(合併等による上場株式等の取得の基因となった株式等が上場株式等でない場合)

37の11の2−1 「上場株式等の取得費の特例」の適用に当たって、平成13年10月1日以後に、居住者等が措置法第37条の11の2第2項第3号に規定する合併又は措置法令第25条の10第4項に規定する法人の分割により取得した上場株式等は、その者が引き続き所有していたものとみなすこととされているが、当該合併前から保有していた合併前の法人株式又は当該法人の分割前から保有していた分割法人株式が平成13年10月1日において上場株式等に該当していなかった場合には、当該合併又は法人の分割により取得した上場株式等について同特例の適用はないことに留意する。

(上場株式等の取得費の特例の選択)

37の11の2−2 「上場株式等の取得費の特例」の適用がある上場株式等の譲渡をした場合において、その譲渡をした上場株式等に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費について同特例を適用するときは、その譲渡をした上場株式等のうち同一銘柄の上場株式等の全部について同特例を適用して計算することとなるので、その譲渡をした上場株式等の一部については実際の取得価額により、他の部分については同特例を適用して計算することはできないことに留意する。

(特例の対象とならない同一銘柄の上場株式等とともに譲渡した場合の取得費の計算)

37の11の2−3 譲渡をした同一銘柄の上場株式等のうちに、「上場株式等の取得費の特例」の適用がある上場株式等とその適用がない上場株式等とが含まれる場合には、当該適用がある上場株式等については同特例を適用し、当該適用がない上場株式等については所得税法第38条、第48条及び第61条の規定により、それぞれ取得費を計算する。なお、当該適用がない上場株式等に係る部分の取得費の計算に当たっては、当該適用がある上場株式等を含めて計算することに留意する。

〔計算例〕

【取得】 取得時期 株数(株) 単価(円) 取得価額
A 昭 60.10 2,000 100 200,000
B 平 10.10 2,000 200 400,000
C 平 13.10 1,000 300 300,000
  (計) 5,000   900,000
【譲渡】 平 15.1 5,000 400 2,000,000

※ 平13.10.1の価額(300円)の80%に相当する金額=240円

           
(原則) (取得価額の合計)   (取得株数合計)   (単価)
    900,000 ÷    5,000      180円
  (単価)   (譲渡株数)   (取得費)
       180 ×    5,000   900,000円
           
(特例) ○ A及びBの取得分⇒ 平13.10.1の価額の80%相当額    
  (単価)   (譲渡株数)    
 

     240

×    4,000   960,000円
           
  ○ Cの取得分⇒ 総平均法に準ずる方法による計算    
  (取得価額の合計)   (取得株数合計)    
    900,000 ÷    5,000      180円
  (単価)   (譲渡株数)    
       180 ×    1,000   180,000円
           
  ○ 取得費        
    960,000   180,000  1,140,000円

(相続等により取得した上場株式等の所有期間)

37の11の2−4 措置法第37条の11の2第2項の規定により、相続等により取得した上場株式等は、その取得した者が引き続き所有していたものとみなすこととされているが、同項に掲げる事由により取得した上場株式等を更に同項に掲げる事由により取得した場合においても、その取得した者が引き続き所有していたものとみなすことに留意する。

(株式交換等により取得した場合の所有期間)

37の11の2−5 株式交換又は株式移転は、措置法第37条の11の2第2項に規定する事由には当たらないので、平成13年10月1日以後に、当該株式交換又は株式移転により取得した上場株式等については、「上場株式等の取得費の特例」の適用はないことに留意する。

(平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等)

37の11の2−6 措置法令第25条の10第5項に規定する特定譲渡をした上場株式等が当該特定譲渡の時において平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等に該当するかどうかの判定は、同項の規定により、その者が当該特定譲渡の前に取得をした当該譲渡上場株式等と同一銘柄の株式等のうち先に取得をしたものから順次譲渡をしたものとした場合に当該特定譲渡をしたものとされる当該同一銘柄の上場株式等の取得の日によるのであるが、この場合において、当該特定譲渡の前に次に掲げる事由により取得をした上場株式等がある場合は、当該上場株式等の取得の日は次に掲げる事由の区分に応じそれぞれ次に定める日により判定を行うことに留意する。

(1) 措置法第37条の11の2第2項第2号に規定する「株式の分割又は併合」により取得した上場株式等
 その株式の分割又は併合により取得した上場株式等のその取得の基因となった株式等の取得の日

(2) 措置法第37条の11の2第2項第3号に規定する「法人の合併」により取得した上場株式等(合併法人株式)
 その法人の合併により取得した合併法人株式のその取得の基因となった上場株式等(被合併法人の株式)の取得の日

(3) 措置法令第25条の10第4項に規定する「法人の分割」により取得した上場株式等(分割承継法人の株式)
 その法人の分割により取得した分割承継法人の株式のその取得の基因となった上場株式等(分割法人の株式)の取得の日

(取引所売買株式等)

37の11の2−7 措置法令第25条の10第2項第1号に規定する「取引所売買株式等」とは、その売買が主として証券取引所(証券取引所に類するもので外国の法令に基づき設立されたものを含む。以下この項において同じ。)において行われている株式等をいうが、これに該当するかどうかは、その株式等の売買取引が証券取引所において最も活発に行われているかどうかにより判定する。この場合、証券取引所において最も活発に行われているかどうか明らかでないものは、原則として、我が国における売買取引の状況により判定するものとするが、その株式等が証券取引所に類するもので外国の法令に基づき設立されたものにおいて実際に取得されたものであるときは、取引所売買株式等に該当するものとして取り扱って差し支えない。

(最終の気配相場の価格)

37の11の2−8 措置法令第25条の10第2項第1号、第2号及び第3号に規定する「最終の気配相場の価格」は、その日における最終の売り気配と買い気配の仲値とする。ただし、当該売り気配又は買い気配のいずれか一方のみが公表されている場合には、当該公表されている最終の売り気配又は買い気配とする。

(2以上の市場に価格が存する場合)

37の11の2−9 措置法令第25条の10第2項第1号又は同項第3号における同一の区分に属する同一銘柄の上場株式等について、当該各号に規定する価格が2以上の市場に存する場合には、当該価格が最も高い市場の価格をもって、当該各号の金額として差し支えない。

(価格公表者)

37の11の2−10 措置法令第25条の10第2項第3号に規定する「価格公表者」は、株式等の売買の価格又は気配相場の価格を継続して公表し、かつ、その公表する価格がその株式等の売買の価格の決定に重要な影響を与えている場合におけるその公表をする者をいうこととされている。この場合における「その公表する価格がその株式等の売買の価格の決定に重要な影響を与えている場合」とは、基本的には、ブローカー(銀行、証券会社等のように、金融資産の売買の媒介、取次ぎ若しくは代理の受託をする業者又は自己が買手若しくは売手となって店頭で金融資産の売買を成立させる業者をいう。次項において同じ。)の公表する価格又は取引システムその他の市場において成立した価格が公正価格(第三者間で恣意性のない取引を行うと想定した場合の取引価格をいう。次項において同じ。)として一般的に認められている状態にあることをいうのであるから、単に売買実例があることのみでは、当該重要な影響を与えている場合には該当しない。

(その他価格公表株式等の最終の売買の価格等)

37の11の2−11 措置法令第25条の10第2項第3号に規定する「その他価格公表株式等の最終の売買の価格」又は「最終の気配相場の価格」とは、同号に規定する価格公表者によって公表される次に掲げる価格をいうことに留意する。この場合、当該価格は、通常の方法により入手可能なもので差し支えないものとする。

(1) 公正価格を提供するため複数の店頭市場の情報を集計し、提供することを目的として組織化された業界団体が公表した平成13年10月1日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格

(2) 金融機関又は証券会社間の市場、ディーラー間の市場、電子媒体取引市場のように、随時売買又は換金を行うことができる取引システムにおいて成立する平成13年10月1日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格

(3) ブローカーによって継続的に提示されている公正価格のうち平成13年10月1日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格(株式以外の有価証券については、当該ブローカーが公正価格として提示する合理的な方法により計算した価格を含む。)

(新株権利落ち等があった場合の取扱い)

37の11の2−12 「上場株式等の取得費の特例」の適用がある上場株式等について、新株権利落ち又は配当落ち(以下この項において「新株権利落等」という。)があった場合において、平成13年10月1日が当該新株権利落等に係る新株式の割当て若しくは無償交付又は配当金交付に係る基準日以前であるときであっても、措置法施行令第25条の10第2項の規定による平成13年10月1日における価額の計算上、当該新株権利落等については考慮しないことに留意する。

(上場株式等の取得費の特例を適用した場合の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算等における取扱い)

37の11の2−13 「上場株式等の取得費の特例」を適用することにより生じた譲渡所得の損失の金額は、措置法令第25条の8第1項、同条第2項、同令第25条の9第4項、同条第5項、同条第9項及び同条第10項に規定する計算並びに「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除」の適用上、控除することができることに留意する。また、同特例を適用した場合においても、所得税法第59条第2項《時価の2分の1未満で譲渡した場合の譲渡損失》及び措置法第39条《相続財産に係る譲渡所得の課税の特例》の規定の適用があることに留意する。

(株式等に係る譲渡所得等の課税の特例に関する取扱いの準用)

37の11の2−14 措置法第37条の11の2第1項の規定の適用に当たっては、37の10−8及び37の10−15の取扱いを準用する。