税の学習コーナー

税の学習コーナー税の作文(中学生・高校生) 平成28年度「税に関する高校生の作文」国税庁長官賞受賞者発表

pen 平成28年度「税に関する高校生の作文」国税庁長官賞受賞者発表

国税庁長官賞

【題名】私の小さな支え

【都道府県】北海道

【学校名・学年】北海道羽幌高等学校 一年

【氏名】斎藤 麗

 私には、世界中で戦争や飢餓、病に苦しむ人たちを助けるという夢がある。小学一年生の時からガールスカウトに入っている私は、世界中で苦しんでいる人がいる事を知り、中学三年生の時から、将来はそういった人達を助ける仕事に就きたいと思うようになった。そんな私が、今出来る事は何だろう。まだ大きな力もない私に出来る事は、ほんの僅かしかないと思っていた。だが、私がこの作文を書くにあたって税について調べた時、私にも出来る事があるのだと知った。
 まず私がイメージする税の使い道と言えば、私たちが暮らしやすい環境を作るため、道路や住宅を整備してくれる公共事業関係費。私の祖母が貰っている年金や、病院に行った際にかかる医療費を負担してくれたりなど、税金の使い道として、一番大きな割合を占める社会保障関係費。これらがほとんどで、日本の税は日本のためにしか使われていないのだと思っていた。そんな中、私の目にとても魅力に映ったのは、経済協力費という、発展途上国や援助が必要な国へと使われる費用だ。私は、税金が日本以外の国に使われている事にとても驚いた。それと同時に、嬉しくもあった。経済協力費は、先程言った社会保障関係費や公共事業関係費の様に大きな割合を占めるものではなく、税金の僅か0.5パーセントしか使われていないが、私が唯一払える消費税が、苦しむ人たちを助けるお金になっていると思うと、本当に嬉しかったからだ。僅かなお金でも、誰かの支えになっているのを知る事が出来て、私の税に対するイメージも変わった。ニュースなどでもよく見かけるが、国民の人たちは、税がどのように使われているのかにとても厳しい。私も前までは、日本の税金やその使い道に、あまり良いイメージを持っていなかった。だが、改めて税について調べてみると、中学生の時に習ったように、良いところもたくさんある事を再確認できた。だから、税に対して悪いイメージばかりを持つのではなく、もう一度日本の税について知ってみる事で、自分が払う税金がどのような事に使われているのかに関心を持つ事が出来、納税率も上がっていくのではないかと思う。私自身が払える税は今は消費税しかないが、大人になって納める税が増えた時さらにその大切さを理解する事が出来ると思うし、納税の大変さも実感出来るはずだ。そうして、自分の国はもちろん、他国も支える事の出来る大人になりたいと思う。今は日本の税に感謝し、いつかは自分の国に貢献できる人になる事が目標だ。

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【題名】助け合いのバトン

【都道府県】福島県

【学校名・学年】福島県立郡山東高等学校 一年

【氏名】佐藤 希

 目の前にある三枚の原稿用紙。税金についての作文を書くよう言われた私は何を書けば良いか分からず、ネットに目を通していた。その時、私は一つの言葉に目を止めた。「復興特別税」だ。
 私の故郷である葛尾村は、五年前の東日本大震災で津波の影響を受け爆発した福島原子力発電所によって、最近まで帰宅困難な地域だった。他にも大津波によって家族を失った人。昨日までの日常をすべて持っていかれた地域、家が、故郷があるのに帰ることができない人々…。私は五年前の出来事を今でも鮮明に思い出せる。嫌になるくらいだ。私と同じように苦しんでいる人々や地域はたくさんある中で、私達の故郷も一歩ずつ復興している。そんな中、私は復興特別税というものが確立されていた事に驚きを隠せなかった。
 復興という二文字。震災当時は日本中各地から支援を頂き、幼かった私は協力する事の大切さ、思いやる心の素晴らしさを自然と感じていた。しかし、私の中の復興は各地域の力だけでしていく、それぞれの問題はそれぞれで解決していくという固定観念が生まれていたのだ。なので今回、復興特別税のことを調べていくにつれ、改めて「一人じゃない」と感じ、人々が助け合って復興している事に気づかされた。
 年貢制度があったように昔から税金という物があった日本だが、税金に対して抱いている思いは良いものばかりでないと思う。「しかたなく納めている」「税金ばかり取られる」など、「無理やり」というイメージがあると思う。しかし、私は違う。税金がなくなったら、生活はどうなるだろうか。火災が起きて消火するにもお金が必要になる。病院で受ける治療や手術も多額のお金がかかり、もしかしたら病院に行くのに躊躇してしまうかもしれない。治る病気も治らず最悪には…。この世界にはお金がなく苦しんでいる国や子供達がたくさんいる。そう考えると、日本は少し裕福すぎると言っても過言ではない。税金があるから安心して生活でき、助け合う事ができるのだと私は思う。
 税金を納めるという日本の制度。それは日本中の人々が助け合うバトンのようなものだと思う。苦しんでいる人へバトンを繋ぎ、助けられた人は別の困っている人へ。「無理やり」というイメージではなく、日本中に向けての「支援」というイメージに変わってほしいと願う。きっと自分が納めた税金は将来、自分を助けるものになって返ってくるはずだ。私も復興特別税として日本中から受けた支援や助けてもらった人々の思いをずっと忘れないでいたい。いや、忘れない。将来、私も助け合いのバトンを繋げられたら…。
 私の目の前の原稿用紙はたくさんの感謝で埋めつくされた。私はもう一度、支援してくださった全ての人々に「ありがとう」と伝えたい。

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【題名】高校生の視点から税金を考える

【都道府県】新潟県

【学校名・学年】新潟県立新潟高等学校 一年

【氏名】手代木 慶

 私は知っている。多くの人々が税金を払いたくないことを。多くの高校生が税金に関心を持っていないことを。私も同じだった。しかし、昨年税金のことを調べて考えが変わった。私は福島第一原発事故のため、福島に父を残し、母と妹と福島県から新潟県に自主避難している。父が新潟に通うための「高速道路無料化」、私達姉妹の健康のための「甲状腺の無料検査」、福島県にある自宅の「除染検査」など、私の家族はいろいろな支援を受けている。調べた結果、これらは全て特別復興税のおかげだとわかった。つまり、税金は私たち家族にとってありがたいものであったのだ。だから、私は税金をきちんと払うべきだと考えるようになった。そして税金がどのように自分たちの身近な生活の役に立っているかについて、一人ひとりが理解することが重要ではないかと考えた。
 正直に言えば、身近な税金は、消費税くらいしか私たち高校生が直接的に関わりを感じる税金はないと思う。しかし、高校生の私たちにとって、消費税は支払うものの、わかりにくい。そこで、税金の使われ方を調べてみた。高校生と税金の関わりを知り、私は驚いた。公立の高校に通う私たち高校生は、学校の備品や教科書など1人当たり年間約100万円という多額の税金を使っていることがわかったのである。つまり、私たちの学びは税金にしっかりと下支えされていたのだった。
 また、最近の出来事で私にとって印象的だったのは、救急車のありがたさである。近所に住んでいる高齢の方が、夜中に倒れてしまった。幸い救急車がすぐにかけつけてくれたおかげで、その方の命に別状はなかった。私も祖父母と一緒に生活しているので、元気そうに近所を散歩しているその方を見るたびに、救急車のありがたさを実感している。高齢化が進む日本で、家族みんなが安心して生活できる環境を守る税金は、更に重要になってくるに違いない。
 身近な教育や医療だけでなく、警察やごみ収集など地域の大切な役割を担う仕事にも税金が使われている。そこで重要になることは、税金の使い方に関わる私たちの代表を決める選挙に参加することである。選挙権を持つ年齢が18歳になった。私たちが高校3年生の誕生日を迎えたら、投票の機会が与えられる。税金の使い道をしっかり示してくれる代表を選ぶことが大切だ。私も、18歳になったら責任を持って投票したいと強く思う。
 税金は人と人とをつなぐ、相互扶助の精神が根付いた素晴らしい制度だと思う。高校生の私たちが、税金の使い方を語り合ったり、使われ方について理解し、選挙に行ったりすることが、納税の義務に疑問や不満を持つことなく、気持ちよく税金を払うための解決策となるはずである。私はこれからもずっと日本人として、大勢の人々が社会をよりよくするために受け継いできた、この納税という制度に誇りを持ち、守っていこうと思う。

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【題名】託された未来

【都道府県】東京都

【学校名・学年】学校法人二松學舍 二松學舍大学附属高等学校 三年

【氏名】中村 あみ

 「納税」は生まれた時から課せられている国民の三大義務のひとつである。税金を理解する前から、買い物では消費税を支払う。何の疑問も持たずに支払ってきた。
 税制度を遡ると「魏志倭人伝」に日本の税に関する最古の記録がある。邪馬台国で税が納められていたと記述がある。奈良時代には租・庸・調・雑徭が課せられた。納付する物が、作物から金銭へと移行したのは明治時代頃からだ。収入を安定させるため、所得税や法人税など税制度が大きく発展した。現在の税制度の大半は、大正時代以降に形成された。
 歴史を学んできた中で、税金は貴族が優雅に暮らすための資本を、平民から徴収している印象があった。そのため「税金」に対して良い印象がないのが正直な思いだ。納税により厳しい飢饉が起き反乱へと繋がる。自分たちが、汗水垂らし稼いだものが、貴族の優雅な暮らしに使われ、納税者へは何も還元されない。私は、これが反乱の原因だと考えた。歴史上、最も反乱が少なく260余年もの間栄えた江戸時代では、税金は幕府の利益だけでなく、インフラ整備に活用された。庶民の暮らしは便利になり納税に対する好感を持っていたのではないかと推察できる。では、江戸時代に比べてインフラ整備が既に施されている現在、税が「納める」のではなく「取られる」印象を持ってしまうのはなぜだろうか。
 不便さを抱かないほど整備が整っているため、新たなインフラ整備がなされても喜びを味わえないからではないだろうか。加えて、世界的に見ても「超高齢化」の日本では、納税者の年齢分布がとても広い。これだけの年齢層が全て納得できる政策は難しいのではないだろうか。例えば、近年取り上げられている保育園の増設は、高校生の私には直接的な必要性を感じない。しかし、待機児童を抱える保護者の立場では必要であるのが理解できる。私たち学生にとって、現在話題となっている高校授業料無償化は興味深く関心がある。しかし、子供のいない夫婦や独身の方、高齢者には直接的に関係がなく関心も薄れるだろう。世代ごとに求める政策は違う。世代ごとに、理想的な税金の使い方は異なる。全員が利己的で近視眼的な考え方のままでは、恵まれた現代人は納税に消極的なままである。「情けは人のためならず。」と言うが、自分の視野を広げることで還元を望める可能性があると感じた。保育園が増設することにより、生産人口が増加することで景気向上が期待される。一方、保育園の増設による公園の閉鎖で悲しむ住民がいる。公園は子育て世代だけでなく、全世代が安らげる空間であるため、どちらが良い選択なのか私には決められない。

 先に施行された18歳からの選挙権も、代表者を選ぶには自分の視野の狭さが身に染みた。「税」が有意義となるかは、私たち次世代に委ねられている。一口に「税」と片付けるのではなく社会情勢と向き合い、積極的に学ぶ姿勢が必要不可欠なのだと強く実感した。

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【題名】私たちと税金

【都道府県】福井県

【学校名・学年】福井県立高志高等学校 一年

【氏名】河合 萌恵子

 「税金を取られる 搾取される」そんな声を巷ではよく耳にする。だから私はこれまで、税とは我々市民にとっては不利益なもの、という漠然としたイメージしか抱いてこなかったように思う。
 ある日、母が自宅にかかってきた一本の電話を取った。それは、節税対策マンション購入の勧誘であった。そこで母が何気なく発した辞退の言葉に、私は心を動かされた。「我々の暮らしは税金によって支えられています。たくさん恩恵を受けているのだから、税を納める義務は、逃れずに果たします。」と。
 翌日、私は下校時にいつもの街並みを見ながら、ずっと考えを巡らせていた。もし、税金制度がなかったら−。私が今歩くこの道路も、街を照らす街灯も、あの公園も、図書館も、ない。きっと今ごろ街はゴミで溢れ返り、治安は悪化し、人々の暮らしに潤いを与えるものは消え去るだろう。そう考えた時に初めて「税金」が私達の生活において、どれだけ欠かせないものであるかを実感した。同時に、税はマイナスの局面しか持たないのではなく、様々な場面で自分たちを支えてくれている大きな存在だということを深く感じた。私たちが生き、そして安全で豊かな生活を確保・維持するために、税金制度というものがあるのだと強く思わされた。
 今の自分が最も恩恵を受けていると考える税は、やはり教育費である。学校の建築費、設備費、教科書など、学校生活において必要なものは、税によって賄われている。子供一人が、公立小学校から公立高校までの教育を受けるためにかかる費用のうち、約1,100万円が税金によって補われている。この数字を見て、私は強い衝撃を受けた。そして、日本の多くの大人たちから、この学べるチャンスを貰っていることに、感謝しなくてはならない、と気づいた。私達学生は、多くの人の税によって与えられた学ぶ機会を自分のものにし、勉学など様々なことに積極的に励んでいく責任があると、私は思った。
 近年、消費税の増税にまつわる報道が世間を賑わせている。既に2年前の2014年には、税率が5パーセントから8パーセントに引き上げられた。増税に対して、批判的な声もある中で、さらに10パーセントへの引き上げが決まったのは、国民の負担以上の社会的なメリットがあるからに違いない。現在、消費税は年金、医療、介護、子ども・子育て支援のための社会保障費として使われている。そのどれもが、切実な少子高齢問題を抱える現代社会に必要とされているものだ。
 即利益をあげることが求められる民間企業が行えることには、やはり限界があり、社会全体の為の事業を展開できるのは政府なのだ。私達は税を払わされているのではない、税金は、私達が政府に託す、豊かさを追求するための遠い将来を見据えた投資なのだ。

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【題名】無関心と税

【都道府県】静岡県

【学校名・学年】静岡県立静岡商業高等学校 三年

【氏名】櫻田 茉実

 「日本人は政府に税金を納めたら、政府が何に使おうと無関心である。自分が義務さえ果たしたら、それでいいと思う。ところがアメリカは違う。税金は自分たちが生活を営むうえで必要な政治をやってもらうためにあるのだと考えている。」
 パナソニック創業者である松下幸之助さんの言葉である。この税の作文を書くにあたって、多くの記事を見たが、この言葉が私の心に深く刺さったのだ。
 六月の夏から「十八歳選挙権」が適用された。五月生まれの私は初めて選挙権を手にして、投票に行ってみようと考えた。そして新聞やニュースをチェックしたのだが、今まで政治に興味の無かった私には理解ができなかった。結局あまり理解のできていないまま、私たちの未来を背負う一票を入れてしまったのだ。たかが一票、されど一票。私の「無関心」が政治を揺さぶってしまった。
 このような事があったから松下さんの言葉が刺さったのであろう。確かに私も消費税は払うが、そのお金は何に使われるのかなど、考えたことは無い。払えと言われたから払っているだけ、税の意義など考えることもなく増税に眉を顰めている。来年には社会人になる私がこれでは日本の未来はどうなってしまうのか、恐怖を覚えた。
 今の若者が無関心になればなるほど、将来「税を廃止しよう」という声に賛成してしまうのではないかと考える。税は国民の健康で豊かな生活を実現するためのものであり、今私たちが生活している中でも、税は役立っている。無関心な人には税が無くなった後の生活なんて興味がないのだ。
 私たち若者がすべきことはなにか。それはやはり税に、政治に興味をもつことだ。これからの日本の未来を担うのは私たちであり、つなげていくのは私たちの子どもである。子は親の背中を見て育つ。私たちが税に政治に関心をもてば、子どもたちも関心をもつようになるだろう。無関心スパイラルから抜け出すことも可能になるのだ。

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【題名】税金のあり方

【都道府県】奈良県

【学校名・学年】学校法人西大和学園 西大和学園高等学校 一年

【氏名】尾川 楽人

 私たちは多くの社会サービスに支えられている。日頃の学校生活は勿論、医療や交通、毎日安心して暮らすための治安維持、または公共サービスにより当たり前の生活が営めている。その原資は言うまでもなく、税金によるところが大きい。
 人類が誕生して、早い段階から共同生活が始まったといわれている。一人もしくは家族のみで生きるより、集団で業務や役割を分担することで効率よく生きることができる。初期は生き残るための策であり、文明が進むとより豊かに生きるための手段となり、これを求めた結果であろう。俗に「人は一人では生きていけない」と云う。困難や危険な状況にも、社会が支えてくれれば、安心して生活ができることは紛れもない事実であり、人類が社会を発明した理由もここにあると言えるかもしれない。
 古来より人類が社会をつくった理由は、まさに助け合うことの利点、扶助の精神によるものとも考えられると思う。こう考えると、本来的には社会の原資たる税金とはこの扶助の精神に根ざすものではないだろうか。
 税金はできれば軽い方がよい。これは多くの人が抱いている市民感情であろう。よりよい公共サービスをより安価にと考えるのは率直な意見である。一方でいびつな人口構成、例えば少子高齢化、それに伴う労働力不足、を迎え、医療費や子育て支援が急務なこと、長引くデフレーションに対して経済対策が必要なことも我々は理解している。このためには税の徴収と使用について以下の三つを確実に行う必要があると思う。一つは税金の使われ方である。使用には一切の無駄がなく、納税者が「なるほど、この使われ方であれば納得できる」と思えることが重要であろう。用途、額など多くの納税者が納得できる使用が不可欠であり、税を使う側も自分のお金と同様に適切に使う姿勢が必要である。二つ目は公平性である。皆で支える社会を実現するのが税であることを考えれば、適正に税を納めず過剰なサービスのみを享受するという例外はあってはならない。世代間格差の問題などで言われる事がある。次世代に負担を強いることや、タックスヘイブンの悪用など悪意ある税逃れは厳正に対処し、公平な税の徴収を確保することが必要である。三つ目は、これら二つを分かりやすく納税者に伝えることが重要である。正しく使い正しく公開する、この透明性こそが、将来的に社会を安定させる重要なファクターであろう。
 税金とは社会を支える大切な原資である、そのためにも、使う側は無駄なく透明性に充分留意して使うこと、またあらゆる世代が納得できる公平な徴収を加速してもらいたい。税金とは我々が、日本人として生まれてよかったと思えるかどうかを左右する重要な要素であるのだから。

 

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【題名】身の回りの税金の使い道

【都道府県】岡山県

【学校名・学年】岡山県立岡山朝日高等学校 一年

【氏名】小坂田 響子

 高校の合格発表後、いろいろな期待で胸を膨らませながら入学式の日を待ち望んだ。入学式の前、制服や教科書を購入する物品販売のため、桜のつぼみも膨らみつつある高校の門を、どきどきしながらくぐった。
 これから同級生となる人たちでごった返す中、長い列に並んで教科書を購入した。小学校も中学校も、入学式で、始業式で、新しい教科書をもらった。教科書は、昨日までは「もらえる」ものだと思っていた。教科書を購入したことで、義務教育における教科書の無償配付を意識し、授業料の振込先の用紙を目にして、教育と税との関係を初めて身近に感じた。
 入学式の日。知事が来賓として出席され、祝辞を述べられた。岡山県は教育県と言われながら、全国学力テストではここ数年、順位が低迷している。知事の祝辞は、きっと充実した楽しい高校生活を送ってください、というような内容だろうという、浮かれ気分な私の想像とは裏腹な、少し厳しいものだった。
 「県が教育にどれぐらい力を入れているか、教育のためにどのぐらいの税金を使っているか、君たちは知っていますか。」
 教科書を購入した段階でやっと税金を意識した私など、県予算が教育費にどのくらい費やされているかなど、全く答えられなかった。いや、教育費だけでなく、国や県、市の税金が何の目的でどのように使われているかなど今まで意識したことがなかった。知事の教育に対する強く熱い思いを聞きながら、自分の勉強不足を見透かされたような、何とも罰の悪い思いが湧いていた。私の高校生活は、意外にも「税金」を意識したところから始まったのである。
 消費税十%の議論は、さすがに勉強不足の私でも気になるところである。数学が苦手な私としては、八%の計算よりは十%の計算の方が分かりやすいよね、などと友達では冗談で言うものの、少ないお小遣いでやりくりしている身にとって、増税は当然反対だ。
 と思っていたが、実際はどうだろう。税金を意識し始めて以来、「お金を払わなくて当たり前」のものが周りには多数あることも、否が応でも意識している。小学六年生の妹たちは、今年四月から岡山市の小学生の医療費が無償化されたため、小学校最後の一年である今年は医療費が無料となった。私が小学校のときに肺炎で一週間ほど入院したときには無償化ではなかったので費用がかかったから一年だけでも無償化は助かる、と母が話していた。岡山県内でも小学生の医療費無償化は進んでいたが、多大な税金が費やされるため岡山市でも無償化は苦渋の決断だったのだろうと思う。市、県で使用される税金と国の財源となる消費税の用途と同列には語れないのかもしれないが、一概に増税に反対するのではなく、何が税金として使われることが必要か、私たち一人ひとりが考えを深め、議論することがまず必要だと思う。

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【題名】税金と社会保障制度

【都道府県】徳島県

【学校名・学年】徳島県立城ノ内高等学校 一年

【氏名】石丸 漱一郎

 父の仕事の関係でアメリカで暮らしていたときのことです。私は高熱を出し、救急車を呼ぶことになってしまいました。病院までは車で十五分ほどの距離だったのですが、父の職場が加入している保険の指定病院の場所が分からなかったからです。そして後日、一〇〇〇ドルを超える救急車使用の請求書が送られてきました。それには、車内で使用したガーゼ、テープ、使い捨て手袋に至るまで細かに料金が記載されていて、驚きました。もちろん、国によって社会情勢や制度、法律が違うことは十分承知していましたが、このとき改めて日本の社会保障制度の素晴らしさを認識し、それに感謝しました。
 アメリカでは二〇十四年に、「オバマケア」と呼ばれる医療保険改革法が施行され、国民全員が医療保険に入ることが義務づけられましたが、日本と大きく異なるのは、一部の援助が必要な人を除き、民間の保険に加入するという点です。それぞれの保険により、適応される病院も違い、日本のような、全ての人が公的保険に加入し、国内でのどの医療機関でも平等に治療を受けられるという行き届いたシステムではありません。
 けれど今、日本でも社会保障関連費の財源確保の問題が深刻になっています。少子高齢化が進み、医療費、年金の給付額が増加し、社会福祉や介護に関する費用も増加する一方、社会保険料の収入は横ばいで、この差額は税金だけでなく国債発行によって埋められています。この対応策として、二〇一二年に社会保障と税の一体改革関連法が成立し、消費税率の引き上げによる増収分をすべて社会保障の財源に充てる改革が行われていますが、消費税八%に引き上げられた今も、なお深刻な状態であることは容易に想像できます。
 私達が安心して暮らせる社会は、税によって作られています。少ない負担金で高度な治療が受けられ、料金を心配せずに救急車を呼べる国を継続するために、そして子供や高齢者がより一層安心して暮らせる国にするためには、国民全員が税の使われ方について考えることが大切だと思います。税金を知ることは日本を知ることと同義です。そしてそうすれば未来の日本が見えてきます。
 先日の新聞に、消費税十%への引き上げを二年半延長するとした政府の判断に対する、世論調査が取り上げられていました。「評価する」という回答は、五十六%で、半数を超えていました。確かに消費税の増税は家計の負担になります。また、買い控えによる景気低迷が起こりうることも考えられます。しかし、ただ今だけを見ることが正しい判断だとは言えません。未来ある日本を次の世代へ引き渡す責任も私達にはあると思います。
 税金は私達の生活を支え、豊かな社会を作ります。納税を通してその一端を担うことが私達国民の利益だと思います。

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【題名】未来を見据えて変わる税の「カタチ」

【都道府県】福岡県

【学校名・学年】福岡県立太宰府高等学校 一年

【氏名】出利葉 陵央

 「増税なんて嫌だ」よく耳にする言葉です。確かに外側だけを見ると、モノが値上げする感覚で、損をした気分になると思います。しかし、内側を見ると考えは変わるはずです。
 もし、消防車や救急車が有料だと、火事や急病で倒れた時、お金を持ち合わせていなかったら、緊急事態に対応できません。そうすると、大切な人や家など失うことも考えられます。しかし、そこに税金が使われ、無償で誰でも利用できる非競合性によって、私たちは救われることが可能な恵みを受けています。つまり、税金として徴収される公共財に感謝しなければなりません。今、払ってきている税金が他の「カタチ」に変わり、大切な人やモノの将来を守ってくれています。
 小中学校の教科書の裏面には「この教科書はこれからの日本を担う皆さんへの期待を込め、無償で支給されています」と書かれています。私の父母が働き、納めたものが自分の為に使われていると考えると身近に感じます。税金は「カタチ」を変え、教育を通して良き人材を創り、それが豊かな将来と社会を育てていると実感しました。
 また、私が衝撃を受けたのは、歳出内に約五千億円の経済協力費があることです。ODAが貧困、飢餓に苦しむ国を経済的に支援しています。しかし、増税を控えていることで分かる様、日本も財政危機であることが現状です。だからといって、私はもったいないと考えるのではなく、時間はかかっても、この援助を力とし、発展・自立していずれは、日本との交流を図り、より活発な将来の可能性を信じるべきだと思います。ここでも税が援助へ「カタチ」を変えて将来を支えています。
 今日、超高齢化が進んでいます。医療費や病院等の施設が増えることにより、多くの税金が必要です。自分の大切な父母、祖父母への老後の為の貯金が、税へ「カタチ」を変える。そう考えると、増税は人事ではなく、必要不可欠だと考えが変わります。
 税金は、次々に「カタチ」を変えます。自分や大切な人を守る、身近で豊かな生活へ反映する、世界への援助、将来の日本の向上。税の内側を見ると身近に感じ、考えが積極的なものへと変わります。考えの変換を主張をする理由は、選挙権が与えられた姉が税金の役割を全く知らなかったからです。社会人として日本を担う若者がそれでいいのでしょうか。私は興味の有無に関わらず、税の内側を知る重要性を感じます。だからこそ、「ただの値上げ」と判断し発言や行動をするのではなく、税に感謝し、日本を創ってほしいです。今回の様、考える機会を持つことで、消極的な考えを転換できました。よりよい未来のカタチの為、今後は更に税に触れる機会の増加を望み、私自身も身近な人を始め、発信します。
 今年の四月には、九州地方で大規模な地震が発生しました。税を支援へと「カタチ」を変えて、増税分をより早く復興に充ててほしいし、それを国民も望んでいると思います。

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【題名】命を救う税

【都道府県】大分県

【学校名・学年】大分県立中津南高等学校 一年

【氏名】瀬戸 ひかり

 「医療が発展した時代じゃなかったら、あんた生きてなかったやろうなぁ」
 生きてなかった、と急に母に言われ、私はドキッとしました。何かと思ったら、私が三歳の時に熱性けいれんを起こし、救急車で隣市の病院へ運ばれた話でした。意識がなく、皮膚は青紫色にチアノーゼをおこし、ぐったりとした私を見て、母は助からなかったらどうしようと泣いたそうです。しかし、救急車の中で酸素吸入等の処置をしてもらいながら、迅速に搬送でき、幸い後遺症もなく私の命は救われたということでした。
 日本では、救急車で搬送されるのは税金でまかなわれているため、無料です。でも、ドイツに住んでいる友達の話だと、救急車は必ずしも無料ではなく、後日審査があって、搬送時の症状が軽いとみなされると、数万円の請求がくるそうです。だから、友達は夜中に階段を踏み外して転がり落ち、腕を骨折したのに、救急車を呼んでも大丈夫なのか悩み、何時間か痛みを我慢して、とてもつらかったということでした。驚いて調べてみると、他にもアメリカやカナダ、ロシア、オーストラリア、中国、ニュージーランドなど沢山の国で救急車が有料であると知りました。確かに無料になると、タクシーの代わりに救急車を使う人もいて、問題が出てくるのは分かります。でも私は、高額な金額を請求されるのを心配して判断を誤ると、助かるべき命も助からないのではないかと思いました。母は、私が搬送された時のことを「医療が発展した時代でなかったら」と言っていたけれど、私は他にも、「日本でなければ生きてない可能性があったかも」と考えてしまい、ゾッとしました。
 高校生の私にとって、税金といって思い浮かぶのは消費税くらいで、税金を納めるという感覚はほとんどありません。今まで税金は働いている大人から勝手に取られているというイメージだったけれど、その使い道は私達の生活に欠かせないものであり、公的サービスの中に命を救う大切なものも存在すると、今回気付くことができました。
 現在、少子高齢化により、高齢者に対する働き手の減少が問題になっています。税金を納める人が減れば、今までの当たり前だと思っている生活を維持するのは難しくなるでしょう。そのようなことにならないために、皆が税への理解を深める必要があると思います。
 私も将来、きちんと納税して、社会に支えられる子供から、支える側の大人になりたいです。

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【題名】「投資」としての税金のあり方

【都道府県】沖縄県

【学校名・学年】沖縄県立与勝高等学校 三年

【氏名】大城 彩

 ブラジルでリオデジャネイロ五輪が開催されたことは、二〇一六年を代表する出来事の一つとして数えられるだろう。受験生の私は勉強の為リアルタイムで試合を観ることはできなかった。だが、世間では毎日欠かさず前日の大会結果が報道され、特にメダルを獲得した選手に対しては賞賛し、そこに至るまでの努力について特集を組む報道番組もあった。このように大いに盛り上がりを見せたリオ五輪であるが、それに関連する私が関心を寄せた出来事があった。
 女子マラソンの福士選手はメダルを取れなかったのだが、取材には大会を楽しむ趣旨の受け答えをし、一部の人々から反感を買ったのである。それらの意見の中には、メダルを取れない選手にかかる派遣費などは、税金の無駄遣いだというものもあった。このような意見に対して、私は疑問を覚える。果たして本当に、そうだと断言できるのだろうか。そう考えるのは私だけではなかった。自身も日本代表として五輪出場経験のある為末大さんは、SNSで自身の考えを投稿していた。「税金が使われていない人間などいないわけだから、すべての人が税金に見合うリターンを国家にもたらしているのかという発想になる。」
 まさにそうである。例えば、所得税に累進課税方式を採用することで富裕層や高所得者は確実に国へのリターンを行っている。一方で様々な理由により経済面で生活に困窮している人は、生活保護などによって生活しやすくなっている。後者は国に経済的なリターンをもたらしてはいない。それにも拘わらず、これらに税金を充てているのは、税金が、国民に対して「投資」としての役割を果たすからではないだろうか。つまり、税金には国民が社会に参加し、活躍して欲しいという期待が込められているのではないかと私は考える。各国の代表としてリオに派遣された選手らも、メダル獲得が必要条件ではない。世界の舞台で大健闘し、競技の魅力や夢を国民に与えることが最大のリターンになりうるのだ。メダル獲得は、その為の指標に過ぎないのである。そのことは学生の私たちにも当てはまる。特に公立の学校には、多くの税金が充てられている。それは、私たちが自分の夢を叶えて社会に貢献するのを見込んだ、国や県、親世代からの「投資」なのだ。所得や指標の数字ではなく、夢を実現し、それぞれの分野で活躍することが期待されている。そう考えると、勉学にもいっそう精が出るのだ。
 二〇二〇年には、東京五輪が開催される。それに先立ってこの問題に向き合えたことの意味は大きい。多くの人が「投資」としての税金のあり方について考えられたら、東京五輪にかける税金の議論は有意義なものになり、選手たちも更に活躍するだろう。五輪だけではない。私たちの世代がこれまでより更に輝きを増す為にも、「投資」としての税金のあり方についてあなたも考えてみて欲しい。

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