直審(源)9
昭和37年8月8日
標題について、大阪国税局長から別紙のとおり上申があったが、これについては、その船舶保証技師が支給を受ける本給およびその船舶の航行区域の区分に応じ、昭和29年10月15日直所2―141「乗船中の船員が支給を受ける航海日当に対する所得税の取扱について」通達に定める航海日当の額に相当する部分の金額については所得税法第6条第3号に規定する旅費に準ずるものとして取り扱い、これをこえる部分の金額については給与所得として取り扱うこととされたい。
別紙
大局直所(源)9
昭和36年7月15日
国税庁長官 殿
大阪国税局長
造船所が嘱託として雇用している船舶保証技師が、新船に乗組む場合の当該造船所から受ける航海日当支給の実態は下記のとおりであり、所得税の課税についていささか疑義があるので何分の指示をお願いする。
記
1 船舶保証技師の実態
船舶保証技師とは造船所が外国船を建造した場合に当該船会社の要求により、おおむね1年間程度、船舶の運航について技術的な指導等を行なうため乗船する技師をいうものである。この乗船する技師は、当該造船所が嘱託として採用した技師であるので造船所から嘱託としての固定給与が毎月支給されており、給与所得者として当該給与について所得税の源泉徴収を行なっている。
2 航海日当支給の実態
(1) 造船所は保証技師に対し、当該船舶に乗船中前記1の嘱託手当の外に航海日当を支給している。この航海日当は船舶または造船所によって若干支給基準が異なるが、当局管内の3社を調査したところおおむね月額250ドル(9万円)程度を支払っている。
この航海日当の支給の方法についてはドル貨で一部を本船渡しとして乗船中毎月一定額を本人に支払い、残額については造船所が本人の家族に邦貨で支払っている。その基準は前記3社を調査したところによると本船渡し約100ドル(36,000円)残額150ドル(54,000円)が家族渡しとなっている。
(2) 保証技師は乗船の際に造船所より渡航したく金として80,000円〜90,000円の支給を受けている。また乗船中の食費は船主負担となっている。
(3) 調査した3社の保証技師に対する手当および航海日当の月額支給の実態は次のとおりである。
区分 |
造船所と保証技師との間の契約 |
造船所と船会社との間の保証技師に対する報酬額の契約(月額) | |||
嘱託手当(月額) |
航海日当(月額) |
渡航支度金 |
|||
会社名 |
本船(本人)渡し分 |
家族渡し分 |
|||
A |
39,000 (約108.3弗) |
80弗 (28,800) |
64,200 (約178.3弗) |
80,000 |
約350弗 (126,000) |
B |
54,000 (150弗) |
100弗 (36,000) |
54,000 (150弗) |
80,000 |
約350〜500弗 (126,000〜180,000) |
C |
75,000 〜63,000 |
100弗 (36,000) |
54,000 (150弗) |
90,000 |
約300弗 (108,000) |
3 航海日当支給にかかる造船所と船会社との契約
外国船の竣工に際し船主と造船所および保証技師との間に保証技師の乗船に関する報酬等の契約が締結される。ただし、この報酬額は船会社から直接本人に支給されないで当該契約の金額が造船所にいったん受け入れられてから保証技師に支払うことになっているため船主からの保証技師に対する直接報酬とは認められない。