平成26年3月31日に公布された所得税法等の一部を改正する法律(平成26年法律第10号。以下「改正法」といいます。)により法人の交際費等の損金不算入制度に関する規定(措法61の4)が改正され、平成26年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされました。
このFAQは、その改正内容等を周知するため、これまで寄せられた主な質問に対する回答を取りまとめたものです。
(注)
[Q1] 平成26年度税制改正により、法人が支出する交際費等の額のうち接待飲食費の額の50%相当額は損金の額に算入することとなったと聞きましたが、改正の内容はどのようなものですか。
[Q2] どのような費用が飲食費に該当しますか。
[Q6] 接待飲食費については、所定の事項を帳簿書類に記載することとされていますが、具体的にはどのような事項を記載することとなりますか。
[Q8] 中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と交際費等の額の年800万円(定額控除限度額)までの損金算入を選択適用できると聞きましたが、具体的にはどのように手続きをすればよいですか。
[Q10] 接待飲食費に係る控除対象外消費税に相当する金額は、接待飲食費に該当することとしてその50%相当額を損金算入できますか。
[A]
改正前における交際費等の損金不算入制度は、次のとおりとされていました(旧措法61の4)。
(注)「中小法人」とは、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人をいい、普通法人のうち事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人などの一定の法人による完全支配関係がある子法人等を除きます。以下同じです。
平成26年度税制改正では、この交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を平成28年3月31日まで2年延長するとともに、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。以下「飲食費」といいます。)であって、帳簿書類に飲食費であることについて所定の事項が記載されているもの(以下「接待飲食費」といいます。)の額の50%に相当する金額は損金の額に算入することとされました(措法61の4、措規21の18の4)。
(注)
なお、中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と、従前どおりの定額控除限度額までの損金算入のいずれかを選択適用することができ、定額控除限度額までの損金算入を適用する場合には、確定申告書、中間申告書、修正申告書又は更正請求書(以下「申告書等」といいます。)に定額控除限度額の計算を記載した別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)を添付することとされています(措法61の4)。
これらの改正は、法人の平成26年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます(改正法附則77)。
[A]
飲食費について法令上は、「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)」と規定されています(措法61の4)。このため、次のような費用については、社内飲食費に該当するものを除き、飲食費に該当します。
(注)接待飲食費は、「交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)であって、帳簿書類により飲食費であることが明らかにされているもの」とされており、ここでいう「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」は、改正前の飲食費の定義である「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」と同一の用語であることから、その範囲は変わりません。
[A]
次に掲げる費用は飲食費に該当しません。
[A]
社内飲食費の支出の対象者について法令では、「専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する」と規定されていますので(措法61の4)、自社(当該法人)の役員、従業員(これらの者の親族を含みます。)に該当しない者に対する接待等のために支出する飲食費等であれば、社内飲食費には該当しません。したがって、例えば次のような費用は社内飲食費に該当しないこととなります。
[A]
出向者については、一般に、出向先法人及び出向元法人の双方において雇用関係が存在しますので、その者が出向先法人の役員等の立場で飲食等の場に出席したか、出向元法人の役員等の立場で飲食等の場に出席したかにより判断することになります。
具体的には、例えば、出向者が出向先である親会社の役員等を接待する会合に親会社の役員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、社内飲食費には該当しないこととなります。
他方、出向者が自社の懇親会の席に、あくまで自社の役員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、社内飲食費に該当することとなります。
[A]
接待飲食費については、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)で、かつ、法人税法上で整理・保存が義務付けられている帳簿書類(総勘定元帳や飲食店等から受け取った領収書、請求書等が該当します。)に、飲食費であることを明らかにするために次の事項を記載する必要があります(措法61の4、措規21の18の4、法規59、62、67)。
(注)
[A]
帳簿書類への記載事項として「飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係」があります。
これは、社内飲食費でないことを明らかにするためのものであり、原則として、飲食等を行った相手方である社外の得意先等に関する事項を「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)、卸売先」というようにして相手方の氏名や名称の全てを記載する必要があります。
ただし、相手方の氏名について、その一部が不明の場合や多数参加したような場合には、その参加者が真正である限りにおいて、「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)部長他10名、卸売先」という記載であっても差し支えありません(氏名の一部又は全部が相当の理由があることにより明らかでないときには、記載を省略して差し支えありません。)。
[A]
お尋ねのように、中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と、定額控除限度額までの損金算入のいずれかを、事業年度ごとに選択できることとされています(措法61の4)。
具体的には、申告書等に添付する別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)において、いずれかの方法により損金算入額を計算し、申告等の手続きを行うことになります(措法61の4)。
[A]
法人が、接待飲食費とすべき金額の一部又は全部につき50%相当額の損金算入をしていなかった場合には、更正の請求の要件である「課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」に該当しますので、これを損金算入することを内容とする更正の請求書を提出することができます(措法61の4、通法23一)。
[A]
税抜経理方式を適用している場合における交際費等に係る控除対象外消費税の額のうち飲食費に係る金額は、租税特別措置法第61条の4第4項に規定する飲食費の額に含まれることになります(平元.3.1個別通達12(注)3)。
また、当該金額について接待飲食費として50%損金算入の適用を受けるためには、法人の帳簿書類に租税特別措置法施行規則第21条の18の4に掲げる事項を記載する必要がありますが、例えば、法人が合理的な方法により飲食費に係る控除対象外消費税を算出した場合のその計算書類は、同条第5号の「その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項」を記載した書類に該当します。