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平成23年度「税に関する高校生の作文」国税庁長官賞受賞者発表
国税庁長官賞
【題名】「税が果たす役割」
【都道府県】北海道
【学校名・学年】北海道岩見沢西高等学校 3年
【氏名】目黒 亜依
先日、一つの記事が目に止まった。それは、日本がこれまで支援をしてきた、あるいは今も支援を続けている発展途上の国々が、今回の大震災の被害に遭った日本へ寄付金を贈ってくれたというものだった。お小遣いも十分に貰っていない子ども達までもが今回の震災に心を痛め、お金を寄付してくれたそうだ。その記事を読んでいて思い出したのだが、今回の震災の時、過去に日本が何らかの援助をしてきた国は、恩返しだと言って日本を支援してくれた。確かに、他国で災害が起こったとき、日本から自衛隊や医療チームが派遣されていたことは知っていた。しかし、私が知らない支援がもっとたくさんあるのではないかと思い調べてみると、政府開発援助(ODA)に辿り着いた。内閣でしっかりと審議がなされ、支援内容や予算について話し合われる。そして、このODAの財源は、言うまでもなく国民が納めている税金である。
ODAの支援内容としては、たとえば発展途上国において、適切な知識や技能を習得していない産婆が分娩に立ち会ったりするため、適切な対処がされずに母子ともに命を落としてしまうケースが多くある。また、無事に産まれたとしても、母親の栄養に関する知識不足や貧困が原因で命を落としてしまう子どもがとても多い。そういった国に対し、助産師教育の充実化を支援したり、診療機材の供与、母子栄養改善計画など、出来る限りの手が尽くされている。そしてその他にも、感染症対策が必要な国にはワクチン、ワクチンの保存に必要な機材の調達を、教員免許を持たずに教えている教師が多い国にはマニュアルを作成したり、研修を実施して教員を養成し、時には学校の建設や工事まで行う。驚くべきことに、これらのほとんどは日本を含む先進国の無償資金協力で成り立っている。つまり、これらにかかる費用には私たちが納めている税金が使われているのだ。
今まで私は、自分たちが納めている税金の使い道は医療費の負担、公共事業など、自分たちに直接関係のあるものばかりを想像していた。しかしODAについて知り、自分たちが納めている税金が国境を越えて多くの人を助け、支えているんだとわかって、とても嬉しくなった。ODAに関して私が最も感心したのは、「技術協力」という点だ。その名のとおり、技術と知識を伝えるということを目的とする支援だが、その時だけの支援ではなく、長い目で見てその国の発展を助けることができる支援だと思う。伝えた技術や知識はこれから先もたくさんの人々を救うことになるのだ。このような税の使い道があるのならば、税金を納めることにも誇りが持てると思う。知らない間に、世界の助け合いの輪に自分たちも加わっていたんだと知り、少し嬉しく思うと同時に先進国に生きる自分たちの使命感を感じた。税金とは、弱者を守るべきものでなければいけないと、改めて思った。
【題名】助けあう
【都道府県】山形県
【学校名・学年】山形県立長井高等学校 3年
【氏名】伊藤 美奈
三月十一日午後二時四十六分。そのとき私は自宅にいて、おばあさんと午後のお茶を飲んでいるときだった。突然の大きな揺れ。驚いた私達は急いで逃げ道を確保して、寄り添い震えながら揺れが収まるのを待った。それは長い長い時間だった。
東日本大震災。そう名付けられた巨大地震は、あまりにも多くのものを奪っていった。一万五千以上もの尊い命。そして彼らの住んでいた町。人も家も学校も田畑も行政も、町全体が津波によって流された。
私はその被害の様子をテレビを通して知り、すぐ隣の県で起きていることだと信じることができなかった。家は基礎部分を残して跡形も無くなり、道路はがれきで埋まり、その光景はまるで、いつか見た広島の原爆が落とされた後の様子のようだった。震災の起こる以前の町に戻ることはできるのだろうか、と悲しく不安な気持ちで私はただ見つめることしかできなかった。少しでも復興の力になりたいと思ったが、義援金への協力しかできない自分が、私はもどかしかった。
だが、六ヶ月経った今、テレビに映る被災地は確実に復興に向かっている。がれきで埋まった道路には車が行き交っている。仮設住宅は驚く早さで建設された。
それらの経費はどこから出されているのだろうか。それは、五月二日に成立した補正予算からである。私たちの払う税金が復興のために役立っているのだ。私はそのことを知ったとき、心のなかがあたたかい気持ちでいっぱいになった。助けあい、国民が一丸となって復興に向かうという国の方針に、私は日本という国が今まで以上に好きになった。
これまで私は、税というものを深く考えたことがなかった。しかし今回の大震災によって、税とは国民が手を取りあい、全員で全員の幸せを実現するためのシステムだと分かった。
それは、震災に限ったことではない。ふと周りを見わたせば私たちの生活は税によって支えられていることがわかる。公立高校に通う私はその授業料を、病院に行けば料金の一部を、税によって支払われている。税は私たち一人一人の身近なところで、より安全で、より豊かで、より幸せな生活のために役立っているのだ。
私は今学生で、買い物をするときの消費税くらいしか、税を直接支払う機会はない。だからこそ、私はおつりと共に渡されるレシートを見るたびに、あのあたたかい気持ちを感じるだろう。「消費税」という名の、小さな助けあいへの参加によって。
【題名】夢と税金
【都道府県】埼玉県
【学校名・学年】学校法人小林学園本庄東高等学校 3年
【氏名】小松 加奈
私は正直、最近までは税金と聞いて良いイメージを持ったことがありませんでした。なぜならば、消費税があるため買った商品には余分にお金が必要になるし、ニュースや新聞で税金の無駄遣いが騒がれ、納めた税金が何に使われているのか分からない状況だったからです。心の奥では、「税金なんて無くなれば良い」と考えていました。
しかし、今はそうとは思いません。私は将来、チャイルドライフスペシャリストという病院で子どもたちをサポートする職業に就きたい。まだ日本ではあまり知られていない仕事ということもあって、資格を取るにはアメリカ・カナダ・中国に留学し試験を受けなければなりません。英語力に自信があるわけでもなかったし、何よりも留学が出来るようなお金が家にはなかったのでその夢を諦めかけていました。そんな時、日本学生支援機構で留学の支援をしてくれることを知りました。それから両親に「どうしても資格を取りたい」と留学のことを話しました。念願が叶い、来年の四月からアメリカへ留学することになりました。本当に嬉しかったです。支援がなければ、絶対に留学のことを真剣に考えることもなかったと思います。感謝の気持ちでいっぱいでした。
日本学生支援機構のことを調べていくうちに、支援に税金が使われていることを知りました。ただ必要のないものと考えていた税金が、私のように夢を諦めようとしている人や困っている人のために使われていると気付かされました。支援のお金には多くの納税者の方が関わっているのです。一生懸命働いて稼いだお金を使わせてもらっているのだと分かりました。
よく考えてみれば、税金がなかったら火事が起きても消防車は来ないし、救急車も来ない、犯罪の取り締まりもない、道路も補修されずにボコボコのままなのです。税金は暮らしと深く結びついている。その結果、社会全体に必要なものが整い、経済が正しく発展していくことになるのです。
これから、私はアメリカに行ってたくさんのことを学んで、必ずチャイルドライフスペシャリストの資格を取って日本に笑顔で帰ってきたいと思います。そして、私の夢を支えてくれた多くの人たちに感謝を忘れず、未来のためにもしっかりと税金を納め、「税金なんか無くなれば良い」と思う人が少しでも減るように税金の大切さを訴えていきたいです。
この場を借りていいたいことがあります。
「私の夢を叶えてくれてありがとう。」
【題名】お世話になった教科書
【都道府県】東京都
【学校名・学年】拓殖大学第一高等学校 1年
【氏名】飯田 麻友美
春――。私のもとに大きなダンボール箱が一箱届いた。たくさんの教科書や問題集でいっぱいだった。これから高校でお世話になる私の新しい教材たちだ。
早速私は勉強机の棚にある、古い教科書と入れ換え始めた。しかし、だんだんとその手は動きが遅くなり、途中で止まってしまった。私はなぜか、だんだんと寂しくなってしまったのだ。たくさん折目が付いている教科書、赤い文字ばかりの問題集、カラフルな付箋が飛び出している資料集・・・。中学でたくさんお世話になった教材たちを手にとると、ページをめくる指先から、なつかしさが伝わってきて名残惜しくなってきてしまった。
私は、これらの教材費が税金から出ていることは知っている。中学生の頃、そう学んだからだ。他にも、授業料や学校、机などもすべて税金で賄われている。
私がこうして高校生になるまでにたくさん勉強をすることができたのは、税金を納めている多くの人達のおかげだ。みんなが私を支えてくれ、税金を勉学というかたちにかえて、応援してくれたのだ。だから私は、多くのことを学べ、様々なことを知ることができた。小学生の頃は、まだあまりこのような実感がなかったが、成長するにつれ、本当にありがたいことだとわかった。
本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
私は、今の小学生や中学生にこの気持ちを伝えたい。まだ税金の大切さやありがたみを知らない子供達に。今使っている教科書や毎日通っている学校は、多くの人達が、将来の日本を支えていくであろう私達のために贈ってくれたプレゼントなのだと。たくさんの人達が税金を納めてくれているから、私達は今こうして学校で勉強ができるのだと。そして、教科書や学校のモノを大切に扱って、授業の時間を大切に過ごしてほしいと思う。
私は、人が人を助け合う手段としてある、この税金の制度は、とても良いものだと思う。
三月十一日に起こった東北地方太平洋沖地震。この大地震により大きな津波が起こり、家を失ってしまった人が大勢いた。このとき応急仮設住宅がつくられたが、この費用なども税金から出た。
誰かが苦しんでいたら、みんなで支え助け合う。これができる日本は、本当に素晴しい国だと思う。そして、そんな素晴しい国に生まれた私は本当に幸せ者だ。
中学校の教材をダンボール箱に入れ終わった私は、棚に置いてある新しい教材たちを見て思った。
私の番がくるのも、そう遠くはないと。今は消費税ぐらいしか私は払っていない。けれどこの先、社会に出て働くようになったら、もっと色々な種類の税金を払うようになる。今まで私にたくさんのプレゼントを贈ってくれた人達に恩返しをし、多くの学生達に夢を与えられるように、税金という名の手助けや協力をたくさんしていきたい。
【題名】貢献できる幸せ
【都道府県】福井県
【学校名・学年】学校法人北陸学園北陸高等学校 2年
【氏名】加藤 千尋
税金は人々が生きていくための最大の源。誰もが理解しているはずなのになぜ税金に対して否定的な思いを持ってしまうのだろうか。それは国民のために有効に使われていないと思う人が多いからではないだろうか。
ある日、新聞に高額所得者番付が掲載されていた。私は「誰が儲けているのか」とまず、思ってしまったが、父は違った。「納税して国に貢献している人達だ」と言った。その時「貢献」という言葉を意識して消費税を払ったことなど一度もなかったことに私は気づいた。「支払う」というより「持っていかれた」という感覚に近かったのだと思った。税金は義務として納めなければならないが、それは取り扱いを委任したということだ。どのように使われて、「貢献」しているのか知る義務があるのではないかと思うようになった。
私は以前ニュージーランドにホームステイをしたことがあるが、この国の消費税は日本の三倍、十五パーセントだった。福祉国家らしく公立病院の医療費がゼロ、公的年金の保障など税金を納めさえすれば生活するのに最低限必要なサービスは受けることができるのだとステイ先の家族は言っていた。原子力発電がなく人口も少ないニュージーランドと日本では事情が違うと思う。しかし、一般市民が税金に関心を持つことは重要だと感じた。実際、ニュージーランドでは幼い子供であってもどんなものが無料になり、なぜそうなるのかを理解しているようだった。税金を払っているおかげだとすんなりと言える人が多いのにも驚いた。
私達は税金の話題になると、つい高いか安いかという議論になりがちだ。しかし、その前に何が税金によってカバーされているのか判断する力を持たなくてはいけないと思った。つまり、私達には納める義務だけでなく、使い道を知る義務、意見を述べる義務があるのだと思う。
日本は震災によって数え切れないくらい多くのものを失ってしまった。でも得られたものも多い。その一つが「貢献できる幸せ」ではないだろうか。世界にも日本にも人の役にたちたいと思う人は多い。それはボランティアを希望する人の数を見ても分かる。また、現地に行くことのできない人でも納税という形で貢献しているのだ。私達は、自分の支払う税金がどのように使われ、どのような人の為に使われているのかを知るべきだ。少しでも役立っているという喜びを持ったり、将来の為なのだと安心できれば、納得して税を納める人も増えるだろう。税、それは行ったきりではなく、何らかの形で必ず戻ってくるもの。たとえ消費税であっても私は「よい国づくり」の為に貢献しているのだという意識を持ちたい。そして、これからも税について学び、「喜んで払います」と笑顔で言うことのできる人間に成長したいと思う。
【題名】「税について」
【都道府県】静岡県
【学校名・学年】学校法人常葉学園常葉学園高等学校 3年
【氏名】久留 萌
私は税について考えたとき、ある言葉が思い浮かびました。それは「一人はみんなのために、みんなは一人のために」です。
私はバレー部に所属していました。バレーはチームプレーが重要とされるスポーツです。試合に臨むとき、いつも私はこの言葉が心の中にあります。チームの選手一人一人が自分の力を全力で出し切り、チームやチームメイトのことを一生懸命考え始めたとき、コートの六人の力でも百人の力にも負けないくらい強いものになることを、私は練習や試合を通じて経験しました。しかし、チームの中に少しでもチームのことを考えられなかったり、怠けたりしてチーム全体の空気を乱す人がいると、強い力は弱くなり、試合に勝つという目標を達成することが困難になります。
部活のような小さな集団でもこのようなことが起こるのですから、もし日本という国や私たちが暮らす県、市レベルでこのような現象ばかりになってしまったらどうなるのでしょうか。
時々、テレビやニュースや新聞で、社会的に大きな力を持ちとても良い暮らしをしているのに、税金を納めていない人がいることが報道されています。また、申告の用紙を自分の利益がないように書いて所得税などをごまかしている人も少なくないことを知りました。さらには税金を少しでも少なく納め、得をするにはどうしたらいいか、という内容の本も本屋に行くと並べられています。「節税」という言葉は、こんな私にも分かるくらいよく使われているのです。
過去に憲法について学んだときに、国民の義務の一つに「納税」があることを学びましたが、義務を節約するというのは、いったいどういうことなのでしょうか。たしかに私にも、父や母が納めている税金が、いつ、どこで、どんなものに使われているのかを見ることはできません。しかし、私は毎日税金で整備されている道を通りながら通学しています。弟たちも税金で建てられた学校に通っています。
街に出れば、私たちの生活が安全で健康なものであるように、警察官や消防士が日々働いています。また、お年寄りや身体の不自由な人も安心して暮らせるように、たくさんの施設があります。これらはすべて税金のおかげなのです。
いくら裕福でも、たった一人の力で道路を造り、橋を架け、学校や病院を作り、二十四時間国民を守り続けることは不可能です。たった一人で街を作ることはできませんが、一人一人ができることを積み重ねていけば、その力で私たちが住むこの街や市、国を良いものにしていけると思います。
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」と考え、行動することが、今、私たち日本人に必要なことなのだと考えます。個人の力は小さくても、それがまとまったとき、大きな橋となり、美しい道となり、私たちの輝く共有の財産となるのだと思います。
【題名】未来の税金
【都道府県】大阪府
【学校名・学年】創価学園関西創価高等学校 3年
【氏名】徳中 直美
「近々、消費税の税率が上がるかもしれないね」
母のそんな一言で、私はよくよく税金について考えるようになった。
「税金を取られる」という表現を耳にしたことがあるだけに、私は税金に対して、あまりいいイメージを持ったことはなかった。
しかし今思うと私たちは、本当にさまざまな形で、その恩恵を受けている。その一方で、「税金を取られる」という表現は消えない。
そこで私が疑問に思ったのは、「何故日本と海外の間で、税金についての国民の意識が違うのか」ということだ。
私たちが払っている税金の中で今最も身近なものはやはり消費税である。日本の消費税の税率は現在五パーセント。諸外国の中で一番高い国はデンマークやスウェーデンで、二十五パーセントである。それなのに、日本では現在多くの国民が増税に反対している。一方で、デンマークの国民の中で、自分たちが払っている税金について不満に思っている者は少ないようだ。
本やインターネットで調べてみて、私は消費税の税率が高い国には、ある共通したサイクルがあることに気が付いた。
デンマークの国民はどこよりも高い税金を支払っているので、彼らの政治に対する関心はとても強い。そのため、集まった税金の使い道が広く国民に公開されている。すると、国民は自分が払った税金がどこでどう使われているのかが明確にわかるので、不正を働く役人も少なくなる。「税金が必要なところへ必要な分だけ行き届く」ということは、社会保障や教育、医療制度などが充実することにつながるから、国の政治を信頼して、高い税金でも国民は喜んで支払うのである。
これは、デンマーク人の長い歴史の中で育成された倫理教育と『共生の理念』があるからこそまわるサイクルなのかもしれない。
日本の長い歴史の中で培われてきた、社会のシステムや日本人の国民性がそう簡単に変わるものだとは思わないが、私たちの知恵と努力で、「たくさん稼いだ人はたくさん税金を払って社会を支える」仕組みをつくることは可能だと思う。
私は、未来の私や、その周りの大切な人たちが安心して暮らせるのなら、税率が上がることはとてもいいことだと考えている。そして税金を払った以上は、どこかで間違った税金の使い方をしていないか、しっかり監視する責任が私たちにはあると思う。しかし、提示された情報が少なければ監視のしようがない。もっとたくさんの形で、今以上に税金についての情報が発信、公開されれば、デンマークのような「福祉のサイクル」をつくる一つの因につながると思う。
デンマークのように、いつか日本も、「福祉大国」と呼ばれる日が来るのだろうか。
デンマークと日本。どちらも国民性や価値観は全く違うけれど、「幸せな未来」を望む想いはきっと同じであるはずだ。
「税金を取られる」という表現が日本中から消えてなくなったとき、きっとたくさんの人が笑っている。
【題名】私たちの健康と税金
【都道府県】鳥取県
【学校名・学年】学校法人矢谷学園鳥取城北高等学校 2年
【氏名】有岡 聡
あなたは病院を利用したことがあるだろうか。いや、誰もが必ず利用しているだろう。お母さんのお腹の中にいる時から病院にお世話になっている。風邪をひけば病院で薬などを処方してもらう。怪我をすれば病院で処置をしてもらう。私たちは当たり前のように病院を利用するが、医療費について考えたことがあるだろうか。私は切実な思いを抱いたことがある。
私は中学三年生の時、脳腫瘍を患った。MRIという機械で撮った頭の写真には、頭の真ん中に直径五センチメートル程の腫瘍が写し出されていた。診察室で医師に入院と手術が必要だと言われた。以前から頭痛がしていたが、まさかこんな病気だったとは思いもしなかった。今でもあの時の父と母の青ざめた顔を覚えている。私はそんな父と母の顔を見て、これから自分はどうなるのか、高校に進学出来るのだろうか、と心配になった。
手術も無事に終わり、退院することになった私はあることが心配だった。そう、医療費のことだ。二ヵ月近く入院もしたし、これからも治療は続いていく。家族はお金のことを私には言わなかったが、どうしても気になって母に医療費について質問してみた。母はそんなこと気にしなくてもいいよと言ったが、私にこれまでの医療明細書を見せてくれた。そこには色々な項目が書いてあり、今までそれを見た事のなかった私はどういうものか分からなかったが、母が説明してくれた。医療費は七割を国や県が社会保障関係費の内から負担しているそうだ。特に怪我や病気で入院して、経済的な負担が大きくなった場合、手続きをすれば自己負担限度額を越えた額が高額医療費として払い戻しされるとのことだった。この時、私は税金の有難さがよく分かった。今までは税について、消費税をとられるというマイナスのイメージしかなかった私だが、税金が私たちの健康を支えてくれていると知って嬉しくなった。
医療費の問題だけではない。私は学校で学び、道路の信号は正確に動いている。このように安心して暮らせるのは税金のおかげだ。
しかし、今の日本は高齢社会が進展して、年金や医療の負担が上昇を続け、将来の世代に大きな負担を残すことになる。実際、私が通院している病院には毎日沢山の高齢者が来ている。平成二十三年度の国の社会保障関係費の予算は二十八兆七千七十九億円だが、今後の歳出は増大していくだろう。それは私たちが働き盛りになる頃には大きな負担となる。その時の為に、税金のあり方について、所得の少ない人々に配慮しつつ、経済力に応じて公平に負担し合うなどの見直しを国民一人一人が考えることが必要だと思う。私たちの協力が国を支える第一歩となる。
税とは人を幸せにするものである。あなたがもし、私のように突然病気や怪我になっても、税金があなたを支えてくれる。私たちの払う税金は誰かを幸せにしている。
【題名】「税金、それは目に見えない助け合いのしくみ」
【都道府県】香川県
【学校名・学年】香川県立高松高等学校 3年
【氏名】佐伯 茉奈美
二〇一一年春、東日本大震災が起こった。私が税金について興味を持つようになったのは、政府が復興税を導入しようとしていることがきっかけだった。
震災の直後には、多くの国民が、復興のためには増税もやむをえないという意見だったが、その意見は序々に変化してきた。それはなぜかというと、私たちの暮らしの中で、これまで目に見える形で税金が使われてこなかったことへの不満があるからではないだろうか。そもそも、国民には納税の義務がある。高校生である私たちにも、意外に身近に税金がある。たとえば、ノートを一冊買うにしても、昼食のパンを買うにしても、消費税という形で、知らず知らずのうちに税金を負担している。
税金と聞くと、悪いイメージ、嫌なイメージがあるが、よく考えてみると、税金とは、皆が少しずつお金を出し合って、集まったお金を必要なところに使って支え合っていく、という助け合いの仕組みである。そのため、私が普段気に留めることもなく払っている税金も、誰かの役に立っているはずである。自分の払っている税金が、誰かの役にたっている、ということを感じることができれば、国民の納税への考え方や姿勢も変わってくるのではないだろうか。
震災から五か月たった今、私たちが暮らす日本だけではなく、世界では、アメリカという経済大国への信用不安から、世界同時株安がおこっている。その中での復興は非常に困難なものである。私は、ある程度の増税はやむをえないと思う。ただし、無駄を削り、公平性が大切である。では、震災で何もかもなくしてしまった人にも同じだけ負担させるのが公平かというと、それは違うと思う。利益を出している企業、高収入を得ている個人に重税を課すのがよいのか、しかしそうすれば優秀な企業や個人が海外に流出してしまう。様々な生活形態の人々がいて、所得の差もあるために、どこに課税し、だれがどれだけ負担するのか、という公平性は、すべての人が満足し、納得することがなかなか難しいテーマなのだ。
このように、税金とは、絶妙なバランスをとらなければならないものであるが、広くうすく国民が負担をすることが震災復興への近道だと私は思う。国民から、復興のための消費税を広く集めるが、被災者には何らかの手立てを講じるなど、払える人が、広く、バランスよく負担することが必要なのだと思う。
私は、これから大学に進学し、社会のしくみや経済のしくみなどを深く学びたいと思っている。その際、誰かに払ってもらった税金で、自分が勉強できていることを忘れずに勉強し、社会に貢献しなければならない。また、次の世代を支えていかなければならない、それが私たちの義務だと考えている。
将来を担う私たちが、決して無知であってはならない。その上で、日本、世界への経済に対する視野を広げ、正しい税金のあり方を判断できる人間になりたいと思う。
【題名】当たり前ではない
【都道府県】福岡県
【学校名・学年】福岡県立筑紫丘高等学校 1年
【氏名】佐藤 由佳
「おはよう。」と言って窓側の一番前の席に座る。教科書を開き、授業を受け、放課後は体育館に急いで行き、バレーボールの練習に励む。そんな私の何気ない日常。当たり前の生活。
だが、それは決して当たり前のことではない。世界中には、学校に行きたくても行けない子供や、勉強したくてもできない子供がたくさんいる。そのことを決して忘れてはならないと思う。
ではなぜ、私達はこのような恵まれた生活を送ることができるのであろうか。
その大きな理由の一つが、私達の生活を税金が様々な場面から支えてくれていることである。
税金のおかげで、私達は学校に行き、教科書を使ってみんな平等に勉強することができる。ケガをして病院に行けば、実際より安い価格で治療を受けることができる。
また、税金は私達の夢も応援してくれていると思う。以前、私はテレビで
「私達には夜、照明をつけて練習できるような場所がない。だからこそ頑張って勝って注目を集め、そういった施設を整えてもらえるようにしたいんだ。」
と、外国のプロのバレーボール選手が、試合前のインタビューで話しているのを見たことがある。
そのとき、私は改めて私達は恵まれていると思った。私達は、学校の体育館や児童センターで思い切り汗を流すことができる。公民館などで趣味に打ち込むこともできる。これはとても幸せなことだ。
そして、年を取り、働くことができなくなってしまっても、私達は年金をもらい、生活することができる。病気にかかってしまっても、とても安い価格で診療してもらうことができる。
「みんなが互いに支え合って生きていく社会」というのを可能にする、手助けをすることができるのが税金であると私は思う。
大人が子供を支え、健康な人が病気の人を支え、若い人が年配の方を支える。そういった弱い立場にいる人達を守っていくということが、税金の制度を通して可能になると思う。
三月十一日。私達が中学校を卒業した日に、悪夢は起きた。この震災で、本当にたくさんの方々が帰らぬ人となった。そして現在もたくさんの方々が苦しまれている。
だからこそ今、私は税金の力を信じている。政府の力を信じている。
今はなかなか上手くいっていないが、これから、一日も早く被災者の方々が元の生活に戻ることができるように、税金が最大限の力を発揮することを、私は信じている。
【題名】初任給の明細
【都道府県】大分県
【学校名・学年】大分県立大分雄城台高等学校 1年
【氏名】安部 梨杏
駐車場から聞こえてくる靴の音。なんだかいつもより弾んでいる。「ただいま」という声と玄関のドアを開ける音に勢いがあった。
姉は、今年の四月から社会人として新たな人生をスタートさせている。初任給をもらった喜びがあの軽やかなステップになったのだ。
姉は、真っ先に父に給与明細を渡した。それを見る父の目は潤んでいた。我が娘が給料をもらえるまでに成長したことに感動したのだろう。次に手渡された母は、見るなり
「わあ、税金の高いこと。気持ちがいいぐらい引かれているわ。」
と、現実的な母の言葉で周りの空気は一変した。私も給与明細を見せてもらった。税金の他にも厚生年金や健康保険などが引かれていたので給料の手取りは少なくなっている。
母がまた横から、
「新卒の初任給なんて、こんなものよ。」
と、バッサリ言い放った。何十年も前、要するに姉と同じ歳に初任給を受け取った経験のある母の言葉に夢が壊された気分である。
そんな母が、急に真面目な顔をして
「お父さんが、家族を守るために一生懸命働いて税金を納めてくれたお陰で国からの援助が受けられ、そして守ってもらえているんだよ。だから、税金をたくさん引かれて不満に思うこともあると思うけど、社会人として、今までの恩に報いるためにも納税の義務をしっかり果たしてほしいわよね。お父さん。」
と、言った。
何はともあれ、姉が初任給をもらって帰ってきたことで我が家は、税金の話で盛り上がった。
今年の春、私は念願の志望校の高校生になった。そして、更に嬉しいことに数々の恵まれた制度が私を迎えてくれた。
その一つに、高校授業料無償化である。昨年から導入された制度のお陰で一年間に約十二万円もの授業料を税金でまかなってもらうことになる。
そして、子宮頸がんの予防ワクチンの接種も一年生に限り、無料で接種できる。自己負担になると、数万円もの高額な医療費となる。
家族の経済的負担が、少しでも軽減されることになったので大きな喜びである。
高校で安心して日々勉強ができるのも健康でいられるのも日本の税制度のお陰だ。
国民の納める税金によって日本は支えられ、そしてその国から私達は支えられている。
私は、貴重な税金で育てられていることに感謝したい。今、私がやるべきことは高校でしっかり学ぶこと。そして、大学に進学し、社会人となった時に社会に還元したい。
日本国民として、納税の義務を果たしている姉の姿は、学生の頃の気楽なイメージとは比べようもない程、誇らしい。給与明細の税金の存在は、一人前の大人になった証である。
【題名】税が切り拓く未来
【都道府県】沖縄県
【学校名・学年】昭和薬科大学附属高等学校 2年
【氏名】上原 稜啓
私は、毎日の通学にモノレールを利用している。最近、延伸のニュースを聞き、開業時以来改めてモノレールに興味を持った。調べていく中で、国や沖縄県・那覇市や第三セクターが一体となって実現した総額一千百億円の事業であることや、ガソリン税・自動車重量税等が多く活用されたということを知った。延伸には建設費用約四百億円が必要だという。モノレールは八年前に、慢性的な交通渋滞に悩まされてきた那覇都市圏において、道路整備と併せ、道路空間を有効利用することを目的として導入された。私も通学や生活にモノレールが欠かせないなど多くの県民の足となっている。私の高校の先輩である叔母は、毎朝路線バスや自家用車で通学していたそうであるが、交通渋滞で遅刻することもあったという。このことを祖父に話すと、「孫に便利な生活を送らせることができ、戦後の沖縄を発展させていこうと汗水流して税を納めてきた甲斐があったなあ。」と話してくれた。私たちが日ごろ納めてきた税金が、巡り巡って私たちの生活をより便利に、豊かにしているのだなと実感した。
モノレールの開通によって、市内の利便性の改善を実感している人も多いだろう。しかし、沖縄県の人口一人当たりの渋滞損失時間は、約四七時間/年であり、全国四位である。その中でも私の住む那覇市の一般道路の平均混雑度は、三大都市を上回っており、解消のために現在でも様々な事業がおこなわれている。今年の夏に開通した、港と空港を結ぶ海底トンネルは、貨物輸送の便利さを向上させ、国際的な競争力も高める見込みだという。
このように、現在も社会資本の整備が進んでいることを学んでいったが、もちろんそれらの費用は税金によって負担されている。税を納めるということは、便利さなど私たちにも目に見えるような良い効果をもたらすほかにも、産業の活性化への大きな貢献や、地球温暖化対策につながるなど「未来への投資」でもある。まさに、税が沖縄そして日本を支えているのだ。今年三月に、東北地方を大きな地震と津波が襲った。町全体が波に呑まれたり、破壊されたりという場所も数知れないそうである。だが、日本全体が暗いムードに包まれてしまった中でも、東北自動車道の復旧や、瓦礫の山だった場所に、次々と道が出来ていく様子をテレビなどの報道で知った。震災復興のためには、莫大な財源が必要であり、また、人々の生活を繋ぐ道路が再び結ばれることは大変重要だろう。かって、税金で建設された道路は一度大きな被害を受けても、私達の納める税金により再び人々を結んでいく。社会全体で助け合う「税」という仕組みが、日本復活への道を切り拓くのだ。






