(農地又は採草放牧地の意義)

70の4-1 措置法第70条の4第1項に規定する「農地」又は「採草放牧地」とは、次に掲げるもののうち同条第2項第3号に規定する「特定市街化区域農地等」に該当するもの及び農地法(昭和27年法律第229号)第32条第1項((利用意向調査))又は第33条第1項の規定による同法第32条第1項に規定する利用意向調査(以下「利用意向調査」という。)に係るもののうち同法第36条第1項各号((農地中間管理権の取得に関する協議の勧告))に該当するとき(同項ただし書に規定する正当の事由があるときを除く。以下70の6-13の2までにおいて同じ。)における当該農地以外のものをいう。(平17課資2-7、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25、平30課資2-19改正)

(1) 「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいう。この場合、耕作の目的に供される土地には、現に耕作されている土地のほか、現に耕作されていない土地のうち正常な状態の下においては耕作されていると認められるものが含まれるものとする。ただし、現に耕作されている土地であっても、いわゆる家庭菜園や通常であれば耕作されないと認められる土地、例えば、運動場、工場敷地等を一時、耕作しているものは、農地に該当しないことに留意する。
 ただし、農地法第43条第1項((農作物栽培高度化施設に関する特例))の規定による届出に係る同条第2項に規定する農作物栽培高度化施設の用に供される土地については、当該農作物栽培高度化施設において行われる農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして、農地と同様に、農地法の全ての規定が適用されることに留意する。

(注)

1 上記において、「耕作」とは、土地に労資を加え、肥培管理を行って作物を栽培することをいい、肥培管理とは、作物の生育を助けるため、その土地及びそこに植栽される作物について行う耕うん、整地、播種、かんがい、排水、施肥、農薬散布、除草等の一連の人為的作業をいう。

2 上記において、「現に耕作されていない土地のうち正常な状態の下においては耕作されていると認められるもの」とは、70の4-12((贈与者等の農業の用に供している農地又は採草放牧地))の(1)ないし(3)に掲げる土地その他通常であれば耕作されていると認められる土地をいう。

(2) 「採草放牧地」とは、農地以外の土地で主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。この場合、農地以外の土地で主として採草又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されている土地のほか、現にこれらの目的に供されていない土地のうち正常な状態の下においてはこれらの目的に供されていると認められるものが含まれるものとする。
 なお、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供される土地であっても、肥培管理が行われているものは、農地に該当し、採草放牧地には該当しないのであるから留意する。

(注)

1 上記において、「養畜」とは、家畜、家きん、毛皮獣などの生産、育成、肥育、採卵又は採乳を行うことをいう。

2 上記において、「現にこれらの目的に供されていない土地のうち正常な状態の下においてはこれらの目的に供されていると認められるもの」とは、70の4-12の(1)ないし(3)に掲げる土地その他通常であれば主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されていると認められる土地をいう。

(特定市街化区域農地等の範囲)

70の4-2 措置法第70条の4第2項第3号に規定する「特定市街化区域農地等」(以下「特定市街化区域農地等」という。)とは、都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第1項((区域区分))に規定する市街化区域内に所在する農地又は採草放牧地で、平成3年1月1日において次表に掲げる市(東京都の特別区を含む。)の区域内にあるもののうち措置法第70条の4第2項第4号に規定する都市営農農地等(以下「都市営農農地等」という。)に該当するもの以外のものをいうのであるから留意する。

区分 都府県名 都市名



(106市)
茨城県
(5市)
竜ヶ崎市、水海道市、取手市、 岩井市、牛久市
埼玉県
(36市)
川口市、川越市、浦和市、大宮市、行田市、所沢市、飯能市、加須市、東松山市、岩槻市、春日部市、狭山市、羽生市、鴻巣市、上尾市、与野市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、志木市、和光市、桶川市、新座市、朝霞市、鳩ケ谷市、入間市、久喜市、北本市、上福岡市、富士見市、八潮市、蓮田市、三郷市、坂戸市、幸手市
東京都
(27市)
四角枠 特別区点線四角枠 武蔵野市点線四角枠 三鷹市、八王子市、立川市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、多摩市、稲城市、狛江市、武蔵村山市、東大和市、清瀬市、東久留米市、保谷市、田無市、秋川市
千葉県
(19市)
千葉市、市川市、船橋市、木更津市、松戸市、野田市、成田市、佐倉市、習志野市、柏市、市原市、君津市、富津市、八千代市、浦安市、鎌ヶ谷市、流山市、我孫子市、四街道市
神奈川県
(19市)
(横浜市)、(川崎市)、横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ケ崎市、逗子市、相模原市、三浦市、秦野市、厚木市、大和市、海老名市、座間市、伊勢原市、南足柄市、綾瀬市



(28市)
愛知県
(26市)
(名古屋市)、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、犬山市、常滑市、江南市、尾西市、小牧市、稲沢市、東海市、尾張旭市、知立市、高浜市、大府市、知多市、岩倉市、豊明市
三重県
(2市)
四日市市、桑名市



(56市)
京都府
(7市)
(京都市)、宇治市、亀岡市、向日市、長岡京市、城陽市、八幡市
大阪府
(32市)
(大阪市)、守口市、東大阪市、堺市、岸和田市、豊中市、池田市、吹田市、泉大津市、高槻市、貝塚市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、富田林市、寝屋川市、河内長野市、松原市、大東市、和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、門真市、摂津市、泉南市、藤井寺市、交野市、四條畷市、高石市、大阪狭山市
兵庫県
(8市)
(神戸市)、点線四角枠 尼崎市点線四角枠 西宮市点線四角枠 芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市
奈良県
(9市)
奈良市、大和高田市、大和郡山市、天理市、橿原市、桜井市、五条市、御所市、生駒市

(注)四角は措置法第70条の4第2項第3号イに掲げる区域、( )書は同号ロに掲げる区域、その他は同号ハに掲げる区域に所在する市を示す。なお、(点線)書は同号ハに掲げる区域のうち首都圏整備法(昭和31年法律第83号)の既成市街地又は近畿圏整備法(昭和38年法律第129号)の既成都市区域に所在する市を示す。

(生産緑地地区内にある農地又は採草放牧地)

70の4-3 措置法第70条の4第2項第4号イに規定する「都市計画法第8条第1項第14号に掲げる生産緑地地区内にある農地又は採草放牧地」には、旧生産緑地地区(生産緑地法の一部を改正する法律(平成3年法律第39号)による改正前の生産緑地法(昭和49年法律第68号)第3条第1項((第1種生産緑地地区に関する都市計画))の規定により定められている第1種生産緑地地区をいう。以下70の4-3において同じ。)の区域内にある農地又は採草放牧地が含まれることに留意する。
 なお、旧生産緑地地区の区域内にある土地等は生産緑地法第10条の2第1項の特定生産緑地の指定の対象とならないため、当該区域内にある農地又は採草放牧地については、措置法第70条の4第2項第4号イに規定する「申出基準日までに特定生産緑地の指定がされなかつたもの」に該当しないことに留意する。

(生産緑地法第10条又は第15条第1項の規定による買取りの申出がされたもの)

70の4-4 措置法第70条の4第2項第4号イに規定する「生産緑地法第10条(同法第10条の5の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第15条第1項の規定により買取りの申出がされたもの」とは、生産緑地法施行規則(昭和49年建設省令第11号)第6条((買取申出書の様式))又は第9条((買取り希望の申出手続))に定める「別記様式第2「生産緑地買取申出書」」又は「別記様式第3「生産緑地買取希望申出書」」により市長(東京都の特別区の区長を含む。)に対し買取りの申出がされた農地又は採草放牧地をいう。措置法令第40条の6第11項第1号の場合においても同様とする。
 なお、措置法第70条の4第1項の規定の適用を受ける農地又は採草放牧地が農地又は採草放牧地の上に存する権利である場合においても同様であるから留意する。(平17課資2-7、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25、平30課資2-9改正)

(立毛、果樹等)

70の4-5 措置法第70条の4第1項に規定する「農地等」(以下「農地等」という。)には、これらの土地に栽培されている立毛、果樹等を含まないのであるから留意する。

(農業を営む個人等)

70の4-6 措置法第70条の4第1項に規定する「農業を営む個人」とは、耕作又は養畜の行為を反復、かつ、継続的に行う個人をいう。したがって、個人が耕作若しくは養畜による生産物を自家消費に充てている場合又は会社、官庁等に勤務するなど他に職を有し若しくは他に主たる事業を有している場合であっても、その耕作又は養畜の行為を反復、かつ、継続的に行っている限り、その者は農業を営む個人に該当する。
 なお、同項に規定する受贈者が措置法令第40条の6第6項第3号の規定による農業経営を行う者に該当するかどうかについても、これと同様とする。(平17課資2-7、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25改正)

(注) 上記により、住居及び生計を一にする親族の2人以上の者が、農業を営む個人に該当する場合には、それらの者が所得税の課税上農業の事業主となっているかどうかは問わないのであるから留意する。

(従前採草放牧地の意義等)

70の4-6の2 措置法令第40条の6第3項に規定する「従前採草放牧地」とは、次に掲げる採草放牧地をいうのであるから留意する。(平17課資2-7、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25改正)

(1) 同項に規定する対象年(以下70の4-6の2において「対象年」という。)の前年以前において、同項に規定する贈与者が贈与した採草放牧地のうち相続時精算課税の適用を受けるもの

(2) 対象年において、当該贈与者が当該贈与(以下70の4-6の2において「対象贈与」という。)以外の贈与により採草放牧地の贈与をしている場合における当該採草放牧地

(注) 上記(2)の対象贈与以外の採草放牧地の贈与がある場合には、対象贈与に係る採草放牧地の面積が当該対象贈与をした者が当該対象贈与の日までその農業の用に供していた採草放牧地、上記(1)及び(2)の面積の合計面積の3分の2以上の面積であっても、措置法令第40条の6第1項第2号の規定により、当該対象贈与により採草放牧地を取得した者の贈与税について、措置法第70の4第1項の規定の適用はないのであるから留意する。

(従前準農地の意義等)

70の4-6の3 措置法令第40条の6第5項に規定する「従前準農地」の意義等については、70の4-6の2((従前採草放牧地の意義等))を準用する。(平17課資2-7、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25改正)

(贈与者が贈与の日まで農業を営んでいない場合の取扱い)

70の4-7 措置法第70条の4第1項に規定する「農業を営む個人で政令で定める者」とは、同項に規定する農地及び採草放牧地の贈与をした日まで引き続き3年以上農業を営んでいた個人をいうのであるが、その贈与をした者が、その贈与をした日まで引き続き農業を営んでいない場合であっても、既往において引き続き3年以上農業を営んでおり、かつ、次の(1)又は(2)に掲げる事実がある場合において、当該贈与がその贈与に係る農地又は採草放牧地について現に農業を営んでいる者に対して行われたものであるときは、当該贈与の日前において当該贈与に係る農地のうちに、利用意向調査に係る農地で農地法第36条第1項各号に該当するときにおける当該農地について、措置法第70条の4第1項の規定の適用を受けようとする場合を除き、当該贈与をした者は、同項に規定する農業を営む個人に該当するものとして取り扱う。(平17課資2-7、平17課資2-13、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25改正)

(1) 贈与者が老齢又は病弱のため、当該贈与の日前において、その者と住居及び生計を一にする親族並びにその者が行っていた耕作又は養畜の事業に従事していたその他の二親等内の親族に農業経営を移譲していたこと。

(注) 贈与者とその親族が住居又は生計を一にしない場合であっても、その住居又は生計を一にしない理由が農地法第2条第2項((定義))に掲げる事由に該当するものであるときには、当該事由に基づき住居又は生計を一にしない期間は、なお、住居又は生計を一にしているものとして取り扱うものとする。

(2) 贈与者が独立行政法人農業者年金基金法(平成14年法律第127号)第18条第2号((給付の種類))に規定する特例付加年金又は同法附則第6条第3項の規定によりなおその効力を有するものとされる農業者年金基金法の一部を改正する法律(平成13年法律第39号)附則第8条第1項に規定する経営移譲年金の支給を受けるため、当該贈与の日前に、その者の親族に農業経営を移譲していたこと。

(農地等の贈与の日)

70の4-8 農地等に係る措置法第70条の4第1項に規定する「贈与の日」とは、相続税法基本通達1の3・1の4共-10((農地等の贈与による財産取得の時期))の定めによる農地等の贈与による取得の日をいう。
 この場合において、同一の贈与により取得した農地又は採草放牧地が、受贈者の住所のある市町村の区域内にあるものとその他の区域内にあるものとに分かれているため、その所有権等の移転について各市町村の農業委員会の許可を要する場合において、これらの許可があつた日が年を異にしているときは、当該農地又は採草放牧地のうち、面積の多い方の許可があつた日をもつて、当該農地又は採草放牧地の全部に係る贈与の日として取り扱うことができる。
 なお、農地又は採草放牧地とともに準農地の贈与が行われており、かつ、当該農地又は採草放牧地の贈与の日と当該準農地の贈与の日とが年を異にするときは、当該準農地についても、当該農地又は採草放牧地の贈与の日にその贈与があつたものとして取り扱うこととする。(平29課資2-14改正)

(推定相続人の範囲)

70の4-9 措置法第70条の4第1項に規定する「推定相続人」とは、同項に規定する贈与をした日現在において最先順位の相続権(代襲相続権を含む。)を有する者をいうのであるから留意する。
 したがって、贈与者の子(代襲相続人である孫等を含む。以下70の4-9において同じ。)又は配偶者は、これに該当するが、直系尊属は子が、兄弟姉妹は子及び直系尊属が、それぞれ贈与をした日現在において存在していない場合にのみこれに該当することになる。


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