直所2―69
昭和25年10月12日

国税局長 殿

国税庁長官

 標記のことについて、社団法人日本音楽著作権協会と別紙のとおり照復したから、音楽著作権の使用者が同協会に支払う著作権の使用料については、所得税法第42条第1項の規定による所得税の源泉徴収を行わないよう、関係者に周知方取り計らわれたい。


別紙

直所2―69
昭和25年10月12日

日本音楽著作権協会 御中

国税庁長官

 本年6月28日付で照会のあった貴協会の音楽著作権使用料に対する所得税法第42条第1項の規定の適用については、当分の間、下記により取り扱うことといたします。

 貴協会において当該著作権の使用料を原著作者等に支払う際、その支払金額(手数料控除前の金額)を基準として所得税法第42条第1項の規定により、従前通り所得税の源泉徴収を行う。
 なお、貴協会が著作権の移転を受けない著作権につき、貴協会において仲介業務をなすものの使用料についても上記と同様に取り扱う。


昭和25年6月28日

国税庁長官 殿

社団法人 日本音楽著作権協会

 本協会は昭和14年法律第67号著作権に関する仲介業務に関する法律に基き我国における作詩、作曲家に音楽関係者を会員(現在1062人)として設立せられ専ら我国音楽著作権者の権利を擁護すると共に外国著作権団体と相互契約を締結し以て広く著作物利用者の便宜を図り我国音楽文化の普及発達を目的とする公益社団法人であります。
 抑々著作権の所有者は本協会に対し著作権の信託を申込むことに依り委託者となり委託者は著作権信託契約約款第1条の定める所によりその有する総ての著作権並に将来取得することのあるべき総ての著作権を信託財産として受託者(本協会)に移転し受益者のためにその管理を委託し受託者(本協会)は之を承諾し右著作権の管理に依りて得たる著作物使用料を受益者に交付するのでありますがこの著作権の移転は著作権の処分行為を含まず保存利用の行為に限られて居るものであります。
 扨本協会は終戦後今日に至る迄慣例として著作権使用料を著作物利用者(例えば日本放送協会、各映画製作会社、音楽出版社等々)より収授したとき所得税法第42条の規定により所得税の源泉徴収を行い京橋税務署に納税し来ったのでありますが本協会を法第42条の支払者と為す点に疑問を生じ前記著作物利用者が現実の支払者にして従って源泉徴収義務者は当然前記著作物利用者であるべきものと考えられます。よって、源泉徴収義務者は何人であるか及び今後の取扱を如何に為すべきかの件について至急明確なる決定相成り度右申請致す次第であります。