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平成29年6月
名古屋国税局

平成28年度 査察の概要

査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。

昨今の経済取引の広域化、国際化及びICT化により、脱税の手段・方法が複雑・巧妙化している中で、査察は、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者の告発に努めています。

1 査察調査の概要

【平成28年度の取組】

平成28年度においては、再生可能エネルギー固定価格買取制度の導入により急速に市場が拡大してきた太陽光発電事業者や高齢化社会の到来を背景に身寄りの無い高齢者の生活支援や緊急時対応を行う業者など、近年の経済社会情勢に即した事案を告発するなど積極的に取り組みました。

【平成28年度の査察事績】

  •  着手・処理・告発件数、告発率
     平成28年度において査察調査に着手した件数は、21件でした。
     平成28年度以前に調査着手した査察事案について、平成28年度中に処理(検察庁への告発の可否を判断)した件数は22件、そのうち検察庁に告発した件数は14件であり、告発率は63.6%でした。
  •  脱税額
     平成28年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額で16億円、そのうち告発分は12億円でした。
     告発した事案1件当たりの脱税額は8,800万円でした。
  •  業種
     平成28年度に告発した査察事案で多かった業種は、「建設業」が3件でした。

【査察事件の一審判決の状況】

平成28年度中に一審判決が言い渡された件数は12件であり、全てに有罪判決が出されました。

2 社会的波及効果の高い事案等への取組

平成28年度においては、近年の経済情勢に即した社会的波及効果の高い事案に積極的に取り組みました。

(1) 太陽光発電関連事案

再生可能エネルギー固定価格買取制度の導入により、太陽光発電事業の市場が急速に拡大しており、それに伴う取引に係る脱税も増加しています。

【平成28年度告発事例】

A社は、太陽光発電に関するコンサルタントを行う会社ですが、実質経営者が国内外に設立した会社に対して架空の支払手数料を計上する方法により所得を過少に申告して多額の法人税を免れ、不正資金を現金で留保していました。

なお、本事例は国外取引を利用した悪質・巧妙な不正を行っている国際事案であり、国税庁では国際課税への取組を重要な課題と位置付けて積極的に取り組みました。

太陽光発電関連事案の平成28年度告発事例説明画像

(2) 高齢者関連事案

高齢化社会の到来を背景に、身寄りのない高齢者の生活支援や緊急時の対応支援等を行う家族代行支援のニーズが高まり、それらに伴う取引に係る脱税事件に積極的に取組みました。

【平成28年度告発事例】

B社は、身寄りのない高齢者(会員)の生活支援、身元保証支援、金銭管理支援、葬儀納骨支援及び緊急時の対応支援等の家族代行支援を行う会社ですが、物故会員から遺贈された財産を帳簿に載せていない預金に入金させて除外する方法により所得を過少に申告して多額の法人税を免れ、不正資金を預金で留保していました。

高齢者関連事案の平成28年度告発事例説明画像

3 不正資金の留保状況

脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金、有価証券として留保されていたほか、居宅や高級外車の取得費用などに充てられていた事例もみられました。

また、不正資金の一部が、国外の預金口座で留保されるほか、国外の住宅の取得費用に充てられていた事例や国外の子会社への投資資金としていた事例がありました。

4 査察事件の一審判決の状況

平成28年度中に一審判決が言い渡された件数は12件であり、全てに有罪判決が出され、そのうち実刑判決が2人に出されました。なお、実刑判決は、他の犯罪と併合されたものでした。

5 査察の今後の取組

平成29年度においては、査察制度の一罰百戒の効果が最大限に発揮できるよう、現下の経済社会情勢を踏まえ、特に、

○ 消費税受還付事案

○ 無申告ほ脱事案

○ 国際事案

のほか、社会的関心が高く、近年の経済社会情勢に即した分野で、悪質な脱税が伏在する可能性の高い事案など、社会的波及効果が高いと見込まれる事案の積極的な着手・処理に取り組むこととします。

6 参考計表

(1) 着手・処理・告発件数、告発率の状況

年度 平成        
項目 24 25 26 27 28
着手件数
19 16 20 21 21
処理件数(A) 20 20 16 19 22
  告発件数(B) 12 14 8 10 14
告発率(B/A)
60.0 70.0 50.0 52.6 63.6

(2) 脱税額の状況

年度 平成        
項目 24 25 26 27 28
脱税額 総額 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
1,555 2,014 1,449 1,062 1,672
同上1件当たり 78 101 91 56 76
告発分 1,216 1,819 816 703 1,231
同上1件当たり 101 130 102 70 88

(注) 脱税額には加算税額を含む。

(3) 税目別告発事案の推移

イ 税目別の告発件数

年度 平成24 25 26 27 28
区分 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合
所得税
4 33 1 7 1 12.5 3 30 1 7
法人税 6 50 6 42 4 50 4 40 10 72
相続税 2 17 1 7 1 12.5 1 10 1 7
消費税 内−   内2   内1   内−   内1  
3 22 1 12.5 2 14
源泉所得税 3 22 1 12.5 2 20
合計 12 100 14 100 8 100 10 100 14 100

(注) 消費税の内書は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)の告発件数である。

ロ 税目別の脱税額

年度 平成24 25 26 27 28
区分 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合
所得税 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
421 34 34 2 8 1 264 38 90 7
法人税 458 38 411 23 470 57 240 34 789 64
相続税 337 28 649 36 155 19 101 14 239 20
消費税 内−   内117   内136   内−   内31  
207 11 136 17 113 9
源泉所得税 518 28 47 6 98 14
合計 1,216 100 1,819 100 816 100 703 100 1,231 100
  1. (注1) 脱税額には加算税額を含む。
  2. (注2) 消費税の内書は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)の脱税額である。

(4) 告発の多かった業種(2者以上)

平成26 27 28
業種 者数 業種 者数 業種 者数
- - 建設業 3 建設業 3
- - クラブ・バー 2 - -

(注) 同一の納税者が複数の税目で告発されている場合は1者としてカウントしている。

(5) 査察事件の一審判決の状況

項目 1 2     3 4 5
年度 判決件数 有罪件数 有罪率(2/1 実刑判決人数 1件当たり犯則税額 1人当たり懲役月数 1人(社)当たり罰金額
平成 百万円 百万円
26        
10 10 100.0 108 19.6 21
27 内1 内1        
7 7 100.0 49 18.4 18
28 内1 内1   内2      
12 12 100.0 2 35 12.3 9
  1. (注1) 表中の内書は他の犯罪との併合事件を示している。
  2. (注2)  3から5は他の犯罪との併合事件を除いてカウントしている。