(100分の20の計算から除外される収用交換等による譲渡等があった場合)

70の4-30 特例適用農地等について収用交換等による譲渡等があった場合における当該収用交換等による譲渡等に係る特例適用農地等の面積は、措置法第70条の4第1項第1号の規定による100分の20を超えるかどうかの計算上の分子に該当する譲渡等の面積からは除外されるのであるが、当該収用交換等による譲渡等は、同条第4項の規定により納税猶予の期限が確定する贈与税の額の計算をする場合の譲渡等には含まれ、当該譲渡等に係る特例適用農地等の価額に対応する贈与税の額(当該贈与税の額に係る利子税の額を含む。)は納付を要することに留意する。(平21課資2-9改正)

(買取りの申出等があった場合)

70の4-31 措置法第70条の4第1項の規定の適用を受ける農地又は採草放牧地について買取りの申出等があった場合における当該買取りの申出等に係る特定農地等の面積は、同項第1号の規定による100分の20を超えるかどうかの計算上の分子に該当する譲渡等の面積に含まれないのであるが、当該買取りの申出等は、同条第5項の規定により納税猶予の期限の確定事由に該当し、当該買取りの申出等に係る特定農地等の価額の対応する贈与税の額(当該贈与税の額に係る利子税の額を含む。)は納付を要するのであるから留意する。
 なお、買取りの申出等があった特定農地等についてその後譲渡等があった場合には、当該譲渡等は納税猶予の期限が確定する贈与税の額を計算するときの譲渡等には含まれないのであるから留意する。(平21課資2-7改正)

(申告期限後10年経過日において納税猶予の期限が確定する準農地から除かれる転用)

70の4-32 措置法第70条の4第4項に規定する「準農地(同日前に……転用がされたものを除く。)」の「転用」には、同項の規定による譲渡等が該当する準農地の転用のほか、当該譲渡等に該当しない同条第1項第1号の規定による準農地の採草放牧地又は農地への転用その他措置法令第40条の6第9項の規定による受贈者(措置法第70条の4第6項の規定の適用を受けている受贈者にあっては、その受贈者の推定相続人を含む。)の耕作又は養畜の事業に係る事務所等の施設の敷地にするための転用が含まれるのであるから留意する。(平17課資2-7、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25改正)

(交換又は換地処分により農地又は採草放牧地を取得した場合)

70の4-33 特例適用農地等について交換又は換地処分が行われた場合で、当該交換又は換地処分が所得税法第58条((固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例))又は措置法第33条の3((換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例))の規定により所得税の課税上譲渡がなかったものとみなされたときであっても、当該交換又は換地処分は、措置法第70条の4第1項第1号又は第4項の規定による譲渡等に該当することに留意する。
 したがって、当該交換若しくは換地処分により取得した農地若しくは採草放牧地又は同法第33条の4第1項に規定する収用交換等による譲渡で、1年以内に農地若しくは採草放牧地に該当することとなる見込みのある措置法第70条の4第2項第3号イからハまでに掲げる区域内に所在する土地につき、同条第15項の規定の適用を受ける場合には、当該交換又は換地処分があった日から1月以内に措置法令第40条の6第29項の規定による申請書の提出を要することとなる。(平17課資2-7、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25、平30課資2-9改正)

(推定相続人に該当しないこととなった場合)

70の4-34 措置法第70条の4第1項第3号に規定する「贈与者の推定相続人に該当しないこととなった場合」とは、次に掲げる場合などをいうのであるから留意する。

(1) 受贈者が贈与者の養子又は養親である場合において、養子縁組の取消し又は離縁が行われたとき

(2) 受贈者が贈与者の配偶者である場合において、婚姻の取消し又は離婚が行われたとき

(3) 受贈者が贈与者の尊属又は兄弟姉妹である場合において、出生、認知又は養子縁組により贈与者に子があることとなったとき(兄弟姉妹がその事実の生ずる前に贈与者の養子となった場合を除く。)

(4) 受贈者が民法第892条((推定相続人の廃除))の規定に基づき廃除された場合

(受贈者が納税猶予の適用をやめる場合の期限)

70の4-35 措置法第70条の4第1項第4号の規定に該当することによる納税猶予の期限は、同項の規定の適用を受けている受贈者から同項の規定の適用を受けることをやめる旨の届出書の提出があった場合においても、当該納税猶予に係る贈与税及び当該贈与税に係る利子税(以下70の4-35において「贈与税等」という。)の全部の納付がない限り、確定しないことに留意する。
 なお、当該届出書の提出があった後に贈与税等の全部の納付があったときは、当該届出書は、当該贈与税等の全部の納付があった日に提出されたものとして取り扱う。(平21課資2-9改正)

(増担保命令等に応じない場合の納税猶予の期限の繰上げ)

70の4-36 措置法第70条の4第31項の規定により、増担保命令等に応じないため納税の猶予に係る期限を繰り上げる場合には、当該担保不足に対応する納税猶予税額だけでなく納税猶予税額の全額(既に同条第4項又は第5項の規定により、納税猶予の期限が到来しているものを除く。)について納税猶予の期限を繰り上げるのであるから留意する。(平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25改正)

(相続時精算課税適用者等に係る贈与税の納税猶予)

70の4-36の2 措置法第70条の4第3項各号に掲げる者が特定贈与者から贈与により取得した農地等について同条第1項の規定の適用を受ける場合には、当該贈与により取得した農地等に係る贈与税については、暦年課税により計算するのであるから留意する。

(納税猶予税額の一部について納税猶予の期限が確定する場合の贈与税の額の計算)

70の4-37 措置法第70条の4第4項又は第5項の規定により納税猶予税額の一部について、納税猶予の期限が確定する場合における贈与税の額の計算は、次の算式により行うのであるから留意する。
 なお、これにより算出された金額に100円未満の端数があるとき又はその全額が100円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切捨て、その切り捨てた金額は、納税猶予税額として残るのであるから留意する。(平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25改正)
納税猶予税額の一部について納税猶予の期限が確定する場合の贈与税の額の算式

(注)

1 上記算式中の(A)の金額は、措置法第70条の4第1項の規定による納税猶予の適用を受けた当初の納税猶予税額をいう。したがって、その後当該納税猶予税額の一部について納税猶予の期限が確定している場合であっても、当初の納税猶予税額によることとなる。

2 上記算式中の(B)の金額は、譲渡等又は買取りの申出等があった特例適用農地等が代替取得農地等又は付替農地等である場合には、次の算式により計算した金額による。
納税猶予税額の一部について納税猶予の期限が確定する場合の贈与税の額の算式

(特定生産緑地の指定がされなかった場合等)

70の4-37の2 都市営農農地等である特例適用農地等について、措置法第70条の4第2項第4号イに規定する特定生産緑地の指定がされなかった場合及び同号イに規定する指定期限日までに特定生産緑地の指定の期限の延長がされなかった場合であっても、これらの場合は同条第5項に規定する場合に該当しないため、納税猶予の期限は確定しないことに留意する。
 ただし、これらの場合に該当する同号イに掲げる農地又は採草放牧地については、都市営農農地等に該当しないこととなるため、当該農地又は採草放牧地を贈与により取得しても同条第1項の規定の適用はないことに留意する。(平30課資2-9追加)

(平成30年前旧法適用受贈者が有する特例適用農地等が特定生産緑地である場合の納税猶予期限の確定事由)

70の4-37の3 所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)第15条による改正後の措置法第70条の4第2項第4号及び第5項の規定は、平成30年4月1日以後に贈与により取得をする農地等に係る贈与税について適用することとされ、同日前に贈与により取得をした農地等に係る贈与税については、なお従前の例によることとされている。
 したがって、平成30年前旧法適用受贈者(次に掲げる受贈者をいう。以下70の4-37の3において同じ。)が有する特例適用農地等(同号イに規定する特定生産緑地に該当するものに限る。)について、同項第1号ロに規定する指定の解除があった場合であっても、原則として、納税猶予の期限は確定しないことに留意する。
 なお、当該特例適用農地等について、生産緑地法の規定による買取りの申出があった場合又は都市計画法の規定に基づく都市計画の決定若しくは変更により特定市街化区域農地等に該当することとなった場合(当該変更により措置法第70条の4第2項第4号ロ又はハに掲げる農地でなくなった場合を除く。)については、原則として、納税猶予の期限は確定することに留意する(所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)附則1187、所得税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第8号。以下70の6-65の2までにおいて「令和2年改正法」という。)附則1081)。(平30課資2-9追加、令2課資2-10、令5課資2-12改正)

(注) 70の4-37の2((特定生産緑地の指定がされなかった場合等))は、平成30年前旧法適用受贈者が有する特例適用農地等についても同様であることに留意する。

(1) 租税特別措置法の一部を改正する法律(昭和50年法律第16号)による改正前の租税特別措置法(以下「昭和50年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(2) 租税特別措置法の一部を改正する法律(平成3年法律第16号)による改正前の租税特別措置法(以下「平成3年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(3) 租税特別措置法の一部を改正する法律(平成7年法律第55号)による改正前の租税特別措置法(以下「平成7年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(4) 租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成12年法律第13号)第1条の規定による改正前の租税特別措置法(以下「平成12年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(5) 租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成13年法律第7号)第1条の規定による改正前の租税特別措置法(以下「平成13年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(6) 租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成14年法律第15号)第1条の規定による改正前の租税特別措置法(以下「平成14年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(7) 所得税法等の一部を改正する法律(平成15年法律第8号)第12条の規定による改正前の租税特別措置法(以下「平成15年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(8) 所得税法等の一部を改正する法律(平成17年法律第21号)第5条の規定による改正前の租税特別措置法(以下「平成17年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(9) 所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)第5条の規定による改正前の租税特別措置法(以下「平成21年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(10) 所得税法等の一部を改正する法律(平成26年法律第10号)第10条の規定による改正前の租税特別措置法(以下「平成26年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(11) 所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)第10条の規定による改正前の租税特別措置法(以下「平成28年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(12) 所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)第15条の規定による改正前の租税特別措置法(以下「平成30年改正前の措置法」という。)第70条の4第1項本文の規定の適用を受けている同項に規定する受贈者

(使用貸借による権利の設定の日)

70の4-38 措置法第70条の4第6項に規定する「当該設定の日」とは、贈与税の納税猶予の適用を受けている農地又は採草放牧地に係る使用貸借による権利の設定につき農地法第3条第1項の規定による許可があった日(当該許可があった日後に当該権利の設定の効力が生じる場合には当該効力が生じた日をいう。以下70の4-38において同じ。)をいうのであるから留意する。ただし、この場合において、農地又は採草放牧地が、受贈者の推定相続人の住所のある市町村の区域内にあるものとその他の区域内にあるものとに分かれているため、その設定について各市町村の農業委員会の許可を要するときにおいて、これらの許可があった日が異なるときは、これらの許可があった日のうち最も遅い日をもって当該設定の日として取り扱うものとする。(平17課資2-7、平29課資2-14改正)

(使用貸借による権利の設定に関する届出書)

70の4-39 措置法第70条の4第6項の規定の適用を受けようとする受贈者は、同項に規定する届出書を使用貸借による権利の設定の日から2か月を経過する日まで(以下70の4-39において「期限内」という。)に提出しなければならないが、期限内に提出された届出書についてその記載又は添付すべき書類の不備が軽微なもので、速やかに補完されると認められる場合には、当分の間、同項の規定の適用があるものとして取り扱って差し支えない。

(注) 当該受贈者が届出書を期限内に提出しなかった場合には、同項の規定の適用は受けられず、同条第1項ただし書の規定によりその贈与税の納税猶予税額の全部について、納税猶予の期限が確定するのであるから留意する。


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