(比較対象取引の意義)

66の4(3)−1 独立企業間価格の算定の基礎となる取引(以下「比較対象取引」という。)は、国外関連取引との類似性の程度が十分な非関連者取引をいうのであるから、例えば、措置法第66条の4第2項第1号に規定する棚卸資産の販売又は購入の場合にあっては、次に掲げる独立企業間価格の算定方法の区分に応じ、それぞれ次に掲げる取引となることに留意する。(平12年課法2−13「二」により追加、平14年課法2−1「五十八」、平16年課法2−14「二十八」、平22年課法2−7「三十」、平23年課法2−13「二」、平25年課法2−4「二十七」、令元年課法2-10「三十八」により改正)

(1) 措置法第66条の4第2項第1号イに掲げる方法(以下「独立価格比準法」という。)   国外関連取引に係る棚卸資産と同種の棚卸資産を当該国外関連取引と同様の状況の下で売買した取引(当該取引と国外関連取引とにおいて取引段階、取引数量その他に差異のある状況の下で売買した場合には、その差異により生ずる同号イに規定する対価の額の差を調整することができるものに限る。)

(2) 措置法第66条の4第2項第1号ロに掲げる方法(以下「再販売価格基準法」という。)   国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を、非関連者から購入した者が当該同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(当該取引と国外関連取引とにおいて売手の果たす機能その他に差異がある場合には、その差異により生ずる措置法令第39条の12第6項に規定する割合の差につき必要な調整を加えることができるものに限る。)

(3) 措置法第66条の4第2項第1号ハに掲げる方法(以下「原価基準法」という。)   国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を、購入(非関連者からの購入に限る。)、製造その他の行為により取得した者が当該同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(当該取引と国外関連取引とにおいて売手の果たす機能その他に差異がある場合には、その差異により生ずる措置法令第39条の12第7項に規定する割合の差につき必要な調整を加えることができるものに限る。)

(4) 措置法令第39条の12第8項第1号に掲げる方法(同号イに掲げる方法に係る部分に限る。) 国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を、購入、製造その他の行為により取得した者が当該同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売し、かつ、当該同種又は類似の棚卸資産を購入した当該非関連者が当該同種若しくは類似の棚卸資産又はこれを加工し若しくは製造等に用いて取得した棚卸資産を他者に対して販売した取引(これらの取引と国外関連取引に係る棚卸資産の法人及び国外関連者による販売等(同号に規定する販売等をいう。以下同じ。)とにおいて取引の当事者の果たす機能その他に差異がある場合には、その差異により生ずる同号イに規定する割合の差につき必要な調整を加えることができるものに限る。)

(5) 措置法令第39条の12第8項第1号に掲げる方法(同号ハに掲げる方法に係る部分に限る。以下「残余利益分割法」という。) 同号ハ(1)に掲げる金額(以下「基本的利益」という。)を計算する場合における、66の4(3)−1の(2)、(3)又は(6)から(9)までに掲げる取引(ただし、それぞれの取引に係る「当該取引と国外関連取引とにおいて売手の果たす機能その他に差異がある場合」の差異からは、法人及び国外関連者に独自の機能が存在することによる差異がある場合の当該差異を除く。)

(6) 措置法令第39条の12第8項第2号に掲げる方法 国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を、非関連者から購入した者が当該同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(当該取引と国外関連取引とにおいて売手の果たす機能その他に差異がある場合には、その差異により生ずる同号に規定する割合の差につき必要な調整を加えることができるものに限る。)

(7) 措置法令第39条の12第8項第3号に掲げる方法 国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を、購入(非関連者からの購入に限る。)、製造その他の行為により取得した者が当該同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(当該取引と国外関連取引とにおいて売手の果たす機能その他に差異がある場合には、その差異により生ずる同号に規定する割合の差につき必要な調整を加えることができるものに限る。)

(8) 措置法令第39条の12第8項第4号に掲げる方法 国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を、非関連者から購入した者が当該同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(当該取引と国外関連取引とにおいて売手の果たす機能その他に差異がある場合には、その差異により生ずる同号に規定する割合の差につき必要な調整を加えることができるものに限る。)

(9) 措置法令第39条の12第8項第5号に掲げる方法 国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を、購入(非関連者からの購入に限る。)その他の行為により取得した者が当該同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(当該取引と国外関連取引とにおいて売手の果たす機能その他に差異がある場合には、その差異により生ずる同号に規定する割合の差につき必要な調整を加えることができるものに限る。)

(同種又は類似の棚卸資産の意義)

66の4(3)−2 措置法第66条の4第2項第1号イに規定する「同種の棚卸資産」又は措置法令第39条の12第6項、第7項並びに第8項第1号イ、同号ハ(1)及び第2号から第5号までに規定する「同種又は類似の棚卸資産」とは、国外関連取引に係る棚卸資産と性状、構造、機能等の面において同種又は類似である棚卸資産をいう。
 ただし、これらの一部について差異がある場合であっても、その差異が措置法第66条の4第2項第1号イに規定する対価の額若しくは同号ロ及びハに規定する通常の利益率の算定又は措置法令第39条の12第8項第1号イ、同号ハ(1)及び第2号から第5号までに規定する割合の算定に影響を与えないと認められるときは、同種又は類似の棚卸資産として取り扱うことができる。(平12年課法2−13「二」により追加、平16年課法2−14「二十八」、平23年課法2−13「二」、平25年課法2−4「二十七」により改正)

(比較対象取引の選定に当たって検討すべき諸要素等)

66の4(3)−3 措置法第66条の4の規定の適用上、比較対象取引に該当するか否かにつき国外関連取引と非関連者間取引との類似性の程度を判断する場合には、例えば、法人、国外関連者及び非関連の事業の内容等並びに次に掲げる諸要素の類似性を勘案することに留意する。(平12年課法2−13「二」により追加、平14年課法2−1「五十八」、平22年課法2−7「三十」、平23年課法2−13「二」、平26年課法2−9「二」、令元年課法2-10「三十八」により改正)

(1) 棚卸資産の種類、役務の内容等

(2) 売手又は買手の果たす機能

(3) 契約条件

(4) 市場の状況

(5) 売手又は買手の事業戦略

(注)

1 (2)の売手又は買手の果たす機能の類似性については、売手又は買手の負担するリスク、売手又は買手の使用する無形資産(同条第7項第2号に規定する無形資産をいう。以下同じ。)のうち重要な価値のあるもの等も考慮して判断する。

2 (4)の市場の状況の類似性については、取引段階(小売り又は卸売り、一次問屋又は二次問屋等の別をいう。)、取引規模、取引時期、政府の政策(法令、行政処分、行政指導その他の行政上の行為による価格に対する規制、金利に対する規制、使用料等の支払に対する規制、補助金の交付、ダンピングを防止するための課税、外国為替の管理等の政策をいう。)の影響等も考慮して判断する。

3 (5)の売手又は買手の事業戦略の類似性については、売手又は買手の市場への参入時期等も考慮して判断する。

(比較対象取引が複数ある場合の取扱い)

66の4(3)−4 国外関連取引に係る比較対象取引が複数存在し、独立企業間価格が一定の幅を形成している場合において、当該幅の中に当該国外関連取引の対価の額があるときは、当該国外関連取引については措置法第66条の4第1項の規定の適用はないことに留意する。(平23年課法2−13「二」により追加)