直審 3−1
昭和59年1月7日

国税局直税部長 殿

国税庁直税部審理課長

 労働省では、雇用保険法第62条に掲げる雇用改善事業の一環として積雪又は寒冷の地において冬期に事業規模の縮少を余儀なくされる建設業等の事業を行う事業主が季節労働者を離職させるに当たり後日再雇用することを別添の「再雇用等に関する約定書(標準例)」により約した者に一時金(以下「冬期手当」という。)を給付することとしている場合には、当該事業主に対し冬期雇用安定奨励金を昭和58年4月1日から昭和61年5月31日までの間支給することとしている。
 この冬期雇用安定奨励金制度に基づき季節労働者が事業主から支払を受ける冬期手当に対する課税上の取扱いについて労働省から照会があり、これについては下記により取り扱われることとなる旨を口頭で回答したので了知されたい。

1 冬期手当の所得区分について

 冬期手当は、給与所得に該当する。

2 冬期手当の収入すべき時期について

 冬期手当の収入すべき時期については、給付の実態によって判断することとなるが、次のような場合には、それぞれ次のように取り扱われることとなる。

(1) 冬期手当を給付した日から再雇用する日までの期間に対応する利息を徴している等の事実があり、貸付金としての性質を有していると認められる場合には、冬期手当の支払債務を免除した日(再雇用の日)が収入すべき時期とされる。

(2) 冬期手当については利息を徴さず、原則として季節労働者の都合により再雇用に応じないときに限って事業主に返還することとしていると認められる場合(いわゆる条件付の支払に該当する場合)には冬期手当を給付した日が収入すべき時期とされる。

<参考資料>
冬期雇用安定奨励金支給要領


冬期雇用安定奨励金支給要領及び冬期職業講習助成給付金支給要領

労働省職業安定局

 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第62条第1項第2号及び雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)附則第17条の規定に基づく冬期雇用安定奨励金(以下「奨励金」という。)は、この要領の定めるところにより支給する。

1. 趣旨

 昭和61年5月31日までの暫定措置として積雪又は寒冷の度が著しく高い地域において、冬期に事業活動の縮小を余儀なくされる建設業等の事業を行う事業主が季節労働者を離職させる際に翌春の再雇用及び一定額以上の手当を支払うことを約し、冬期間に当該労働者を一定日数以上就労させることを奨励することにより、当該労使間において手当の支給を伴った雇用予約制度を慣行として定着させるとともに、冬期間の就労を促進し、季節労働者の通年雇用化の基盤を整備しようとするものである。

2. 支給対象事業主

 奨励金は、次の(1)から(4)のすべてに該当する事業主(以下「支給対象事業主」という。)に対して支給する。

(1) 雇用保険の適用事業の事業主であって、積雪又は寒冷の度が著しく高い地域として労働大臣が指定する地域(以下「特別指定地域」という。)に所在する事業所において、特別指定地域における冬期の事業活動の縮小の状況を考慮して労働大臣が指定する業種(以下「特別指定業種」という。)に属する事業を行うもの(以下「対象事業主」という。)であること。
 この場合において、

イ 「特別指定地域」とは、通年雇用奨励金に係る指定地域のうち、国家公務員の寒冷地手当に係る地域区分が5級地であるものをいい、別表第1に掲げる地域(昭和58年労働省告示第30号)をいうこと。

ロ 「事業所」の取扱いについては、職業安定行政手引(第7編雇用保険−2適用)の例にならって処理するものとすること。
 ただし、ここでいう「事業所」には、事業所非該当の承認を受けた施設を含むものとすること。

ハ 「特別指定業種」とは、通年雇用奨励金に係る指定業種のうち、別表第2に掲げる業種(昭和58年労働省告示第30号)をいうこと。また、「特別指定業種に属する事業を行う」とは、当該業種に属する事業を常態として行っていることをいうこと。

(2) 季節労働者を冬期の到来に伴い11月1日以後に離職させる事業主であって、その離職の際に、当該労働者を当該離職の日から起算して2ヵ月を経過する日の翌日からその年の5月31日までの間の日に再雇用する旨の契約を締結することを約すること並びに当該労働者に当該再雇用の日までの間の生活の安定に資するための資金として労働大臣が定める額以上の額の手当(以下「冬期手当」という。)を支払うこと及びその他労働大臣が定める事項を約するものであること。
 この場合において、

イ 「季節労働者」とは、特別指定業種に属する事業において、季節的業務に従事する者をいい、当該年度の11月1日以後離職した者(特別指定地域内で行われていた特別指定業種に属する事業に雇用されたものに限る。)であって、当該年度の1月31日において雇用保険の特例一時金の受給資格を有するもの(当該受給資格に基づき特例一時金を受給したものを含む。)又は1月1日前から引き続き雇用され、当該年度の1月31日において雇用保険の短期雇用特例被保険者として雇用された期間が6ヵ月以上ある者(離職時に雇用保険の一般被保険者の求職者給付金の受給資格を有する者を除く。)であること。

ロ 「労働大臣が定める額」は、84,000円であること。
 したがって、冬期手当の額は84,000円以上であること。

ハ 「労働大臣が定める事項」とは、1月1日からその年の3月31日までの間(以下「対象期間」という。)に当該労働者の就労に適する仕事が確保されたときは、当該仕事に当該労働者を優先的に雇い入れることであること。

ニ 対象事業主が、冬期の到来に伴い季節労働者を離職させる際に約する約定については、概ね別紙によるものであること。

(3) 上記(2)の約定に基づき上記(2)のロの額の冬期手当を支払い、かつ、再雇用契約を締結して当該労働者を再雇用した事業主であること。

(4) 上記(2)の約定に係る季節労働者を対象期間において、上記(1)の事業所の事業に従事させた日数(当該事業に従事させることができなかった日数のうち、賃金を支払った日数を含む。以下「就労日数」という。)10日以上である事業主であること。
 この場合において、「事業に従事させた日数」とは、当該対象事業主の行う事業に季節労働者を従事させたことにより、当該従事させた日に係る賃金として当該事業主が当該季節労働者に支払った賃金の日額が4,200円を上回る日の数をいうものであること。
 また、「当該事業に従事させることができなかった日数のうち、賃金を支払った日数」についても同様とすること。
 なお、再雇用が対象期間内に行われる場合、当該再雇用に係る対象期間内の就労日数は、上記の対象期間内の就労日数に含めるものであること。

3. 支給額

 奨励金の支給額は、対象労働者1人当たり、1対象期間につき、次の表の就労日数の区分に応じ、それぞれ同表の支給額欄に掲げる額とする。

就労日数の区分 支給額
10日以上 20日未満 70,000円
20日以上 30日未満 84,000円
30日以上 98,000円

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