受けることができますが、最初の年分は年末調整の段階で控除を受けることはできません(措法41の2の2)。
確定申告により控除を受けることとなります。
(注)(特定増改築等)住宅借入金等特別控除は、本文中(1)イ(イ)、(ロ)A及びロの住宅借入金等特別控除、及び(1)イ(ロ)Bの特定増改築等住宅借入金等特別控除を総称した用語として使用しています。
(1) (特定増改築等)住宅借入金等特別控除制度の概要
イ 一般の住宅の取得等の場合
(イ) 本則
居住者が住宅の取得等(一定の要件を満たす居住用家屋の新築、購入又は増改築等をいいます。)をして、これらの居住用家屋(増改築等をした家屋については、その増改築等をした部分に限ります。)を平成11年1月1日から平成20年12月31日までの間にその人の居住の用に供した場合において、その人が住宅借入金等(その住宅の取得等に充てた一定の借入金又は債務をいいます。)を有するときは、その居住の用に供した日の属する年以後10年間(平成11年1月1日から平成13年6月30日までの間に居住の用に供した場合は15年間の各年のうち、合計所得金額が3,000万円以下である年について、その住宅借入金等の年末残高の合計額を基としてそれぞれ次の控除率により計算した金額が住宅借入金等特別控除額としてその年分の所得税の額から控除されます。
(住宅借入金等特別控除額の概要一覧表)
| 住宅を 居住の用に 供した日 |
控除期間 | 住宅借入金等の年末残高に乗ずる控除率 | 各年の 控 除 限度額 |
||||
| 2,000万円以下 の部分の金額 |
2,000万円超 2,500万円以下 の部分の金額 |
2,500万円超 3,000万円以下 の部分の金額 |
3,000万円超 4,000万円以下 の部分の金額 |
4,000万円超 5,000万円以下 の部分の金額 |
|||
| 平成11年1月1日から 平成13年6月30日まで |
1〜6年目 | 1.0% | 50万円 | ||||
| 7〜11年目 | 0.75% | 37.5万円 | |||||
| 12〜15年目 | 0.5% | 25万円 | |||||
| 平成13年7月1日から 平成16年12月31日まで |
10年間 | 1.0% | 50万円 | ||||
| 平成17年1月1日から 平成17年12月31日まで |
1〜8年目 | 1.0% | − | 40万円 | |||
| 9・10年目 | 0.5% | 20万円 | |||||
| 平成18年1月1日から 平成18年12月31日まで |
1〜7年目 | 1.0% | − | 30万円 | |||
| 8〜10年目 | 0.5% | 15万円 | |||||
| 平成19年1月1日から 平成19年12月31日まで |
1〜6年目 | 1.0% | − | 25万円 | |||
| 7〜10年目 | 0.5% | 12.5万円 | |||||
| 平成20年1月1日から 平成20年12月31日まで |
1〜6年目 | 1.0% | − | 20万円 | |||
| 7〜10年目 | 0.5% | 10万円 | |||||
(ロ) 特例
A 税源移譲の実施に対応するための特例
平成19年分の所得税から実施されている税源移譲による影響を踏まえ、その効果を確保する観点(注)から、居住者が平成19年1月1日から平成20年12月31日までの間に住宅を自己の居住の用に供した場合、次の表のとおりの控除率及び適用年(控除期間)による特例が、現行特別控除との選択により適用されます。
(注) 平成19年分以後の所得税(個人住民税は平成19年度分以後)について、国税(所得税)から地方税(個人住民税)への税源移譲が実施され、多くの方は所得税額が減少することとなります。このため、現行特別控除における控除額を国税(所得税)から控除しきれないこととなる場合があり、そのための対応としてこの特例が設けられました。
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||
税源移譲の実施に伴い平成19年分以降の所得税(国税)の額が減少した場合に、住宅借入金等特別控除額が控除しきれないこととなった場合への対応として、個人住民税(地方税)の制度において、次のような措置が講じられています。
住宅借入金等特別控除の適用がある方(平成11年から平成18年までの間に入居した方に限ります。)の平成19年分以降の各年分において、住宅借入金等特別控除可能額と税源移譲実施前の税率を適用して算定した所得税額(住宅借入金等特別控除額の適用がないものとした場合の所得税額とします。)のいずれか少ない金額から当該年分の所得税額(住宅借入金等特別控除額の適用がないものとした場合の所得税額とします。)を控除した残額(0を下回る場合を除きます。)については、翌年度分の個人住民税から、その残額に相当する金額を減額できる措置が講じられています。
なお、この措置は、対象者が市区町村長(注1)に対し「市町村民税及び道府県民税住宅借入金等特別税額控除申告書」を各年度の提出期限(注2)までに提出した場合に適用することとされています。
詳しくは、最寄りの市区町村にお尋ねください。
(注)
1 各年度の初日の属する年の1月1日現在における住所の市区町村長をいいます。なお、所得税の確定申告書を提出する場合には、管轄の税務署長を経由して提出することができます。
2 原則として各年度の初日の属する年の3月15日が提出期限となっています。
B バリアフリー改修工事促進のための特例
(A) 一定の居住者(注1)が、自己の居住の用に供する住宅について特定のバリアフリー改修工事(以下、「特定増改築等」といいます。)(注2)を含む増改築等を行った場合において、その住宅を平成19年4月1日から平成20年12月31日までの間に自己の居住の用に供したときは、一定の要件のもとで次の表のとおりの増改築等住宅借入金等(その住宅の増改築等に充てた一定の借入金又は債務をいいます。)の年末残高の限度額、控除率及び控除期間による特例(以下、「特定増改築等住宅借入金等特別控除」といいます。)が、増改築等に係る上記(イ)又は上記Aの税源移譲対応特例との選択により適用されます。
項目
区分 |
増改築等住宅借入金等の年末残高限度額 | 控除率 | 控除期間 | 各年の 最高控除額 |
最高 控除額計 | |
| 1,000万円(注) | 1.0% | 5年 | 12万円 | 60万円 | ||
| 200万円 | 2.0% | |||||
(注)特定増改築等住宅借入金等の年末残高の限度額は、
と
の合計で1,000万円となります。
(注)
1 一定の居住者とは、
年齢が50歳以上である者、
介護保険法の要介護又は要支援の認定を受けている者、
障害者である者、
前記の
若しくは
に該当する者又は年齢が65歳以上の者(以下「高齢者等」といいます。)である親族と同居している者、のいずれかに該当する居住者をいいます。
2 特定増改築等とは、家屋について行う次に掲げる、国土交通大臣が財務大臣と協議して定める高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための増築、改築、修繕又は模様替であり、これらに該当する旨を証する書類を確定申告書に添付することにより証明がされた改修工事(当該改修工事が行われる構造又は設備と一体となって効用を果たす設備の取替え又は取付けに係る改修工事を含みます。)をいいます(措法41の3の2
、措令26の3
、措規18の23の2
、平成19国土交通省告示第407号)。
なお、上記の該当する旨を証する書類とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する登録住宅性能評価機関、建築基準法に規定する指定確認検査機関又は建築基準法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行する証明書をいいます(昭和63年建設省告示第1274号(最終改正平成19年国土交通省告示第408号))。
(1) 介助用の車いすで容易に移動するために通路又は出入口の幅を拡張する工事
(2) 階段の設置(既存の階段の撤去を伴うものに限る。)又は改良によりその勾配を緩和する工事
(3) 浴室を改良する工事であって、次のいずれかに該当するもの
イ 入浴又はその介助を容易に行うために浴室の床面積を増加させる工事
ロ 浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事
ハ 固定式の移乗台、踏み台その他の高齢者等の浴槽の出入りを容易にする設備を設置する工事
ニ 高齢者等の身体の洗浄を容易にする水栓器具を設置し又は同器具に取り替える工事
(4) 便所を改良する工事であって、次のいずれかに該当するもの
イ 排泄又はその介助を容易に行うために便所の床面積を増加させる工事
ロ 便器を座便式のものに取り替える工事
ハ 座便式の便器の座高を高くする工事
(5) 便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関並びにこれらを結ぶ経路に手すりを取り付ける工事
(6) 便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関並びにこれらを結ぶ経路の床の段差を解消する工事(勝手口その他屋外に面する開口の出入口及び上がりかまち並びに浴室の出入口にあっては、段差を小さくする工事を含む。)
(7) 出入口の戸を改良する工事であって、次のいずれかに該当するもの
イ 開戸を引戸、折戸等に取り替える工事
ロ 開戸のドアノブをレバーハンドル等に取り替える工事
ハ 戸に戸車その他の戸の開閉を容易にする器具を設置する工事
(8) 便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関並びにこれらを結ぶ経路の床の材料を滑りにくいものに取り替える工事
ロ 震災被災者の住宅の再取得等の場合
イ(イ)の特例措置として、居住用家屋が阪神・淡路大震災によって被害を受けたことにより居住の用に供することができなくなった人が、その居住の用に供することができなくなった日後に一定の要件を満たす居住用家屋の新築、購入(同日以後の初めての新築又は購入に限ります。)又は増改築等をし、平成11年1月1日から平成16年12月31日までの間に居住の用に供した場合には、一定の要件の下で、住宅借入金等の年末残高に適用される控除率は、次のようになります(震災特例法16)。
| 住宅を居住の用に供した日 | 控除期間 | 住宅借入金等の年末残高に乗ずる控除率 | 各年の控除限度額 | ||
| 1,000万円以下の部分の金額 | 1,000万円超2,000万円以下の部分の金額 | 2,000万円超3,000万円以下の部分の金額 | |||
| 平成11年1月1日から 平成16年12月31日まで |
全期間 (6年間) |
2.0% | 1.0% | 0.5% | 35万円 |
(注) この特例措置による控除を受けることができる人については、本人の選択により、上記による控除額(控除期間は6年間)か、イに掲げた控除額のいずれかを適用することができます(震災特例法16![]()
)。
(2) (特定増改築等)住宅借入金等特別控除の対象となる住宅の取得等
住宅借入金等特別控除の対象となる住宅の取得等とは、次の表の区分に応じ、それぞれ次の表に掲げる居住用家屋の新築などをいい、自己の居住の用に供する家屋を2以上有する場合には、主として居住の用に供する一の家屋に限られます(措法41
、措令26



、26の3
〜
、措規18の21
〜
、18の23の2
、平5建設省告示第1931号)
| 区分 | 住宅の取得等に該当するための要件 |
|---|---|
| 居住用家屋の新築又は新築家屋の購入 | 居住の用に供する家屋で次の要件を満たすもの
|
| 中古家屋の購入 | 居住の用に供する家屋で次の要件を満たすものであることについて証明されたもの
イ 取得の日以前25年以内に建築された耐火建築物である家屋 ロ 取得の日以前20年以内に建築された耐火建築物以外の家屋 ハ 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の家屋 (注) |
| 増改築等 | 居住の用に供している自己所有の家屋について行う工事で、次に掲げる要件を満たすもの
イ 増築や改築、建築基準法上の大規模の修繕、大規模の模様替の工事。 ロ マンション等の区分所有建物のうちその人の区分所有する部分の床、間仕切壁又は主要構造部である壁等について行う一定の修繕又は模様替(イに該当するものを除きます。)の工事。 ハ 家屋(マンション等の区分所有建物については、その人が区分所有する部分に限ります。)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕又は模様替(イ又はロに該当するものを除きます。)の工事。 ニ 家屋について行う地震に対する安全性に関する一定の基準に適合させるための修繕または模様替(イからハに該当するものを除きます。)の工事。 ホ 家屋について行う高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための修繕又は模様替(イからニに該当するものを除きます。)の工事。
|
| 特定増改築等 | 一定の居住者が、居住の用に供する自己所有の家屋について行う特定増改築又は特定増改築を含む上記「増改築等」の要件
|
(3) (特定増改築等)住宅借入金等特別控除の対象となる住宅借入金等
イ 住宅借入金等特別控除の場合
住宅借入金等特別控除の対象となる住宅借入金等とは、割賦による償還期間又は賦払期間が10年以上の次に掲げる借入金又は債務(これらに類する一定の債務を含みます。)をいい、その家屋の新築又は購入とともにするその住宅の敷地の用に供される又は供されていた土地等の取得資金に充てるためのものも含まれます。ただし、その借入金等のうち利息に対応するもの及び使用者から借り入れた借入金等でその利率が年1%未満のものなど一定のものを除きます(措法41![]()
、措令26
、措規18の21
)。
(イ) 住宅の取得等に要する資金に充てるための金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構、地方公共団体等からの借入金等
(ロ) 建設業者に対する住宅の取得等の工事の請負代金又は宅地建物取引業者等居住用家屋の分譲を行う一定の者に対する住宅の取得等の対価についての債務
(ハ) 独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社又は日本勤労者住宅協会を当事者とする中古家屋の取得に伴う債務の承継に関する契約に基づく賦払債務
(ニ) 住宅の取得等のための使用者からの借入金又は使用者に対する住宅の取得等の対価についての債務
(注) 平成12年4月1日以後に
に掲げる借入金(地方公共団体からの借入金を除きます。)その他一定の債務に関する債権の譲渡があった場合において、債務者である個人が、当初の借入先から一定の要件を満たす債権の譲渡を受けた特定債権者に対して有するその債権に関する借入金又は債務は、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の対象となる住宅借入金等に含まれます(措令26
六)。
ここでいう特定債権者とは、当初の借入先との間でその債権の管理及び回収に関する業務の委託に関する契約を締結し、かつ、その契約にしたがって、当初の借入先に対してその債権の管理及び回収に関する業務の委託をしている法人をいいます。
ロ 特定増改築等住宅借入金等特別控除の場合
特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象となる住宅借入金等とは、償還期間が5年以上の割賦償還の方法により返済することとされている借入金若しくは賦拭期間が5年以上の割賦払の方法により支払うこととされている債務又は債務者の死亡時に一括償還をする方法により支払うこととされている一定の借入金で次に掲げるものをいい、その住宅の増改築等とともにするその住宅の敷地の用に供される土地等の取得資金に充てるためのものも含まれます。ただし、その借入金等のうち利息に対応するもの及び使用者から借り入れた借入金等でその利率が年1%未満のものなど一定のものを除きます(措法41の3の2
、措令26の3
〜
、措規18の23の2
)。
(イ) 住宅の増改築等に要する資金に充てるための金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構、地方公共団体等からの借入金等
(ロ) 建設業者に対する住宅の増改築等の工事の請負代金又は宅地建物取引業者等居住用家屋の分譲を行う一定の者に対する住宅の増改築
等の対価についての債務
(ハ) 住宅の増改築等のための使用者からの借入金又は使用者に対する住宅の増改築等の対価についての債務
(ニ) 住宅の増改築等の要する資金に充てるために独立行政法人住宅金融支援機構から借り入れた借入金で、契約においてその借入金に係る債務を有する者(二人以上の居住者が共同で借り入れた場合には、その二人以上の居住者の全員)の死亡時に一括償還をする方法により支払うこととされているもの
(4) (特定増改築等)住宅借入金等特別控除が受けられない場合
確定申告において住宅借入金等特別控除の適用を受けている場合であっても、その後の年において次のような事実が生じたときは、この制度の適用を受けることはできません(措法41![]()
、41の3)。したがって、年末調整の際にこの制度の適用を受けようとする人がいるときは、注意が必要です。
イ 家屋に入居後、その年の12月31日まで引き続き居住の用に供していないとき
ロ 居住用家屋を居住の用に供した年の翌年又は翌々年にその居住用家屋やその敷地の用に供されている土地以外の所定の資産を譲渡した場合において、「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」や「居住用財産の譲渡所得の特別控除」等(措法31の3、35、36の2、36の5、37の5、37の9の2、旧措法36の2、36の5)の課税の特例の適用を受けることとなったとき
(注) 既にこの制度の適用を受けた年分の所得税については、修正申告書又は期限後申告書を提出し、既に受けた住宅借入金等特別控除額に相当する税額を納付することになります。
(5) (特定増改築等)住宅借入金等特別控除の再適用
住宅の取得等をして(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者が、勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由により、当該控除の適用を受けていた家屋を居住の用に供しなくなった後、その家屋を再び居住の用に供した場合には、一定の要件の下で、その住宅の取得等に係る(特定増改築等)借入金等特別控除のうち、再び居住の用に供した日の属する年(その年にその家屋を賃貸の用に供していた場合にはその翌年)以後の各適用年について、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の再適用を受けることができます(措法41
)。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の再適用を受けるためには、その家屋を居住の用に供しなくなる日までにその居住の用に供しないこととなる事情の詳細その他一定の事項を記載した「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」に、未使用分の年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書及び給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書を添付してその家屋の所在地の所轄税務署長に提出するとともに、その家屋に再び居住し(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の再適用を受ける最初の年分について、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した方用)及び住民票の写しなどを添付した確定申告書を提出する必要があります(措法41
、措規18の21![]()
![]()
)。
なお、確定申告をした翌年以後の年分については、年末調整の際に控除を受けることができます。
(注) この制度は、平成15年4月1日以後にその家屋に居住しなくなった場合に適用されます(平15改正法附則83)。
(6) 年末調整の際に(特定増改築等)住宅借入金等特別控除を受けるための手続
年末調整の際に(特定増改築等)住宅借入金等特別控除を受ける場合には、年末調整の時までに、給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書に次の証明書を添付して給与の支払者に提出することが必要です(措法41の2の2)
イ 税務署長が発行する年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書
ロ 金融機関等が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
なお、年末調整でこの控除を受ける給与所得者の具体的な手続などその詳しい内容については、年末調整を行う時期に税務署から配布する説明書(「年末調整のしかた」)を参照してください。
(参考)
平成19年12月31日までに住宅を居住の用に供した場合における(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の控除額、所得要件及び対象となる家屋の床面積要件は、次のようになります。
(1) 一般の住宅の取得等の場合
イ 本則
| 住宅を居住の用に供した日 | 各年分の控除額 | 所得要件 | 床面積要件 |
|---|---|---|---|
| 平成11年1月1日から 平成13年6月30日まで |
![]() |
3,000万円以下 | 50 |
| 平成13年7月1日から 平成16年12月31日まで |
![]() | ||
| 平成17年1月1日から 平成17年12月31日まで |
![]() | ||
| 平成18年1月1日から 平成18年12月31日まで |
![]() | ||
| 平成19年1月1日から 平成19年12月31日まで |
![]() |
(注) 上記の算式により計算した金額に100円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
ロ 特例
(イ) 税源移譲の実施に対応するための特例
| 住宅を居住の用に供した日 | 各年分の控除額 | 所得要件 | 床面積要件 |
|---|---|---|---|
| 平成19年1月1日から 平成19年12月31日まで |
![]() |
3,000万円以下 | 50 |
(注)上記の算式により計算した金額に100円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
(ロ) バリアフリー改修工事促進のための特例
| 住宅を居住の用に供した日 | 各年分の控除額 | 所得要件 | 床面積要件 |
|---|---|---|---|
| 平成19年4月1日から 平成19年12月31日まで |
![]() |
3,000万円以下 | 50 |
(注)上記の算式により計算した金額に100円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
(2) 震災被災者の住宅の再取得等の場合
| 住宅を居住の用に供した日 | 各年分の控除額 | 所得要件 | 床面積要件 |
|---|---|---|---|
| 平成11年1月1日から 平成16年12月31日まで |
![]() |
3,000万円以下 | 50 |
(注)
1 上記の算式により計算した金額に100円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
2 この特例措置による控除を受けることができる人については、本人の選択により、上記による控除額(控除期間6年間)か(1)に掲げた控除額のいずれかを適用することができます。
給与所得者が源泉徴収義務者に提出する申告書(1) 提出する人
国内において給与の支払を受ける居住者は、原則としてこの申告書を提出しなければなりません(所法194
)。
給与所得者が2以上の給与の支払者から給与の支払を受ける場合には、この申告書は、そのいずれか一の給与の支払者に対してのみ提出することができます。また、日雇労働者のように、その給与について適用される税額表が日額表の丙欄とされる人は、この申告書を提出する必要はありません。
(注) この申告書を提出しないと源泉徴収の段階で受けることのできる諸控除が受けられないこととなるばかりか、月々(日々)の源泉徴収の際には源泉徴収税額表の乙欄による税額(この申告書を提出した場合の税額よりも高額となっています。)が徴収されるほか、年末調整も行われないことになります。
(2) 提出先
この申告書は、給与の支払者を経由してその支払者の源泉所得税の納税地の所轄税務署長に提出することになっていますが、税務署長から特に提出を求められた場合以外は、提出を受けた給与の支払者が保管しておくことになっています(所基通194
〜198共−3)。
2以上の給与の支払者から給与の支払を受けている人は、その支払者のうちいずれか一の支払者にこの申告書を提出することになりますが、いずれの支払者に提出するかは給与の支払を受ける人の任意です。
なお、この申告書の提出を受けた給与の支払者を一般に「主たる給与の支払者」といっています。
(3) 提出期限
この申告書は、毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までに提出することとなっており、中途就職の場合には、就職後最初の給与の支払を受ける日の前日までに提出することとなっています(所法194
)。
また、申告書の記載事項に異動があった場合には、「給与所得者の扶養控除等異動申告書」をその異動があった日後最初に給与の支払を受ける日の前日までに提出することになっています(所法194
)。
(4) 諸控除を受けるための記載事項
給与の支払を受ける人が、障害者控除や寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、扶養控除を受けようとする場合には、次のような事項をこの申告書に記載して提出します(所法194
、所規73、措法41の16
、41の17
)。
イ 給与の支払を受ける人が一般の障害者、特別障害者、一般の寡婦、特別の寡婦、寡夫又は勤労学生に該当する場合には、これらに該当することの事実
ロ 給与の支払を受ける人の控除対象配偶者又は扶養親族のうちに一般の障害者又は特別障害者に該当する人がいる場合には、その人の氏名及びこれらに該当することの事実(同居特別障害者に該当する人がいる場合には、同居特別障害者に該当することの事実)
ハ 控除対象配偶者及び扶養親族の氏名並びにこれらの扶養親族等のうちに老人控除対象配偶者や特定扶養親族又は老人扶養親族に該当する人がいる場合には、老人控除対象配偶者や特定扶養親族又は老人扶養親族に該当することの事実(同居老親等に該当する人がいる場合には、同居老親等に該当することの事実)
なお、専修学校又は各種学校の生徒や職業訓練法人の行う認定職業訓練を受ける訓練生が勤労学生控除を受けるためには、この申告書にこれらの生徒や訓練生に該当する旨の証明書を添付することになっています(所法194
)。
この申告書は、2以上の給与の支払者から給与の支払を受ける人で、主たる給与の支払者から支給されるその年中の給与の金額(給与所得控除後の給与等の金額)が次の
と
の金額の合計額に満たないと見込まれる人が、主たる給与の支払者以外の給与の支払者(この支払者を「従たる給与の支払者」といいます。)のもとで配偶者控除や扶養控除を受けるために提出するものです(所法195
)。
主たる給与の支払者から支給される給与につき控除される社会保険料等の額
その人の障害者控除額、寡婦(寡夫)控除額、勤労学生控除額、配偶者控除額、扶養控除額及び基礎控除額の合計額
なお、主たる給与の支払者に申告した控除対象配偶者や扶養親族を年の中途で従たる給与の支払者に申告替えすることはできますが、従たる給与の支払者に申告した控除対象配偶者や扶養親族を年の中途で主たる給与の支払者に申告替えすることはできません(所基通194・195−5)。
平成19年度の税制改正により、給与等の支払をする者が、受給者から次の申告書に記載すべき事項に関し電磁的提供を受けるための必要な措置を講じる等の一定の要件を満たしていることについて所轄税務署長の承認を受けている場合(注1)には、その受給者は、書面による申告書の提出に代えて、電磁的方法により申告書に記載すべき事項の提供を行うことができることとされました(注2)(注3)(所法198、所令319の2、所規76の2)。
給与所得者の扶養控除等申告書
従たる給与についての扶養控除等申告書
給与所得者の配偶者特別控除申告書
給与所得者の保険料控除申告書
(注)
1 承認を受けるための申請書の提出をした日の属する月の翌月末日までにその承認又は不承認の決定がなかったときは、その提出日の翌月末日において承認があったものとみなされます。
2 これらの申告書に記載すべき事項の電磁的提供に当たっては、
給与の支払をする者が発行した個々の受給者の識別ができるID及びパスワード、又は
受給者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書をもって、これらの申告書にすべき本人の署名・押印に代えることができます。
3 申告書に添付すべき証明書類については、従前どおり書面による提出又は提示が必要となります。
4 この改正は、給与等の支払をする者が所轄税務署長に対し承認を受けるための申請書を平成19年7月1日以後に提出し、受給者がその税務署長の承認を受けている給与等の支払をする者に対し上記の申告書を同日以後に提出する場合について適用されます。
給与所得者が源泉徴収義務者に提出する申告書は上記1、2のほか、給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の配偶者特別控除申告書、給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書がありますが、これらの申告書は年末調整の際に使用することになっていますので、その詳細については、年末調整を行う時期に税務署から配布する説明書(「年末調整のしかた」)を参照してください。
給与所得に対する源泉徴収 居住者に対し国内において給与の支払をする者(常時2人以下の家事使用人のみに対し給与の支払をする者を除きます。)は、原則として毎月(毎日)の給与の支払の際に源泉徴収をし、更に、その年最後に給与を支払うときに年末調整を行ってその源泉徴収をした税額の過不足額を精算することになっています。
ところで、給与を支払う際に源泉徴収をすることとなる税額の算定方法は、その支払う給与が賞与である場合と賞与以外の給与である場合とでは異なっていますので、税額の算定に当たっては、その支払う給与を賞与とそれ以外の給与とに区分する必要があります。一般に賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するものをいいます(所基通183−1の2)。
なお、給与等が賞与の性質を有するかどうか明らかでない場合には、次に掲げるようなものは賞与に該当するものとされます。
1 純益を基準として支給されるもの
2 あらかじめ支給額又は支給基準の定めのないもの
3 あらかじめ支給期の定めのないもの。ただし、雇用契約そのものが臨時である場合のものを除きます。
(注)次に掲げる給与については、賞与に該当することとなります。
1法人税法第34条第1項第2号《事前確定届出給与》に規定する給与(他に定期の給与を受けていない者に対して継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づき支給されるものを除く。)
2 法人税法第34条第1項第3号に規定する利益連動給与
これらの給与を支払う際に源泉徴収をすることとなる税額の算定方法は、おおむね次のとおりです。
(1) 税額表の適用区分
賞与以外の給料や賃金等を月々(日々)支払う際に源泉徴収をする税額は、「給与所得の源泉徴収税額表」によって求めます(所法185)。
この税額表には、月額表と日額表とがあり、それぞれ次の表(税額表の種類)に掲げる欄が設けられています。
また、これらの税額表は、給与の支給区分及び「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出の有無に応じ、それぞれ次の表(税額表の適用区分)のとおり適用します。
○ 税額表の種類
| 種類 | 欄の区分 | 種類 | 欄の区分 |
|---|---|---|---|
| 月額表 | 甲欄 | 日額表 | 甲欄 |
| 乙欄 | |||
| 乙欄 | |||
| 丙欄 |
○ 税額表の適用区分
| 給与の支給区分 | 使用する税額表 | 扶養控除等申告書 の提出の有無 |
使用する欄 |
|---|---|---|---|
| 月額表 | 提出あり | 甲欄 | |
| 提出なし | 乙欄 | ||
| 日額表 | 提出あり | 甲欄 | |
| 提出なし | 乙欄 | ||
| 日額表 | (提出不要) | 丙欄 |
(注) 日雇賃金とは、日々雇い入れられる人が、労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける給与をいいます。
ただし、一の給与の支払者から継続して2か月を超えて支払を受ける場合には、その2か月を超えて支払を受けるものは、ここでいう日雇賃金には含まれません(所令309)。
税額表の「甲」欄は、扶養親族等の数の「0人」から「7人」までの各欄に区分されていますので、扶養親族等の数に応じてそれぞれ該当する欄を適用します。
この「扶養親族等の数」とは、控除対象配偶者(老人控除対象配偶者を含みます。)と扶養親族(同居老親等若しくは同居老親等以外の老人扶養親族又は特定扶養親族を含みます。)との合計数をいいます。
また、給与の支払を受ける人が障害者(特別障害者を含みます。)、寡婦(特別の寡婦を含みます。)、寡夫又は勤労学生に該当する場合には、その一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算し、その人の控除対象配偶者や扶養親族のうちに障害者(特別障害者を含みます。)に該当する人がいる場合又は同居特別障害者に該当する人がいる場合には、これらの一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算した数を、扶養親族等の数とします(所法187、措法41の16
)。
〔月額表を適用する場合の例示〕
月額表を適用する場合を例示すると、おおむね次の表のとおりです。

| 区分 | 事例 | 税額表の適用欄 | |
|---|---|---|---|
| 〈事例1〉
イ 控除対象配偶者なし ロ 扶養親族なし ハ 障害者等の控除なし |
甲欄の 0人欄 |
控除対象配偶者も扶養親族もいないので、甲欄の0人の欄を使用します。 | |
| 〈事例2〉
イ 控除対象配偶者あり ロ 扶養親族1人
|
甲欄の 2人欄 |
「扶養親族等の数」とは、控除対象配偶者と扶養親族との合計数をいいますから、甲欄の2人の欄を使用します。 | |
| 〈事例3〉
イ 控除対象配偶者あり老人控除対象配偶者に該当 ロ 扶養親族2人、うち1人が同居老親等に該当
|
甲欄の 3人欄 |
扶養親族等のうちに老人控除対象配偶者又は同居老親等に該当する人がいる場合でも、月々の源泉徴収に当たっては、一般の扶養親族等と同様に取り扱って扶養親族等の数を求めることになっていますから、甲欄の3人の欄を使用します。
(※) 老人控除対象配偶者の控除額48万円や同居老親等の控除額58万円と、一般の控除額38万円との差額は、年末調整の際に精算することになります。 | |
| 〈事例4〉
イ 控除対象配偶者あり ロ 扶養親族2人、うち1人が同居老親等以外の老人扶養親族に該当し、他の1人が特定扶養親族に該当
|
甲欄の 3人欄 |
扶養親族等のうちに同居老親等以外の老人扶養親族や特定扶養親族に該当する人がいる場合でも、月々の源泉徴収に当たっては、一般の扶養親族等と同様に取り扱って扶養親族等の数を求めることとなっていますから、甲欄の3人の欄を使用します。
(※) 同居老親等以外の老人扶養親族の控除額48万円や特定扶養親族の控除額63万円と、一般の控除額38万円との差額は、年末調整の際に精算することになります。 | |
| 〈事例5〉
イ 控除対象配偶者あり ロ 扶養親族2人 ハ 本人が障害者に該当
|
甲欄の 4人欄 |
「扶養親族等の数」は、控除対象配偶者と扶養親族との合計数に、本人が障害者(特別障害者を含みます。)、寡婦(特別の寡婦を含みます。)、寡夫又は勤労学生に該当する場合には、その該当する数を加えることになっていますから、障害者の1人を加え、甲欄の4人の欄を使用します。 | |
| 〈事例6〉
イ 控除対象配偶者あり ロ 扶養親族2人、うち1人が特別障害者に該当
|
甲欄の 4人欄 |
控除対象配偶者や扶養親族のうちに障害者(特別障害者を含みます。)に該当する人がいる場合には、その障害者の数を加えることになっていますから、甲欄の4人の欄を使用します。
(※) 特別障害者は、月々の源泉徴収に当たっては、一般の障害者と同様に取り扱われ、一般の障害者控除額との差額は年末調整の際に精算することになります。 | |
| 〈事例7〉
イ 控除対象配偶者あり ロ 扶養親族2人、うち1人が同居特別障害者に該当
|
甲欄の 5人欄 |
控除対象配偶者と扶養親族との合計数は3人ですが、控除対象配偶者や扶養親族のうちに同居特別障害者に該当する人がいる場合には、障害者の1人と同居特別障害者の1人を加えることになっていますので、甲欄の5人の欄を使用します。 | |
| 〈事例8〉
イ 控除対象配偶者なし ロ 扶養親族2人
|
甲欄の 2人欄 |
控除対象配偶者がなく、扶養親族が2人いますから、甲欄の2人の欄を使用します。
(※) 控除対象配偶者がなく、扶養親族がいる場合の例としては、本人に配偶者がいない場合と、配偶者はいるがその配偶者に一定の所得があるなどの理由で控除対象配偶者に当たらない場合とがありますが、いずれの場合も同じように適用します。 | |
| 〈事例9〉
イ 控除対象配偶者なし ロ 扶養親族2人、うち1人が障害者に該当
|
甲欄の 3人欄 |
「扶養親族等の数」は、控除対象配偶者や扶養親族のうちに障害者(特別障害者を含みます。)に該当する人がいる場合には、その障害者の数を加えることになっていますから、甲欄の3人の欄を使用します。 | |
| 〈事例10〉
イ 控除対象配偶者なし ロ 扶養親族2人、うち1人が障害者に該当 ハ 本人が寡婦(特別の寡婦を含みます。)又は寡夫に該当
|
甲欄の 4人欄 |
扶養親族が2人あり、本人が寡婦(特別の寡婦を含みます。)又は寡夫に該当し、更に扶養親族のうち1人が障害者に該当しますので、甲欄の4人の欄を使用します。 | |
|
|
乙欄 | 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人や「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している人は、すべて乙欄を使用します。 | |
月額表、日額表を使用した税額の求め方を設例によって説明します。
設例に基づく税額計算は、「平成19年1月以降分 源泉徴収税額表」によっています。
なお、税額表の「以上」の欄はその欄に記入されている数字を含み、「未満」の欄はその数字を含まないことにご注意ください。
また、給与等の支払の際控除される社会保険料(IVの2の(7)参照)又は小規模企業共済等掛金(IVの2の(8)参照)がある場合には、その給与等の金額からその社会保険料の金額とその小規模企業共済等掛金の金額との合計額を控除した残額に相当する金額の給与等の支払があったものとみなして、源泉徴収税額の計算をすることとされています(所法188)。以下、社会保険料と小規模企業共済等掛金とを併せて「社会保険料等」といいます。
イ 月額表を適用する場合の税額の求め方
(イ) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人の場合
まず、社会保険料等控除後の給与等の金額を計算します。
により求めた金額に応じて、月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の当てはまる行を求めます。その行と「甲」欄の「扶養親族等の数」欄の該当する人数の欄との交わるところに記載されている金額が、その求める税額です。
イ 給与の支給額(月額) 249,600円
ロ 給与から控除する社会保険料等 28,907円 |
ハ 控除対象配偶者あり ニ 扶養親族なし |
(説明)
社会保険料等控除後の給与等の金額は、220,693円(249,600円−28,907円)となります。
月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄で、220,693円が含まれている「219,000円以上221,000円未満」の行を求め、その行と「甲」欄の「扶養親族等の数」が「1人」の欄との交わるところに記載されている3,780円が、その求める税額です。
(設例2)
|
イ 給与の支給額(月額) 295,300円
ロ 給与から控除する社会保険料等 12,300円 |
ハ 控除対象配偶者なし
ニ 扶養親族1人
(障害者に該当) |
(説明)
社会保険料等控除後の給与等の金額は、283,000円(295,300円−12,300円)となります。
月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄で、283,000円が含まれている「281,000円以上284,000円未満」の行を求め、その行と「甲」欄の「扶養親族等の数」が「2人」の欄との交わるところに記載されている4,390円が、その求める税額です。
(注) 扶養親族等の数は、扶養親族の1人に障害者としての1人を加えた2人となります。
(設例3)
|
イ 給与の支給額(月額) 269,900円
ロ 給与から控除する社会保険料等 31,314円
ハ 控除対象配偶者なし
|
ニ 扶養親族2人(うち1人が障害者に該当)
ホ 本人が寡婦に該当
|
(説明)
社会保険料等控除後の給与等の金額は、238,586円(269,900円−31,314円)となります。
月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄で、238,586円が含まれている「236,000円以上239,000円未満」の行を求め、その行と「甲」欄の「扶養親族等の数」が「4人」の欄との交わるところをみると、「0」となっていますから、この例の場合は、源泉徴収をする税額はありません。
(ロ) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人の場合
まず、社会保険料等控除後の給与等の金額を計算します。
により求めた金額に応じて、月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の当てはまる行を求めます。その行と「乙」欄との交わるところに記載されている金額が、その求める税額です。
(設例4)
|
イ 給与の支給額(月額) 83,700円
|
ロ 給与から控除する社会保険料等なし
|
(説明)
給与から控除する社会保険料等がありませんので、支給額83,700円がそのまま社会保険料等控除後の給与等の金額になります。
月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄で、83,700円が含まれている「88,000円未満」の行を求め、その行と「乙」欄との交わるところをみると、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額の3%に相当する金額」となっていますから、2,511円(83,700円×3%)が、その求める税額です。
(ハ) 「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している人の場合
まず、社会保険料等控除後の給与等の金額を計算します。
により求めた金額に応じて、月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の当てはまる行を求めます。その行と「乙」欄との交わるところに記載されている金額を求めます。
により求めた税額から「従たる給与についての扶養控除等申告書」により申告されている扶養親族等1人について1,580円を控除した金額が、その求める税額です。
(設例5)
イ 給与の支給額(月額) 151,100円
ロ 給与から控除する社会保険料等なし
ハ 従たる給与から控除する扶養親族2人
(説明)
給与から控除する社会保険料等がありませんので、支給額151,100円がそのまま社会保険料等控除後の給与等の金額になります。
月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄で、151,100円が含まれている「151,000円以上153,000円未満」の行を求め、その行と「乙」欄との交わるところに記載されている8,800円を求めます。
により求めた8,800円から3,160円(1,580円×2人)を控除した5,640円が、その求める税額です。
(ニ) 特殊な場合の税額計算
月額表は、給与を月単位で支払う場合の税額を求めるように作られていますが、実際には数か月分の給与を一括して支払うこととしている場合や、半月ごととか旬ごとに給与を支払うこととしている場合があります。このような場合には、次のようにして、その給与から源泉徴収をする税額を計算します。
A 数か月分の給与を一括して支払うこととしている場合
まず、社会保険料等控除後の給与等の金額を計算し、その金額を給与の計算の基礎となった期間の月数で除して、社会保険料等控除後の給与等の月割額を計算します。
により求めた月割額について、通常の月給と同じようにして月額表を使って税額を求めます。
により求めた税額にその給与の計算の基礎となった期間の月数を乗じた金額が、源泉徴収をする税額です。
(設例6)
イ 半期(6か月)分の役員報酬額 4,839,000円
ロ 給与から控除する社会保険料等なし
ハ 控除対象配偶者あり
ニ 扶養親族2人

(説明)
給与から控除する社会保険料等がありませんから、報酬額4,839,000円を6で除して月割額を求めると、806,500円となります。
により求めた社会保険料等控除後の給与等の金額の月割額806,500円について、次のようにして税額を求めます。
月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄で、806,500円が含まれている「806,000円以上809,000円未満」の行を求め、その行と「甲」欄の「扶養親族等の数」が「3人」(控除対象配偶者と扶養親族2人の合計3人)の欄との交わるところに記載されている64,390円が社会保険料等控除後の給与等の金額の月割額806,500円に対する税額となります。
により求めた月割額に対する税額64,390円を6倍した金額386,340円(64,390円×6)が、半期の役員報酬4,839,000円から源泉徴収をする税額です。
B 半月ごとに給与を支払うこととしている場合
まず、社会保険料等控除後の給与等の金額を計算し、その金額を2倍して月額に換算します。
により月額に換算した金額について、通常の月給と同じようにして月額表を使って税額を求めます。
により求めた税額を2分の1したものが、半月分の給与から源泉徴収をする税額です。
(注)
1 この方法によって税額を計算するのは、給与の支給期が半月ごとと定められている場合であって、支給期が各月ごとに定められている給与を資金繰りの都合等で15日と30日とに分けて支払うというような場合は、関係がありません。
なお、このように支給総額が確定している給与を分割して支払う場合に、それぞれの支払の際に徴収すべき税額は、その確定している支給総額に対する税額をそれぞれの支払額にあん分して計算します(所基通183〜193共−1)。
2 給与の支給期が半月ごとと定められている場合に、残業手当等の支給額の関係などで、例えば、15日の給与が50,000円、30日の給与が80,000円となったようなときでも、その15日の給与と30日の給与のそれぞれについて、上記
から
までの方法により源泉徴収をする税額を計算すればよいことになります。また、25日に子供が生まれたため扶養親族についての異動申告があったような場合でも、15日に支給した給与に対する税額の計算のやり直しはしないことになっています。
(設例7)
イ 給与の支給額(半月額) 119,200円
ロ 給与から控除する社会保険料等 14,420円
ハ 控除対象配偶者なし
ニ 扶養親族1人
ホ 本人が寡婦に該当

(説明)
社会保険料等控除後の給与等の金額は、104,780円(119,200円−14,420円)ですから、これを2倍すると、209,560円(104,780円×2)となります。
により求めた社会保険料等控除後の給与等の金額を月額に換算した金額209,560円について、月額表の甲欄により扶養親族等の数が2人(扶養親族1人に寡婦としての1人分を加えたものです。)の場合の税額を求めると1,850円となります。
により求めた税額1,850円を2分の1した金額925円が、半月分の給与119,200円から源泉徴収をする税額です。
C 旬ごとに給与を支払うこととしている場合
まず、社会保険料等控除後の給与等の金額を計算し、その金額を3倍して月額に換算します。
により月額に換算した金額について、通常の月給と同じようにして月額表を使って税額を求めます。
により求めた税額を3分の1したものが、旬ごとの給与から源泉徴収をする税額です。
D 給与を追加して支給する場合
給与の追加支給が行われた場合に、その追加して支給する給与から徴収する税額は、追加して支給する給与をそれまで支払った給与に加算した金額を基として求めた税額から、それまでに支払った給与から徴収した税額を控除して求めます(所基通183〜193共−2)。
なお、給与の改訂が既往にさかのぼって実施されたことに伴って支給される新旧給与の差額については、その差額を、その差額の支給期に支払う普通給与に加算して税額を求めることも、また、その差額の総額を賞与として徴収税額を計算することもできます(所基通183〜193共−5)。
(設例8)
イ 既に支給したその月分の給与の額 286,400円
ロ 給与から控除した社会保険料等 33,697円
ハ 既に支給した給与からの徴収税額 3,340円
ニ 控除対象配偶者あり
ホ 扶養親族1人
ヘ 追加支給する給与 17,700円

(説明)
まず、既に支給した給与と追加支給する給与との合計額を求めると304,100円(286,400円+17,700円)となります。
次に
の合計額から社会保険料等を控除します。
304,100円−33,697円=270,403円
月額表の甲欄により
で求めた270,403円に対する税額を求めると3,970円となります。
で求めた税額から既に支給した給与からの徴収税額を控除した630円(3,970円−3,340円)が追加支給した給与から源泉徴収をする税額です。
E 給与が税引手取額で定められている場合
給与の支給額が税引手取額で定められている場合には、税引手取額を税込みの金額に逆算し、その逆算した金額を給与の支給額として、源泉徴収税額を計算します(所基通181〜223共−4)。
(設例9)
イ 税引手取給与の額(月額) 184,400円
ロ 給与から控除する社会保険料等なし

(説明)
まず、月額表「乙」欄によって「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が184,400円の場合の税額15,000円を求めます。
次に、税引手取給与の額184,400円と税額の合計額が「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄に定める給与等の範囲(「以上、未満」欄)内の金額となるように、税額欄を税額の大きくなる方へ順次見て行くと、下図の○印のところが税額22,200円と税引手取給与の額184,400円との合計額206,600円を含む給与等の範囲(その月の社会保険料等控除後の給与等の金額 205,000
円以上207,000円未満)内となります。したがって、22,200円が税引手取給与の額184,400円に対する源泉徴収税額となります。
(税額表抜粋)

なお、社会保険料等控除後の税引給与の金額とそれに対する税額との合計額が 88,000円未満の場合及び1,010,000円を超える場合には、月額表の「乙」欄に従って一定の算式を作成し、この算式により求めることになります。
ロ 日額表を適用する場合の税額の求め方
日額表の使い方は、月額表の使い方と大体同じですが、具体的な設例で説明しますと、次のようになります。
(イ) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人の場合
まず、社会保険料等控除後の給与等の金額を計算します。
により求めた金額に応じて、日額表の「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の当てはまる行を求めます。その行と「甲」欄の「扶養親族等の数」欄の該当する人数の欄との交わるところに記載されている金額が、その求める税額です。
(設例1)
イ 給与の支給額(週給) 80,500円
ロ 給与から控除する社会保険料等 9,676円
ハ 控除対象配偶者なし
ニ 扶養親族1人
(説明)
社会保険料等控除後の給与等の金額は、70,824円(80,500円−9,676円)ですから、これを1日当たりに換算すると、10,117円(70,824円÷7日(1週間))となります。
日額表の「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」の欄で10,117円が含まれている「10,100円以上10,200円未満」の行を求め、その行と「甲」欄の「扶養親族等の数」が「1人」の欄との交わるところに記載されている金額225円を求めます。
により求めた金額225円を7倍した金額1,575円が、週給80,500円から源泉徴収をする税額です。
(ロ) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人の場合
まず、社会保険料等控除後の給与等の金額を計算します。
により求めた金額に応じて、日額表の「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の当てはまる行を求めます。その行と「乙」欄との交わるところに記載されている金額が、その求める税額です。
(設例2)
イ 給与の支給額(20日ごとに支給) 124,500円
ロ 給与から控除する社会保険料等なし
(説明)
社会保険料等控除後の給与等の金額を日割額にすると、6,225円(124,500円÷20日)となります。
日額表の「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄で、6,225円が含まれている「6,200円以上6,300円未満」の行を求め、その行と「乙」欄との交わるところに記載されている金額530円を求めます。
により求めた金額530円を20倍した金額10,600円が、20日分の給与124,500円から源泉徴収をする税額です。
(ハ) 「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している人の場合
まず、社会保険料等控除後の給与等の金額を計算します。
により求めた金額に応じて、日額表の「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の当てはまる行を求め、その行と「乙」欄との交わるところに記載されている金額を求めます。
により求めた金額から「従たる給与についての扶養控除等申告書」により申告されている扶養親族等1人について50円を控除した金額が、その求める税額です。
(設例3)
イ 給与の支給額(17日に採用して30日までの14日間の給与の額) 72,560円
ロ 給与から控除する社会保険料等なし
ハ 従たる給与から控除する扶養親族1人
(説明)
社会保険料等控除後の給与等の金額を日割額にすると、5,182円(72,560円÷14日)となります。
日額表の「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄で、5,182円が含まれている「5,100円以上5,200円未満」の行を求め、その行と「乙」欄との交わるところに記載されている金額300円を求めます。この金額から従たる給与から控除する扶養親族1人について50円を控除した金額250円(300円−50円)を求めます。
により求めた金額250円を14倍した金額3,500円が、14日分の給与72,560円から源泉徴収をする税額です。
(二) 臨時雇用者の場合……丙欄適用者の場合
日額表には、丙欄が設けられていますが、この欄は、次に掲げる給与について源泉徴収をする税額を求める場合に使用します(所基通185−8)。
イ 労働した日又は時間によって算定される給与で、労働した日ごとに支払うこととしている、いわゆる日雇労働者の給与
ロ 日々雇い入れられる者の労働した日又は時間により算定される給与で、労働した日以外の日において支払われるもの
ハ あらかじめ定められた雇用契約の期間が2か月以内の者に支払われる給与で、労働した日又は時間によって算定されるもの
ただし、同一の雇用主のもとに継続して2か月を超えて雇われることとなるときは、その2か月を超える部分については丙欄は適用できず、甲欄又は乙欄を使ってその税額を求めることになります(所令309)。
(設例4)
イ 日雇労働者の賃金(日額) 13,100円
ロ 給与から控除する社会保険料等 706円
(説明)
社会保険料等控除後の給与等の金額は、12,394円(13,100円−706円)となります。
日額表の「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄で、12,394円が含まれている「12,300円以上12,400円未満」の行を求めます。その行と「丙」欄との交わるところに記載されている108円が日雇賃金13,100円から源泉徴収をする税額です。
(1) 税額表等の適用区分
賞与に対する源泉徴収税額は、一般の場合には、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(以下「算出率表」といいます。)を使って求めますが、月額表を使って求める場合もあります。その区分を表であらわすと、次のようになります。
なお、日額表の丙欄適用者に支払われる臨時手当等については、「算出率表」を使用せず、原則として、その支払を受ける日の通常の日雇賃金と合計して源泉徴収税額を計算します。
| 賞与の支給区分 | 使用する税額表 | 給与所得者の扶養控除等申告書の提出の有無 | 使用する欄 |
|---|---|---|---|
| 算出率表 | 提出あり | 甲欄 | |
| 提出なし | 乙欄 | ||
| 月額表 | 提出あり | 甲欄 | |
| 提出なし | 乙欄 |
(2) 税額の求め方(平成19年分)
イ 前月中に賞与以外の普通給与の支払がある人に支払う賞与(前月中の普通給与の10倍を超える賞与を除きます。)
(イ) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人の場合
まず、算出率表の甲欄により、その人の前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額と扶養親族等の数とに応じて「賞与の金額に乗ずべき率」欄に記載されている率を求めます。
社会保険料等控除後の賞与の金額に
により求めた率を乗じます。これが、その賞与に対する源泉徴収税額になります。
(注) 賞与以外の普通給与を月の整数倍の期間ごとに支払うこととしているため、賞与を支払う月の前月中に給与の支払がなかった場合又は前月中にその期間の給与をまとめて支払っていた場合には、前月中に支払を受けた普通給与の額は、その賞与の支払の直前に支払った普通給与の月割額に相当する額であったものとして算出率表を使用することになります(所法186
一イ)。
(設例1)
イ 前月の給与(社会保険料等控除後) 281,214円
ロ 賞与の金額 453,519円
ハ 賞与から控除する社会保険料等 54,458円
ニ 控除対象配偶者あり
ホ 扶養親族2人
(説明)
まず、算出率表の「甲」欄により、「扶養親族等の数」が「3人」の欄で、前月の社会保険料等控除後の給与等の金額281,214円が含まれている「171千円以上295千円未満」の行を求めます。その行と「賞与の金額に乗ずべき率」欄との交わるところに記載されている「2%」が、賞与の金額に乗ずる率です。
賞与の金額453,519円から社会保険料等54,458円を控除した残額399,061円に2%を乗じた金額7,981円(399,061円×2%……1円未満切捨て)が、その賞与に対する源泉徴収税額です。
(設例2)
イ 前月中に支払った半期(6か月)分の役員報酬 3,448,800円
ロ 賞与の金額 2,126,500円
ハ 給与及び賞与から控除する社会保険料等なし
ニ 控除対象配偶者あり
ホ 扶養親族2人(うち1人が 障害者に該当)
(説明)
まず、前月中に支払った半期分の役員報酬の月割額を求めます。
3,448,800円÷6=574,800円
つぎに、算出率表の「甲」欄により、「扶養親族等の数」が「4人」の欄で、
で求めた月割額574,800円が含まれている「543千円以上592千円未満」の行を求めます。その行と「賞与の金額に乗ずべき率」欄との交わるところに記載されている「16%」が、賞与の金額に乗ずる率です。
賞与の金額2,126,500円に
で求めた率16%を乗じた金額340,240円(2,126,500円×16%)が、その賞与に対する源泉徴収税額です。
(ロ) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人(「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している人を含みます。)の場合
まず、算出率表の「乙」欄により、その人の前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額に応じて、「賞与の金額に乗ずべき率」欄に記載されている率を求めます。
社会保険料等控除後の賞与の金額に、
により求めた率を乗じます。これが、その賞与に対する源泉徴収税額になります。
(設例3)
イ 前月の給与(社会保険料等控除後) 140,767円
ロ 賞与の金額 415,800円
ハ 賞与から控除する社会保険料等 49,891円
(説明)
まず、算出率表の「乙」欄により、前月の社会保険料等控除後の給与等の金額140,767円が含まれている「241千円未満」の行を求めます。その行と「賞与の金額に乗ずべき率」欄との交わるところに記載されている「10%」が、賞与の金額に乗ずる率です。
賞与の金額415,800円から社会保険料等49,891円を控除した残額365,909円に
10%を乗じた金額36,590円(1円未満切捨て)が、その賞与に対する源泉徴収税額です。
なお、「従たる給与についての扶養控除等申告書」の提出がある場合に、月額表の乙欄を使って給与や賞与に対する源泉徴収税額を求めるときは、乙欄に記載されている税額から扶養親族等1人について1,580円を控除しますが、算出率表を使って賞与に対する源泉徴収税額を求めるときは、この控除はしないことになっています。
ロ 前月中に賞与以外の普通給与の支払がない人に支払う賞与
(イ) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人の場合
まず、社会保険料等控除後の賞与の金額を6(その賞与の計算の基礎となった期間が6か月を超える場合は、12)で除します。
月額表の甲欄によって、
により求めた金額とその人の扶養親族等の数とに応じた税額を求めます。
(注) 扶養親族等の数及び税額の求め方は、主たる給与に対する税額の求め方と同じです。
によって求めた税額を6倍(又は12倍)したものが、その賞与に対する源泉徴収税額になります。
(設例4)
イ 賞与の金額(計算期間は6か月) 905,000円
ロ 賞与から控除する社会保険料等 108,790円
ハ 控除対象配偶者なし
ニ 扶養親族1人
(説明)
賞与905,000円から社会保険料等108,790円を控除した残額796,210円を6で除すと、132,701円(1円未満切捨て)となります。
月額表の甲欄によって、社会保険料等控除後の給与等の金額が132,701円で扶養親族等の数が1人の場合の税額を求めると720円となります。
により求めた税額720円を6倍した4,320円が、その賞与に対する源泉徴収税額です。
(ロ) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人の場合
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人に支給する賞与については、その支給額から社会保険料等を控除し、これを6(その賞与の計算の基礎となった期間が6か月を超える場合は、12)で除した金額を基として月額表の乙欄を使用して税額を求め、その税額を6倍(又は12倍)したものが、その賞与に対する源泉徴収税額になります。
つまり、月額表の乙欄を使用すること以外は、(イ)の「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人の場合と、その方法は同じです。
(ハ) 「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している人の場合
まず、社会保険料等控除後の賞与の金額を6(その賞与の計算の基礎となった期間が6か月を超える場合は、12)で除します。
月額表の乙欄によって、
により求めた金額に応じた税額を求めます。
により求めた税額から「従たる給与についての扶養控除等申告書」により申告されている扶養親族等1人について1,580円を控除した金額を求めます。
によって求めた金額を6倍(又は12倍)したものが、その賞与に対する源泉徴収税額になります。
(設例5)
イ 賞与の金額(計算期間は12か月) 960,000円
ロ 賞与から控除する社会保険料等なし
ハ 従たる給与から控除する 扶養親族1人
(説明)
賞与から控除する社会保険料等がありませんから、賞与の金額960,000円を12で除すと80,000円となります。
月額表の乙欄によって、社会保険料等控除後の給与等の金額が80,000円の場合の税額を求めると2,400円(80,000円×3%…1円未満切捨て)で、この税額から従たる給与から控除する扶養親族1人について1,580円を控除すると820円になります。
により求めた820円を12倍した9,840円が、その賞与に対する源泉徴収税額です。
ハ 前月中の普通給与の10倍を超える賞与
(イ) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人の場合
まず、社会保険料等控除後の賞与の金額を6(その賞与の計算の基礎となった期間が6か月を超える場合は、12)で除し、その金額と前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額との合計額を求めます。
月額表の甲欄によって、
により求めた合計額について、その人の扶養親族等の数に応じた税額を求めます。
月額表の甲欄によって、前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額についてその人の扶養親族等の数に応じた税額を求めます。
により求めた税額から
により求めた税額を控除した金額を6倍(又は12
倍)した金額が、その賞与に対する源泉徴収税額になります。
(設例6)
イ 前月中の給与の金額(社会保険料等控除後) 164,897円
ロ 賞与の金額(計算期間は6か月) 1,918,000円
ハ 賞与から控除する社会保険料等 199,961円
ニ 控除対象配偶者なし
ホ 扶養親族1人
(説明)
賞与の金額1,918,000円から社会保険料等199,961円を控除し、これを6で除した金額286,339円(1円未満切捨て)と前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額164,897円との合計額451,236円を求めます。
月額表の甲欄によって、
により求めた合計額451,236円について扶養親族等の数1人の場合の税額を求めると17,080円になります。
月額表の甲欄によって、前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額164,897円について扶養親族等の数1人の場合の税額を求めると、1,820円となります。
により求めた税額17,080円から
により求めた税額1,820円を控除した残額15,260円を6倍した金額91,560円が、その賞与に対する源泉徴収税額です。
(ロ) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人の場合
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人に支給する賞与については、その支給額から社会保険料等を控除し、これを6(その賞与の計算の基礎となった期間が6か月を超える場合は、12)で除した金額と前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額との合計額を基として、月額表の乙欄を使用して税額を求め、この税額から前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額について月額表の乙欄を使用して求めた税額を控除した金額を6倍(又は12倍)した金額が、その賞与に対する源泉徴収税額になります。
つまり、月額表の乙欄を使用すること以外は、(イ)の「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人の場合と、その方法は同じです。
(ハ) 「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している人の場合
まず、社会保険料等控除後の賞与の金額を6(その賞与の計算の基礎となった期間が6か月を超える場合は、12)で除し、その金額と前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額との合計額を求めます。
月額表の乙欄によって、
により求めた合計額についての税額を求め、その税額から「従たる給与についての扶養控除等申告書」により申告されている扶養親族等1人について1,580円を控除した金額を求めます。
月額表の乙欄によって、前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額についての税額を求め、その税額から「従たる給与についての扶養控除等申告書」により申告されている扶養親族等1人について1,580円を控除した金額を求めます。
により求めた金額から
により求めた金額を控除した金額を6倍(又は12
倍)した金額が、その賞与に対する源泉徴収税額になります。
(設例7)
イ 前月の給与(社会保険料等なし) 131,900円
ロ 賞与の金額(計算期間は6か月) 1,530,000円
ハ 賞与から控除する社会保険料等なし
ニ 従たる給与から控除する扶養親族1人
(説明)
賞与から控除する社会保険料等がありませんから、賞与の金額1,530,000円を6で除した金額255,000円と前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額131,900円との合計額386,900円を求めます。
月額表の乙欄によって、
により求めた合計額386,900円について税額75,700円を求め、この税額から1,580円(従たる給与から控除する扶養親族1人分)を控除した金額74,120円を求めます。
月額表の乙欄によって、前月中の社会保険料等控除後の給与等の金額131,900円についての税額5,900円を求め、この金額から1,580円(従たる給与から控除する扶養親族1人分)を控除した金額4,320円を求めます。
により求めた金額74,120円から
により求めた金額4,320円を控除した金額69,800円を6倍した金額418,800円が、その賞与に対する源泉徴収税額です。
年末調整とは、給与の支払者がその年最後に給与の支払をする際、給与所得者の各人ごとに、給与を支払う都度源泉徴収をした所得税の合計額と、その年中の給与の支給総額について納付すべき税額(年税額)とを比較して過不足額の精算を行うことをいいます。この年末調整は、給与所得以外に他に所得のない大部分の給与所得者にとって確定申告に代わる役目を果たす重要な手続であるといえます。
(注) その年中の給与の支給総額について納付すべき税額(年税額)は、次の手順によって求めます。
次の速算表によって「算出年税額」を求めます。
(平成19年分の年末調整のための所得税額の速算表)
| 課税給与所得金額(A) | 税率(B) | 控除額(C) | 税額=(A)×(B)−(C) | |||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
5% 10% 20% 23% 33% |
|
(A)×5% (A)×10%−97,500円 (A)×20%−427,500円 (A)×23%−636,000円 (A)×33%−1,536,000円 |
(注)
1 課税給与所得金額に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
2 課税給与所得金額が16,920,000円を超える場合は、年末調整の対象となりません。
で求めた算出年税額から住宅借入金等特別控除額を控除し、「年調年税額」を求めます。なお、住宅借入金等特別控除の適用を受けない人については、算出年税額がそのまま年調年税額となります。
なお、この年調年税額に100円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
(1) 年末調整を行う理由
毎月(毎日)給与を支払う際に税額表によって所定の税額を徴収していても、次のような理由によって給与を支払う都度源泉徴収をした税額の合計額と、その年中の給与の支給総額に対して計算した年税額とは一致しないのが通常です。このため、源泉徴収税額の過不足額を精算する必要がありますが、この精算の手続を「年末調整」と呼んでいます。
イ その年の中途で扶養親族等の数に異動があること。
ロ 月額表などの税額表の作り方が簡略化されていること(老人控除対象配偶者や老人扶養親族の割増控除などは考慮せず、また、障害者、寡婦(夫)等の控除は、通常の扶養親族がそれぞれ1人多くいるものとして税額表を適用することになっていることなど)。
ハ 配偶者特別控除や生命保険料控除、損害保険料控除などは、年末調整の際に控除することになっていること。
ニ 賞与の源泉徴収税率は、1年間に賞与が5か月分支払われるものとして算出されていること。
ホ 年末調整の際に税額控除(住宅借入金等特別控除)を行うこと。
(2) 年末調整を行う時期
年末調整は、原則として、その年最後に給与を支払う際に行います(所法190)が、これには、次のような特例があります。
イ 年末の賞与を12月分の通常の給与より先に支払う場合の特例
12月に賞与以外の通常の給与と賞与とを支払う場合で、賞与を先に支払うときには、賞与に対する税額計算の手数を省略する意味から、その賞与をその年最後に支払う給与とみなして、その賞与を支払う際に年末調整を行うことができます(所基通190−6)。
この場合には、後で支払う12月分の通常の給与の見積額とそれに対する源泉徴収税額の見積額とを含めたところで年末調整を行うことになりますが、12月分の通常の給与の実際の支払額とそれに対する源泉徴収税額がその見積額と異なることとなった場合には、その12月分の通常の給与を支払う際に年末調整の再計算をします。
ロ 年の中途で退職等をした人の場合の特例
次の場合には、それぞれの場合に該当することとなった時に、その人について年末調整を行います。
(イ) 給与の支払を受ける人が死亡により退職した場合
(ロ) 給与の支払を受ける人が海外の支店等に転勤したことにより非居住者となった場合
(ハ) 給与の支払を受ける人が著しい心身の障害のため退職した場合で、退職の時期からみてその年中において再就職することができないと認められ、かつ、退職後その年中に給与の支払を受けることとなっていないとき
(二) 給与の支払を受ける人が12月に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した場合
(ホ) いわゆるパートタイマーとして働いている人などが年の中途で退職した場合で、その人がその年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下であるとき(退職後その年中に他の勤務先等から給与の支払を受けると見込まれる場合を除きます。)
(3) 年末調整の対象とならない人
年末調整は、原則としてその年最後に給与の支払をする際に行うことになっていますが、次に掲げるような人に支払う給与は、年末調整の対象となりません。
イ 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人
その年最後に給与を支払う時までに「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人については、年末調整を行いません。
なお、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人は、通常は、次のような人です。
(イ) 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人(いわゆる乙欄適用者)
(ロ) 労働した日又は時間によって算定され、しかも労働した日ごとに支払われる給与(日額表の丙欄を適用する給与)の支払を受けている人(日雇労働者など)
(ハ) 国内に、住所も1年以上の居所も有していない人(非居住者)
ロ その年中に支払を受ける給与の収入金額が2,000万円を超える人
ハ 年の中途で退職(死亡退職などを除きます。)した人
(注) 中途退職者については、年末調整を行わなければならない場合がありますから、(2)の「年末調整を行う時期」を参照してください。
ニ 「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」の規定により本年中の給与に対する源泉所得税につき徴収猶予や還付を受けた人
(4) 年末調整の対象となる給与
年末調整の対象となる給与は、その年1月1日から12月31日までの間に支払うことが確定した給与です。
したがって、実際にその給与を支払ったかどうかに関係なくその年中に支払うことが確定している給与は、たとえ未払であっても、その年中の給与に含めて年末調整を行うことになります。
(注)
1 給与の支払が確定する時期については、「
給与所得の収入すべき時期」を参照してください。
2 年末調整の事務手順などその詳しい内容については、年末調整を行う時期に税務署から配付する説明書(「年末調整のしかた」)を参照してください。
給与等の支払い明細書の交付国内において給与等の支払をする者は、支払の際に、給与等の金額、源泉徴収税額など必要な事項を記載した支払明細書をその支払を受ける人に交付する必要があります(所法231、所規100)。
(注) 給与等の支払をする者は、給与等の支払を受ける人の承諾を得て、書面による給与等の支払明細書の交付に代えて、給与等の支払明細書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができ、この提供により、給与等の支払をする者は、給与等の支払明細書を交付したものとみなされます。
ただし、給与等の支払を受ける人の請求があるときは、給与等の支払をする者は書面により給与等の支払明細書を交付する必要があります。
源泉徴収をした所得税の納付 居住者に給与を支払う際に源泉徴収をした所得税は、「給与所得、退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて、給与を支払った月の翌月10日(納期の特例の承認を受けている場合には7月10日と翌年1月10日、「納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を提出している者で一定の要件を満たす者については7月10日と翌年1月20日)までに最寄りの金融機関(銀行、郵便局等)、所轄の税務署の窓口又はe-Taxで納付します(所法183
、190、220、所規80、措法41の6、国税通則法34
)。ただし、法人が役員に対して支給する賞与について支払の確定した日から1年を経過した日までに支払がない場合には、その1年を経過した日に支払があったものとみなして、未払賞与についての所得税の源泉徴収をしなければならないことになっています(所法183
)。
なお、納付する税額がない場合であっても、この所得税徴収高計算書(納付書)は所轄の税務署にe-Tax又は郵便若しくは信書便により送付又は提出してください(所得税徴収高計算書(納付書)の記載については、「【参考】◎給与所得、退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)の記載例」を参照してください。)。
(注) 納期の特例の承認を受けている場合には、次の点に注意してください。
1 所得税徴収高計算書(納付書)は、必ず「納期特例分」と表示されたものを使用してください。
2 所得税徴収高計算書(納付書)は、次により記載してください。
(1) 「人員」欄には、各月の実人員の合計数を記載します。例えば、1月から6月まで毎月2人に給与を支払っている場合の人員は、12人となります。
(2) 「支給額」、「税額」の各欄には、各月の支給額や税額の合計額を記載します。