税の学習コーナー

税の学習コーナー税の作文(中学生・高校生) 平成28年度 中学生の「税についての作文」各大臣賞・国税庁長官賞受賞者発表

平成28年度 中学生の「税についての作文」各大臣賞・国税庁長官賞受賞者発表

内閣総理大臣賞

【題名】地球を救うために

【学校名・学年】大阪教育大学附属天王寺中学校3年

【氏名】松尾 一輝

 今から三年前、日本を襲った台風十八号。特別警報が初めて発表され、マスコミにも大きく取り上げられた一方で、六人の方が亡くなられるなど多くの被害に見舞われた。当時私の曽祖母は、京都府綾部市にある古屋集落に暮らしていた。鳴り響く轟音と、流れ込む大量の土砂や倒木。押し寄せる台風は、過疎化の進んだ小さな集落を飲み込み、曽祖母の家を容赦なく襲った。後の復旧作業で家は元に戻ったものの、曽祖母は都会への避難を余儀なくされた。
 ここ数年、大規模な台風や集中豪雨による被害が後を絶たない。地球温暖化やヒートアイランド現象が原因ともいわれている。そんな中、大阪府と京都府が「森林環境税」を四月から導入しているということを耳にした。府民税に加算されるこの税は、土石流発生時の倒木・流木対策にあてられるという。さらに、根本的な森林の荒廃を防ぎ、次世代に健全な森林を残すため、基盤づくりや人材育成にも使われる。それはまさに、古屋集落が経験したような大規模な土砂災害から、人々の暮らしを守る仕組みづくりといえるだろう。
 税金というと、社会保障や公共サービスに使われているイメージが強く、森林や環境のための税という考えには、驚きすら感じた。しかし、世界全体でみると地球環境を支える税は決して珍しくないという。例えば、フィンランドやオランダをはじめとするヨーロッパ諸国では、二酸化炭素などの排出量に応じて、家庭や企業から徴収する「炭素税」が一般的になっている。また、アイルランドではレジ袋の使用量を削減するために、「レジ袋税」が導入されている。日本でも、「森林環境税」は多くの都道府県で取り入れられており、環境保護を意識した税の仕組みづくりが進みつつあると感じた。
 世界各地で頻発する環境破壊と、危機感を増す地球温暖化。その影響や被害は極めて深刻であり、もはや見過ごすことはできない。こうした問題と向き合い、対策していくための手段の一つに税金があるのではないだろうか。一人の力で地球の未来を変えることはできない。だからこそ一人一人が、地球に生きる人間として「税金」という会費を納め、皆で地球を救う取り組みが求められているのではないだろうか。
 地球環境を支える税は、今すぐその成果が実感できるものではない。しかし、私たちが大人になった時、あるいはさらにその先の世代まで、人々の安心な暮らしと豊かな自然環境を守る財源となるだろう。地球の未来を支える上で、税金が大切な役割を担っているのだと心に留めておくことが、今の私にできる小さな一歩なのかもしれない。やがて大人になった時、税金を通して私たちの未来に貢献したいと思う。地球に生きる一人の住民として、胸を張ってその役割を果たしたいと思う。

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総務大臣賞

【題名】無料だから

【学校名・学年】一宮市立中部中学校3年

【氏名】石川 詩菜

 「無料だから、ちょっと行ってくる。」「無料だから、行ってきた方がいいよね。」「無料だから、多めにもらってきたよ。」「あと半年だけ無料だから、今のうちに、治せるところは治しておかないとね。」
 中学三年生になった今、このような会話をよく耳にするようになった。これは、病院を受診する際の会話である。「無料だから」というのは、「子ども医療費助成制度」を利用して、病院で受診した場合のことを言っているのである。
 私の住んでいる市では、子育て支援の一環として子ども医療費助成制度がある。これはこの市に居住する健康保険加入者で義務教育終了までの子ならば、入院・通院ともに保険診療分の自己負担額を全額助成してくれる制度である。皆が平等に、お金のことを気にすることなく、安心して病院で受診できるこの制度は、とても助かる。どうして、無料で受診できるのかというと、この制度が税金によって支えられているからである。しかしこの制度は、平成二十八年四月受診分から適応されるようになったもので、以前は、自己負担額の三分の二を助成してくれるものであり、中学二年生までは、通院だと自己負担があった。無料になったから、冒頭のような会話が増えたのだろうか。
 無料だから、受診が必要とはいえない軽い症状でも、とりあえず病院に行ってはいないだろうか。無料だから、必要以上の薬を処方してもらっていないだろうか。無料だから、今ではなくてもよい治療をしてはいないだろうか。税負担が心配になった。調べてみると、実際に、医療費の自己負担が減った場合、医療機関にかかる人が、増えていた。これでは税による恩恵を、税のさらなる負担へと導いてしまう。
 先日、部活動で捻挫をしてしまった。診察のうえ、レントゲンも撮ってもらい、サポーターの指導も受け、薬も処方してもらった。すべてが無料だったが、気になったため、医療費明細書で、実際にかかった金額を母に説明してもらった。中学生の私でも、税金を使っている実感がわいた。
 「無料」それは、決して0円なのではない。私たちのために、築き上げられた、多額の税金の支えによるものなのだ。そして今年は、さらに多くの税金を、子ども医療にあてていただいたのだ。そのことを利用する私たちも、しっかりと心にとめておくべきだと感じている。
 私たち中学生はさまざまな場面で、このような税金の支えによる「無料」に遭遇している。その時は、「無料だから」こそ、税金のありがたさを実感し、正しく、大切に使い、決して無駄使いのないようにしたい。

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財務大臣賞

【題名】自ら納めたくなる税って何だろう

【学校名・学年】遠野市立遠野中学校3年

【氏名】佐々木 英鈴

 両親の国、日本とブラジルの二か国で育ったためか、私の中には常に二つの伝統文化や風習、価値観が存在する。時としてこの両面が良くも悪くも作用し、私を悩ませることが多いのだが、偶然にも共通するものがあると、私の興味関心は一気に高まる。
 中学生にとって夏の風物詩とも言える税の作文。高校生の兄が中学生の時から夏になるとこの作文をきっかけに税の話題になる。この夏も家族で税について話しているとき、ある共通点に気がついた。それは日本もブラジルも自ら進んで納税しようとする人が少ないのではないかという疑問である。
 今年の夏は、リオオリンピックがマスコミに取り上げられることが多かった。四年に一度のスポーツの祭典で世界中が盛り上がる。その一方で、ブラジルで起こった暴動や不安定な社会情勢が招く、事件も報道されたその時、母は私にこう教えてくれた。「実はブラジル国民の中にはオリンピック開催を望んでいない人が多いんだよ」と。この事実に私は愕然とした。ブラジル国民は、自分達が納めた税金を社会問題の解決に使わずにオリンピックという一大イベントに費やしていたことに怒っていたのだ。この話題の後、父は「どこの国の人も税金を快く納める人は少ないよな」と言った。私はとても違和感を覚えた。確かにこれまでも「税金を納めなければならない」という言葉はよく耳にしたが、この時まで深く考えることはなかった。「税金を納めなければならない」をどうすれば「税金を納めよう」に換えることができるだろうか。私は、自分の意見を持ちたいと思った。
 限られた期間ではあったが夏休みに私は税について理解を深め、三つの考えを持った。一つ目は、税は「どのようにして平等かつ公平に使うのか」ということが大切であるということである。平等でなければ、納める人は納税を受け入れることができず、自ら進んで快く納税することができないのではないだろうか。二つ目は税の仕組みを単純なものにするということである。複雑な仕組みの税をできる限り分かりやすいものにすることによって、税が私たち国民の生活をいかに支えているのかということが分かる。そして三つ目は税の使途が透明であり、多くの人に支持されるものでなければならないということである。自分たちの生活のこの部分に、この税が使われているということが見えれば、もっと生活をよくしたいと考える人は進んで納税するのではないだろうか。少しでも税を納める側の立場になって税の仕組みづくりができれば税を取り巻く環境も変わるのではないだろうか。
 将来にわたって日本を良くするための方法の一つは、優れた税制度を構築することである。国民が支持する税制度を築くことができれば、「税金を納めなければならない」から進んで「税金を納めよう」という声をよく耳にする社会になるのではないだろうか。

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文部科学大臣賞

【題名】税金が支える日本の科学

【学校名・学年】土浦市立土浦第四中学校2年

【氏名】飯島 知之

 ニホニウム。原子番号一一三番。九州大学の森田浩介先生を中心とした理化学研究所のチームが発見した新しい元素である。間もなく世界中の教科書の周期表にこの元素名が載ることになるそうだ。私はこのニュースを聞いてすぐに理科の教科書を開いてみた。確かに周期表の一一三番は空いている。そしてそこに「日本」を連想させるニホニウム元素が載るのである。なんてすばらしいのだろう。ニホニウム発見は日本中の人々の誇りとなるに違いないと思った。しかし、なぜ名称が発見者やチーム名ではなくニホニウムになったのだろうか。素朴な疑問を感じこの新元素に関する記事を調べてみた。森田先生は、研究が国民の税金で支えられていることへの感謝の意を示したかったと述べられているのだ。研究が税金で支えられているという事実に私は新鮮な驚きを感じた。研究には様々な分野があり、多くの研究課題が存在しているのだろうと思う。その中で特に国に認められ税金が投入された研究には、研究に対する責任と使命が加わるのではないだろうか。そしてその研究は、研究者にとって誇りと励みとなり、質の高い研究結果を生み出すことに繋がるだろうと思う。また、税金を納めている国民には、研究の恩恵を受けることで、より良い生活と福祉がもたらされるだろうと思う。研究にはお金がかかるものもあるだろう。特に今回の新元素開発のためには、全長約七〇メートルの巨大な加速器が必要であり、理化学研究所の施設が無かったら新元素は誕生しなかった。税金が無かったらニホニウムは生まれなかったと言えると思う。何よりも税金は、様々な仕事に携わる納税者から集めた貴いお金だから、税金が支える研究というのは、たとえ納税者が研究者ではなくても間接的にその研究を応援していることになる。私は不思議な温かさをそこに感じた。科学の発展を納税者みんなで支えるという現行の税金制度の理念は、本当にすばらしいと思った。
 私はこの夏休みに肺炎を患った。肺炎と診断できたのはレントゲンの発見したX線のおかげであり、すぐに回復できたのは薬学の研究者が開発してくれた抗生剤のおかげであり、肺炎の原因がマイコプラズマという微生物だと判明したのは生物学の研究のおかげである。私の病気の回復という小さな出来事にも科学の発展、研究の貴さが含まれている。このような医学上の発見や研究は、日本人に限らず世界中の研究者の努力も内在しており、科学の発展は国境を越えて平和と福祉をもたらしてくれる。だから科学の発展を支える税金は、グローバルに役立っていると言えるだろう。
 私は、ニホニウム発見に勇気をもらった。税金で賄われ無償で支給された教科書を大切に使って勉強を続け、将来周りの人々を幸せにするような職業に就きたいと思う。そして、これまで受けてきた科学発展と税金の恩恵に恩返しできるような納税者になりたいと思う。

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