(外国金融商品市場)

37の11-1 措置法令第25条の9第2項第2号に規定する「外国金融商品市場」とは、金融商品取引法第2条第8項第3号ロに規定する「取引所金融商品市場に類似する市場で外国に所在するもの」をいうが、日本証券業協会の規則に基づき各証券会社が「適格外国金融商品市場」としている市場は、これに該当することに留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(注) 「適格外国金融商品市場」とは、日本証券業協会の会員(証券会社)が、次の要件を満たしており投資家保護上問題がないと判断する外国の取引所金融商品市場又は外国の店頭市場をいう(外国証券の取引に関する規則(昭48.12.4)71一、4)。

  1. 1 取引証券の取引価格が入手可能であること。
  2. 2 取引証券の発行者に関する財務諸表等の投資情報が入手可能であること。
  3. 3 その市場を監督する監督官庁又はそれに準ずる機関が存在していること。
  4. 4 取引証券の購入代金、売却代金、果実等について送受金が可能であること。
  5. 5 取引証券の保管業務を行う機関があること。

(公社債情報)

37の11-2 措置法第37条の11第2項第10号に規定する「金融商品取引所の規則に基づき公表された公社債情報」とは、例えば、東京証券取引所が定める「特定上場有価証券に関する有価証券上場規程の特例」第2条《定義》に掲げる「プログラム情報」が該当することに留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(国外において発行された公社債の意義)

37の11-3 措置法第37条の11第2項第11号に規定する「国外において発行された公社債」とは、募集又は売出しが国外において行われた公社債をいい、外国通貨で表示されているものに限らないことに留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(外国証券情報)

37の11-4 措置法令第25条の9第5項に規定する「外国証券情報」とは、証券情報等の提供又は公表に関する内閣府令(平成20年内閣府令第78号)第12条《外国証券情報の内容》に規定する情報のことをいうことに留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(注) 「外国証券情報」は、金融商品取引法第27条の32の2第1項《外国証券情報の提供又は公表》の規定により、同項に規定する外国証券売出しにより有価証券を売り付ける場合に公表を義務付けられた当該有価証券及び当該有価証券の発行者に関する情報であり、証券情報等の提供又は公表に関する内閣府令第12条において具体的な内容が規定されている。

(取得時から引き続き同一の金融商品取引業者等の営業所において保管の委託がされていない公社債)

37の11-5 措置法第37条の11第2項第11号イに規定する有価証券の売出しに応じて取得した公社債又は同号ロに規定する売付け勧誘等に応じて取得した公社債であっても、それらの取得時から引き続き当該有価証券の売出し又は当該売付け勧誘等(以下この項において「有価証券の売出し等」という。)をした金融商品取引業者等の営業所において保管の委託がされていないものについては、同号イ又はロに掲げる公社債には該当しないことに留意する。
 したがって、例えば、取引している金融商品取引業者等の変更等により、取得時から引き続き有価証券の売出し等をした金融商品取引業者等の営業所において保管の委託がされないこととなる公社債は、同号に掲げる公社債には該当しないこととなることに留意する。ただし、同一の金融商品取引業者等の他の営業所に移管された公社債は、引き続き有価証券の売出し等をした金融商品取引業者等の営業所において保管の委託がされているものに該当することに留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(平成27年12月31日以前に同族会社が発行した公社債の取扱い)

37の11-6 措置法第37条の11第2項第14号に掲げる平成27年12月31日以前に発行された公社債の取扱いについては、次の点に留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加、平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14改正)

  1. (1) 措置法第37条の11第2項第14号括弧書の公社債(その発行時において同族会社(法人税法第2条第10号《定義》に規定する同族会社をいう。以下この項において同じ。)に該当する会社が発行したものをいう。以下この項において同じ。)
    当該公社債の譲渡又は元本の償還(買入れの方法による償還を含む。以下この項において同じ。)の日において、当該会社が同族会社に該当しないこととなっている場合であっても、措置法第37条の11第2項第14号括弧書の公社債に該当する。
    (注) 措置法第37条の11第2項第14号括弧書の公社債であっても、同項第1号から第13号までのいずれかに該当する場合には、上場株式等に該当する。
  2. (2) 措置法第37条の11第2項第14号括弧書の公社債が同項第1号から第13号までのいずれにも該当せず、一般株式等に該当する場合において、当該公社債の元本の償還により金銭等の交付を受けるとき
    その償還の日においてその交付を受ける者が措置法第37条の10第3項第8号括弧書の規定に該当する者である場合は、同号の規定により、一般株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされない。
    (注) 措置法第37条の11第2項第14号括弧書の公社債に限らず、特定公社債(措置法第3条第1項第1号に規定する特定公社債をいう。)以外の公社債の元本の償還により交付を受ける金銭等の額が措置法第37条の10第3項第8号の規定により一般株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされない場合のその交付を受ける金銭等の額は、総合課税の雑所得に係る収入金額となる。

(信用取引等に係る譲渡益の計算)

37の11-7 上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算に当たり、信用取引等の方法により上場株式等の買付け又は売付けを行った者が、当該信用取引等に関し、金融商品取引業者に支払う又は金融商品取引業者から支払を受ける次のものについては、それぞれ次に掲げるところによることに留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

  1. (1) 買付けを行った者が金融商品取引業者に支払う買委託手数料、委託手数料等に係る消費税及び地方消費税、名義書換料並びに金利に相当する額は、当該信用取引等に伴い直接要した費用の額に算入する。
  2. (2) 買付けを行った者が金融商品取引業者から支払を受ける品貸料の額は、上場株式等の譲渡に係る収入金額に算入する。
  3. (3) 売付けを行った者が金融商品取引業者から支払を受ける金利に相当する額は、上場株式等の譲渡に係る収入金額に算入する。
  4. (4) 売付けを行った者が金融商品取引業者に支払う売委託手数料、委託手数料等に係る消費税及び地方消費税並びに品貸料の額は、当該信用取引等に伴い直接要した費用の額に算入する。
  5. (5) 買付けを行った者が金融商品取引業者から支払を受ける配当落調整額及び権利処理価額に相当する額は、買付けに係る上場株式等の取得価額から控除し、売付けを行った者が金融商品取引業者に支払う配当落調整額及び権利処理価額に相当する額は、上場株式等の譲渡に係る収入金額から控除する。
    (注) 「配当落調整額」とは、信用取引等に係る株式につき配当が付与された場合において、金融商品取引業者が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該配当に相当する金銭の額をいい、「権利処理価額」とは、信用取引等に係る株式につき、株式分割、株式無償割当て及び会社分割による株式を受ける権利、新株予約権(新投資口予約権を含む。)又は新株予約権の割当てを受ける権利が付与された場合において、金融商品取引業者が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払うこれらの権利の価額に相当する金銭の額をいう。

(信用取引等の決済の日後に授受される配当落調整額)

37の11-8 上場株式等に係る譲渡所得等の金額を計算する場合において、信用取引等の決済の日後に配当落調整額の授受が行われた場合は、その授受が行われた金額をその授受が行われた年の総収入金額又は必要経費に算入することに留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(信用取引において現渡しの方法により決済を行った場合の所得計算)

37の11-9 金融商品取引法第156条の24第1項の規定による信用取引の方法により上場株式等の売付けを行った場合において、いわゆる現渡しの方法により決済を行ったときの上場株式等に係る譲渡所得等の金額は、当該売付けの際の約定金額により、当該現渡しをした時に、当該現渡しをした上場株式等を譲渡したものとして計算するのであるから留意する。この場合において、当該上場株式等に係る取得価額は、当該現渡しをした上場株式等の取得に要した金額により、また、その取得の日は当該現渡しをした上場株式等及びそれと同一銘柄の上場株式等のうち先に取得したものから順次譲渡をしたものとした場合に当該譲渡をしたものとされる当該現渡しをした上場株式等の取得の日による。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(金融商品取引法第28条第8項第3号ハに掲げる取引による権利の行使又は義務の履行により取得した上場株式等の取得価額)

37の11-10 金融商品取引法第28条第8項第3号ハに掲げる取引による権利の行使又は義務の履行により取得した上場株式等の取得価額は、次の区分ごとにそれぞれに掲げるところによる。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

  1. (1) いわゆるコールオプションの買方が当該オプションの権利の行使により取得をした場合
    当該オプションの権利の行使により支出した金額及び一連の取引に関連して支出した委託手数料(当該委託手数料に係る消費税及び地方消費税を含む。)の合計額に支払オプション料を加算した金額
  2. (2) いわゆるプットオプションの売方が当該オプションの義務の履行により取得をした場合
    当該オプションの義務の履行により支出した金額及び一連の取引に関連して支出した委託手数料(当該委託手数料に係る消費税及び地方消費税を含む。)の合計額から受取オプション料を控除した金額

(上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなす金額等―法人の合併の場合等)

37の11-11 37の10-1から37の10-5までの取扱いは、措置法第37条の11第3項の規定により上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされる場合について準用する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなす金額等―投資信託等の信託の併合の場合)

37の11-12 措置法第37条の11第4項第1号の規定の適用に関しては、次の点に留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

  1. (1) 措置法第37条の11第4項第1号に規定する投資信託等(以下この項において「投資信託等」という。)の信託の併合に当たり、同項の規定により、投資信託等の受益権で上場株式等に該当するもの(以下この項において「旧受益権」という。)についての上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされる金額及び当該収入金額から控除すべき取得価額は、次の算式によって計算した金額となる。
    収入金額とみなされる金額 = 投資信託等の信託の併合により交付を受けた当該信託の併合に係る新たな信託の受益権(以下この項において「新受益権」という。)及びそれ以外の資産の価額の合計額
    取得価額 = 旧受益権の従前の取得価額の合計額

    また、当該信託の併合により取得した新受益権の取得価額は、所得税法令第109条第1項第6号の規定により、取得のために通常要する価額となる。

  2. (2) 措置法第37条の11第4項の規定の適用がない場合における投資信託等の信託の併合により取得した新受益権の1口当たりの取得価額は、所得税法令第112条第3項の規定により、次の算式によって計算した金額となる。
    取得した新受益権1口当たりの取得価額 = 旧受益権1口の従前の取得価額 + 旧受益権1口当たりの新受益権の取得費用 ÷ 旧受益権1口について取得した新受益権の口数

(上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなす金額等―特定受益証券発行信託に係る信託の分割の場合)

37の11-13 措置法第37条の11第4項第2号の規定の適用に関しては、次の点に留意する。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

  1. (1) 特定受益証券発行信託に係る信託の分割に当たり、措置法第37条の11第4項の規定により、特定受益証券発行信託の受益権で上場株式等に該当するもの(以下この項において「旧受益権」という。)についての上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされる同項第2号に掲げる金額及び当該収入金額から控除すべき取得価額は、次の算式によって計算した金額となる。
    収入金額とみなされる金額 = 特定受益証券発行信託に係る信託の分割により交付を受けた承継信託の受益権及びそれ以外の資産の価額の合計額

    (注) 「承継信託」とは、特定受益証券発行信託に係る信託の分割により受託者を同一とする他の信託からその信託財産の一部の移転を受ける信託をいう(以下この項において同じ。)。

    取得価額 = 旧受益権の従前の取得価額の合計額 × 分割移転割合

    (注) 「分割移転割合」は、所得税法令第113条第6項に規定する割合で、次により計算した割合(小数点以下3位未満の端数があるときは切上げ)をいう(以下この項において同じ。)。

    分割移転割合 = 分割信託(※1)から承継信託に移転した資産の帳簿価額 − 分割信託(※1)から承継信託に移転した負債の帳簿価額 / 分割信託の資産の帳簿価額(※2) − 分割信託の負債の帳簿価額(※2)
    1. ※1 「分割信託」とは、特定受益証券発行信託に係る信託の分割によりその信託財産の一部を受託者を同一とする他の信託又は新たな信託の信託財産として移転する信託をいう。
    2. ※2 信託の分割前に終了した計算期間のうち最も新しいものの終了の時による。

    また、当該特定受益証券発行信託に係る信託の分割があった日以後における旧受益権1口当たりの取得価額は、所得税法令第113条第7項の規定により、次の算式によって計算した金額となり、また、当該特定受益証券発行信託に係る信託の分割により取得した承継信託の受益権の取得価額は、所得税法令第109条第1項第6号の規定により、取得のために通常要する価額となる。

    特定受益証券発行信託に係る信託の分割後の旧受益権1口当たりの取得価額 = 旧受益権1口の従前の取得価額 − 旧受益権1口の従前の取得価額 × 分割移転割合
  2. (2) 措置法第37条の11第4項の規定の適用がない場合における特定受益証券発行信託に係る信託の分割があった日以後の旧受益権及び当該信託の分割により取得した承継信託の受益権に係る1口当たりの取得価額は、所得税法令第113条第6項又は第7項の規定により、それぞれ次の算式によって計算した金額となる。
    特定受益証券発行信託に係る信託の分割後の旧受益権1口当たりの取得価額 = 旧受益権1口の従前の取得価額 − 旧受益権1口の従前の取得価額 × 分割移転割合
    取得した承継信託の受益権1口当たりの取得価額 = 旧受益権1口の従前の取得価額 × 分割移転割合 ÷ 旧受益権1口について取得した承継信託の受益権の口数 + 承継信託の受益権1口当たりの承継信託の受益権の取得費用