課評2-27
課資2-13
課審6-17
平成23年10月13日
(一部改正 平成24年6月20日付課評2-26外)

各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、下記により取り扱うこととしたから、これによられたい。

(趣旨)
 東日本大震災の発生日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産についての評価方法を定めたものである。

(用語の意義)

1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。(平24課評2-26外改正)

  • (1) 震災特例法  東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(平成23年法律第29号)をいう。
  • (2) 震災特例法施行令  東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行令(平成23年政令第112号)をいう。
  • (3) 震災  震災特例法第2条((定義))第1項に規定する東日本大震災をいう。
  • (4) 震災特例法通達  平成23月10月13日付課評2-25ほか2課共同「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律に規定する特定土地等及び特定株式等の評価について」(法令解釈通達)をいう。
  • (5) 評価通達  昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)をいう。
  • (6) 指定地域  震災特例法第34条((特定土地等及び特定株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例))第1項に規定する指定地域をいう。
  • (7) 指定地域内に保有する資産の割合が高い法人の株式等  平成23年3月11日において保有していた資産の震災の発生直前の価額(震災の発生直前における時価をいう。)の合計額のうちに占める指定地域内にあった動産(金銭及び有価証券を除く。)、不動産、不動産の上に存する権利及び立木の価額の合計額の割合が10分の3以上である法人の株式又は出資をいう。
  • (8) 応急仮設住宅  震災の被災者に対し、災害救助法(昭和22年法律第118号)第2条((救助の対象))の規定に基づく救助として供与される同法第23条((救助の種類))第1項第1号の応急仮設住宅をいう。
  • (9) 評価対象法人  評価しようとする株式の発行法人又は出資に係る出資のされている法人をいう。
  • (10) 課税時期  相続、遣贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)若しくは贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により財産を取得した日又は相続税法(昭和25年法律第73号)の規定により相続、遣贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日をいう。
  • (11) 課税時期に対応する年度の家屋の固定資産税評価額  課税時期の属する年の1月1日を地方税法(昭和25年法律第226号)第359条((固定資産税の賦課期日))に規定する賦課期日とする年度における地方税法第381条((固定資産課税台帳の登録事項))の規定により家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登録された基準年度の価格又は比準価格をいう。

(指定地域内にある土地等の評価)

2 平成23年3月11日から平成23年12月31日までの間に相続、遺贈又は贈与により取得した指定地域内にある土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)の価額は、震災特例法施行令第27条((特定土地等及び特定株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例等))第3項第1号に規定する震災の発生直後における特定土地等の価額に準じて評価することができるものとする。
 この場合において、当該土地等の状況は、課税時期の現況によることに留意する。
 なお、震災により土地等が海面下に没した場合(その状態が一時的なものである場合を除く。)には、その土地等の価額は評価しない。

(被災した造成中の宅地の評価)

3 震災により被災した造成中の宅地の価額は、評価通達24-3((造成中の宅地の評価))に定める「その宅地の造成に係る費用現価」を次に掲げる額の合計額として計算した金額によって評価する。

  • (1) 震災の発生直前までに投下したその宅地の造成に係る費用現価のうち、被災後においてなおその効用を有すると認められる金額に相当する額
  • (2) 震災の発生直後から課税時期までに投下したその宅地の造成に係る費用現価

(応急仮設住宅の敷地の用に供する土地として使用貸借により貸し付けられている土地の評価)

4 応急仮設住宅の敷地の用に供する土地として関係県知事又は関係市町村長に使用貸借により貸し付けられている土地の価額は、その土地の自用地としての価額(評価通達25((貸宅地の評価))に定める「自用地としての価額」をいう。)から、その使用貸借に係る使用権の残存期間が評価通達25(2)のイからニまでの残存期間のいずれに該当するかに応じてそれぞれに定める割合を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価する。

(被災家屋の評価)

5 震災により被災した家屋(平成24年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した家屋については、課税時期に対応する年度の家屋の固定資産税評価額が付されていないものに限る。以下「被災家屋」という。)の価額は、次に掲げる金額の合計額によって評価することができるものとする。(平24課評2-26外改正)

  • (1) 評価通達89((家屋の評価))の定めにより評価した震災の発生直前の家屋の価額から、その価額に地方税法第367条((固定資産税の減免))の規定に基づき条例に定めるところによりその被災家屋に適用された固定資産税の軽減又は免除の割合を乗じて計算した金額を控除した金額

    (注) 地方税法附則第55条及び第55条の2の規定に基づき固定資産税の課税が免除された家屋についても同様に取り扱うものとする。

  • (2) 震災の発生直後から課税時期までに投下したその被災家屋の修理、改良等に係る費用現価の100分の70に相当する金額

(被災した建築中の家屋の評価)

6 震災により被災した建築中の家屋の価額は、評価通達91((建築中の家屋の評価))に定める「その家屋の費用現価」を次に掲げる額の合計額として計算した金額によって評価する。

  • (1) 震災の発生直前までに投下したその家屋の費用現価のうち、被災後においてなおその効用を有すると認められる金額に相当する額
  • (2) 震災の発生直後から課税時期までに投下したその家屋の費用現価

(類似業種比準価額の計算)

7 指定地域内に保有する資産の割合が高い法人の株式等につき、評価通達180((類似業種比準価額))に定める類似業種比準価額により評価することとなる場合において、課税時期が震災の発生日から同日を含むその法人の事業年度末までの間にあるときには、震災特例法通達4((特定株式等の震災の発生直後の価額))(1)の定めを準用することができるものとする。

(純資産価額の計算)

8 評価対象法人の株式又は出資につき、評価通達185((純資産価額))に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」により評価することとなる場合において、評価対象法人の各資産のうちに、評価対象法人が課税時期前3年以内に取得又は新築した指定地域内の土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)並びに家屋及びその附属設備又は構築物(以下「家屋等」という。)で、かつ、評価対象法人が平成23年3月10日以前に取得又は新築したものがあるときには、課税時期が平成23年3月11日から平成26年3月10日までの間にあるときに限り、その土地等及び家屋等の価額については、評価通達185のかっこ書の定めを適用しないことができるものとする。

(同族株主以外の株主等が取得した株式等の価額の計算)

9 指定地域内に保有する資産の割合が高い法人の株式等につき、評価通達188-2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))により評価することとなる場合において、課税時期が震災の発生日から同日を含むその法人の事業年度末までの間にあるときには、震災特例法通達4((特定株式等の震災の発生直後の価額))(3)の定めを準用することができるものとする。