直審(資)34(例規)
直資 103(例規)
昭和39年7月4日

( 一部改正
昭57. 5.17 直資2−179
)

国税局長 殿

国税庁長官 木村秀弘

 昭和39年5月23日直審(資)22、直資68「名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて」通達(以下、「通達」という。)の運用に当たっては次により取り扱われたい。

(他人名義による財産の取得をした者が死亡した場合)

1 通達「1」又は「2」に該当する事実がある場合において、これらに規定する贈与税の申告若しくは決定又は更正の日前に、通達「1」又は「2」に定める取得者等が死亡したためその相続人の名義としたときにおいても、通達「1」又は「2」の適用があるものとして取り扱う。
 この場合において、当該財産の価額は、当該相続人の相続税の課税価格計算の基礎に算入するのであるから留意する。

(虚偽表示により名義変更等が行われたことにつきやむを得ない事由がある場合)

2 通達「6」に定める「その他これに準ずる真にやむを得ない理由に基づいて行われたものである場合」とは、次に掲げる場合がこれに該当するものとして取り扱う。

(1) 当該名義変更等に係る不動産、船舶、自動車又は有価証券の従前の名義人等について、債権者の内容証明等による督促又は支払命令等があった後にその者の有する財産の全部又は大部分の名義を他人名義としている事実があることなどにより、これらの財産の名義変更等が、強制執行その他の強制換価手続を免れるため行われたと認められ、かつ、その行為をすることにつき真にやむを得ない事情(例えば、これらの財産を失うときは、通常の生活に重大な支障を来す等の事情)がある場合(配偶者、三親等内の血族及び三親等内の姻族の名義とした場合を除く。)

(2) 住宅金融公庫その他住宅の建築に関する資金の貸付けを行う借入れ資格のある者の名義によって資金を借り入れ、その貸付けの条件に従い借入名義人の名義で居住の用に供する土地又は家屋を取得した場合において、その事実が、次のイからホまでに掲げる事実等によって確認できるとき

イ 取得者が、土地又は家屋の購入又は建築に要する頭金等の資金を調達し、かつ、住宅金融公庫等からの借入金を返済していること。

ロ 取得者は、他に居住の用に供することのできる家屋を所有していないこと。

ハ 土地又は家屋の取得直前において、取得者が住宅金融公庫その他の住宅の建築に関する資金の貸付けを行う者に対して融資の申込みをし、かつ、抽選等に外れたことによって融資を受けられなかった事実があること、又はその申込みができなかったことにつき特別の事情があること。

ニ 取得した土地又は家屋に借入名義人が居住せず、取得者が居住していること。

ホ 取得した土地又は家屋に附属する上下水道、ガス等の設備を取得者が設置していること。

(法定取消権等に基づいて取り消され、又は解除されたことの確認)

3 通達「8」の「法定取消権等に基づいて取り消され、又は解除されたことが……その他により確認される場合」とは、取消権又は解除権の種類に従い、おおむね、次に掲げる事実が認められる場合をいうものとして取り扱う。

(1) 民法第96条(詐偽又は強迫による取消権)の規定に基づくものについては、詐偽又は強迫をした者について公訴の提起がされたこと、又はその者の性状、社会上の風評等から詐偽又は強迫の事実が認められること。

(2) 民法第754条(夫婦間の契約取消権)の規定に基づくものについては、その取消権を行使した者及びその配偶者の経済力その他の状況からみて取消権の行使が贈与税の回避のみを目的として行われたと認められないこと。

(3) 未成年者の行為の取消権、履行遅滞による解除権その他の法定取消権又は法定解除権に基づくものについては、その行為、行為者、事実関係の状況等からみて取消権又は解除権の行使が相当と認められること。

(合意解除等による贈与の取消しがあった場合の特例)

4 通達「11」により、贈与契約が合意により取り消され、又は解除された場合においても、原則として、当該贈与契約に係る財産の価額は、贈与税の課税価格に算入するのであるが、当事者の合意による取消し又は解除が次に掲げる事由のいずれにも該当しているときは、税務署長において当該贈与契約に係る財産の価額を贈与税の課税価格に算入することが著しく負担の公平を害する結果となると認める場合に限り、当該贈与はなかったものとして取り扱うことができるものとする。

(1) 贈与契約の取消し又は解除が当該贈与のあった日の属する年分の贈与税の申告書の提出期限までに行われたものであり、かつ、その取消し又は解除されたことが当該贈与に係る財産の名義を変更したこと等により確認できること。

(2) 贈与契約に係る財産が、受贈者によって処分され、若しくは担保物件その他の財産権の目的とされ、又は受贈者の租税その他の債務に関して差押えその他の処分の目的とされていないこと。

(3) 当該贈与契約に係る財産について贈与者又は受贈者が譲渡所得又は非課税貯蓄等に関する所得税その他の租税の申告又は届出をしていないこと。

(4) 当該贈与契約に係る財産の受贈者が当該財産の果実を収受していないこと、又は収受している場合には、その果実を贈与者に引き渡していること。