第64条〜第65条の2 《収用等の場合の課税の特例》関係

(収用又は使用の範囲)

64(1)-1 措置法第64条又は第65条に規定する「収用」又は「使用」には、土地収用法第16条に規定する当該事業(以下64(1)-2から64(1)-5までにおいて「本体事業」という。)の施行により必要を生じた同条に規定する関連事業のための収用又は使用が含まれることに留意する。

(関連事業に該当する場合)

64(1)-2 本体事業の施行により必要を生じた事業が、関連事業としての土地収用法第3章の規定による事業の認定(以下「関連事業としての事業認定」という。)を受けていない場合においても、その事業が次の要件の全てに該当するときは、収用等の場合の課税の特例(措置法第3章第6節第1款の規定をいう。以下同じ。)の適用上は、関連事業に該当するものとする。(昭63年直法2-1「二十一」、平10年課法2-17「三十三」、平23年課法2-17「三十四」により改正)

  1. (1) 土地収用法第3条各号の一に該当するものに関する事業であること。
  2. (2) 本体事業の施行によって撤去変改を被る既存の同条各号の一に掲げる施設(以下「既存の公的施設」という。)の機能復旧のため本体事業と併せて施行する必要がある事業であること。
  3. (3) 本体事業の施行者が自ら施行することが収用経済等の公益上の要請に合致すると認められる事業であること。
  4. (4) その他四囲の状況から関連事業としての事業認定を受け得る条件を具備していると認められる事業であること。

(注) 措置法規則第22条の2第4項の規定は、本体事業と関連事業とについてそれぞれ別個に適用されることに留意する。

(既存の公的施設の機能復旧に該当するための要件)

64(1)-3 本体事業の施行により必要を生じた事業が、64(1)-2の(2)の既存の公的施設の機能復旧のために施行されるものに該当するための要件については、次に留意する。

  1. (1) その事業は、既存の公的施設の機能復旧の限度で行われるものであることを要し、従来当該施設が当該地域において果たしてきた機能がその事業の施行によって改良されることとなるものは、これに該当しないこと。ただし、当該施設の設置に関する最低基準が法令上具体的に規制されている場合における当該基準に達するまでの改良は、この限りでないものとすること。
    • (注) ただし書に該当する事例としては、道路の幅員を道路構造令第7条に規定する幅員まで拡張する場合がある。
  2. (2) その事業は、本体事業の起業地内に所在して撤去変改を被る既存の公的施設の移転(道路等にあっては、そのかさ上げを含む。)のために行われるものであることを要し、本体事業の施行に伴う当該地域の環境の変化に起因して行う移転、新設等の事業は、これに該当しないこと。ただし、既存の公的施設が当該起業地の内外にわたって所在する場合において、当該施設の全部を移転しなければ従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときにおける当該起業地外に所在する部分の移転は、この限りでないものとすること。
  3. (3) 既存の公的施設の移転先として関連事業のための収用又は使用の対象となる場所は、当該施設の従来の機能を維持するために必要欠くべからざる場所であることを要し、他の場所をもって代替することができるような場所はこれに該当しないから、起業地と即地的一帯性を欠く場所は、その対象に含まれないこと。ただし、起業地の地形及び当該施設の立地条件に特殊な制約があって、起業地と即地的に一帯をなす場所から移転先を選定することが著しく困難な場合には、当該特殊な制約が解消することとなる至近の場所については、この限りでないものとすること。

(関連事業の関連事業)

64(1)-4 関連事業に関連して施行する事業については、当該関連事業を本体事業とみなした場合に、その関連して施行する事業が64(1)-2の要件に適合する限りにおいて、収用等の場合の課税の特例の適用上は、関連事業に該当するものとする。

(関連事業に該当しない場合)

64(1)-5 起業者が本体事業の施行の必要上これに関連して土地等の買収をした場合において、当該買収をされた土地等が64(1)-2の要件に適合する事業の用に供されるものでないときは、当該買収をされた土地等については、収用等の場合の課税の特例の適用はないが、代替資産を取得したときに限り、その態様に応じ、措置法第65条の7の規定の適用があることに留意する。

(収用等に伴う課税の特例を受ける権利の範囲)

64(1)-6 措置法第64条第1項第5号の「当該資産に関して有する所有権以外の権利が消滅し、補償金又は対価を取得するとき」とは、例えば、土地の収用等に伴い、当該土地にある鉱区について設定されていた租鉱権、当該土地について設定されていた採石権等が消滅し、補償金の交付を受けるとき等をいうことに留意する。(平16年課法2-14「二十」により改正)

(権利変換により新たな権利に変換することがないものの意義)

64(1)-7 措置法第64条第1項第6号に規定する「都市再開発法に規定する権利変換により新たな権利に変換をすることのないもの」又は同項第6号の2に規定する「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する権利変換により新たな権利に変換をすることのないもの」とは、例えば、地役権、工作物所有のための地上権又は貸借権をいうことに留意する。(平16年課法2-14「二十」により改正)

(借地権等の価額が10分の5以上となるかどうかの判定)

64(1)-8 措置法第64条第2項第1号の土地等が土地収用法等の規定に基づいて使用され、補償金を取得する場合において、当該使用に伴い当該土地等の価値が著しく減少するかどうかは、起業者から交付を受けた対価補償金の額が借地権の設定等の直前における土地等の価額に比して10分の5以上であるかどうかにより判定しても差し支えないものとする。(平27年課法2-8「二十四」により改正)

(注) 当該起業者から交付を受けた対価補償金の額が令第138条第1項第1号イ又はロに掲げる借地権又は地役権の設定に係るものである場合には、「当該起業者から交付を受けた対価補償金の額」を同号イ又はロの「当該直前におけるその土地の価額から当該直後におけるその土地の価額を控除した残額」として同号の割合を計算し10分の5以上であるかどうかを判定して差し支えない。

(長期先行取得が認められるやむを得ない事情)

64(1)-9 代替資産の取得につき措置法第64条第3項(同条第10項において準用する場合を含む。)の規定を適用する場合における措置法令第39条第20項の「その他これに準ずる事情」には、収用等により譲渡した資産について次に掲げるような事情があるためやむを得ずその譲渡が遅延した場合が含まれるものとする。(令4年課法2−14「四十七」により追加)

(1) 借地人又は借家人が容易に立退きに応じないため譲渡ができなかったこと。

(2) 災害等によりその譲渡に関する計画の変更を余儀なくされたこと。

(3) (1)又は(2)に準ずる特別な事情があったこと。