第4章 鉱業所得の課税の特例
58−1 措置法第58条第1項に規定する「法人で鉱業を営むもの」には、鉱業法による鉱業権者又は租鉱権者として鉱業を営む法人のほか、鉱業権者又は租鉱権者として登録は受けていないが、鉱業権者又は租鉱権者である者との契約に基づいて鉱業経営に関する費用及び損失を負担し、採掘された鉱物(当該鉱物に係る収益を含む。)の配分を受けることとしているため、実質的に自ら鉱業を営んでいると認められる法人が含まれるものとする。(昭54年直法2−31「十七」により追加、平15年課法2−22「二十七」により改正)
58−1の2 石灰石等鉱業法第3条第1項の非金属法定鉱物の採掘を業とする法人が、その採掘した石灰石等の相当部分を砕石等の土建用として販売している場合においても、当該法人は砕石業を営む者ではないから、措置法第58条の規定の適用に当たっては、砕石等として販売した額についても、同条第1項第1号の鉱物の販売による収入金額に含まれることに留意する。(昭54年直法2−31「十七」により改正、平15年課法2−22「二十七」により改正)
58−2 措置法令第34条第2項第3号又は第11項第3号の「当該鉱物を原材料として製造した物品」は、法人が採掘した鉱物を原材料として製造し販売する最終製品をいうのであるが、銅鉱、鉛鉱、亜鉛鉱等の鉱物を原材料として一貫工程により銅製品、鉛製品、亜鉛製品等を製造する場合には、当該鉱物を原材料として製錬工程(地金の改造等を含む。)において製造された中間製品(例えば、地金、硫酸、焼鉱等)を当該物品として取り扱うことができるものとする。したがって、この場合には、販売された最終製品の原材料とされた中間製品に係る収入金額がこれらの号の「当該鉱物を原材料として製造した物品の販売による収入金額」に該当するものとする。(昭50年直法2−21「35」、平14年課法2−1「四十二」、平15年課法2−22「二十七」、平25年課法2−4「十九」により改正)
58−3 58−2により製錬工程において製造された中間製品を措置法令第34条第2項第3号又は第11項第3号に定める物品としている場合には、当該中間製品に係るこれらの号の収入金額は、他に販売された中間製品の販売価額(他に販売された中間製品が少量で、かつ、その販売が継続して行われているものでないためその販売価額が適正でないと認められる場合には、中間製品の建値)を基礎として計算するものとする。
当該中間製品の措置法規則第21条の15第1項第2号又は第5項第2号の原材料費等の原価の額の計算についても、これに準ずる。(昭50年直法2−21「36」、昭51年直法2−39「24」、昭53年直法2−24「50」、昭54年直法2−31「十七」、昭56年直法2−16「十八」、昭57年直法2−11「十」、昭58年直法2−11「十六」、昭59年直法2−3「二十三」、昭60年直法2−11「十七」、昭61年直法2−12「二十」、昭63年直法2−1「十八」、平2年直法2−1「二十一」、平2年課法2−6「二十七」、平10年課法2−17「二十八」、平14年課法2−1「四十二」、平15年課法2−22「二十七」、平25年課法2−4「十九」により改正)
58−4 措置法規則第21条の15第1項の「当該物品の原材料として購入した鉱物」とは、法人が製造した物品の原材料(その原材料が製錬加工等を通じて当該物品に直接化体される場合のその原材料とする。)として購入した措置法令第34条第1項に規定する鉱物をいうものとする。したがって、原材料として購入したものであっても、燃料として使用されるようなものは、これに該当しないことに留意する。
措置法規則第21条の15第5項の場合も同様とする。(昭50年直法2−21「37」、昭51年直法2−39「24」、昭53年直法2−24「50」、昭54年直法2−31「十七」、昭56年直法2−16「十八」、昭57年直法2−11「十」、昭58年直法2−11「十六」、昭59年直法2−3「二十三」、昭60年直法2−11「十七」、昭61年直法2−12「二十」、昭63年直法2−1「十八」、平2年直法2−1「二十一」、平2年課法2−6「二十七」、平10年課法2−17「二十八」により改正、平15年課法2−22「二十七」、平25年課法2−4「十九」により改正)
58−5 措置法規則第21条の15第1項括弧書に規定する「当該物品の原材料である選鉱後の当該法人の採掘した鉱物を販売するとした場合にその対価として通常受けるべき金額」は、法人がその採掘した鉱物の一部を販売している場合にはその販売価額により、採掘した鉱物を販売していない場合には建値を基礎として計算した金額によるものとする。ただし、販売された鉱物が少量で、かつ、その販売が継続して行われているものでないためその販売価額が適正でないと認められる場合には、建値を基礎として計算した金額による。
同条第5項括弧書に規定する「当該物品の原材料である選鉱後の自主開発鉱物を販売するとした場合にその対価として通常受けるべき金額」についても、同様とする。(昭50年直法2−21「38」、昭51年直法2−39「24」、昭53年直法2−24「50」、昭54年直法2−31「十七」、昭56年直法2−16「十八」、昭57年直法2−11「十」、昭58年直法2−11「十六」、昭59年直法2−3「二十三」、昭60年直法2−11「十七」、昭61年直法2−12「二十」、昭63年直法2−1「十八」、平2年直法2−1「二十一」、平2年課法2−6「二十七」、平10年課法2−17「二十八」により改正、平15年課法2−22「二十七」、平23年課法2−17「二十七」、平25年課法2−4「十九」により改正)
58−6 採掘所得金額を計算する場合の益金の額は、措置法令第34条第2項又は第11項に定める収入金額の合計額によるから、次に掲げるような金額はこれに含まれないことに留意する。ただし、引当金又は準備金の益金算入額のうちその引当金又は準備金を繰り入れた事業年度において採掘所得金額の計算上損金の額に算入された繰入金額に相当する金額は当該益金の額に算入する。(昭50年直法2−21「39」、昭61年直法2−12「二十」、平2年課法2−6「二十七」、平10年課法2−17「二十八」、平14年課法2−1「四十二」、平15年課法2−22「二十七」、平25年課法2−4「十九」、令4年課法2−14「三十八」により改正)
58−7 採掘所得金額を計算する場合の損金の額は、法人が採掘した鉱物に係る収入金額に対応する売上原価の額並びに販売費、一般管理費その他の費用及び損失の額のうち鉱業に係る金額によるのであるから、次に掲げる金額はこれに含まれることに留意する。(平15年課法2−22「二十七」、平23年課法2−17「二十七」により改正)
58−8 採掘所得金額を計算する場合の損金の額(支払利子を除く。)で鉱業に係るものの区分は、鉱業に係ることが明らかであるものについてはその区分によるが、鉱業と鉱業以外の業とに共通するもの又はその区分が明らかでないものについては、その損金の性質に応じ、収入金額、売上原価その他合理的と認められるものの割合によって区分する。(平15年課法2−22「二十七」により改正)
58−9 鉱業に専属して使用される減価償却資産の滅失損その他の鉱業に係る損失の額で災害その他やむを得ない事由により生じた臨時巨額なものについては、鉱業と鉱業以外の業の収入金額、所得金額その他合理的と認められる割合により区分した金額を鉱業に係る損金の額として計算することができるものとする。 (平15年課法2−22「二十七」により改正)
58−10 支払利子の額で鉱業に係るものの金額は、各事業年度における支払利子の額を基礎として鉱業と鉱業以外の業との収入金額、売上原価その他合理的と認められる割合により計算する。この場合において、各事業年度における支払利子の額のうちに次に掲げる金額があるときは、当該金額は支払利子の額に含めないことができるものとする。 (平15年課法2−22「二十七」により改正)
58−11 鉱業と鉱業以外の業とに共通する損金の額又はその区分が明らかでない損金の額の区分計算について適用した基準は、その後の事業年度においても継続して適用しなければならないものとする。 (平15年課法2−22「二十七」、令4年課法2−14「三十八」により改正)
58−12 金属鉱業における措置法令第34条第13項の新鉱床探鉱費の範囲については、次により取り扱う。(昭50年直法2−21「40」、平14年課法2−1「四十二」、平15年課法2−22「二十七」、平25年課法2−4「十九」、令元年課法2-10「三十」により改正)
(参考)確定鉱量、推定鉱量の解釈
(注) 上下の坑道の間隔は鉱床の性質により上下の連続性が確実に認められる場合には30m以上、不安定要素の多い鉱山ではその性質に応じ30m以下とすることができる。
(注) 大きな鉱床では(直径100mを超えるような場合)地質鉱床並びに品位的な連続性に不安があり、径をそのまま採用出来ない場合があるので、二断面の間隔の最大は50mとする。
58−13 石炭鉱業における措置法令第34条第13項第3号及び第4号に掲げる新鉱床探鉱費の範囲については、次により取り扱う。(昭50年直法2−21「40」、平14年課法2−1「四十二」、平15年課法2−22「二十七」、平25年課法2−4「十九」により改正)
58−14 石油及び可燃性天然ガス鉱業における措置法令第34条第13項第1号から第3号までに掲げる新鉱床探鉱費の範囲については、次により取り扱う。(昭50年直法2−21「40」、昭54年直法2−31「十七」、平14年課法2−1「四十二」、平15年課法2−22「二十七」、平25年課法2−4「十九」により改正)
(注) 法人が、(イ)に定める地域において石油及び可燃性天然ガスの集積構造が明確な地域として確認した場合は、その地域を確認地域とする。
(参考)JIS−M1006号「原油及び天然ガス−鉱量計算基準」に規定する確認地域
(注) 確認地域には、上記(1)、(2)又は(3)の外側に接する幅250m以内の区域であって、坑井資料に基づく地質学的根拠によってガス層の存在することが認められる区域を含めることができる。
(注) 確認地域には、上記(1)、(2)又は(3)の外側に接する幅100m以内の区域であって、坑井資料に基づく地質学的根拠によって油層の存在することが認められる区域を含めることができる。
58−15 適格合併、適格分割又は適格現物出資により引継ぎを受けた探鉱準備金又は海外探鉱準備金の措置法第58条第4項の規定による取崩しについては、55−7の2の取扱いに準じて取り扱うものとする。(平15年課法2−22「二十七」、平22年課法2−7「十九」、令4年課法2−14「三十八」により改正)
58−16 削除(平26年課法2−6「二十八」により追加、平28年課法2-11「二十八」により削除)
58−17 探鉱準備金又は海外探鉱準備金の額の益金算入等については、57の4−1の取扱いに準じて取り扱うものとする。(平15年課法2−22「二十七」、平26年課法2−6「二十八」、令元年課法2-10「三十」、令2年課法2-17「十九」、令4年課法2−14「三十八」、令5年課法2−8「十四」により改正)