直所3−37
昭和43年12月27日

局直税部長 殿

国税庁所得税課長

 標題のことについて、日本私立幼稚園連合会理事長から別紙2のとおり照会があり、これに対して別紙1のとおり回答したから、了知されたい。


別紙1

直所3−36
昭和43年12月27日

日本私立幼稚園連合会長 殿

所得税課長

 昭和43年12月5日付で照会のあった私立幼稚園が受ける入学金等の収入(所得)として計上する時期等については、貴見のとおり処理してさしつかえありません。
 ただし、同照会「3」の点については、その取得価額が3万円未満のものにかぎります。


別紙2

昭和43年12月5日

国税庁長官 殿

日本私立幼稚園連合会長

 現行所得税法上、学校教育法第1条に規定する幼稚園であって同法第102条第1項によって認可されている私立(個人立)幼稚園の設置者に対する税務処理は、一般営利企業と同様な取扱いがされておりますが、学校としての公共性・特殊性からみて実情にそわない点がありました。
 当連合会では、これらの点について検討をいたしました結果、とりあえず、下記事項について、それぞれ説明のとおり、各幼稚園に経理・処理させたいと思いますので、何とぞ私立幼稚園の実情につきご検討をいただき、何分のご回答を賜りたくお願い申しあげます。

1. 入学金等を収入(所得)として計上する時期について

 私立幼稚園は、通常園児を学校会計年度の前年の12月末までに募集し、入学予定者から入学金等の納入を求めている例が多いのが実情でありますが、所得税法は所得の計算が暦年計算になっているため、これらの金額が園児の入学前年の所得として加算され、費用・収益の対応計算上不合理となっております。
 そこで、これらの入学金等を実際に園児の入学した年の収入(所得)とするため、前年に納入された入学金等は、園児の入学時までは前受金または預り金として処理することが幼稚園の実情に合致するものと考えられます。

2. 寄付金等を収入(所得)として計上する時期について

 私立幼稚園は、施設設備等の改善のために寄付金等を募る例が多いのでありますが、その施設設備等が完成するまでには多少の日時を要するところから、受入れた寄付金等を直ちに収入(所得)とすることには、費用・収益の対応計算上不適当な点があります。
 そこで、この場合、施設設備等の完成するまで、この寄付金等をPTA等が管理しているときは、その間、PTA等からの預り金として処理し、施設設備等の完成と同時にその年度の収入金額として処理することが合理的処理方法と考えられます。

3. 少額重要資産の取扱いについて

 昭和42年度の税制改正で、少額多量資産のうち、その業務の性質上基本的に重要なもの以外は所得の計算上、その年分の必要経費として算入することが認められるようになりましたが、私立幼稚園で、従来減価償却資産として計上している教育用備品、遊具等のうち、一応教育用としては必要であるが、必ずしも重要なものとは認められないものがあります。
 そこで、別表のような資産は、所得税法上、その年度の必要経費に算入することが幼稚園教育の実情に合致するものと考えられます。

(別表)

運動用品 太鼓橋(雲梯を含む)、登り棒、登り綱、つり輪、すべり台、ぶらんこ、低鉄棒、平均台、シーソー、とび箱、マット、三輪車(箱車を含む)、ジャングルジム、キャッスルジム、グローブジャングル、バスケット台、スカイスクーター、遊動木、木馬、トランプリン、ジャンピング、巧技台(組合せ遊具)、簡易水遊び用具等
教具備品 積木類、組木(板)類、紙しばい用品、人形しばい用品、粘土板、木工道具、画架、ままごとセット、動物人形セット、交通安全あそび用具、レコード、スライド教材、フィルム教材、図書等
楽器 たいこ、タンブリン、シンバル、トライアングル、鈴、カスタネット属、木琴、鉄琴、拍子木、木魚等
保険衛生用品 体重計、身長計、座高計、巻尺等

4.  青色申告決算書の様式を特別に定め用いることについて

 現行所得税法上の事業所得者の青色申告決算書は商工業一般用としてのものが用いられておりますが、この一般の様式のものは、幼稚園としての教育的立場が考慮されたものでないため、実情にそわない点があります。
 そこで、学校としての特殊性を考え、かつ、学校に関する関係法令とも合致するような別紙の如き青色申告決算書を当連合会で特定し、所得税の確定申告書に併せて提出することが合理的処理方法と考えられます。
(なお、この様式に改定の必要が生じた場合は随時貴庁とご協議いたしたいと存じます。)

青色申告決算書(省略)