※ 令和元年6月28日付課法2−10ほか2課共同「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」(以下「改正通達」といいます。)の発遣により、本通達は、令和元年6月28日をもって廃止されています。
  ただし、改正通達の取扱いは令和元年7月8日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険(法人税基本通達9−3−5及び連結納税基本通達8−3−5に定める解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険を除く。)の保険料及び令和元年10月8日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険(法人税基本通達9−3−5及び連結納税基本通達8−3−5に定める解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険に限る。)の保険料について適用し、それぞれの日前の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料については、改正通達による改正前の取扱い並びに改正通達による廃止前の本通達の取扱いの例によることとされています。


直審4-52(例規)
直審3-77
平成元年12月16日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、当面下記により取り扱うこととしたから、これによられたい。
(趣旨)
 保険期間が終身である介護費用保険は、保険事故の多くが被保険者が高齢になってから発生するにもかかわらず各年の支払保険料が毎年平準化されているため、60歳頃までに中途解約又は失効した場合には、相当多額の解約返戻金が生ずる。このため、支払保険料を単に支払の対象となる期間の経過により損金の額又は必要経費に算入することは適当でない。そこで、その支払保険料の損金の額又は必要経費に算入する時期等に関する取扱いを明らかにすることとしたものである。

1 介護費用保険の内容

 この通達に定める取扱いの対象とする介護費用保険は、法人又は事業を営む個人(これらを以下「事業者」という。)が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者として加入した損害保険で被保険者が寝たきり又は痴ほうにより介護が必要な状態になったときに保険事故が生じたとして保険金が被保険者に支払われるものとする。

2 介護費用保険に係る保険料の損金又は必要経費算入の時期

 事業者が介護費用保険に加入してその保険料を支払った場合(役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者とし、保険金の受取人を被保険者としているため、その保険料の額が当該役員又は使用人に対する給与となる場合を除く。)には、次により取り扱うものとする。

(1) 保険料を年払又は月払する場合には、支払の対象となる期間の経過に応じて損金の額又は必要経費に算入するものとするが、保険料払込期間のうち被保険者が60歳に達するまでの支払分については、その50%相当額を前払費用等として資産に計上し、被保険者が60歳に達した場合には、当該資産に計上した前払費用等の累積額を60歳以後の15年で期間の経過により損金の額又は必要経費に算入するものとする。

(2) 保険料を一時払する場合には、保険料払込期間を加入時から75歳に達するまでと仮定し、その期間の経過に応じて期間経過分の保険料につき(1)により取り扱う。

(3) 保険事故が生じた場合には、(1)又は(2)にかかわらず資産計上している保険料について一時の損金の額又は必要経費に算入することができる。

(注)

1 数年分の保険料をまとめて支払った場合には、いったんその保険料の全額を前払金として資産に計上し、その支払の対象となった期間の経過に応ずる経過期間分の保険料について、(1)の取扱いによることに留意する。

2 被保険者の年齢が60歳に達する前に保険料を払済みとする保険契約又は払込期間が15年以下の短期払済みの年払又は月払の保険契約にあっては、支払保険料の総額を一時払したものとして(2)の取扱いによる。

3 保険料を年払又は月払する場合において、保険事故が生じたときには、以後の保険料の支払は免除される。しかし、免除後に要介護の状態がなくなったときは、再度保険料の支払を要することとされているが、当該支払保険料は支払の対象となる期間の経過に応じて損金の額又は必要経費に算入するものとする。

3 被保険者である役員又は使用人の課税関係

 被保険者である役員又は使用人については、介護費用保険が掛け捨ての保険であるので、法人税基本通達9-3-5又は所得税基本通達36-31の2に定める取扱いに準じて取り扱う。

4 保険契約者の地位を変更した場合(退職給与の一部とした場合等)の課税関係

 保険契約者である事業者が、被保険者である役員又は使用人が退職したことに伴い介護費用保険の保険契約者の地位(保険契約の権利)を退職給与の全部又は一部として当該役員又は使用人に供与した場合には、所得税基本通達36-37に準じ当該契約を解除した場合の解約返戻金の額相当額が退職給与として支給されたものとして取り扱う。
 なお、事業者が保険契約者の地位を変更せず、定年退職者のために引き続き保険料を負担している場合であっても、所得税の課税対象としなくて差し支えない(役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者とし、保険金の受取人を被保険者としている場合を除く。)。

5 保険金の支払を受けた役員又は使用人の課税関係

 被保険者である役員又は使用人が保険金の支払を受けた場合には、当該保険金は所得税法施行令第30条((非課税とされる保険金、損害賠償金等))に規定する保険金に該当するものとして、非課税として取り扱う。

6 適用時期

 この通達は、平成元年9月1日以後の支払期日の到来分から適用する。