昭27.7.25 直所1-101(例規)
昭28.8.27 直所2-96改正
昭28.10.22 直所2-117、 徴管2-252改正
昭29.10.26 直所1-106、 徴管5-137改正

 標題のことについて、下記のとおり、取扱方を定めたから、今後これによって取り扱われたい。
 なお、同法の所得税に関する部分の従前の取扱方は、廃止されたものと了承されたい。

(災害の範囲)

1 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(昭和22年法律第175号。以下「法」という。)第1条の「災害」には、震災、風水害等の天災の外、火災等の人為的災害で自己の意思によらないものをも含むものとする。したがって、失火を含むが自己の放火を含まないものとすること。

(住宅の意義)

2 法第2条《災害被害者に対する所得税の減免》の「住宅」とは、自己又は扶養親族が常時起居する家屋をいうものとし、次のように取り扱うこと。

(1) 常時起居する家屋である以上は、必ずしも生活の本拠であることを必要としない。したがって、たとえば、2箇所以上の家屋に自己又は扶養親族が常時起居しているときは、そのいずれをも住宅とすること。

(2) 現に起居している家屋であっても、常時起居しない別荘のようなものは、住宅としないこと。

(3) 常時起居している家屋に附属する倉庫、物置等の附属建物は、住宅に含めること。

(共用住宅の取扱)

3 1箇の建物で起居の用と起居以外の用とに共用されているものについては、起居の用に供されている部分と起居以外の用に供されている部分とが棟を異にする等、せつ然と区別されている場合にあっては当該起居の用に供されている部分のみを住宅として取り扱い、その他の場合にあっては当該建物の主要な部分が起居の用に供されているものであるときは住宅とし、主要な部分が起居以外の用に供されているものであるときは住宅でないものとして取り扱うこと。但し、本文後段の場合においても、当該建物がその者及び扶養親族の起居する建物のうちの主たるものである場合においては、当該建物の主要な部分が起居以外の用に供されている場合であっても、当該建物自体に損害を受けた場合に限り、当該建物の全部を住宅として取り扱うも妨げないものとすること。

(家財の意義)

4 法第2条の「家財」とは、その者(その者の扶養親族を含む。)の日常生活に通常必要な家具、什器、衣服、書籍その他の家庭用動産をいうものとし、書画、骨とう、娯楽品等で生活に必要な程度をこえるものは含まれないものとすること。

(扶養親族であるかどうかの判定)

5 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の施行に関する政令(昭和22年政令第268号。以下「令」という。)第1条《災害被害者に対する所得税の減免》の「扶養親族」とは、被害時において納税義務者と生計を一にする親族でその年分の総所得金額、退職所得の金額及び山林所得の金額の合計額(以下「合計所得金額」という。)が4万円以下である者をいうものとし、被害時後婚姻その他の事由により生計を一にしなくなり、又は確定申告に際し他の納税義務者の扶養親族として扶養控除を受ける場合であっても、法第2条の規定の適用については、扶養親族として取り扱うものとすること。(昭29直所1−106、徴管5-137改正)

(損害金額の判定)

6 災害に因る損害金額が住宅又は家財の価額の10分の5以上であるかどうかは、その者及びその扶養親族の所有する住宅(この通達の2に該当するもの)の全部又は家財(この通達の4に該当するもの)の全部につき、各別に判定すべきものであるから留意すること。(昭29 直所1−106、徴管5-137改正)

7 災害に因る損害金額が住宅又は家財の価額の10分の5以上であるかどうかは、1災害ごとに判定するべきものであるが、その年中に数回にわたり被害を受け災害ごとの損害金額が住宅又は家財の価額の10分の5に満たない場合においても、その累積額が住宅又は家財の価額の10分の5以上である場合においては、その累積額が10分の5以上に達したときの災害に因り住宅又は家財の価額の10分の5以上の被害を受けたものとして取り扱うも妨げないものとすること。
 なお、この場合においては、損害金額が10分の5以上であるかどうかの判定の基礎となるその者及び扶養親族の所有する住宅又は家財の価額は、最初に被害を受けた時に所有していた住宅又は家財の価額によるものとすること。

8 住宅又は家財について生じた損害の額並びにその損害金額がその住宅又は家財の価額の10分の5以上であるかどうかは、被害時の時価により算定するものとすること。

(減免と雑損控除との関係)

9 法第2条括弧内に規定する「当該災害に因る損害額について同法第11条の3の規定による控除をしない者に限る」とは、同一の災害に因り生じた損失額について同一時点において所得税法第11条の3の規定による雑損の控除と法第2条に規定する減免とをともに受けることができないという趣旨であるから、次の諸点に留意すること。(昭29直所1−106、徴管5-137改正)

(1) 同一の災害に因る損失額である以上は、その災害に因り事業用固定資産等について生じた損失額につき所得税法第11条の3の規定による雑損の控除を受けるときは、たとえ、その災害に因り同時に住宅又は家財についてその価額の10分の5以上の損害を受けた場合においても、法第2条の規定する減免を受けることができないものであること。

(2) 一の災害に因り生じた損失額について所得税法第11条の3の規定による雑損の控除を受ける場合であっても、他の災害に因り住宅又は家財についての価額の10分の5以上の損害を受けた場合においては、当該一の災害に因り生じた損失額について所得税法第11条の3の規定による控除を受けるとともに、当該他の災害に因り住宅又は家財について生じた損失額について法第2条の規定による減免を受けることができるものであること。

(3) ある災害に因る損失額に基いて法第3条第1項の規定により法第2条に規定する減免を受けている場合においても、その後所得税法第25条第1項の規定による予定納税額の更正の請求をする場合又はその後生じた他の災害に因る損失額に基いて再び法第3条第1項の規定による更正の請求をする場合においては、そのある災害に因る損失額を雑損控除に振り替えることができ、又、所得税法第22条の規定による予定納税額の減額の申請、同法第23条の規定による予定申告又は同法第25条第1項の規定による予定納税額の更正の請求に際し、ある災害に因り生じた損失額に基いて雑損控除を受けている場合においても、その後に生じた災害に因る損失額とを通ずるときは、法第3条第1項に規定する条件に該当することとなる場合においては、そのある災害に因り生じた損失額を法第2条に規定する減免に振り替えることができるものであること。

(4) 所得税法第22条の規定による予定納税額の減額の申請、同法第23条の規定による予定申告、法第3条第1項の規定による更正の請求又は所得税法第25条第1項の規定による予定納税額の更正の請求に際し、ある災害に因る損失額に基いて所得税法第11条の3の規定による雑損控除と法第2条の規定による減免とのいずれを受けている場合においても、確定申告に際し、雑損控除と減免とのいずれを受けるかは納税義務者の自由に選択し得るものであること。

10 削除(昭29直所1−106、徴管5-137)

(減免の基礎となる所得税額)

11 法第2条の所得税額の「全部」、「10分の5」又は「10分の2.5」の減免は、所得税法第15条の2から第15条の6まで及び第15条の8に規定する不具者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除、配当控除又は外国税額控除をなすべきものがある場合においては、当該金額を控除した後の税額につき、又、所得税法第37条、第38条第1項、第38条の2,第40条、第41条又は第42条の規定により徴収された又は徴収さるべき源泉徴収税額又は代位納付税額がある場合においては、当該税額を控除しない前の税額につき、これをなすべきものであるから留意すること。(昭29直所1−106、徴管5-137改正)

(減免の申告をした者についての更正)

12 災害に因り被害を受けた者が確定申告書、損失申告書又は準確定申告書に令第2条第1項に規定する事項を記載したときは、税務署長の処分をまたず、法第2条の規定の適用があるのであるが、当該申告書に記載された損害金額その他が相当でないと認めるときは、更正することができるのであるから留意すること。

13 削除(昭28直所2−117、徴管2-252)

(更正請求の条件)

14 法第3条第1項の規定による更正の請求は、その年7月2日から11月1日までの間の災害だけでなく、11月2日から12月31日までの間の災害についても、することができるのであるから留意すること。(昭28直所2−117、徴管2-252改正)

(更正請求の条件)

15 法第3条第1項の規定による更正の請求は、次に掲げる条件を具備する場合でなければ、これをすることができないことに留意すること。(昭29直所1−106、徴管5-137改正)

(1) 所得税法第21条、第23条の2又は第24条の2の規定により予定納税額を納付しなければならない者であること。

(2) その年7月2日から12月31日までの間に災害に因り被害を受けたこと。

(3) 当該災害のあった日においてその年分の合計所得金額の見積額を計算した場合において法第2条の規定の適用を受けることができること。すなわち、

1 当該被害に因りその者又はその者の扶養親族の所有に係る住宅又は家財について被害を受けたこと。

2 その住宅又は家財について受けた損害金額(保険金、損害賠償金等により補てんされた金額を除く。)が当該住宅又は家財の価額の10分の5以上であること。

3 当該災害のあった日の現況により計算したその年分の合計所得金額の見積額が80万円以下であること。

(4) 当該災害のあった日の現況により計算した合計所得金額の見積額を基礎とし、法第2条の規定を適用して計算した申告納税見積額が第1期分又は第2期分の予定納税額の計算の基礎となった予定納税基準額又は申告納税見積額に比し減少すること。

16 削除(昭29直所1−106、徴管5-137)

(更正の請求があった場合のその年分の申告納税見積額の計算)

17 法第3条第1項の規定による更正の請求があった場合におけるその年分の所得金額の見積額を基礎とするその年分の申告納税見積額の計算は、災害のやんだ日の現況によるその年分の所得金額の見積額を基礎として所得税法及び法第2条の定めるところに従い行うべきものであるから、次の諸点に留意すること。(昭29直所1−106、徴管5-137改正)

(1) 純損失若しくは雑損失の繰越控除、雑損控除額、医療費控除額、社会保険料控除額、生命保険料控除額、扶養控除額、不具者控除額、老年者控除額、寡婦控除額、勤労学生控除額若しくは外国税控除額の控除、変動所得の調整課税又は重要物産の製造等についての免税(以下「諸控除等」という。)は、災害のやんだ日の現況により、その者が前にその年分にかかる予定納税額減額承認申請書(その修正の申請書を含む。)、7月予定申告書、11月予定申告書、予定納税額修正申告書又は予定納税額更正請求書を提出した者であって、諸控除等に異動がないときはこれらの申請書、申告書又は請求書に記載されたところにより、諸控除等に異動があるときは当該災害について提出された更正の請求書に記載されたところにより、その者が前にその年分にかかるこれらの申請書、申告書又は請求書を提出していない者であるときは、当該災害について提出された更正の請求書に記載されたところにより、また、これらの申請書、申告書又は請求書に記載しなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、所得税法施行規則(昭和22年勅令第110号)第22条の規定を適用して行うべきものであること。

(2) 当該請求者の災害後のその年分の申告納税見積額は、まず、所得税法の定めるところに従い、源泉徴収税額又は代位納付税額控除前の所得税額を計算し、次いで法第2条の規定による減免を行い、さらに減免後の所得税額からその年分の所得につき源泉徴収し、又は代位納付され、若しくはされるべき税額を控除して計算するものであること。

(更正請求の内容)

18 法第3条第1項の規定による更正の請求は、その者が特別農業所得者であるかどうかにより、又は、当該災害のあった時期のいかんにより、その更正を求めることのできる内容が次のように異なるのであるから留意すること。

(1) その者が特別農業所得者以外の者である場合には、次によること。

1 当該災害のあった日がその年7月2日以後第1期分の予定納税額の納期限までの間であるときは、第1期分及び第2期分の予定納税額を、それぞれ、災害があった日の現況における申告納税見積額の3分の1に相当する金額に更正することを請求することができる。

2 当該災害のあった日が第1期の納期限後その年12月31日までの間であるときは、第2期分の予定納税額を、災害があった日の現況における申告納税見積額から第1期分の予定納税額を控除した残額の2分の1に相当する金額に更正することを請求することができる。(この場合において、災害があった日の現況における申告納税見積額が第1期分の予定納税額以下となるときは、第1期分の予定納税額を災害があった日の現況における申告納税見積額に更正するも妨げないものとする。)

(2) その者が特別農業所得者である場合には、その年11月2日から12月31日までの間に災害があったときは、第2期分の予定納税額を、災害があった日の現況における申告納税見積額の2分の1に相当する金額に更正することを請求することができる。

(第1期の納期限の意義)

19 令第3条の読替規定中「第1期の納期限」には、当該災害以外の事由により第1期の納期限が延期されている場合には、その延期された納期はもち論、当該災害により通信、交通その他やむを得ない事由が生じたため、所得税法第25条の3の規定により第1期の納期限が延期される場合の当該延期された納期限をも含むものとすること。(昭29直所1−106、徴管5-137追加)

(更正処分をしなければならない場合)

20 更正の請求があった場合における処分については、令第3条の規定により、所得税法第25条の規定が準用されることに留意すること。(昭29直所1−106、徴管5-137改正)

(利子税額の不徴収)

21 災害被害者が法第9条の規定により被害のあった日以後1年以内において納付すべき所得税額につき、徴収猶予を受けた場合における当該所得税額に対する利子税については、国税徴収法(明治30年法律第21号)第8条《利子税額の免除》の規定の適用があることに留意すること。

(被災給与所得者の判定)

22 令第3条の2第1項から第4項まで及び令第11条第1項に規定する被災給与所得者であるかどうか又は令第14条の2第1項の規定に該当する者であるかどうかの判定及び災害のあった日における合計所得金額の見積額を計算する場合における「災害」、「住宅」、「家財」、「扶養親族」、「損害金額」等の取扱については、この通達の「1」から「8」までに準ずること。(昭28直所2−96改正)

(徴収猶予及び還付処分の内容)

23 令第3条の2第1項、第3項又は第4項に規定する申請があった場合においては、これらの項に規定する徴収の猶予と還付とを共に行うべきものであるが、特に被災給与所得者からその旨の申出があった場合には、徴収の猶予又は還付のいずれか一方のみを行うも妨げないものとすること。(昭28直所2−96改正)

(徴収猶予の意義)

24 今第3条の2第1項から第4項まで、令第11条、令第14条の2第1項及び令第15条第2項に規定する徴収の猶予とは、源泉徴収を延期することではなく、所定期間(徴収猶予の期間)の給与又は所得については所得税法第38条又は第42条第1項又は第2項に規定する所得税の源泉徴収を行わないことをいうのであること。したがって、その支払者はその支払の際はもちろん、猶予の期間が満了した後においても、その徴収をなさないで、すべて確定申告により精算する趣旨であるから留意すること。(昭28直所2−117、徴管2-252改正)

(徴収された税額の意義と猶予及び還付)

25 令第3条の2第1項の「その年1月1日から当該災害のあった日までの間に受けた給与につき同項の規定により徴収された税額」又は同条第3項の「その年7月1日以後当該災害のあった日までの間に受けた給与につき同項の規定により徴収された税額」とは、それぞれその年1月1日又は7月1日から当該災害のあった日までの間に支払を受くべきことの確定した給与で、且つ、それらの期間内に支払を受けた給与につき所得税法第38条の規定により徴収された税額をいうのであるが、次に掲げる場合においては、次のように取り扱うものとすること。(昭28直所2−117、徴管2-252改正)

(1) それらの期間内に支払を受くべきことの確定した給与で当該災害のあった日においてまだ支払われていないものがある場合においては、還付に替え、当該支払給与に対する税額を、それらの項に規定する当該災害のあった日以後に支払を受くべき給与に対する税額に準じ、徴収を猶予するも妨げないこと。

(2) 令第3条の2第1項に規定する被災給与所得者が徴収猶予の期間の中途で令第12条の2の規定による還付の申請書を提出した場合においては、1月1日から当該申請書を給与の支払者に提出した日までに徴収したその年分の所得税額を還付しても妨げないこと。

25の2 令第3条の2第4項の「その年1月1日から当該災害のあった日までの間に受けた給与につき同項の規定により徴収された税額」とは、その年1月1日から当該災害のあった日までの間に支払を受くべきことの確定した給与で、且つ、その期間内に支払を受けた給与につき所得税法第38条の規定により徴収された税額をいうのであるが、次に揚げる場合においては、次のように取り扱うものとすること。(昭28直所2−96追加、昭28直所2−117、徴管2-252改正)

(1) その期間内に支払を受くべきことの確定した給与で、当該災害のあった日においてまだ支払われていないものがある場合においては、還付に替え当該未払給与に対する税額を、当該災害のあった日以後に支払を受くべき給与に対する税額に準じ徴収を猶予しても妨げないこと。

(2) 令第3条の2第4項の規定の適用を受けようとする被災給与所得者が徴収猶予の期間の中途で令第12条の2の規定による申請書を提出した場合においては、その年1月1日から当該申請書を給与の支払者に提出した日までに徴収したその年分の所得税額の半額を還付しても妨げないこと。

(前年から繰り越した過不足税額がある場合の猶予又は還付する税額)

25の3 令第3条の2第1項から第4項まで及び第11条第1項の規定により猶予又は還付する税額は、当該被災給与所得者につき前年から繰り越した所得税法第40条の規定による過不足税額がある場合であっても、当該過不足税額を調整した後の実際徴収税額にはよらず、調整前の所得税法第38条の規定による税額によるのであるから留意すること。(昭28直所2−96追加、昭28直所2−117、徴管2-252改正)

(合計所得金額が25万円をこえ50万円以下の者の還付税額)

26 令第3条の2第3項の規定により「徴収された税額に相当する金額以内の金額」を還付する場合においては、原則として、7月1日以後当該災害のあった日までの間に受けた給与につき徴収された所得税額の全部を還付することに取り扱うものとすること。

(合計所得金額が50万円をこえ80万円以下の者の徴収猶予)

27 令第11条第1項の規定により徴収の猶予をする場合においては、原則として、当該災害のあった日後3月間に支払を受くべきその年分の給与に対する所得税について、これを与えることに取り扱うものとすること。

(必要があると認める場合)

27の2 令第11条第2項の「必要があると認めるとき」とは、被害の状況等にてらし、法第2条の規定又は所得税法第11条の3の規定が適用された場合には、令第3条の2第2項又は令第11条第1項に規定する徴収の猶予では確定申告等に際し過納を生ずると認められる場合をいうものとすること。(昭28直所2−96追加)

(被災給与所得者の所轄税務署長)

28 令第12条第1項、令第12条の2及び令第14条の2第3項の「納税地の所轄税務署長」とは、いずれも給与の支払者所在地を管轄する税務署長をいうのではなく、当該被災給与所得者の住所地を管轄する税務署長をいうのであるから留意すること。(昭28直所2−96改正)

(被災給与所得者の申請書の経由税務署)

29 令第12条第1項の規定により徴収猶予の申請書を提出する場合においては、必ず当該給与の支払者の所在地を管轄する税務署長を経由せしめることとし、同条第2項の規定により猶予の期間を給与の支払者に通知する場合においても、同様とすること。

(最初に支払を受ける給与の意義)

30 令第12条第1項の「その徴収を猶予を受けようとする所得税を徴収せらるべき給与のうち最初に支払を受ける給与」とは、徴収の猶予を受けることのできる期間中の給与で被災給与所得者が徴収の猶予を受けようとする給与のうち最初に支払を受ける給与をいうのであるから、令第3条の2第1項から第4項まで及び令第11条の規定による徴収の猶予は、令第12条第1項の規定による申請書が猶予を受けることのできる期間内の中途で提出された場合においては、その提出のあった時後最初に支払を受くべき給与に対する所得税からこれを行うべきものであることに留意すること。(昭28直所2−96改正)

(徴収猶予の便宜の処理)

31 令第12条第1項の規定による猶予の申請書が給与の支払者に提出されたときは、給与の支払者において当該申請書の記載事項を検討せしめ、猶予の適格者と認められた者については、当該申請書の提出された日後最初に支払う給与に対する所得税から徴収の猶予を行わしめることとし、後日令第12条第2項の規定による通知があった場合において、当初の猶予期間に異動を生じたときは、その際補正を行わせしめるものとすること。

(証票の様式)

32 令第12条第3項の証票は、次の様式により納税地の所轄税務署長が作成の上直接被災給与所得者に交付すること。令第12条第3項の証票

(還付請求書の添附書類)

33 令第12条の2の規定により還付の申請をなす際添付すべき「徴収されたことを証する書面」は、原則として当該被災給与所得者の一人別徴収簿写に、その記載税額を徴収した旨の給与の支払者の証明を記載したものとすること。

(支払を受くべき所得の意義)

33の2 第14条の2第1項各号の「支払を受くべき所得税法第42条第1項又は第2項に規定する所得」とは、同項各号に定める期間内に支払を受くべきことの確定した所得をいうのであるが、社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬のように、災害を受けた日前に支払を受くべきであったものの支払が同日以後になされるときは、前年以前の分を除き、同項各号に定める期間内に支払を受けるものについては、同項各号の規定を適用するも妨げないものとすること。(昭28直所2−96追加、昭28直所2−117、徴管2-252改正)

(最初に支払を受ける所得の意義)

33の3 令第14条の2第3項の「その徴収の猶予を受けようとする所得税を徴収せらるべき所得のうち最初に支払を受ける所得」とは、徴収の猶予を受けることのできる期間中の所得で被災者が徴収の猶予を受けようとする所得のうち最初に支払を受ける所得をいうのであるから、令第14条の2第1項各号の規定による徴収の猶予は、令第14条の2第3項の規定による申請書が猶予を受けることができる期間内の中途で提出された場合においては、その提出があった時以後最初に支払を受くべき所得に対する所得税から行うべきものであることに留意すること。(昭28直所2−96追加)

(徴収猶予についての追加申請)

33の4 令第14条の2第3項の規定による申請事項のうち、徴収の猶予を受けようとする所得税に係る所得の支払者の氏名又は名称及び当該所得の支払の場所に関する事項については、所得税法第42条第1項又は第2項に規定する所得のうちには偶発的に生ずるもののあることにかんがみ、追加申請を認めるものとすること。(昭28直所2−96追加、昭28直所2−117、徴管2-252改正)

(一般の徴収猶予)

34 令第15条第1項の規定による所得税の徴収猶予は、納税者の申請により、被害の程度、納税資力減退の状況その他を参しやくして、その納付未済の申告所得税(滞納中の所得税を除く。)につき、納期限から1年以内徴収猶予を必要と認められる期間を定めて猶予するものとすること。(昭28直所2−117、徴管2-252追加)

(処分の通知手続の簡略化)

35 令第3条の2、令第11条及び令第14条の2の規定による徴収猶予に関する処分の通知については、同一の支払者に勤務する者に係るものは連記式による等事務の簡略化に努めること。(昭28直所2−96改正)

(令第15条第2項の規定を適用し得る場合)

35の2 令第15条第2項の規定は、税務署長において必要があると認めるときは、その者がその年分の合計所得金額の見積額が80万円をこえる場合又はその被害の程度が住宅又は家財の価額の10分の5に満たない場合であっても適用があることに留意すること。(昭28直所2−117、徴管2-252追加)

35の3 令第15条第2項の規定による徴収猶予は、当該給与所得者が、当該災害のあった時の現況においてその年分の総所得金額を見積ったならば当該災害に因る損失額について所得税法第11条の3の規定による雑損控除の適用を受けることができ、且つ、同条の規定による雑損控除をしたならば当該源泉徴収に係る所得税額が過納となると認める場合において、過納額が生じなくなるまでの期間を限度として相当と認める期間につきこれを与えるものとし、原則として、1により計算した税額から2により計算した税額を控除した税額が過納となるものとして計算した期間について猶予するもさしつかえないものとすること。(昭28直所2−117、徴管2-252追加)

(1) 当該給与所得者について、当該災害のあった日の現況において見積ったその年中に支払を受くべき給与所得につき所得税法第9条第1項第5号の規定により計算した金額をその者のその年分の総所得金額とし、同法第11条の5から第13条まで及び第15条から第15条の5までの規定を適用して計算した税額

(2) (1)による総所得金額から、その者の当該災害に因る損失額のうち当該総所得金額の10分の1をこえる部分の金額を控除した金額に対して同法第11条の5から第13条まで及び第15条から第15条の5までの規定を適用して計算した額

35の4 令第15条第2項の「1年以内において支払を受くべき給与」とは、当該災害のあった年中に支払の確定する給与をいうものとして取り扱うこと。(昭28直所2−117、徴管2-252追加)

(政令改正に伴う経過措置)

36 改正政令(昭和28年政令第117号をいい、以下36において「改正政令」という。)は、原則として、改正政令公布の日以後の申請に係るものから適用するものとし、次の場合にはそれぞれ次によるものとすること。(昭28直所2−96追加)

(1) 改正政令公布の日前に令第3条の2第2項の規定による猶予を受けている被災給与所得者については、その既に猶予した税額の半額が令第3条の2第4項の規定を適用した場合の還付税額以内である場合に限り、その申請により令第3条の2第4項の規定を適用することができるものとすること。この場合において、令第3条の2第4項の規定による還付税額は、同項の規定により還付すべき税額から既に猶予した税額の半分を控除した金額とすること。

(2) 改正政令公布の日前の被災者につき令第14条の2第1項の規定を適用する場合における猶予期間は、その者について認められる猶予期間のうちの残存期間とすること。

37 改正政令(昭和28年政令第167号)は、昭和28年1月1日以後の災害について、改正政令公布の日以後の申請に係るものから適用すること。(昭28直所2−117、徴管2-252追加)

38 5の適用にあたっては、昭和29年分の所得税については、「4万円」とあるのは「3万8,800円」と読み替えるものとすること。(昭28直所1−106、徴管5-137追加)