※ 令和5年8月10日付課消2−9ほか5課共同「消費税法基本通達の一部改正等について(法令解釈通達)」 の発遣により、本通達は、令和5年10月1日をもって廃止されています。


課消1−8
課審7−4
課個4−9
課法3−7
徴管2−15
査調4−2
平成16年2月19日
最終改正
平31課消2−7

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、下記のとおり定めたから、当分の間これにより取り扱われたい。
 なお、消費税法基本通達(平成 7年12月25日付課消2−25ほか4課共同「消費税法基本通達の制定について」通達の別冊)の15−2−2から15−2−4は平成16年3月31日限り削除する。

(理由)  所得税法等の一部を改正する法律(平成 15年法律第8号)第6条の規定による改正後の消費税法第63条《価格の表示》において、課税事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含んだ価格を表示することが義務付けられ、平成16年4月1日から施行されることから、その暫定的な取扱い、及び当該表示が義務付けられることに伴い消費税法施行規則第22条第1項《消費税額及び地方消費税額相当額を区分領収している場合の申告税額の計算》が廃止され、新たに設けられた消費税法施行規則の一部を改正する省令(平成15年財務省令第92号)附則第2条《課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の取扱いを定めたものである。

(用語の意義)

1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(1) 法
消費税法をいう。

(2) 規則
消費税法施行規則をいう。

(3) 15年改正省令
消費税法施行規則の一部を改正する省令(平成15年財務省令第92号)をいう。

(4) 28年改正省令
消費税法施行規則等の一部を改正する省令(平成28年財務省令第20号)をいう。

(5) 課税資産の譲渡等
法第2条第1項第9号《定義》に規定する課税資産の譲渡等のうち、法第7条第1項、第8条第1項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除される課税資産の譲渡等以外の課税資産の譲渡等をいう。

(6) 軽減対象資産の譲渡等
所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第34条第1項《31年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》に規定する31年軽減対象資産の譲渡等をいう。

(7) 課税事業者
事業者のうち法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定により消費税を納める義務が免除される事業者以外の事業者をいう。

(8) 消費税額等
課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額をいう。

(9) 総額表示
法第63条《価格の表示》の規定による価格表示をいう。

(10) 税込価格
課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額等を含んだ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格をいう。

(11) 税抜価格
課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額等を含まない課税資 産の譲渡等に係る資産又は役務の価格をいう。

(総額表示の具体的な表示方法)

2 法第 63条《価格の表示》の規定による価格表示(総額表示)とは、課税事業者が取引の相手方である消費者に課税資産の譲渡等を行う場合において、あらかじめその資産又は役務の取引価格を表示するときに、税込価格を表示することをいう。
 したがって、表示された価格が税込価格であれば「税込価格である」旨の表示は必要なく、また、税込価格に併せて「税抜価格」又は「消費税額等」が表示されていても差し支えないので、例えば、次に掲げるような表示がこれに該当する。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(1) 11,000円

(2) 11,000円 (税込)

(3) 11,000円 (税抜価格 10,000円)

(4) 11,000円 (うち消費税額等1,000円)

(5) 11,000円 (税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)

 なお、税込価格の設定を行う場合において、 1円未満の端数が生じるときは、当該端数を四捨五入、切捨て又は切上げのいずれの方法により処理しても差し支えなく、また、当該端数処理を行わず、円未満の端数を表示する場合であっても、税込価格が表示されていれば、総額表示の義務付けに反するものではないことに留意する。
 また、「10,000円(税込11,000円)」とする表示については、総額表示の義務付けに反するものではないが、「税抜価格」をことさら強調することにより消費者に誤認を与える表示となる場合には、総額表示に当たらないことに留意する。

(会員制の店舗等の取扱い)

3 会員のみが利用できる会員制の店舗等であっても、当該会員の募集が不特定かつ多数の者を対象として行われている場合には、法第 63条《価格の表示》に規定する「不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等・・・・を行う場合」に該当することに留意する。 (平26課消1−5改正)

(専ら他の事業者に対して行われる場合の意義)

4 法第 63条《価格の表示》に規定する「専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合」とは、資産 又は役務の内容若しくは性質から、およそ事業の用にしか供されないような資産又は役務の取引であることが客観的に明らかな場合をいい、例えば、次に掲げるような取引がこれに該当する。(平26課消1−5改正)

(1) 建設機械の展示販売

(2) 事業用資産のメンテナンス

(単価、手数料率等の取扱い)

5 総額表示の対象となる価格表示には、資産又は役務の単価、手数料率等を表示する場合など、最終的な取引価格そのものは表示されないが、事実上、価格を表示しているに等しい表示についても総額表示が義務付けられることに留意する。

(希望小売価格の取扱い)

6 製造業者、卸売業者、輸入総代理店等の小売業者以外の者(以下この項において「製造業者等」という。)が、自己の供給する商品について、小売業者の価格設定の参考になるものとして設定している、いわゆる希望小売価格は、課税資産の譲渡等を行う課税事業者が、取引の相手方である消費者に対して行う価格表示ではないので、総額表示義務の対象とはならないが、小売業者において製造業者等が商品本体へ印字した希望小売価格等をそのまま消費者に対する販売価格とする場合には、当該価格が総額表示義務の対象となることに留意する。
なお、当該希望小売価格等が税抜価格である場合には、小売店において棚札などに税込価格を表示する必要がある。

(タイムサービスの値引き表示の取扱い)

7 特定の商品を対象とした一定の営業時間に限った価格の引下げ又は生鮮食料品等について一定の営業時間経過後の価格の引下げ等(いわゆるタイムサービス)を行う場合の値引き表示(値引き前の価格に対する割引率又は割引額を示す表示をいう。)は、総額表示義務の対象となる価格表示には該当しないことに留意する。
なお、値引き後の価格を表示するか否かは事業者の任意であるが、表示する場合には当該価格表示が総額表示義務の対象となることに留意する。

(総額表示の対象となる表示媒体)

8 法第 63条《価格の表示》に規定する「表示するとき」とは、課税資産の譲渡等を行う課税事業者が、取引の相手方である消費者に対して行う価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるかを問わないから、例えば、次に掲げるようなものがこれに該当する。(平26課消1−5改正)

(1) 値札、商品陳列棚、店内表示などによる価格の表示

(2) 商品、容器又は包装による価格の表示及びこれらに添付した物による価格の表示

(3) チラシ、パンフレット、商品カタログ、説明書面その他これらに類する物による価格の表示(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)

(4) ポスター、看板(プラカード及び建物、電車又は自動車等に記載されたものを含む。)、ネオン・サイン、アドバルーンその他これらに類する物による価格の表示

(5) 新聞、雑誌その他の出版物、放送、映写又は電光による価格の表示

(6) 情報処理の用に供する機器による価格の表示(インターネット、電子メール等によるものを含む。)

(価格表示をしていない場合)

9 総額表示の対象となるのは、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示する場合であり、価格表示をしていない場合にまで表示を義務付けるものではないことに留意する。

(決済上受領すべき金額の意義)

10 28年改正省令附則第12条第2項《税抜価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定により読み替えて適用される15年改正省令附則第2条第2項《総額表示義務の対象とならない取引で税抜価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》及び第4項《総額表示義務の対象となる取引で税抜価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定により、15年改正省令による改正前の規則(以下「旧規則」という。)第22条第1項《消費税額及び地方消費税額相当額を区分領収している場合の申告税額の計算》の規定を適用する場合において、課税資産の譲渡等の対価の額を税率の異なるごとに区分して合計した金額と税率の異なるごとに区分して合計した消費税額等とに区分して領収することとされている「課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額」とは、次の場合には、それぞれ次の金額をいう。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(1) 顧客に販売した複数の商品(課税資産に限る。)を一括して引き渡した場合   これらの商品の代金として当該顧客から一括して受領した場合における当該領収書(レシートその他代金の受領事実を証するものとして顧客に交付するものを含む。以下同じ。)に記載された金額の合計額

(2) 取引の都度掛売りをし、その掛売りの額について一定期間分をまとめて請求する場合   一の請求書に係る金額

(3) 電気、ガス、水道水等を継続的に供給し、又は提供するもので、その一定期間分の料金をまとめて請求する場合   一の請求書に係る金額

(4) 納品の都度請求書を発行する場合   納品の都度発行される請求書に係る金額

 したがって、税率の異なるごとに区分して行う同項の規定による消費税額等の1円未満の端数の処理は、(1)の場合には領収書ごとに行い、(2)から(4)の場合には交付する請求書ごとに行うことに留意する。

(注) 15年改正省令附則第2条第4項の規定により、なおその効力を有することとされる旧規則第22条第1項の規定については、平成26年4月1日以後に行う課税資産の譲渡等について適用されることに留意する。
 なお、平成26年4月1日以後に事業者が課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格の表示について、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成25年法律第41号)第10条第1項《総額表示義務に関する消費税法の特例》の規定の適用を受ける場合には、総額表示を行っているものとして、当該課税資産の譲渡等について、15年改正省令附則第2条第4項の規定が適用されることに留意する。

(区分して領収するの意義)

11 旧規則第22条第1項《消費税額及び地方消費税額相当額を区分領収している場合の申告税額の計算》の規定の適用要件である、課税資産の譲渡等の対価の額と消費税額等とに「区分して領収する」とは、代金の決済に当たって課税資産の譲渡等の対価の額(以下「本体価額」という。)を税率の異なるごとに区分して合計した金額と1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の消費税額等とを領収書又は請求書等において区分して明示している場合をいう。
 この場合において、課税標準額に対する消費税額は、当該1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の消費税額等の合計額の100分の78(軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、80分の62.4)に相当する金額となる。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(税込価格を基礎として計算した決済上受領すべき金額の意義)

12 28年改正省令附則第12条第1項《税込価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定により読み替えて適用される15年改正省令附則第2条第3項《税込価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》に規定する「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の税込価格を基礎として税率の異なるごとに区分して合計した決済上受領すべき金額」とは、一取引ごとに領収すべき金額で、個々の資産又は役務の税込価格を基に税率の異なるごとに区分して合計した金額をいい、10の(1)から(4)に掲げる場合の区分に応じ当該(1)から(4)に定めるところによる。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(消費税額等に相当する金額を明示したときの意義)

13 28年改正省令附則第12条第1項《税込価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定により読み替えて適用される15年改正省令附則第2条第3項《税込価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》に規定する「その領収に際して当該金額に含まれる消費税額等に相当する額の一円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の金額をそれぞれ明示したとき」とは、代金の決済に当たって同項の規定による消費税額等に相当する額の1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の金額を領収書又は請求書等においてそれぞれ明示している場合をいう。
 この場合において、課税標準額に対する消費税額は、当該1円未満の端数を処理した後の消費税額等の合計額の100分の78(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、80分の62.4)に相当する金額となる。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(課税仕入れに係る消費税額の計算)

14 法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する課税仕入れに係る消費税額は、原則として、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る支払対価の額の合計額に110分の7.8(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、108分の6.24)を乗じて計算した金額(当該金額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。)とする。
 ただし、課税仕入れの都度課税仕入れに係る支払対価の額について、税抜経理方式(平成元年3月29日付直所3―8ほか1課共同「消費税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて」通達の記1の(5)又は平成元年3月1日付直法2―1「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」通達の記1の(7)に規定する税抜経理方式をいう。)により経理処理を行う場合に、次の態様に応じ処理しているときは、その処理を認める。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(1) 課税仕入れの相手方が課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額を、本体価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額と1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の消費税額等とに区分して領収する場合に作成した領収書又は請求書等において別記されている消費税額等を仮払消費税等として経理し、その課税期間中における仮払消費税等の合計額の100分の78(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、80分の62.4)に相当する金額を課税仕入れに係る消費税額とする。

(2) 課税仕入れの相手方から交付を受けた領収書又は請求書等に明示された税込価格を基礎として税率の異なるごとに区分して合計した決済上受領すべき金額に含まれる消費税額等に相当する額(当該決済上受領すべき金額に110分の10(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、108分の8)を乗じて算出した金額)の1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の金額を仮払消費税等として経理し、その課税期間中における仮払消費税等の合計額の100分の78(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、80分の62.4)に相当する金額を課税仕入れに係る消費税額とする。

(3) 課税仕入れの相手方から交付を受けた領収書又は請求書等では課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額を本体価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額と1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の消費税額等とに区分して記載されていない場合、あるいは課税仕入れの相手方から交付を受けた領収書又は請求書等では税込価格を基礎として税率の異なるごとに区分して合計した決済上受領すべき金額に含まれる消費税額等に相当する額(当該決済上受領すべき金額に110分の10(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、108分の8)を乗じて算出した金額)の1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の金額がそれぞれ明示されていない場合において、課税仕入れ等に係る帳簿等により課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、108分の8)を乗じた金額(1円未満の端数を切捨て又は四捨五入の方法により処理する場合に限る。)を仮払消費税等として経理する方法を継続的に行っているときには、その課税期間中における仮払消費税等の合計額の100分の78(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、80分の62.4)に相当する金額を課税仕入れに係る消費税額とする。

(注) (3)の方式は、(1)又は(2)が適用できない場合について認められることに留意する。