直資90(例規)
昭和35年10月1日

一部改正
昭38.10.29直資168外
昭55.4.23直資2−182
平成20年課資2-8外

国税局長 殿

国税庁長官

 標題については、下記のとおり定めたからこれにより取扱うこととされたい。

(理由)
 正式遺言はないが、被相続人の意思に基づいて相続人が公益法人に財産を提供した場合には、その提供した財産は、まず相続財産に含められて相続税が課税された後に公益法人に帰属するものと解されるが、被相続人が公益法人の設立のため財産を提供することの意思を正式遺言に準ずるような方法で表明していたことが明らかであること等一定の要件を充たす場合においては、相続税法において公益事業者に対する相続又は遺贈を非課税としていること等を勘案して、当分の間、正式遺言による遺贈と同様に取扱うことを認めたものである。

(公益法人の設立の認可申請中に相続の開始があった場合の取扱い)

一 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う法人(以下「公益法人」という。)の設立の認可申請中に、その公益法人に財産を提供することとなっていた者について相続が開始したため、相続財産の全部又は一部が、設立の認可によりその公益法人に帰属した場合は、その財産は、その公益法人が被相続人から遺贈により取得したものと同様に取扱うことができること。(昭55直資2-182改正)

(注) 公益法人に対する財産の帰属につき相続税法第66条第4項((持分の定めのない法人に対する課税))の適用を受ける場合は、その公益法人は個人とみなされて相続税が課税されるほか、被相続人については所得税法第59条第1項((贈与等の場合の譲渡所得等の特例))の規定により譲渡所得に対する所得税の課税関係が生じることに留意する。

(公益法人の設立の認可申請前に相続の開始があった場合の取扱い)

 公益法人の設立の認可申請前に、その公益法人に財産を提供しようとしていた者について相続が開始したため、その相続人が被相続人の意思に基づいて相続財産の全部又は一部をその公益法人に帰属させた場合において、次の各号のすべてに該当するときは、その公益法人に帰属した財産についても、一の取扱いを適用することができる。(昭38直資168外・昭55直資2-182改正)

1 被相続人が公益法人の設立のため財産を提供する意思を有していたことが明らかであること。

2 その公益法人に帰属した財産につき相続税法第66条第4項の規定の適用がないこと。

3 その公益法人が相続税の申告書の提出期限までに設立されたものであること(当該期限までに設立されなかったことについて正当な理由であると認められる場合において、当該期限までに設立認可申請がされたときを含む。)

(注) 上記に該当しない場合は、その帰属した財産については、一般の例により、相続人に対しては、相続税及び譲渡所得に対する所得税、公益法人に対しては、贈与をした者の親族その他これらの者と相続税法第64条第1項((同族会社等の行為又は計算の否認等))に規定する特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、贈与税の課税関係が生ずることに留意する。

(被相続人の意思に基づくかどうかの判定)

 二の1に該当するかどうかは、被相続人から指示を受けた者が、設立準備のための作業を進めていたこと、被相続人の作成に係る寄附行為があること、被相続人の日記、書簡等にその旨が記載されていること、その他被相続人の意思を立証することができる生前の事実の存否により判定すること。

(既設の公益法人に対し贈与があった場合の準用)

四 一から三までの取扱いは、既に設立されている公益法人に対する財産の贈与で、一又は二に準ずるものについて準用すること。(昭38直資168外改正)

(附則)

(経過的取扱い)
 この法令解釈通達による改正後の取扱いは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)の施行の日(平成20年12月1日)から適用し、同日前については、なお従前の例による。