課評2-10
課資2-4
平成29年4月12日
(一部改正 平成29年10月30日
課評2-55外)

各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)によるほか、下記のとおり定めたから、これにより取り扱われたい。

(趣旨)
 特定非常災害発生日以後に相続、遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)又は贈与(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により取得した財産の評価方法を定めたものである。

(用語の意義)

1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

  • (1) 措置法  租税特別措置法(昭和32年法律第26号)をいう。
  • (2) 措置法施行令  租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号)をいう。
  • (3) 特定非常災害  措置法第69条の6第1項に規定する特定非常災害をいう。
  • (4) 特定非常災害発生日  措置法第69条の6第1項に規定する特定非常災害発生日をいう。
  • (5) 措置法通達  昭和50年11月4日付直資2−224ほか2課共同「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)をいう。
  • (6) 評価通達  昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)をいう。
  • (7) 特定地域  措置法第69条の6第1項に規定する特定地域をいう。
  • (8) 特定地域内に保有する資産の割合が高い法人の株式等  特定非常災害発生日において保有していた資産の特定非常災害の発生直前の価額(特定非常災害の発生直前における時価をいう。)の合計額のうちに占める特定地域内にあった動産(金銭及び有価証券を除く。)、不動産、不動産の上に存する権利及び立木の価額の合計額の割合が10分の3以上である法人の株式又は出資をいう。
  • (9) 応急仮設住宅  災害救助法(昭和22年法律第118号)第2条((救助の対象))の規定に基づく救助として災害の被災者に対し供与される同法第4条((救助の種類等))第1項第1号の応急仮設住宅をいう。
  • (10) 評価対象法人  評価しようとする株式の発行法人又は出資に係る出資のされている法人をいう。
  • (11) 課税時期  相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日又は相続税法(昭和25年法律第73号)の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日をいう。

(特定地域内にある土地等の評価)

2 特定非常災害発生日以後同日の属する年の12月31日までの間に相続、遺贈又は贈与(以下「相続等」という。)により取得した特定地域内にある土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)の価額は、措置法施行令第40条の2の3((特定土地等及び特定株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例等))第3項第1号に規定する特定土地等の特定非常災害の発生直後の価額(以下「特定非常災害発生直後の価額」という。)に準じて評価することができるものとする。この場合において、その土地等の状況は、課税時期の現況によることに留意する。
 なお、当該土地等が、特定非常災害により物理的な損失(地割れ等土地そのものの形状が変わったことによる損失をいう。以下同じ。)を受けた場合には、特定非常災害発生直後の価額に準じて評価した価額から、その原状回復費用相当額を控除した価額により評価することができるものとする。

  • (注) 特定非常災害発生日以後同日の属する年の12月31日までの間に相続等により取得した特定地域外にある土地等の価額は、課税時期の現況に応じ評価通達の定めるところにより評価することに留意する。
     なお、当該土地等が、特定非常災害により物理的な損失を受けた場合には、課税時期の現況に応じ評価通達の定めるところにより評価した価額から、その原状回復費用相当額を控除した価額により評価することができるものとする。

(海面下に没した土地等の評価)

3 特定非常災害により土地等が海面下に没した場合(その状態が一時的なものである場合を除く。)には、その土地等の価額は評価しない。

(被災した造成中の宅地の評価)

4 被災した造成中の宅地の価額は、評価通達24−3((造成中の宅地の評価))に定める「その宅地の造成に係る費用現価」を次に掲げる額の合計額として計算した金額によって評価する。

  • (1) 特定非常災害の発生直前までに投下したその宅地の造成に係る費用現価のうち、被災後においてなおその効用を有すると認められる金額に相当する額
  • (2) 特定非常災害の発生直後から課税時期までに投下したその宅地の造成に係る費用現価

(応急仮設住宅の敷地の用に供するため使用貸借により貸し付けられている土地の評価)

5 応急仮設住宅の敷地の用に供するため関係都道府県知事又は関係市町村(特別区を含む。)の長に使用貸借により貸し付けられている土地の価額は、その土地の自用地としての価額(評価通達25((貸宅地の評価))に定める自用地としての価額をいう。)から、その価額にその使用貸借に係る使用権の残存期間が評価通達25(2)のイからニまでの残存期間のいずれに該当するかに応じてそれぞれに定める割合を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価する。

(被災した家屋の評価)

6 被災した家屋(被災後の現況に応じた固定資産税評価額が付されていないものに限る。以下同じ。)の価額は、次に掲げる金額の合計額によって評価することができるものとする。

  • (1) 評価通達89((家屋の評価))の定めにより評価した特定非常災害の発生直前の家屋の価額から、その価額に地方税法(昭和25年法律第226号)第367条((固定資産税の減免))の規定に基づき条例に定めるところによりその被災した家屋に適用された固定資産税の軽減又は免除の割合を乗じて計算した金額を控除した金額

    (注) 特定非常災害の発生に伴い地方税法等において固定資産税の課税の免除等の規定が別途定められた場合についても同様に取り扱うものとする。

  • (2) 特定非常災害の発生直後から課税時期までに投下したその被災した家屋の修理、改良等に係る費用現価の100分の70に相当する金額

(被災した建築中の家屋の評価)

7 被災した建築中の家屋の価額は、評価通達91((建築中の家屋の評価))に定める「その家屋の費用現価」を次に掲げる額の合計額として計算した金額によって評価する。

  • (1) 特定非常災害の発生直前までに投下したその家屋の費用現価のうち、被災後においてなおその効用を有すると認められる金額に相当する額
  • (2) 特定非常災害の発生直後から課税時期までに投下したその家屋の費用現価

(特定地域内に保有する資産の割合が高い法人の株式等に係る類似業種比準価額の計算)

8 特定地域内に保有する資産の割合が高い法人の株式等につき、評価通達180((類似業種比準価額))に定める類似業種比準価額により評価することとなる場合において、課税時期が特定非常災害発生日から同日の属する事業年度の末日までの間にあるときには、措置法通達69の6・69の7共−4((特定株式等の特定非常災害の発生直後の価額))(1)の定めを準用することができるものとする。

(純資産価額の計算)

9 評価対象法人の株式又は出資につき、評価通達185((純資産価額))に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」により評価することとなる場合において、評価対象法人の各資産のうちに、評価対象法人が課税時期前3年以内に取得又は新築した特定地域内の土地等並びに家屋及びその附属設備又は構築物(以下「家屋等」という。)で、かつ、評価対象法人が特定非常災害発生日前に取得又は新築したものがあるときには、課税時期が特定非常災害発生日から起算して3年を経過する日までの間にあるときに限り、その土地等及び家屋等の価額については、評価通達185の括弧書の定めを適用しないことができるものとする。

(同族株主以外の株主等が取得した特定地域内に保有する資産の割合が高い法人の株式等の価額の計算)

10 特定地域内に保有する資産の割合が高い法人の株式等につき、評価通達188−2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))により評価することとなる場合において、課税時期が特定非常災害発生日から同日の属する事業年度の末日までの間にあるときには、措置法通達69の6・69の7共−4(3)の定めを準用することができるものとする。

附則

(適用時期)

この法令解釈通達は、平成28年4月14日以後に相続等により取得した財産の評価について適用する。