課酒3−21
課法3−50
徴管3−58
平成16年12月2日

関東信越国税局長 殿

国税庁長官
(官印省略)

 新潟県中越地震による被災酒類に係る「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」(昭和22年法律第175号)第7条に規定する酒税相当額の控除については、下記のとおり取り扱うこととしたので、遺漏のないように取り扱われたい。

(理由)
新潟県中越地震による酒類業者の被災状況を踏まえ、被災酒類に係る酒税額の控除の手続等の簡素化措置を講じることにより、酒類業者の事務負担の軽減を図るとともに、酒税相当額の早期支払ができるようにする必要があるため。

第一章 総則

1 用語の意義

  1. 1 「法」とは、「酒税法」(昭和28年法律第6号)をいう。
  2. 2 「災害減免法」とは、「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」(昭和22年法律第175号)をいう。
  3. 3 「災害減免令」とは、「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の施行に関する政令」(昭和22年政令第268号)をいう。
  4. 4 「地震」とは、「平成16年新潟県中越地震」をいう。
  5. 5 「酒類製造者」とは、酒類の製造免許を受けた者及び酒類の製造免許を受けたものとみなされた者をいう。
  6. 6 「酒類販売業者」とは、酒類の販売業免許を受けた者をいう。
  7. 7 「料飲業者」とは、酒場、料理店、ホテルその他の酒類を専ら自己の営業場において飲用に供することを業としている者をいう。
  8. 8 「酒類の販売業者」とは、酒類販売業者及び料飲業者をいう。
  9. 9 「被災地域」とは、平成16年11月4日付国税庁告示第24号「新潟県の一部地域における国税に関する申告期限等を延長する件」告示により指定した地域をいう。
  10. 10 「被災場所」とは、酒類製造者又は酒類の販売業者が販売のために所持する課税済の酒類について、地震により被災した場所をいう。
  11. 11 「被災酒類」とは、酒類製造者又は酒類の販売業者が販売のために所持する課税済の酒類のうち、地震により亡失し、滅失し、又はその本来の用途に供することができなくなったものをいう。

2 他の通達との関係
 被災酒類に係る酒税相当額の還付等の手続に関し、本通達に規定のない事項については、別に定めるところによるが、災害等の実情に応じて弾力的に取り扱う。

3 被災酒類の取扱い
 災害減免法第7条に規定する被災酒類については、次により取り扱う。

1 「その本来の用途に供することができない状態になった酒類」の取扱い
 販売のために所持する課税済酒類のうち、地震により被災し、容器等の汚損又は容器の変形等により販売に供することが困難となった酒類について、被災場所等において確実に廃棄されることが明らかなものは、「その本来の用途に供することができない状態になった酒類」に該当するものとして取り扱う。

2 被災酒類を製造場に戻し入れる場合の取扱い
 被災酒類のうち、仕入先等に返品され、酒類製造場に戻し入れられることとなるものについては、法第30条の規定に基づく戻入控除の対象となり、災害減免法の規定は適用されないことに留意する。

第二章 被災酒類の確認等の手続等

1 被災酒類の確認申請手続
 災害減免令第14条に規定する確認書の交付申請等は、次による。

1 被災酒類等の確認申請
 被災酒類の所持者は、別紙様式1「被災酒類の確認書交付申請書」(以下「確認申請書」という。)、別紙様式1の付表「被災酒類の明細書」(以下「明細書」という。)及び別紙様式2「被災酒類損失補てん明細書」(以下「損失補てん明細書」という。)を被災場所の所在地の所轄税務署長にそれぞれ2通提出し、「被災酒類の確認書」(以下「確認書」という。)の交付を受ける。

2 確認申請書の提出期限等
 被災酒類の確認申請は、災害のやんだ日から1月以内に提出させることとする。

3 確認申請書の記載事項
 確認申請書には、次の事項を記載する。

  1. (1) 被災場所の所在地及び名称
  2. (2) 申請者の住所並びに氏名又は名称及び代表者氏名
  3. (3) 酒類の種類・品目ごとの課税標準数量

4 明細書の記載事項
 明細書には、次の事項を記載する。

  1. (1) 氏名又は名称
  2. (2) 酒類の種類・品目
  3. (3) 製造者名
  4. (4) アルコール分
  5. (5) 容器の容量及び容器の総個数並びに課税標準数量
  6. (6) 税率及び税額
  7. (7) 被害状況
    (注) 被害状況については、次の区分を記載する。
    1. 1 被災により酒類容器が破びん等し、酒類が亡失し、又は滅失した(以下「亡失等」という。)場合には「破損」
    2. 2 容器が汚損等したことにより販売できないため廃棄する場合には「廃棄」

5 帳簿等により被災酒類の明細が明らかな場合の取扱い
 帳簿等により被災酒類の種類・品目、製造者名、アルコール分別の数量が明らかな場合については、帳簿等に基づき明細書を記載する。

6 帳簿等の滅失等により、被災酒類の明細が明らかでない場合の取扱い
 家屋の倒壊等により、帳簿等が滅失又は散逸した場合及び被災酒類自体が確認できない状況にある場合等被災酒類の明細が明らかでない場合については、原則として、被災酒類の明細書の作成の基とした資料を明細書に添付又は提示等するよう指導する。

(注)

  1. 1 被災酒類の明細が明らかでない場合には、4の(3)製造者名、(4)アルコール分、(5)のうち容器の容量及び容器の総個数並びに(6)税率及び税額について、明細書の該当部分の記載を省略することとして差し支えない。
  2. 2 申請予定者が、明細書の記載に当たって、所轄税務署に提出されている「酒類の販売数量等報告書」を参考とするため写しの提供の求めがあった場合には、その写しを提供することとして差し支えない。

2 被災酒類の確認等
 確認申請書等の提出があった場合には、申請内容について、次により確認調査等を実施する。

1 被災酒類の確認
 確認申請書の提出があった場合には、税務署長は、酒類の販売数量等報告書等に基づき、申請内容について調査した上で、確認書を交付する。この場合、次の点に留意する。
 なお、被災場所の確認については、被災者の状況に十分配意して弾力的に実施する。

  1. (1) すべての酒類が亡失等した場合においては、すべてが亡失等となった状況等について被災場所を確認する。
     なお、被災場所が被災地域内にある場合においては、被災者の状況に特に配意して実施するのであるから留意する。
  2. (2) 第一章第3の1の酒類がある場合については、被災地域内にあっても、必要に応じて、当該酒類の処分方法についての証拠書類の提出を求める等当該酒類が本来の用途に供することができない状態であることを確認する。
  3. (3) 第1の6により明細書が作成された確認申請がある場合において、明細書の作成の基とした資料の提供又は合理的な説明がなされない場合には、確認書は交付しないのであるから留意する。

2 確認書の交付等
 調査の結果、申請のとおり亡失等又はその本来の用途に供することができない状態である事実を確認したときは、確認申請書の※欄に税額及び確認した旨等を記載した確認書を申請者に交付する。
 なお、税額の確認については、次の点に留意する。

  1. (1) アルコール分が明らかでない場合には、別途指示する方法により酒税相当額を算出する。
  2. (2) 被災酒類の明細書のアルコール分の記載に誤りのある場合には、正しいアルコール分に修正の上、法第22条等の規定に基づき算出した税率により酒税相当額を算出する。
  3. (3) 税率については、租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第87条ないし第87条の6の適用のある酒類に留意する。
    (注) 確認書を交付する際に税額の算出方法等について説明するとともに、確認書記載の税額の還付方法等についても併せて説明する。

3 確認書の送付等
 税務署長の確認書を受け取る者に対しては、次の区分に従い、それぞれの者に対して速やかに当該確認書を送付するよう指導する。
 なお、小売酒販組合及び卸売酒販組合が確認書を送付する場合は別紙様式3「新潟県中越地震による被災酒類の確認書集計表」(以下「集計表」という。)を作成し、所轄税務署の確認を受けた上で併せて送付するよう指導する。

  1. (1) 料飲業者 仕入先である酒類販売業者
  2. (2) 酒類小売業者 販売場の所在地を含む地域を地区とする小売酒販組合(支部がある場合は支部。以下同じ。)
  3. (3) 酒類卸売業者 販売場の所在地を含む地域を地区とする卸売酒販組合
  4. (4) 小売酒販組合 所属小売酒販組合連合会
  5. (5) 小売酒販組合連合会及び卸売酒販組合 指定酒類製造者(別途指定する酒類製造者をいう。以下同じ。)
    (注) 小売酒販組合連合会等から指定酒類製造者に確認書を送付する場合は、確認書の酒税額と集計表の酒税額を照合した上で送付する。

3 酒類製造者等が所持する被災酒類の確認等の手続
 酒類製造者及び輸入酒類の引取者が販売するために所持する酒類が地震により被災した場合における被災酒類の確認等の手続は、第1及び第2の規定に準じて行うほか、次による。

  1. 1 酒類製造者の自製酒については、当該酒類製造者が災害のあった日以後に提出する酒税納税申告書により税額控除又は還付を受けるのであるから留意する。
  2. 2 保税地域から引き取った輸入酒類については、当該被災した輸入酒類に係る納税地の所轄税関長に還付申告を行うのであるから留意する。
    (注) 酒類製造者又は輸入酒類の引取者について、上記1及び2以外の被災酒類については、第1及び第2の規定に基づき酒類の販売業者と同様の手続によるのであるから留意する。

第三章 被災酒類に係る酒税相当額の還付

1 被災酒類に係る酒税相当額の還付申告
 確認書の送付を受けた指定酒類製造者は、災害のやんだ日から4月を経過した日の属する月の末日までに申告期限の到来する酒税納税申告書により、別紙様式4「新潟県中越地震による被災酒類に係る酒税額等内訳表」及び集計表を添付して確認を受けた酒税相当額の還付の申告を行う。
 この場合、酒税相当額の被災者への早期支払いに資するため、酒販組合に対して債権譲渡を行わせるよう指導する。

2 被災酒類に係る酒税相当額の還付
 指定酒類製造者から還付申告を受理した税務署長は、直ちに、その内容を確認した上、還付申告書に基づき所定の方法により、支払決定する。

第四章 雑則

1 確認申請の例外的取扱い

1 同一税務署管内に2以上の販売場を有する場合の取扱い
 同一税務署管内に多数の販売場を有し、それぞれにおいて所持する酒類が被災した場合には、当該販売場ごとの被災酒類を一括して確認を受けることとして差し支えない。
 なお、この場合、それぞれの販売場ごとに被災酒類の明細を区分するよう指導する。

2 輸送途上において被災した酒類の取扱い
 輸送途上において酒類が被災した場合については、当該被災酒類の所有者である酒類製造者又は酒類の販売業者の酒類が輸送途上の場所において被災したものとして取り扱う。
 なお、この場合確認申請書の被災場所欄には、当該輸送途上の場所を被災場所として記載することとし、併せて当該被災酒類の所有者の製造場又は販売場の所在地又は名称を付記する。

2 災害減免法に基づく救済措置の周知等

1 酒類製造者及び酒類販売業者への周知
 酒類製造者及び酒類販売業者に対しては、災害減免法に基づく救済措置の手続等についてパンフレットを作成・配付するなどして周知するほか、酒類業組合を通じて一層の周知に努める。

2 料飲業者への周知
 料飲業者に対しては、酒類製造者及び酒類販売業者を通じて納入業者から周知するよう指導するとともに、関係組合等に対しても周知に努める。

3 被災酒類の確認等事務の優先
 被災酒類の確認等事務については、早期かつ適切に処理することとし、事務の集中すると見込まれる税務署には、国税局から応援要員を派遣する等局署連携して処理に努めるよう配意する。


別紙様式1

被災酒類の確認書交付申請書

被災酒類の確認書交付申請書の様式

別紙様式1の付表

被災酒類の明細書

被災酒類の明細書の様式

別紙様式2

被災酒類損失補てん明細書

被災酒類損失補てん明細書の様式

別紙様式3

新潟県中越地震による被災酒類の確認書集計表

新潟県中越地震による被災酒類の確認書集計表の様式

別紙様式3の次葉

新潟県中越地震による被災酒類の確認書集計表(次葉)

新潟県中越地震による被災酒類の確認書集計表(次葉)の様式

別紙様式4

新潟県中越地震による被災酒類に係る酒税額等内訳表

新潟県中越地震による被災酒類に係る酒税額等内訳表の様式