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国際倒産における外国租税債権徴収の法的な課題について
−外資系企業の撤退と内国租税債権徴収に関する検討を通じて−

 
野一色 直人

国税庁
徴収部徴収課


はじめに

 経済の国際化、規制緩和が叫ばれている今日、金融業、流通業、小売業、建設業といった多種多様な分野において、外資系企業(1)の日本への進出が様々 な形態により行われる。
当然、進出と裏腹に本国における破産等の法的手続きにより、日本から撤退する外資系企業もある(2)。撤退する外資系企業が日本において課税され、滞納した場合、日本の租税債権徴収が問題となる。撤退する外資系企業の本国において、破産等の手続きが行われるような場合、いわゆる、国際倒産における外国租税債権の扱い等について、日本において、まだ十分な研究がされてきたわけではない(3)。外国租税債権がどのように国際倒産において扱われるかを検討することは、経済の国際化が叫ばれて久しい今日、租税徴収が国家の歳入に直接、結びつくことからも必要であると考えられる。
本稿において、1日本における外資系企業の進出形態を分類し、徴収の前段階である課税に関して、各進出形態にどのように課税されるかについて主として法人税に関して言及していく。次に、2各進出形態の倒産形態とそれぞれの場合における徴収上の問題について3外国倒産手続きへの外国租税債権の参加の可否4外国租税債権の倒産手続きでの各国の扱いと方向の流れ
そして5まとめとして日米にわたる国際倒産における外国租税債権の扱いに関する私案の提示という順序で検討していきたい。

〔注〕

(1) 本稿において、日本以外に本店、本拠地等の主要な拠点等がある企業を意味し、主として米国に本拠地がある法人を検討していきたい。
最近の進出事例の紹介として、例えば、「なだれ込む金融外資」日経ビジネス4−20P22(1998)、「英イノベックス 世界で医薬営業マン派遣薬価下げ「好機」と日本上陸」日経ビジネス5−4P53(1998)、建設業の共同体企業体(ジョイントベンチャー)に関して、「都が韓国JVに盲学校工事発注22億円、地方自治体では初」日経新聞夕刊1998年11月21日がある。本文に戻る

(2) 本稿において、主として米国の破産手続き(chapter7)が開始された場合を検討 していきたい。
最近の外資系企業の撤退事例(本国における破産等に限らず)の紹介として、例えば、「空洞化する日本の新薬開発、外資も撤退へ」日経ビジネス7-20P10(1998)、「香港スーパー日本で通用せず撤退、安さ追求の3つの誤算」日経ビジネス3−2P6(1998)、「韓国の証券会社日本撤退相次ぐ」日経新聞朝刊1998年7月19日、「バンクボストン 日本から撤退」日経新聞夕刊1998年10月15日があり、休眠、外資比率の低下、解散、閉鎖等、最近の主な外資系企業のリストに関しては、週刊東洋経済臨時増刊 外資系企業総覧P124(1998)に掲載。本文に戻る

(3) 例えば、以下の文献において、国際倒産と外国租税債権に関する問題が示されている(Philip St J Smart,Cross−Border Insolvency,126(1991) アンソニー・ウェブスター(吉垣実訳)「英国国際私法における国際倒産」東海法学16P315(1996) 石黒一憲「国際倒産と租税」ジュリスト981P78(1991) 木川裕一郎「ドイツ倒産法研究序説」P31 211(1999) 高木新二郎 山崎潮 伊藤眞編「倒産法実務事典」P1322 片山英二 神部健一「租税債権と国際倒産」(1999))。本文に戻る

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