税の学習コーナー

税の学習コーナー税の作文(中学生・高校生) 平成27年度「税に関する高校生の作文」国税庁長官賞受賞者発表

平成27年度「税に関する高校生の作文」国税庁長官賞受賞者発表

国税庁長官賞

【題名】身近なことから見える税

【都道府県】北海道

【学校名・学年】北海道札幌旭丘高等学校 一年

【氏名】中村 結葉

 以前の私は税について、ただ漠然としたイメージしか持っていなかった。しかし、国税庁や札幌市のホームページを調べたことで、税についての関心が生まれた。納税の義務を負うことは、生活の営みを互いにカバーし合い、豊かな一生を保障し合うということなのだと知った時、小さな出来事が身近で起こった。
 私の祖母は今年で七十歳になった。札幌市から「敬老優待乗車証」を交付され、便利になったと喜んでいる。また、医療費も自己負担三割から二割になったと言っていた。
 その祖母が、先日乗車カードを紛失してしまったらしい。しかし、落胆している祖母のもとに二週間程たった頃、市役所保健福祉局から、落し物として預かっているとの連絡の封書が届いた。カードには番号があり、そこから祖母の所有が判明したとの事である。私は、祖母が喜ぶとばかり思っていた。だが、祖母は、「見つけていただいたのはありがたい。でも、高齢者は色々税金で恩恵を受けているのに、紛失したことによって調査や連絡でさらに余計な税金を使わせてしまい申し訳ない……。」と恐縮していた。
 祖母は日頃から、病院で出される薬についてジェネリックにした方が良いとか、残薬などにとても気を遣っている。生活の中でも、「節約は義務」と言っているくらいだ。
 札幌市の市税額を一人当たりに換算すると十四万四千六百十九円になり、そのゆくえで最も多いのは、社会福祉や児童福祉、生活扶助、医療助成などに使われる保健福祉費四万五千七百九十二円だという。他にも環境、教育、土木などに使われているのだから、祖母が自分のうっかりミスを反省しているのは、大げさなことではないと思った。
 このように身近な税のゆくえの一部分を知るだけでも、納税の義務と税金収入の使い方、一人ひとりの生活への関わり方を意識する大切さが分かった。
 誕生から死を迎えるまでの生活の中で、年齢や環境によって必要とされる税の内容や占める割合は違ってくる。しかし、税金は必要とされる全ての人々に公平に分配されるべきだ。一人ひとりの税に対する意識の差が税の無駄使いに繋がる。だからこそ自分の身近な税のゆくえを知り、理解を深めることが、税の無駄使いを減らす第一歩になるのではないだろうか。

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【題名】あたたかいやりとり

【都道府県】福島県

【学校名・学年】福島県立白河高等学校 一年

【氏名】冨井 治弥

 夏休みも終わりに近付く8月中旬、僕は3枚の原稿用紙を前に、困っていた。宿題として出された税の作文の題材が全く決まらないのだ…というより、興味がなく書きたいことがなかったのだ。税金については学校で何度も学習したし、大切さも十分理解しているはずだったが、いざ作文となると悩んでしまった。どうしようもないのでひとまず散歩してみると、身の回りは税金によるものだらけであることを改めて強く実感した。当たり前なことだが、今までにない視点で見るととても新鮮に思えた。また帰宅すると、母は学校の先生をしており家に入ってくるお金まで税金であることを思い出した。日本国民の生活のどれだけが税金によって成り立っているのかを、もう一度考えてみた。
 舗装道路や警察、教科書、エコカーの補助金、今日借りた図書館の本…この社会は、皆が納める税金によるもので溢れていると言っても過言ではない。このことから、私たちは社会に支えられて生きていることを、初めて身近に感じることができた。税金で多くの人から支えられ、税金で多くの人を支える。「税金」とは、あたたかいやりとりであるのだと感じた。しかし、多くの高校生の税に対する関心は、自分の冒頭の姿のようなものだろう。
 多くの高校生に税に対する関心がないのは仕方がないことかもしれない。大人と比べ、税金と関わる機会は非常に少ない。しかし、「18歳選挙」が可決され、税で人々を支える立場となる私たち「未来を生きる当事者」が、そのような態度でいいのだろうか。
 消費税率引き上げや軽減税率の導入など、連日さまざまな税に関するニュースが報道されている。また、歳入の約4割を公債金収入に頼っているという現実があり、未来を生きる私たちには深刻な問題だ。まず、新聞などでそれらを積極的に調べ、意見を持つことが重要なのではないか。確かに税に関する報道は難しそうな印象のものばかりだが、少しずつ意識して見ていく。このような行動が、よりよい「当事者」、「選択者」になるための一歩なのだと思う。
 税金は「国民主権のもとで定められる」ものなのだと思う。仕方なく払わされるもの、という印象が強いが、国民の同意のもと、社会を支えサービスを受けるために課されているものなのだ。また税金は身の回りのものだけでなく、途上国支援や宇宙開発などにも貢献している。税に対し人々の負のイメージが強いのは、税金で「負う義務」と「受ける恩恵」を別々に考えてしまうからなのだと思う。サービスのための投資だと捉えるべきだ。
 この機会で、変えなければならない人々の税に対する考え方がたくさんあることを知った。税に大きく支えられ、未来を担う私たち高校生から意識を変えていく必要がある。税への正しい知識と考え方で、よりよい社会、更には世界を築くために。

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【題名】小さな幸せ、大きな幸せ

【都道府県】茨城県

【学校名・学年】茨城県立下館第一高等学校 一年

【氏名】阿部 里咲

 ふと目をやると、そこには「あたらしいこくご一上」という教科書があった。今年小学校に入学した弟のものだ。
 「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう。」
 九年間の義務教育を終え、四月に公立高校に入学した私。もちろん、購入した教科書にこの言葉は書かれていない。なんとなく弟の教科書を開いてみた。平仮名ばかりで読みづらい。私にもこんな時代があったんだなと懐かしい気持ちになり、小学校、中学校の九年間を振り返った。進級し、毎年配られる教科書。毎年見る同じ言葉。そのころの私は、何も感じることなく、この言葉の意味を深く考えることなく教科書を使用していた。小学校では租税教室があり、税務署の方がお話をしてくださった。また、中学校三年では社会の授業で税金について詳しく勉強しその大切さを知ることができた。こう考えてみると、今までも税金について学べる機会は意外とあったのだ。小学校の租税教室で聞かれたことを今でも覚えている。「みなさんは、税金必要だと思いますか。」この質問に対し、私は必要ないと思うに手を挙げた記憶がある。お金の計算が面倒だったり、税金の使い道を知らなかったりしたことがその理由だ。この質問のあと、税金を払わないと私たちの暮らしはどうなるのかというビデオを見た。道路には穴が開き、犯罪が多発、また、救急車や消防車も機能しておらず、とても住みやすいとは言えない環境になるということが分かった。それが中学校三年で学習した社会保障制度などに繋がっていたのだ。これらの知識もあの言葉が書かれた教科書で九年間学んできたからだ。
 教科書だけに限らず、黒板、机、校舎、体育館など、学校の全てが私たちのために税金で賄われていたのだ。その裏でも私たちのため一生懸命働く人の姿があり、たくさんの人たちの助けと支えによって、学校に通うことができた。ありがとうという感謝の気持ちでいっぱいだ。
 助け合い、支え合える幸せ、学校に通える幸せ、学ぶことのできる幸せ。たくさんの小さな幸せを積み重ね、将来、なりたい職業に就き、大きな幸せをつかむことのできるよう、今は大人の力を借りながらも、自分にできることを考え行動できるようになりたい。そして、自分が納税する側になったときには、誰かを支える立場になる。未来の日本を担う私たちに期待がかかっているということを自覚し、勉学に励んでいきたい。

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【題名】生きていくために

【都道府県】東京都

【学校名・学年】日本大学第一高等学校 二年

【氏名】澤田 姫

 税は本当に必要なのかと考えたことはありませんか。きっと一度はあるでしょう。私達の住む日本には、納税の義務があります。これによって、日本国民は税を避けては通れないのです。普通税金というと、相次ぐ無駄遣いや増税の報道が大きく取り上げられるため、良いイメージがありません。でも、意外と身近な所で私達の暮らしを支えてくれているのです。私が税について考え始めたのは、これから先治るか分からない病気を発症した中学二年生からです。高校生になってからは、自立支援医療受給者に認定されています。私は、税金のお陰でいつか病気が治るという希望が持てるようになり、病気と闘う覚悟が固まりました。
 昨年十二月、私は薬を飲んでいたにも関わらず、登校途中に突然発作が起こり、意識を失い倒れました。近くにいた女性が、直ぐに私の携帯電話で救急車を呼び、私の自宅にも連絡をしてくれました。父が来た時には、既に救急車は来ていて、応急処置後かかりつけの大学病院に運ばれました。検査の結果、頭蓋骨骨折・頭部外傷で全治三か月でした。倒れた時、頭を地面に強く打っていたのです。この日から三か月位は頻繁に倒れるようになり、今までより服用する薬の種類と量が増え、苦しい副作用との闘いも始まりました。日々募る病気による精神的ストレスにより、声も失いました。そして、就寝中全身を硬直させけいれんを起こすようになり、家族は私を一人にしておけなくなりました。
 私のように病気のある者にとって、どうしても救急車にお世話にならないといけない時もあり、通院も欠かせません。救急車も検査も診察も薬の費用全てに税金が使われています。自立支援医療制度によって、自己負担を軽減してもらえることはとても有難く、これにより、安心して治療に専念出来ていると実感しています。税によって支え守られているこの命、無駄にしないよう、強く生きていきます。いつか病気が治り元気な体になったら、社会に貢献し、恩返しをしていきます。
 このように、税は多くの人の助けとなり、私達は、気付かぬうちに税によって支えられているのです。また、公共施設や公共サービス等を見ても分かるように、税は国民が安心して暮らしていける世の中を作るために使われています。しかし、少子高齢化により、これからますます厳しい時代になるからこそ、消費税の引き上げが必要不可欠になってくるのです。私は、あと数年で社会人になります。その時は、税を仕方なく納めるのではなく、人を助けるため、また、いつか自分も助けられるのだから、納得して快く納めていきます。これから、私達若い世代の者も税について真剣に考え、実際どれだけの金額をどこに使っているのか、使い道を把握し、無駄無く公平に税金が使われているのかを見極めていくべきです。全ては、皆が笑顔で手を取り合い、明るい暮らしが出来る未来を作るために。

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【題名】今こそ目指したい

【都道府県】石川県

【学校名・学年】石川県立金沢泉丘高等学校 一年

【氏名】徳田 駿

 日本の「税」というものは弥生時代に誕生した。奈良時代には租・庸・調・雑徭と整備され、時代の変化に伴って税の形は何度も変化した所を見ると、税は社会を映す鏡とも言える。その税は今は税金としての形をとり、最近ではインターネットを利用した納税方法「e-Tax」も普及した。
 このように時代と共に進化を遂げてきた日本の税であるが、それにはやはり光と影のようなものを僕は感じる。
 僕は基本的には税に対して良いイメージが強い。例えば、特に税の良さを身近に感じる場面には学校が挙げられる。高校に入学してから義務教育ではなくなったが、僕達の学校は文部科学省にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)、スーパーグローバルハイスクール(SGH)として認定されたことによって、国からの様々な援助を受けることができており、通常の授業では体験できない充実した学習ができている。この学習環境を支えているものこそ、税金である。日本国民が協力して生んだお金にありがたく思うのは当然であるし、そのようなお金であるからこそ、僕は真剣に学習するべきと思える。
 また、僕は弟にも税のイメージを尋ねた。彼は「税は皆が一丸となって社会を支えていることを表すから、とても良いものだと思う。」と言った。僕もその通りだと思う。無意識にしろ、僕達はいつも税を納めているし、そのお金は社会で役立っている。もしかしたら僕の払った税金で造られた道路を誰かが便利に思っているかもしれないし、もしかしたら人の命を救ってさえいるかもしれない。そう思うと、僕は日本国民として税を納めていることが誇りに思われる。
 しかし、暗い側面を散らつかせるのも、税の持つ顔である。
 例えば最近話題になったのが、新国立競技場の建設計画のやり直しだ。この白紙化によって五九億円の損失が生まれ、国民の納めた税金が無駄になった事は大変痛々しかったが、同時に納税者が税金の使い道をしっかり知っておく事の大切さを思い知ることにもなった。
 他にも、納税しない人がいるのも事実である。テレビでも言われるように、現在日本は税収入が不足している。その税収入が消防や医療、そして人々の生活や命に関わっている以上、やはり脱税は日本の改善すべき現状だと思う。
 「税は社会で生活するための会費だ。」と言うように、税の収入があってこそ、日本は日本らしく社会を整備でき、国民は安心して生涯をこの豊かな国で過ごすことができる。税収入が不足している今であるからこそ、僕たちはしっかりと税について理解し、すべての人が国民として胸を張って税を納められるような国にしていくべきであると思う。

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【題名】税金について思うこと

【都道府県】岐阜県

【学校名・学年】学校法人富田学園 岐阜東高等学校 一年

【氏名】各務 紗礼

 私が幼い頃、家族で山登りに出かけ、下山の時、三つ上の兄が山から落ちました。兄は頭を強く打ち、意識を失っていました。救急車を呼び、数日間の入院ですんだため、兄は今、元気に生活しています。今、こうして兄が生きていられるのは、多くの救いと、税金のおかげだったと思っています。
 人々の命を救うために使われるドクターヘリや救急車、消防車はすべて税金によって運行されています。つまり、私たちの払った税金が人の命、そして自分の命を救うことができるということです。しかし、救急車をタクシー代わりに呼ぶ人や、イタズラ通報をする人がいます。こういった行為によって、税金が無駄遣いされているのです。また、私たちが通っている学校のもの。私が中学生の頃、遊び感覚で天井に穴を開けたり、窓ガラスを割ったりする人を何人か見てきました。税金によって私たちのために建設された学校を、どうして遊び半分や個人の事情で壊すことができるのでしょうか。スプレーで落書きされた公園の遊具なども、同じことが言えると思います。だから、私たちは税について軽く考えてはいけないと思います。
 税金について、私たちはよく「税金が取られる」と言います。ですが、「税金が取られる」という表現は、あまり良く思いません。なぜなら、私たちの納めた税金が、救急車や消防車を運行させ、人々の命を救う、学校や公園を建て、私たちの学生生活や世の子どものためになっている、つまり、個人のためでなく、社会生活を営むすべての人々に対して使われているからです。自分が納税者であることに責任をもち、そして税金がどのような場で役に立っているのかを自分の目で見ることができれば、「税金を取られる」という考え方から、「税金を納める」という考え方ができるようになるのではないでしょうか。私の兄が救われたように、私たちが「納めた」税金が、私たちの日常生活、そして日本を支えているということを国民一人ひとりが深く理解するべきだと思います。
 私たち学生が就職つまり社会の一員となったら、税金に触れることが今よりも増えると思います。そうなった時、自分がどれだけ税の意味や、税を納める意味を理解できているのでしょうか。私は、税を納めるという義務に責任をもち、社会に貢献するために税を納めることのできる納税者でありたいと思っています。国民一人ひとりが税に関心をもったそして、税に感謝の気持ちをもった納税者であり、その納税者によって納められた税が、よりよい社会を築いていくことを願っています。

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【題名】今こそ、税を考える

【都道府県】滋賀県

【学校名・学年】滋賀県立彦根東高等学校 一年

【氏名】草野 毅彦

 『この社会 あなたの税が生きている』
 これは、私が通う通学路で、日頃から目にしている看板に書いてある文字だ。毎日何気なく見ている私にとっては、税が「生きている」という意味を考えたこともなかった。
 情報社会に生きる今、新聞やテレビ等のメディアを通じ、環境税導入や消費税増税など社会情勢の変化に伴う税の問題があることは知っていても、真剣に考える場面はなかった。
 しかし、そんな税に無関心だった私が、無視できない問題に直面することとなった。
 それは「マイナンバー制度」の導入だ。
 今年十月から、住民票のある全ての国民に一人ずつの個別番号が付与されるのだ。学生である私も例外ではない。突然、社会を担っていく一員であることを突き付けられた気がする。これは、私にとって税について真剣に考える機会となった。
 私は、番号により個人情報が集約されることへの抵抗や、管理の甘さによる情報漏えいなど、様々なリスクに対する不安がある。
 その反面、納税義務を定めている日本では、国民一人一人が自ら正しく申告、納税することは重要なことで、不正に税金を免れる行為や、不当な給付申請行為等は許すべきではないという一面がある。正直者が馬鹿を見る世の中では、日本の納税制度は成り立たない。
 税について鮮明に記憶している言葉がある。
 それは、「自分が正しく申告と納税をすることで社会に参加し、微力ながら貢献できていることが私の誇りである」という言葉だ。
 これは、私が小学生の頃に受けた「租税教室」で、地元の介護事業を営む企業の方がおっしゃったひと言である。
 その教室では、税が社会保障の分野において患者の医療費負担を軽減するほか、介護事業者に助成金を交付することで、介護の必要な高齢者やその家族を間接的にサポートしていることなどを学んだ。その時の言葉が私の心に今も残っている。こんな風に社会全体を考えられる大人になりたいと強く感じたのだ。
 国民が社会参加への会費を負担し、行政の助けを真に必要としている人へ支援ができる優しい世の中であってほしいと思う。
 だから、マイナンバー制度のデメリットについて批判するだけではなく、その問題点への対処方法を国民全員で考え、議論し、より良い仕組みを作り上げていくことが最も重要なことだと思う。
 『この社会 あなたの税が生きている』、今こそ、この言葉を胸に、国民一人一人が税に向き合って真剣に考えていく時期が来たのではないだろうか。
 私も近い将来、社会人となる。「税が生きている」と実感し、社会の一員として納税の義務を果たせる大人になれるよう、社会に関心を持って勉学に励み成長していきたい。

 

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【題名】箱根駅伝と税

【都道府県】岡山県

【学校名・学年】岡山県立岡山朝日高等学校 一年

【氏名】福田 凌太郎

 私には好きなものが二つある。一つは箱根駅伝だ。仲間と力を合わせて走る姿が好きで毎年、初詣や年賀状そっちのけでテレビを見る。もう一つは現代社会の授業だ。元々社会が得意なこともあり先生も面白く強く惹かれた。しかし一つだけ分からない言葉があった。それが、「累進課税制度」だ。主に所得税や相続税で導入されており収入の高い人ほど税率も高くなるというものだ。内容は理解できる。問題はなぜそんなものが必要かだ。
 日本は今、資本主義の国だ。財産の私有が認められ、経済活動の自由もある。つまり、頑張った人はたくさんお金がもらえてそうでない人はあまりもらえない国ということだ。この考え方は日本の戦後の急速な経済発展をもたらしたといえる。しかし累進課税制度はこの資本主義の考え方に明らかに逆行する。頑張った人はお金を取られそうでない人はあまり取られない。不思議で仕方がなかった。
 そんなとき私は祖父のお見舞いに行った。現在、祖父は心臓の病気で入退院を繰り返している。私の疑問を祖父に話した。すると祖父は優しく笑いながら「累進課税制度は優しさから生まれた制度なんだよ」と言った。そこで私は気がついた。税金は政府の運営資金ではなく国民全員の生活をより良くする手段だということに。
 豊かな人のお金を少しもらう。そのお金は恵まれない人に社会保障という形で分配されていく。そして社会全体が幸福に満ちたものになっていく。人々の優しさが駅伝のようにつながっていく。お金を単なる数字としてしか見てこなかった自分を恥じた。
 思えば、私の生活も税金によって支えられている。例えば小学校と中学校の教科書。裏表紙には「この教科書は、これからの未来を担う皆さんへの期待をこめ、税金によって無償で支給されています」の文字。意識していなかっただけでいつの間にか「たすき」は手渡されていた。たった一冊の教科書には会ったこともない人の期待がたくさん込められている。義務教育は終わった。これからは今までもらったたくさんの期待を力に変えて未来に向かって一歩ずつ走り出していきたい。

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【題名】教育を支える納税者の誇り

【都道府県】徳島県

【学校名・学年】徳島県立池田高等学校 一年

【氏名】井川 樹

 「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、そして一本のペン、それで世界を変えられます。教育こそがただ一つの解決策です。エデュケーション・ファースト。」
 偶然に見たインターネットの動画で、私は衝撃を受けた。ノーベル平和賞を受賞した、パキスタン人マララ・ユスフザイさんの演説である。幼さの残る彼女が謙虚な姿勢で全ての人に感謝の言葉を述べることで始まった演説は次第に厳しく残酷な現状を語り出す。そして力強く堂々と教育の必要性を訴えたのだ。
 イスラムの国々が政情不安であることは知っていた。イスラム教徒の一部に男尊女卑の概念があることも知っていた。けれどその中にこのように教育を求めている人たちがいることを、私は考えたこともなかった。私たち日本人にとって教育を受けることは全ての人々に与えられた権利である。それが当たり前だと思っていた自分を反省するとともに、私たちの国は教育に対してどれくらいの支援をしているのか興味を抱いた。
 国の歳入総額の約五・七パーセントである、五兆四千四百二十一億円が教育や科学技術の発展に使われている。その内訳は教科書の無償支給などに二兆三千九百億円、小中学校の義務教育に一兆五千三百億円、科学技術の振興に一兆三千三百億円である。全ての子どもたちがよりよい教育を受けられるように、公立学校の高校生一人につき一年間に百万円もの税金が使われている計算になる。なんという恵まれた環境なのだろうか。私はこの現実を知り、税金が将来に生きるような学校生活を送って行かなければならないと感じた。
 しかし、この恵まれた我が国の財政も大きな課題に直面している。世界に例を見ないほど急速に「高齢化」が進行し、同時に出生率の低下による「少子化」も進行しているのだ。二十一世紀半ばには二・五人に一人が六十五歳以上の高齢者という「超高齢社会」が到来するそうだ。そうなると社会保障制度にかかる費用が増加するが、そうした費用を納税する働き手が少なくなり、このままでは将来の世代に大きな負担がかかることになるのだ。
 その未来を回避するために様々な税制改革が行われている。一番分かりやすい改革としては、私たちの生活に直接関係している消費税が平成二十九年四月一日からは現在の八パーセントから十パーセントになる。前回の税率引き上げの時も反対意見や悲観的な意見を多く聞いた覚えがある。しかし、現在我が国の財政が抱える問題を自分や自分の子どもたちのことだと真剣に考えてほしい。今の私たちのような恵まれた環境でこれからの未来の子どもたちも教育を受ける権利がある。それを守るのは私たちである。
 私は、マララさんの「教育こそが世界を変えられる」という強い信念を共有し、自分も含めたすべての人の幸せな未来を支えるために一生懸命働き、税金を納めたいと思う。一人の納税者としての責任と誇りを持って。

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【題名】高校生と税金

【都道府県】福岡県

【学校名・学年】福岡県立京都高等学校 一年

【氏名】阿部 祐也

 毎年夏休みのこの時期になると「税」の作文に頭を悩ませる。毎年毎年の事。さすがにもうネタ切れか、と思った。が、待てよ。あった。今年だからこそ書ける話題が。
 私の通う高校は、今年、文部科学省より、「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定された。それにより私達は、海外研修の機会を与えてもらったり、大学の先生方の講義を受講させてもらったり等々、とても恵まれた環境のもとで学ばせてもらえる事になった。この指定校には、国からの補助金が出る。そう、税金だ。それでなくても、就学支援金という制度により、税金で、私達の授業料は実質無償になっている。今まで深く考えた事はなかったけれど、私達は、税金を使わせてもらって学んでいる事に気付いた。日本の現在の財政状況は決してよくない。その中にあって、私達の将来に税金は投入されている。それは、どれほどありがたい事なのだろう。その税金を無駄にしてしまうかどうかは、私達次第だ。使わせてもらった税金分、私達はそれに応えなければならない。山のような宿題や、難しい授業も、させられているのではなく、させてもらっていると意識を変え、将来、この高校に税金を投入して正解だったと思ってもらえるように一生懸命に学ばないといけないと思った。税金のおかげで学べた事を生かし、今度は私達が大人になった時、社会に貢献しながら納税をしていく。これこそ、税の意義ではないかと思う。
 そしてもう一つ。税に深く関わるはずであるこの話題。選挙権年齢十八歳に引き下げ、という改正法成立だ。私達高校生も、有権者になるという事だ。税に関する法律や、税の使い道である予算は、国民の代表である議員が決めている。そしてその議員は、有権者が選挙によって選んでいる。という事は、私達が税に関する事を決めているといってもいいのかもしれない。私はまだ十五歳の高校一年生だが、あっという間に十八歳になる。その時の高校生の一票。適当な一票にするのか、大切な一票にするのか。きちんと理解して一票を投じる事ができる様に、今から税の事に関心を持ち、私達高校も学んでいかないといけないと思う。だからなのだろう。数年後には「公共」という科目が、高校必修科目になるらしい。
 毎年毎年頭を悩ませる税の作文は、税について考えるいいきっかけになる。きっとこの作文がなければ普段はあまり読まない新聞に目を通す事もないだろうし、ちょっと調べてみよう、なんて関心を持つ事もないだろう。最初に書いたネタ切れなんて事は絶対にない。「公共」と名のつくものは、全て税金だ。年に一度ではなく常に関心を持っていなければならない。なぜなら、私達が選挙権を持つのも、納税者になるのも、もう目前なのだから。

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【題名】税金の使途を考える

【都道府県】鹿児島県

【学校名・学年】学校法人希望が丘学園 鳳凰高等学校 三年

【氏名】六田 愛梨

 先日、父の友人が旅の途中で我が家に立寄った。私は彼の白い杖を見て盲目であると悟り、一人で旅している事に驚きを隠せなかった。数日間生活を伴にするうちに、好奇心が現実へと変化し、障害者が社会で生きるために何が必要なのかを目の当たりにした。所持品の殆どが音声や振動を発し、旅のガイドは点字仕様だった。財布に小銭が別々に入るポケットが五つも付いていたし、青信号を延長できるセンサーも持っていた。そして何よりも、光のない世界で生きているのに全国各地を旅することが生き甲斐だと話す顔が、自信に満ち溢れ輝いていたことに感銘を受けた。
 話を聞いていくうちに、これら全ての物品が、国民の納める税金で賄われていることを知り、この時初めて税金が有効利用されている実態を理解した。すなわち、彼との出逢いが、私の税金に対する考え方を変えたと言っても過言ではない。
 彼は目の障害に加え、大腸癌で直腸を切除し、ストーマを使用するオストメイトであるが、彼の暮らす埼玉県は、排泄物の処理から装具の交換洗浄までできる障害者用トイレが公共施設内に年々増設されて、外出時の心配が軽減したことが嬉しいと話してくれた。
 私は、福祉サービスの充実が障害者の自立支援に大きく貢献していることを知り、その基盤となって支えているのが税金であることを理解したうえで、必要性を実感した時、消費税が8%に増税された事に腹を立てていた自分を顧みて、情けなさがこみ上げてきた。
 点字ブロック、いや歩道すら確保されていない道、音の出ない信号、彼は今一人では一歩も外へは出られないので、一緒に外出することになり、道案内しながら歩いてみた。見える事が当たり前の自分が、見えない人に寄り添ってみてはじめて、バリアフリーの充実がいかに大切であるかを思い知らされた。
 私はまだ高校生だが、自分なりに税金の使われ方について調査したところ、国の歳出のうち、使用頻度が一番高いのが「社会保障関係費」だった。これは、医療や年金、福祉や介護サービスに使われている事を意味する。
 もし税金がなかった場合、教科書や図書館の本が有料になってしまう。救急車や交番も有料になり、医療費も全額負担になるのだ。障害を持つ人達の福祉の充実はもちろんのこと、私自身も三割負担で診療が受けられるのは税金のおかげなのだから、生活していくうえで納税が不可欠であることを、自覚しなければならないと考える。
 また彼は読書好きで毎日本を読むのだが、点訳本を提供してもらえる事に、常に感謝の気持ちを忘れないと言う。五体満足で何不自由なく生きている自分が、今言えることは、税金は、人に生きる希望を与えてくれる貴重なものであるという意識を一人一人が持つべきだということだ。日本全国にバリアフリー化が浸透し、彼の将来が幸多きことを願いつつ、税の知識を更に深めたいと思っている。

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【題名】納税は共生の意思表示

【都道府県】沖縄県

【学校名・学年】沖縄県立八重山高等学校 三年

【氏名】島田 美渚

 2013年9月、私は日一人リスボン空港に降り立った。旅費は税金から出してもらった。沖縄県が主催する高校生のための交換留学プログラムで、私はポルトガルに派遣された。私の家は裕福なほうではないから、一年間の海外留学が実現したのは税金の制度があって、それを私のために使ってくれたからである。
 時折父は、稼いでも税金で持って行かれてしまう、とつぶやいている。留学中のホームステイ先で、ホストマザーも同じようなことを言っていた。ある日、ファミリーとの会話で収入や税率の話になり、日本はどうなのかと聞かれた。当時の消費税率が五%なのは当然知っていたが、それ以外は全く知らなかった。調べてみると、ポルトガルと日本の国民負担率は、それぞれ51.0%、43.4%である。ちなみに日本の負担率は右肩上がりに上がっているようだ。大人になって自分で稼ぐようになった時、父やホストマザーのように税金に頭を悩ませ、租の負担を嘆くことになるのかと私は不安になった。
 では、なぜ不安になるのか。嘆くのはその見返りを知らないからではないだろうか。人は一人では生きてはいけないから納税するのだと思う。私はポルトガルでの生活の中で、自分がたくさんの人に支えられて生活していると実感した。税とは、共に繁栄するための資本である。つまり、納税によって私たちは社会の中でお互いを助け合っていく意思を示しているのだ。自分が一生懸命働いて得た収入の半分近くを渡すのだから、その使い道が見えなければ不安になるのはもっともだ。しかし、払ったお金の行先は私たちのすぐそばである。例えば私が先月無料で受けた日本脳炎の予防接種、整備された通学路、夏休みに参加した国立天文台の研究体験、世界へ羽ばたくための航空チケット。決して利己的な悪者の懐であってはならない。大切なのは、納税者が支払う理由をきちんと認識することと、その恩恵を自分も受けていると身近に感じられることだろう。
 税について考えるとき、中学の頃に読んだ「トッカン」という本を思い出す。これからの社会がうまく回るためには、財政が火の車にならないように滞納に対する厳しさと、人間らしい理性に基づく弱者への優しさの両方が必要なのだと思う。近い将来、私が働き始めたときにはしっかりと納税の義務を果たしたい。なぜなら、その見返りを私は受けてきているし、私一人では生きていけないからだ。納税は、日本で、そして世界の中で私たちは共に生きるという意思を示すものである。

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