(昭63直法6−8、直所3−9)

(退職勤労者が弁済を受ける未払賃金に係る債務の内容)

29の4−1 措置法第29条の4に規定する退職した労働者(以下29の4−6までにおいて「退職勤労者」という。)が、賃金の支払の確保等に関する法律(昭和51年法律第34号、以下29の4−6までにおいて「賃金支払確保法」という。)第7条《未払賃金の立替払》(同法第16条の規定により読み替えて適用される場合を含む。以下29の4−6までにおいて同じ。)の規定により弁済を受ける未払賃金に係る債務は、当該退職勤労者が同条に規定する事業主(以下29の4−5までにおいて「事業主」という。)から支払を受けるべき定期賃金に係る債務(29の4−2において「未払定期賃金」という。)と所得税法第30条第1項《退職所得》に規定する退職手当等に係る債務(29の4−2において「未払退職手当等」という。)とに限られていることに留意する。(平16課法8−5、平28課法10-7、課審5-16改正)

(注)

1 上記の弁済事務は、独立行政法人労働者健康安全機構(船員法(昭和22年法律第100号)の適用を受ける船員については、地方運輸局、神戸運輸監理部又は沖縄総合事務局運輸部)において行うことになっている。

2 定期賃金とは、労働基準法(昭和22年法律第49号)第24条第2項本文《賃金の支払》に規定する賃金をいい、臨時に支払われる賃金又は賞与に係る債務については、賃金支払確保法第7条の規定の適用がないことに留意する(賃金の支払の確保等に関する法律施行令(昭和51年政令第169号)第4条第2項《立替払の対象となる未払賃金の範囲》参照)。

(弁済の充当の順序)

29の4−2 退職勤労者が、賃金支払確保法第7条の規定により未払賃金に係る債務の弁済を受ける場合において、当該債務のうちに未払退職手当等があるときは、その弁済は、まず、当該未払退職手当等の弁済に充当され、その残額があれば、未払定期賃金の弁済に充当されることになっていることに留意する。
 この場合において、2以上の支払期日に係る未払定期賃金があるときは、先に到来する支払期日に係る未払定期賃金の弁済に順次充当される。 (平16課法8−5、平28課法10-7、課審5-16改正)

(注) 上記の弁済の充当の順序については、独立行政法人労働者健康安全機構の業務方法書(船員法の適用を受ける船員に関しては、社会保険庁通知)において定められている。

(年末調整後に立替払があった場合の再調整)

29の4−3 退職勤労者に係るその年分の給与等につき、未払となっているものを含めて年末調整を行った後、給与所得の源泉徴収票(29の4−6において「源泉徴収票」という。)を作成する時までに、当該退職勤労者がその未払となっている給与等に係る債務につき措置法第29条の4に規定する弁済を受けた場合には、当該弁済を受けた金額を除いたところで、所得税法第190条第2号《年末調整》に規定する税額を再計算し、先に年末調整を行った際に計算した同号に規定する税額との差額を同法第191条《過納額の還付》の規定に準じ、還付して差し支えないものとする。(平28課法10-7、課審5-16改正)

(注)

1 上記により再調整を行う場合には、事業主は、政府から送付を受けた未払賃金立替払の通知書等により退職勤労者ごとの弁済金額を確認することに留意する。

2 退職勤労者は、上記によらないで、確定申告により税額の精算をすることができるが、この場合には政府が発行する立替払賃金支給決定通知書又はその写しを確定申告書に添付する。

(確定申告後に立替払があった場合の更正の請求)

29の4−4 確定申告書を提出した退職勤労者が、その申告書に係る給与所得の金額の計算の基礎となった給与等で未払となっているものに係る債務につき、措置法第29条の4に規定する弁済を受けたことにより国税通則法(昭和37年法律第66号)第23条第1項各号《更正の請求》の事由が生じた場合には、同項の規定の適用があることに留意する。
 なお、同項に規定する期間の満了する日後に措置法第29条の4に規定する弁済を受けた場合には、所得税法第152条《各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例》の規定に準じ、更正の請求をすることができるものとする。(平28課法10-7、課審5-16改正)

(退職勤労者が未払給与等の弁済を受けるほか退職手当等の支払を受ける場合)

29の4−5 退職勤労者が、措置法第29条の4に規定する「未払賃金に係る債務で所得税法第28条第1項に規定する給与等に係るもの」(29の4−6において「未払給与等」という。)の弁済を受けるほか、その退職により事業主から退職手当等の支払を受けることとなる場合又は所得税法第31条《退職手当等とみなす一時金》の規定により退職手当等とみなされる一時金の支払を受けることとなる場合は、同法施行令(昭和40年政令第96号)第77条《退職所得の収入の時期》に規定する「一の勤務先を退職することにより2以上の……退職手当等の支払を受ける権利を有することとなる場合」に該当することに留意する。(平28課法10-7、課審5-16改正)

(源泉徴収票の作成)

29の4−6 賃金支払確保法第7条の規定に基づき未払給与等の弁済を受けた退職勤労者に係る源泉徴収票は、当該弁済を受けた金額をその「支払金額」欄の金額に含めないところにより作成することに留意する。
 なお、この場合、「摘要」欄に同条の規定により弁済を受けた旨及び当該弁済を受けた金額を記載するものとする。(平28課法10-7、課審5-16改正)

(注) 29の4−3に掲げる場合において、年末調整の再調整を行わなかったときは、源泉徴収票の「給与所得控除後の給与等の金額」欄の記載は行わないものとする。