直評10
直資2-70

昭和56年6月9日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

標題のことについては、農林水産省構造改善局長から別紙2のとおり照会があり、これに対して別紙1のとおり回答したから了知されたい。


別紙1

直評9
直資2-69

昭和56年6月9日

農林水産省構造改善局長 殿

国税庁長官

標題のことについては、貴見のとおり取扱うこととします。


別紙2

56構改B 第630号
昭和56年4月21日

国税庁長官 殿

農林水産省構造改善局長

農用地利用増進法(昭和55年法律第65号)が、第91回通常国会において成立し、昭和55年9月1日から施行されていますが、同法は、地域の実情に応じて、地域農業者の合意のもとに、農用地(農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地をいいます。以下同じです。)について耕作者のために利用権の設定等を促進する事業その他農用地の農業上の利用の増進を図るための事業を総合的に行うことにより、農業経営の改善と農業生産力の増進を図り、農業の健全な発展に寄与することを目的としているものであります。
 この法律に基づく農用地の権利移動については、市町村が作成する農用地利用増進計画の公告によって、同計画の定めるところに従い、権利の設定・移転がされることとして仕組まれており、この場合には、農地法第3条第1項本文の権利移動の許可制、第6条の小作地所有制限、第19条本文の賃貸借の法定更新の適用が除外されることとされています。
 そのため、この農用地利用増進計画の公告により設定された賃貸借は同計画に定める存続期間の満了により自動的に終了し、その返還について一般の場合のような離作料の支払という問題も生じません。したがって、この農用地利用増進計画の公告により設定された賃貸借は、農地法第19条本文の賃貸借の法定更新及び同法第20条第1項本文の賃貸借の解約等の制限によって保護されている従来の農用地の賃貸借のように、いわゆる耕作権としての価格が生ずるような強い権利ではありません。
 また、農用地について10年以上の期間の定めのある賃貸借についても、農地法第20条第1項本文の規定が除外されており、同様に耕作権としての価格が生ずるような強い権利ではありません。
 このようなことから、この農用地利用増進計画の公告により設定された賃貸借及び10年以上の期間の定めのある賃貸借により貸し付けられた農用地等の相続税及び贈与税の課税に当たっての評価については、下記のとおり取り扱っていただきたく、照会します。

(1) 農用地利用増進法第7条第1項の規定による公告があった農用地利用増進計画の定めるところによって設定された賃貸借に基づき貸し付けられている農用地の価額は、その賃貸借設定の期間がおおむね10年以内であること等から、相続税法第23条の地上権及び永小作権の評価等に照らし、その農用地が貸し付けられていないものとして相続税財産評価に関する基本通達の定めにより評価した価額(農用地の自用地としての価額)から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価する。

(2) 当該賃貸借に係る賃借権の価額については、相続税又は贈与税の課税価格に算入することを要しない。

(3) 農地法第20条第1項本文の賃貸借の解約等の制限の規定の適用除外とされている10年以上の期間の定めがある賃貸借についても、上記(1)及び(2)に準じて取り扱われる。

(注) 農用地利用増進法は農業経営基盤強化のための関係法律の整備に関する法律(平成5年法律第70号)により「農業経営基盤強化促進法」と改題されている。